7 / 88
第一章 胡蝶の夢
第一章 第三話 気になるあの娘
しおりを挟む
気まずい昼ご飯を食べ終わった後、神崎に彼女のことを聞いた。
彼女は神代 零、この学校では美人で有名らしい。美人というのは納得できる。しかし、なぜ有名なのだろう。
「それはね、撃沈した男子生徒の数が多いから」
「なるほど、振られた奴らが多いのか」
「そういうこと。だから男は寄り付かない」
「同性との関わりはいいんだろ?」
「どうだろうね。話してるところは見たことあるけど……、基本的に一人っていうか、浮いてるっていうか」
そうなのか、一人なのか。
「大神くんは前の学校の友達と連絡してるの?」
「う、うん。連絡してるよ」
勢いで嘘をついてしまった。実際は連絡をしていなければ、連絡先も知らない。連絡する必要あるか? いや、ない。違う学校に行けば、あかの他人だ。俺はそう思う。
「そうなんだ。じゃ、僕もその中に入っていいかな?」
神崎は内ポケットからスマホを取り出す。俺は「いいよ」と答え、連絡先を交換する。
「よろしくね、大神くん」
彼は爽やかな笑顔でそう言った。普通なら友達が出来たと喜ぶべきなのだろう。しかし、なぜだろう。素直に喜べなかった。
今日の授業が終わり、放課後となった。生徒は部活に行く者、そのまま帰宅する者、または役員会議に行く者もいるだろう。俺はというとスーパーマーケットで今日の献立を考えていた。というより悩んでいた。
いやー、実際何にしようか。正直食器の洗い物を出したくない。でも料理をするということは洗い物を増やしてしまう。お惣菜? 三日連続? 暖かいご飯が食べたい。店で食べるか? いや、安く済ませたいよなー。そう思い半額のシールを貼られた豚の切り身と玉ねぎを買い、エコバッグにそれらを入れる。そして、自動ドアを出る。その時、金髪おかっぱで眼鏡をかけた西洋人とすれ違う。黒い服を着ていて、首に十字架のネックレスをしていたから牧師だと思った。ただすれ違う時、俺を見ていたような気がした。
その晩、生姜焼きを食べ、今日出た宿題を済ませるのであった。にしても宿題というのは面倒くさいものだ。学生の本分は確かに学業だが、遊びたいお年頃でもある。まぁ、ゲームはまだダンボールの中なのだが。
視線をダンボールの山を向けても、勝手に片付けてくれないので、風呂に入ることにした。
「ふぅ、いい湯だー」
湯船に入り天井を見上げるとふと思う。今晩、あの夢を見ないだろうな。というのはもう二度とあんな体験をしたくないからだ。実際、命の危機を感じたし、痛みも感じた。正直怖い。そうだな、空を飛ぶ夢を見たいな。大空に羽ばたく鳥のように気持ちよく、まさに夢心地になるような夢をだな。
「はぁぁぁ」
思わず息を吐いてしまった。嫌な予感がする。こういう時の感は大体当たるんだよなー。
「よいしょっと」
勢いよく立ち上がり、風呂場を出て、冷蔵庫に入っている水を飲む。
「ふぅ、明日も学校か」
そう言っても誰も答えてくれないが、言わないと言葉を忘れそうになるような気がした。そして、俺は明日の準備をする。教科書、筆箱、そうそう宿題も入れて……。ん? なんか眠くなってきた? 頭がぼんやりとしてくる。布団を敷くか。
俺は布団を敷き。布団に体を預け、そのまま目を瞑るのである。
「ハッ!」
目を覚ますと昨日倒れた場所で立っていた。
「生畑神社だ。くっそまたこの夢か!」
俺は頭を抱え、その場でしゃがみこむ。嫌だ嫌だー。またここで殺されかけるのか? いや、今回は無理なんじゃないか? そう思考を巡らせていると、銃声が聞こえた。
生畑神社には拝殿の裏に森がある。そこからだろう。誰か戦っているのか? なぜだろう、逃げればいいのに体が勝手に森の方に進んでいく。
「えーい! どうにでもなれ!」
俺は何も考えずに森の方へ走るのであった。
彼女は神代 零、この学校では美人で有名らしい。美人というのは納得できる。しかし、なぜ有名なのだろう。
「それはね、撃沈した男子生徒の数が多いから」
「なるほど、振られた奴らが多いのか」
「そういうこと。だから男は寄り付かない」
「同性との関わりはいいんだろ?」
「どうだろうね。話してるところは見たことあるけど……、基本的に一人っていうか、浮いてるっていうか」
そうなのか、一人なのか。
「大神くんは前の学校の友達と連絡してるの?」
「う、うん。連絡してるよ」
勢いで嘘をついてしまった。実際は連絡をしていなければ、連絡先も知らない。連絡する必要あるか? いや、ない。違う学校に行けば、あかの他人だ。俺はそう思う。
「そうなんだ。じゃ、僕もその中に入っていいかな?」
神崎は内ポケットからスマホを取り出す。俺は「いいよ」と答え、連絡先を交換する。
「よろしくね、大神くん」
彼は爽やかな笑顔でそう言った。普通なら友達が出来たと喜ぶべきなのだろう。しかし、なぜだろう。素直に喜べなかった。
今日の授業が終わり、放課後となった。生徒は部活に行く者、そのまま帰宅する者、または役員会議に行く者もいるだろう。俺はというとスーパーマーケットで今日の献立を考えていた。というより悩んでいた。
いやー、実際何にしようか。正直食器の洗い物を出したくない。でも料理をするということは洗い物を増やしてしまう。お惣菜? 三日連続? 暖かいご飯が食べたい。店で食べるか? いや、安く済ませたいよなー。そう思い半額のシールを貼られた豚の切り身と玉ねぎを買い、エコバッグにそれらを入れる。そして、自動ドアを出る。その時、金髪おかっぱで眼鏡をかけた西洋人とすれ違う。黒い服を着ていて、首に十字架のネックレスをしていたから牧師だと思った。ただすれ違う時、俺を見ていたような気がした。
その晩、生姜焼きを食べ、今日出た宿題を済ませるのであった。にしても宿題というのは面倒くさいものだ。学生の本分は確かに学業だが、遊びたいお年頃でもある。まぁ、ゲームはまだダンボールの中なのだが。
視線をダンボールの山を向けても、勝手に片付けてくれないので、風呂に入ることにした。
「ふぅ、いい湯だー」
湯船に入り天井を見上げるとふと思う。今晩、あの夢を見ないだろうな。というのはもう二度とあんな体験をしたくないからだ。実際、命の危機を感じたし、痛みも感じた。正直怖い。そうだな、空を飛ぶ夢を見たいな。大空に羽ばたく鳥のように気持ちよく、まさに夢心地になるような夢をだな。
「はぁぁぁ」
思わず息を吐いてしまった。嫌な予感がする。こういう時の感は大体当たるんだよなー。
「よいしょっと」
勢いよく立ち上がり、風呂場を出て、冷蔵庫に入っている水を飲む。
「ふぅ、明日も学校か」
そう言っても誰も答えてくれないが、言わないと言葉を忘れそうになるような気がした。そして、俺は明日の準備をする。教科書、筆箱、そうそう宿題も入れて……。ん? なんか眠くなってきた? 頭がぼんやりとしてくる。布団を敷くか。
俺は布団を敷き。布団に体を預け、そのまま目を瞑るのである。
「ハッ!」
目を覚ますと昨日倒れた場所で立っていた。
「生畑神社だ。くっそまたこの夢か!」
俺は頭を抱え、その場でしゃがみこむ。嫌だ嫌だー。またここで殺されかけるのか? いや、今回は無理なんじゃないか? そう思考を巡らせていると、銃声が聞こえた。
生畑神社には拝殿の裏に森がある。そこからだろう。誰か戦っているのか? なぜだろう、逃げればいいのに体が勝手に森の方に進んでいく。
「えーい! どうにでもなれ!」
俺は何も考えずに森の方へ走るのであった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ
まみ夜
キャラ文芸
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
第二巻(ホラー風味)は現在、更新休止中です。
続きが気になる方は、お気に入り登録をされると再開が通知されて便利かと思います。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
学園戦記三国志~リュービ、二人の美少女と義兄妹の契りを結び、学園において英雄にならんとす 正史風味~
トベ・イツキ
キャラ文芸
三国志×学園群像劇!
平凡な少年・リュービは高校に入学する。
彼が入学したのは、一万人もの生徒が通うマンモス校・後漢学園。そして、その生徒会長は絶大な権力を持つという。
しかし、平凡な高校生・リュービには生徒会なんて無縁な話。そう思っていたはずが、ひょんなことから黒髪ロングの清楚系な美女とお団子ヘアーのお転婆な美少女の二人に助けられ、さらには二人が自分の妹になったことから運命は大きく動き出す。
妹になった二人の美少女の後押しを受け、リュービは謀略渦巻く生徒会の選挙戦に巻き込まれていくのであった。
学園を舞台に繰り広げられる新三国志物語ここに開幕!
このお話は、三国志を知らない人も楽しめる。三国志を知ってる人はより楽しめる。そんな作品を目指して書いてます。
今後の予定
第一章 黄巾の乱編
第二章 反トータク連合編
第三章 群雄割拠編
第四章 カント決戦編
第五章 赤壁大戦編
第六章 西校舎攻略編←今ココ
第七章 リュービ会長編
第八章 最終章
作者のtwitterアカウント↓
https://twitter.com/tobeitsuki?t=CzwbDeLBG4X83qNO3Zbijg&s=09
※このお話は2019年7月8日にサービスを終了したラノゲツクールに同タイトルで掲載していたものを小説版に書き直したものです。
※この作品は小説家になろう・カクヨムにも公開しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
毎日記念日小説
百々 五十六
キャラ文芸
うちのクラスには『雑談部屋』がある。
窓側後方6つの机くらいのスペースにある。
クラスメイトならだれでも入っていい部屋、ただ一つだけルールがある。
それは、中にいる人で必ず雑談をしなければならない。
話題は天の声から伝えられる。
外から見られることはない。
そしてなぜか、毎回自分が入るタイミングで他の誰かも入ってきて話が始まる。だから誰と話すかを選ぶことはできない。
それがはまってクラスでは暇なときに雑談部屋に入ることが流行っている。
そこでは、日々様々な雑談が繰り広げられている。
その内容を面白おかしく伝える小説である。
基本立ち話ならぬすわり話で動きはないが、面白い会話の応酬となっている。
何気ない日常の今日が、実は何かにとっては特別な日。
記念日を小説という形でお祝いする。記念日だから再注目しよう!をコンセプトに小説を書いています。
毎日が記念日!!
毎日何かしらの記念日がある。それを題材に毎日短編を書いていきます。
題材に沿っているとは限りません。
ただ、祝いの気持ちはあります。
記念日って面白いんですよ。
貴方も、もっと記念日に詳しくなりません?
一人でも多くの人に記念日に興味を持ってもらうための小説です。
※この作品はフィクションです。作品内に登場する人物や団体は実際の人物や団体とは一切関係はございません。作品内で語られている事実は、現実と異なる可能性がございます…
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
怪盗ヴェールは同級生の美少年探偵の追跡を惑わす
八木愛里
キャラ文芸
運動神経がちょっと良い高校生、秋山葵の裏の顔は、怪盗ヴェールだった。老若男女に化けられる特技を活かして、いとこの長島澪のサポートを受けて高価な絵を盗む。
IQ200の頭脳で探偵を自称する桐生健太は、宿敵の相手。怪盗ヴェールが現れるところに、必ず健太の姿がある。怪盗ヴェールは警察の罠を華麗にかわして、絵を盗む。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる