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第二章 ヴァンパイアシスターズ
第二章 第十二話 夢の世界のこと
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「まず最初にこの世界。夢の世界の住人の話ね」
「その前になんで俺らに話そうと思ったんだ? 昨日は襲ったくせによ」
「あなたたちがここまで絡んでくるとは思わなかったの。普通、脱出方法を知ってるなら、そのまま起きればいいのに。あなたたちは向かってきた。ほんと、バカ」
「あ゛ぁ?」
「まぁまぁ、水島は落ち着きなよ。神代さんも話が進まないでしょ?」
「そうだ、話を聞かせてくれ」
「わかった。じゃこの世界だけど……」
神代が言うには夢の世界では俺たちが空想の生き物とされる妖怪、魔物、魔人などが暮らしている。彼らは自分たちを『妖魔』と名乗っているらしい。
妖魔にはいくつかの種族に分かれる。
獣種、人種、獣人種、無機物種の四種だそうだ。
獣種は地球上にいる動物、昆虫の妖魔である。つまり夢の世界の動物がこれに当たる。
人種は人間に近い妖魔である。その世界の大半は人種だそうだ。
獣人種は動物と人間が合体したような妖魔である。神代が言うには亜人(あじん)だそうだ。正直『亜人』というものがわかっていないんだが、ファンタジー世界にいそうな人種ということだろう。ケンタウロスとかミノタウルスとか。
最後に無機物種。この人たちは現実世界で無機物とされるものが、命を宿し、動いている妖魔。人形、機械などがそうだ。
「それで? その話と今回、なんの接点があんだ?」
「それは僕が話すよ。実はね……」
岩城が言うには、能力を持っている妖魔と能力を持っていない妖魔がいるそうだ。
能力を持っていない妖魔は普通、能力を持っている妖魔(能力を持っている人同様)に襲うことはない。なぜなら武器持ってる人に素手で行っても負けるのがわかっているからだ。しかし、最近能力を持っていない妖魔が能力を持っている妖魔を襲うことがあるらしい。大体は返り討ちされるが、岩城もこんなことがあるんだという程度だった。
問題は最近になってからだ。そのことが増えて来ていると聞いた。
「ちょっと待ってくれ、誰から聞いたんだ?」
「妖魔だよ。なんだい? そんな不思議なことかい?」
嘘だろ? 妖魔って襲うものではないのか? 俺は初めて入った時、大男に襲われたぞ。神代を見るが、彼女は首を横に振る。
「あっ、そうか。大神くんは最初に襲われたんだっけ? うーん、運がなかったね」
「そんな一言で済ませちゃうのか?」
俺は首をがっくりと落とす。
マジか。そんな程度なの?
岩城が「大神くん」と俺を呼ぶ。俺は頭をあげ、彼を見る。
「これからいろんな妖魔に会うと思うよ。そりゃ、最初は最悪だったかもしれないけど。妖魔が全員悪っていうわけじゃない。さっきのメイドちゃんも妖魔だし、ブギーマンも妖魔だ」
「でもちんちくりんは襲ってきたぞ」
「あれは……可愛い反抗だよ。ね、神代さん?」
「私に振らないでくれる」
「う゛っ……。まぁ言いたいのは妖魔ってだけで悪とは思わないでほしい。わかったかい?」
わかったかい? か。正直わからない。
「……」
「ゆっくりでいいよ。いずれわかるから」
「で、聞きてぇんだけどよ。その能力がない妖魔が襲うから、今回は異常だってことか?」
「そういうことだね。あと僕も、実際能力を持っていない馬の妖魔に襲われてたんだ。で、気絶させて体を調べてみたんだ」
「なにかあったのね」
「うん、なにか噛まれた傷穴があった。そうだね、まるでヴァンパイアに噛まれたような傷穴だったよ」
神代が沈黙する。
「神代さん。改めて言うけど何か……知ってるよね?」
「ほんと、あなたは感がいい」
「それが僕の取り柄だから」
