27 / 88
第二章 ヴァンパイアシスターズ
第二章 第七話 三人目の戦士
しおりを挟む
「岩城……今なんつった?」
亮夜は目を見開きながら岩城に問う。岩城は自然にこう答える
「夢の世界だよ。君たちが知らないわけないよね?」
「岩城……くん。なぜそれをここで言うんだ?」
俺は岩城に質問した。この話はこの現実世界で話していいものなのか?
「大丈夫だよ。人は理解できないものを聞こうとはしない。それとここはオタロードだよ。ちょっとおかしい人が変な話をしているしか思わないよ」
俺は周りを見渡す。確かにこれを聞こうという人はいない。みんな個々で通路を通っている。
「しかも、ここにいる人は基本何か買うために来てるから。自分のことしか考えていないよ。君たちは変に意識しすぎている。さっき通った通行人からしたら、僕たちは赤の他人で、僕たちからも彼は赤の他人だ。だから話してよ。夢の世界にいた……いや、なんで夢の世界の関帝廟にいたの?」
岩城の目つきが変わる。それは神代のような怒りは感じない。しかし、真剣に聞いているのがわかる。これは下手に嘘を言ってはいけない。なにかすごいオーラを感じる。
「それを言ってなんの意味があんだ?」
「水島、質問しているのは僕だよ。質問を質問で返さないでくれるかな? さぁ、教えてよ。返答次第では僕は君たちと敵対関係になるから」
俺は亮夜を見る。亮夜のもみあげ辺りから一筋の汗が流れる。圧倒されているのだ。亮夜も俺が見ていることに気づき、俺を見て頷く。
「それは俺が言う。岩城くん」
「僕はどっちでもいいんだ。さぁ、話して」
俺は岩城にこれまでの事情を話した。大男に襲われたこと、猪に襲われる亮夜に会ったこと、神代と戦ったこと、そして、なぜか関帝廟という寺に向かったこと。全てを話した。
「なるほど。だから関帝廟にいたわけだ」
そう言うと小声で「ブギーマンも絡んでいるな」と呟く。
ブギーマンと絡んでいると何かあるのか? そう質問しようと思ったら、先に亮夜の口が動いた。
「なぁ、岩城」
「なんだい? 水島」
「聞きてぇんだけどよ。俺の能力……わかるか?」
亮夜がそれを言った途端、岩城は少し俯き、悲しい顔になった。
「知ってるよ。でもわからない」
「あ゛ぁ? どっちだ?」
「そんな怖い顔しないでくれるかい? 能力は知ってるよ。でも……わからないんだよ」
「ふざけて言ってんのか? さっきは敵対するかしないかみたいなことを言っててよ」
「ふざけてなんかいないよ。その能力の本質なんてわからない。当たり前だろ? 今は君の能力なんだから。それを教えてほしいって言う君が、その能力を理解しようとしていないんじゃないかい?」
「んだと?」
亮夜が一歩岩城に近づく。
まずい、亮夜を止めないと。
俺は亮夜の前に割り込み両手を広げ、止めるよう促(うなが)す。
「亮夜、落ち着け。岩城くん、君は味方なのか? それとも……敵対するのか?」
「それは問題ない。僕は君たちの味方だよ。協力しないといけないみたいだ」
「それは良かった。これからもよろしく!」
俺は岩城に手を出し、握手を求める。
「うん、改めてよろしく。君は信頼できそうだ」
そう言い俺の手を握る。
「亮夜も」
亮夜は岩城を見ずに「ん」と大きな声で手を出す。
「水島もよろしく。さて、神代さん合流作戦で必要なのは囮だ。というわけで受けるダメージがノーの水島に頼みたいんだけど。いけるかい?」
えっ? 亮夜、ダメージ受けてなかったのか?
「おい、さっき能力はわからないって言ったじゃねぇか」
「わからないけど。知ってるとも言ったよ」
「そうなのか? 亮夜」
「あぁ、へんな能力だよ。しかも、相手にダメージを与えられないおまけ付きだ。使えねぇ」
「使えるか使えないかはその人自身の問題だよ。大神くん、彼は囮でいいかな?」
「亮夜は大丈夫なのかい?」
「あぁ、問題ねぇよ」
「詳しくは夢の世界で話すよ。関帝廟にいて。 じゃ!」
岩城はそう言い、俺たちから離れる。その背中を見ながら、亮夜がこう言った。
「俺たちはどうする?」
「そうだね。どこか遊ぶところはないか?」
「あぁ、いいところがあるぜ!!」
俺たちはボーリングをした後、解散した。
今日はどんな夢を見るのだろうか。
亮夜は目を見開きながら岩城に問う。岩城は自然にこう答える
「夢の世界だよ。君たちが知らないわけないよね?」
「岩城……くん。なぜそれをここで言うんだ?」
俺は岩城に質問した。この話はこの現実世界で話していいものなのか?
「大丈夫だよ。人は理解できないものを聞こうとはしない。それとここはオタロードだよ。ちょっとおかしい人が変な話をしているしか思わないよ」
俺は周りを見渡す。確かにこれを聞こうという人はいない。みんな個々で通路を通っている。
「しかも、ここにいる人は基本何か買うために来てるから。自分のことしか考えていないよ。君たちは変に意識しすぎている。さっき通った通行人からしたら、僕たちは赤の他人で、僕たちからも彼は赤の他人だ。だから話してよ。夢の世界にいた……いや、なんで夢の世界の関帝廟にいたの?」
岩城の目つきが変わる。それは神代のような怒りは感じない。しかし、真剣に聞いているのがわかる。これは下手に嘘を言ってはいけない。なにかすごいオーラを感じる。
「それを言ってなんの意味があんだ?」
「水島、質問しているのは僕だよ。質問を質問で返さないでくれるかな? さぁ、教えてよ。返答次第では僕は君たちと敵対関係になるから」
俺は亮夜を見る。亮夜のもみあげ辺りから一筋の汗が流れる。圧倒されているのだ。亮夜も俺が見ていることに気づき、俺を見て頷く。
「それは俺が言う。岩城くん」
「僕はどっちでもいいんだ。さぁ、話して」
俺は岩城にこれまでの事情を話した。大男に襲われたこと、猪に襲われる亮夜に会ったこと、神代と戦ったこと、そして、なぜか関帝廟という寺に向かったこと。全てを話した。
「なるほど。だから関帝廟にいたわけだ」
そう言うと小声で「ブギーマンも絡んでいるな」と呟く。
ブギーマンと絡んでいると何かあるのか? そう質問しようと思ったら、先に亮夜の口が動いた。
「なぁ、岩城」
「なんだい? 水島」
「聞きてぇんだけどよ。俺の能力……わかるか?」
亮夜がそれを言った途端、岩城は少し俯き、悲しい顔になった。
「知ってるよ。でもわからない」
「あ゛ぁ? どっちだ?」
「そんな怖い顔しないでくれるかい? 能力は知ってるよ。でも……わからないんだよ」
「ふざけて言ってんのか? さっきは敵対するかしないかみたいなことを言っててよ」
「ふざけてなんかいないよ。その能力の本質なんてわからない。当たり前だろ? 今は君の能力なんだから。それを教えてほしいって言う君が、その能力を理解しようとしていないんじゃないかい?」
「んだと?」
亮夜が一歩岩城に近づく。
まずい、亮夜を止めないと。
俺は亮夜の前に割り込み両手を広げ、止めるよう促(うなが)す。
「亮夜、落ち着け。岩城くん、君は味方なのか? それとも……敵対するのか?」
「それは問題ない。僕は君たちの味方だよ。協力しないといけないみたいだ」
「それは良かった。これからもよろしく!」
俺は岩城に手を出し、握手を求める。
「うん、改めてよろしく。君は信頼できそうだ」
そう言い俺の手を握る。
「亮夜も」
亮夜は岩城を見ずに「ん」と大きな声で手を出す。
「水島もよろしく。さて、神代さん合流作戦で必要なのは囮だ。というわけで受けるダメージがノーの水島に頼みたいんだけど。いけるかい?」
えっ? 亮夜、ダメージ受けてなかったのか?
「おい、さっき能力はわからないって言ったじゃねぇか」
「わからないけど。知ってるとも言ったよ」
「そうなのか? 亮夜」
「あぁ、へんな能力だよ。しかも、相手にダメージを与えられないおまけ付きだ。使えねぇ」
「使えるか使えないかはその人自身の問題だよ。大神くん、彼は囮でいいかな?」
「亮夜は大丈夫なのかい?」
「あぁ、問題ねぇよ」
「詳しくは夢の世界で話すよ。関帝廟にいて。 じゃ!」
岩城はそう言い、俺たちから離れる。その背中を見ながら、亮夜がこう言った。
「俺たちはどうする?」
「そうだね。どこか遊ぶところはないか?」
「あぁ、いいところがあるぜ!!」
俺たちはボーリングをした後、解散した。
今日はどんな夢を見るのだろうか。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。


夢の中でもう一人のオレに丸投げされたがそこは宇宙生物の撃退に刀が重宝されている平行世界だった
竹井ゴールド
キャラ文芸
オレこと柊(ひいらぎ)誠(まこと)は夢の中でもう一人のオレに泣き付かれて、余りの泣き言にうんざりして同意するとーー
平行世界のオレと入れ替わってしまった。
平行世界は宇宙より外敵宇宙生物、通称、コスモアネモニー(宇宙イソギンチャク)が跋扈する世界で、その対策として日本刀が重宝されており、剣道の実力、今(いま)総司のオレにとってはかなり楽しい世界だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる