59 / 88
第二章 ヴァンパイアシスターズ
第二章 第三十九話 カラクリメイド ノコ・シュタイン
しおりを挟む
階段を上がり、三つの扉の前に立つ。
「どれが正解だろうねぇ」
「左からいってみる」
「まぁ、宏が言うんだったら、それでいいんじゃねぇか」
俺たちはそのまま左側の片開き扉へ向かい、その前に立つ。
そして、鍵穴に鍵を挿し、回した。
カチャッ
「開いた」
「やったね。賞品はなにかな?」
「賞品はベルのキスなんてどうだ?」
「よっしゃぁぁぁ!! すぐ頂戴!!」
「ちんちくりんのキスでこんなに喜ぶもんか?」
「喜ぶよ! ロリのキスだよ!? 年齢イコール彼女いない歴の僕に、キスって夢のような体験じゃないか。ここ夢だけどね!」
「なに言ってんだ? 宏、扉を開けてくれ」
「うん」と返事し、扉を開けた。
扉を開けると、赤絨毯の廊下が目に入った。そして、奥を見ると女性が立っている。
剣を腰に差し、白髪ショートでメイド服を着た女性だ。
彼女はじーっと無表情で俺たちを見ている。
ただ見られているのに、見られていない感じがする。
まるでマネキン人形に見られているようなそんな感覚だ。
「なんだあれ? マネキンか?」
「いや、妖魔だよ……二人とも彼女は僕がやるよ」と岩城が言う。
彼を見ると真剣な眼差しで彼女を見ている。
「どうした? そんな真剣な目でマネキンなんか見てよ」
「水島……これは勘だけどさ。彼女、この屋敷の中で一番強いと思うよ」
「「はぁ(えっ)?」」
思わず俺も亮夜と一緒に声を出してしまった。
どう見たってあれはマネキン人形にしか見えないのに、なんで強いと思えるのだろうか。
「大神くん、水島。これだけは言っておくね。自分が弱いと思った敵ほど警戒したほうがいいよ。何してくるかわからないよ」
そう言い彼は先導するように廊下を歩き始めた。
俺と亮夜は岩城の後についていく。
マネキン人形のような女性に近づくと、彼女は俺たちにカクンと急にお辞儀する。
俺たちはその場で止まった。
何する気だ? 読めない。
彼女はスッと姿勢を正し、早口で説明し始めた。
「当屋敷へようこそ。私は当屋敷でメイドをしております。ノコ・シュタインと申します。よろしくお願い申し上げます。この度、主人であるオロチ様並び当主であるレベッカ・バートリー様の命(めい)により、皆様方の殲滅また偽物の妹様の処分を承っております。偽物の妹様は右手にありますこの部屋で監禁しております。そして、皆様方は左手にありますこの部屋で私と戦って頂きます。私に勝ったあかつきには偽物の妹様が監禁している部屋の鍵と、向かいにあります扉の鍵を皆様方にお渡し致します。では皆様方大変お手数でございますが、左手にありますこの部屋にお入りください」
彼女は無表情でまた無感情で左側にある部屋へ向かわせるように手を差し伸べる。
隣から何か違和感を覚えた。
隣を見ると亮夜が険しい目つきで息を荒げている。
「亮夜?」と言った瞬間、彼は彼女の目と鼻の先まで近寄り大きな頭で睨む。
「あんた、何回あの子を偽物っていうんだよ! あの子は偽物じゃねぇ! 正真正銘あんたの仲間じゃねぇのか! あ゛ぁあ゛っ!!」
しかし、彼女は何も反応を返さない。無表情、無感情で手を差し伸べたまま動かない。
岩城が亮夜の肩に手を置き「意味ないよ。僕たちは部屋に入ろう。大丈夫、僕が倒すから」と言った。
それを聞いた瞬間、亮夜は「はぁ? 何言ってんだ?」と返す。
「だから僕が倒す。僕ひとりで戦う。君たちはさっきみたいに見てて」
「おい、岩城ふざけんなよ。俺にもやらせろ」と言うが、岩城は冷静に「君の能力じゃ、絶対に倒せないし、今回の戦闘じゃ、邪魔だ」と言い返した。
亮夜は手を拳にし震わす。
「くそっ!!」
そう彼は一言発して、そのまま左側の部屋に入った。
「ごめん、水島」と岩城が呟いた後、振り返り「大神くん行くよ」と真剣な眼差しで俺を見る。
「うん」と頷く。
そして、そのまま左側の部屋に入った。
「どれが正解だろうねぇ」