「レイさん? ……お客様?」
全員、声の方に振り向いた。応接室の入り口に金髪サイドテールの赤眼の少女が立っていた。
「その前になんで俺らに話そうと思ったんだ? 昨日は襲ったくせによ」
「あなたたちがここまで絡んでくるとは思わなかったの。普通、脱出方法を知ってるなら、そのまま起きればいいのに。あなたたちは向かってきた。ほんと、バカ」
「あ゛ぁ?」
「まぁまぁ、水島は落ち着きなよ。神代さんも話が進まないでしょ?」
「そうだ、話を聞かせてくれ」
「わかった。じゃこの世界だけど……」
神代が言うには夢の世界では俺たちが空想の生き物とされる妖怪、魔物、魔人などが暮らしている。彼らは自分たちを『妖魔』と名乗っているらしい。
妖魔にはいくつかの種族に分かれる。
獣種、人種、獣人種、無機物種の四種だそうだ。
獣種は地球上にいる動物、昆虫の妖魔である。つまり夢の世界の動物がこれに当たる。
人種は人間に近い妖魔である。その世界の大半は人種だそうだ。
獣人種は動物と人間が合体したような妖魔である。神代が言うには亜人(あじん)だそうだ。正直『亜人』というものがわかっていないんだが、ファンタジー世界にいそうな人種ということだろう。ケンタウロスとかミノタウルスとか。
最後に無機物種。この人たちは現実世界で無機物とされるものが、命を宿し、動いている妖魔。人形、機械などがそうだ。
「それで? その話と今回、なんの接点があんだ?」
「それは僕が話すよ。実はね……」
岩城が言うには、能力を持っている妖魔と能力を持っていない妖魔がいるそうだ。
能力を持っていない妖魔は普通、能力を持っている妖魔(能力を持っている人同様)に襲うことはない。なぜなら武器持ってる人に素手で行っても負けるのがわかっているからだ。しかし、最近能力を持っていない妖魔が能力を持っている妖魔を襲うことがあるらしい。大体は返り討ちされるが、岩城もこんなことがあるんだという程度だった。
問題は最近になってからだ。そのことが増えて来ていると聞いた。
「ちょっと待ってくれ、誰から聞いたんだ?」
「妖魔だよ。なんだい? そんな不思議なことかい?」
嘘だろ? 妖魔って襲うものではないのか? 俺は初めて入った時、大男に襲われたぞ。神代を見るが、彼女は首を横に振る。
「あっ、そうか。大神くんは最初に襲われたんだっけ? うーん、運がなかったね」
「そんな一言で済ませちゃうのか?」
俺は首をがっくりと落とす。
マジか。そんな程度なの?
岩城が「大神くん」と俺を呼ぶ。俺は頭をあげ、彼を見る。
「これからいろんな妖魔に会うと思うよ。そりゃ、最初は最悪だったかもしれないけど。妖魔が全員悪っていうわけじゃない。さっきのメイドちゃんも妖魔だし、ブギーマンも妖魔だ」
「でもちんちくりんは襲ってきたぞ」
「あれは……可愛い反抗だよ。ね、神代さん?」
「私に振らないでくれる」
「う゛っ……。まぁ言いたいのは妖魔ってだけで悪とは思わないでほしい。わかったかい?」
わかったかい? か。正直わからない。
「……」
「ゆっくりでいいよ。いずれわかるから」
「で、聞きてぇんだけどよ。その能力がない妖魔が襲うから、今回は異常だってことか?」
「そういうことだね。あと僕も、実際能力を持っていない馬の妖魔に襲われてたんだ。で、気絶させて体を調べてみたんだ」
「なにかあったのね」
「うん、なにか噛まれた傷穴があった。そうだね、まるでヴァンパイアに噛まれたような傷穴だったよ」
神代が沈黙する。
「神代さん。改めて言うけど何か……知ってるよね?」
「ほんと、あなたは感がいい」
「それが僕の取り柄だから」
「レイさん? ……お客様?」
全員、声の方に振り向いた。応接室の入り口に金髪サイドテールの赤眼の少女が立っていた。
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