「左からいってみる」
「まぁ、宏が言うんだったら、それでいいんじゃねぇか」
俺たちはそのまま左側の片開き扉へ向かい、その前に立つ。
そして、鍵穴に鍵を挿し、回した。
カチャッ
「開いた」
「やったね。賞品はなにかな?」
「賞品はベルのキスなんてどうだ?」
「よっしゃぁぁぁ!! すぐ頂戴!!」
「ちんちくりんのキスでこんなに喜ぶもんか?」
「喜ぶよ! ロリのキスだよ!? 年齢イコール彼女いない歴の僕に、キスって夢のような体験じゃないか。ここ夢だけどね!」
「なに言ってんだ? 宏、扉を開けてくれ」
「うん」と返事し、扉を開けた。
扉を開けると、赤絨毯の廊下が目に入った。そして、奥を見ると女性が立っている。
剣を腰に差し、白髪ショートでメイド服を着た女性だ。
彼女はじーっと無表情で俺たちを見ている。
ただ見られているのに、見られていない感じがする。
まるでマネキン人形に見られているようなそんな感覚だ。
「なんだあれ? マネキンか?」
「いや、妖魔だよ……二人とも彼女は僕がやるよ」と岩城が言う。
彼を見ると真剣な眼差しで彼女を見ている。
「どうした? そんな真剣な目でマネキンなんか見てよ」
「水島……これは勘だけどさ。彼女、この屋敷の中で一番強いと思うよ」
「「はぁ(えっ)?」」
思わず俺も亮夜と一緒に声を出してしまった。
どう見たってあれはマネキン人形にしか見えないのに、なんで強いと思えるのだろうか。
「大神くん、水島。これだけは言っておくね。自分が弱いと思った敵ほど警戒したほうがいいよ。何してくるかわからないよ」
そう言い彼は先導するように廊下を歩き始めた。
俺と亮夜は岩城の後についていく。
マネキン人形のような女性に近づくと、彼女は俺たちにカクンと急にお辞儀する。
俺たちはその場で止まった。
何する気だ? 読めない。
彼女はスッと姿勢を正し、早口で説明し始めた。
「当屋敷へようこそ。私は当屋敷でメイドをしております。ノコ・シュタインと申します。よろしくお願い申し上げます。この度、主人であるオロチ様並び当主であるレベッカ・バートリー様の命(めい)により、皆様方の殲滅また偽物の妹様の処分を承っております。偽物の妹様は右手にありますこの部屋で監禁しております。そして、皆様方は左手にありますこの部屋で私と戦って頂きます。私に勝ったあかつきには偽物の妹様が監禁している部屋の鍵と、向かいにあります扉の鍵を皆様方にお渡し致します。では皆様方大変お手数でございますが、左手にありますこの部屋にお入りください」
彼女は無表情でまた無感情で左側にある部屋へ向かわせるように手を差し伸べる。
隣から何か違和感を覚えた。
隣を見ると亮夜が険しい目つきで息を荒げている。
「亮夜?」と言った瞬間、彼は彼女の目と鼻の先まで近寄り大きな頭で睨む。
「あんた、何回あの子を偽物っていうんだよ! あの子は偽物じゃねぇ! 正真正銘あんたの仲間じゃねぇのか! あ゛ぁあ゛っ!!」
しかし、彼女は何も反応を返さない。無表情、無感情で手を差し伸べたまま動かない。
岩城が亮夜の肩に手を置き「意味ないよ。僕たちは部屋に入ろう。大丈夫、僕が倒すから」と言った。
それを聞いた瞬間、亮夜は「はぁ? 何言ってんだ?」と返す。
「だから僕が倒す。僕ひとりで戦う。君たちはさっきみたいに見てて」
「おい、岩城ふざけんなよ。俺にもやらせろ」と言うが、岩城は冷静に「君の能力じゃ、絶対に倒せないし、今回の戦闘じゃ、邪魔だ」と言い返した。
亮夜は手を拳にし震わす。
「くそっ!!」
そう彼は一言発して、そのまま左側の部屋に入った。
「ごめん、水島」と岩城が呟いた後、振り返り「大神くん行くよ」と真剣な眼差しで俺を見る。
「うん」と頷く。
そして、そのまま左側の部屋に入った。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ
まみ夜
キャラ文芸
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
第二巻(ホラー風味)は現在、更新休止中です。
続きが気になる方は、お気に入り登録をされると再開が通知されて便利かと思います。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
羅刹を冠する鬼と狐
井上 滋瑛
キャラ文芸
帝国華羅に羅刹院という、羅刹士を束ねる特殊組織があった。
帝国公認でありながら干渉を受けず、官民問わない依頼と契約、その遂行を生業とする。
その依頼内容は鳥獣妖魔の討伐から要人警護、更には暗殺まで表裏問わず多岐に渡る。
ある日若手羅刹士の遼経が依頼を終えて拠点に戻ると、かつて妖魔が支配していた都市、煥緞が妖仙の兄弟によって陥落された事を知る。
妖仙の狙いはかつて煥緞に眠っていた古代霊術だった。
一度はその討伐参加を見送り、元担当院士の玉蓮と共に別なる古代霊術の探索に出発する。
かつて古代霊術が眠っている遺跡発掘の警護中に殉職した父。
古代霊術の権威であった大学院の教授の警護中に失踪した恋人。
因果は巡り、自身の出生の真実を知らされ、そして妖仙の兄弟と対峙する。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
学園戦記三国志~リュービ、二人の美少女と義兄妹の契りを結び、学園において英雄にならんとす 正史風味~
トベ・イツキ
キャラ文芸
三国志×学園群像劇!
平凡な少年・リュービは高校に入学する。
彼が入学したのは、一万人もの生徒が通うマンモス校・後漢学園。そして、その生徒会長は絶大な権力を持つという。
しかし、平凡な高校生・リュービには生徒会なんて無縁な話。そう思っていたはずが、ひょんなことから黒髪ロングの清楚系な美女とお団子ヘアーのお転婆な美少女の二人に助けられ、さらには二人が自分の妹になったことから運命は大きく動き出す。
妹になった二人の美少女の後押しを受け、リュービは謀略渦巻く生徒会の選挙戦に巻き込まれていくのであった。
学園を舞台に繰り広げられる新三国志物語ここに開幕!
このお話は、三国志を知らない人も楽しめる。三国志を知ってる人はより楽しめる。そんな作品を目指して書いてます。
今後の予定
第一章 黄巾の乱編
第二章 反トータク連合編
第三章 群雄割拠編
第四章 カント決戦編
第五章 赤壁大戦編
第六章 西校舎攻略編←今ココ
第七章 リュービ会長編
第八章 最終章
作者のtwitterアカウント↓
https://twitter.com/tobeitsuki?t=CzwbDeLBG4X83qNO3Zbijg&s=09
※このお話は2019年7月8日にサービスを終了したラノゲツクールに同タイトルで掲載していたものを小説版に書き直したものです。
※この作品は小説家になろう・カクヨムにも公開しています。
色色彩彩ーイロイロトリドリー
えい
キャラ文芸
その「色」との出会いは、衝撃だった。
大学で、植物から自然の色素を抽出する研究を続ける御影 彩人(みかげ・あやと)は、数年前に偶然目にした、ひとつの絵を忘れられずにいる。
しかし、その絵を描いた「天才画家の卵」であったはずの蘇芳 日和(すおう・ひより)が、なぜかまったく絵に関係のない学部に入学してきたことに、もやもやとしたものを感じていた。
そしてもうひとつ、彩人を悩ませる謎の怪奇現象が身の回りで起こり出す。
「色」が失われていく世界。
あるコンプレックスが元で永らく使っていなかった「力」を開放する決意をした彩人は――?
※この作品はフィクションです。史実上の人物や、話中に出ている研究等の内容につきましても創作としてのアレンジを加えておりますので、事実としての正確性を欠く場合がありますが、ご了承ください。
参考文献:「日本の色図鑑」(マイルスタッフ発行)
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる