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第4-19話 帰ってきた三娘
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一度通り過ぎていった鳥はすぐに戻ってきた。
来襲に備え、独眼が短刀をかまえた。李高と照勇は一カ所に固まらないよう数歩後退りした。
ひゅんと空気を裂く音がして、独眼の腕になにかがからまる。
「……!?」
金属の輪だ。その輪に鎖が結びついている。鎖の元を目で辿ると鳥につながる。
「う……っ!」
鳥が遠のき、独眼が引きずられた。鳥はからかうように上空で円を描いている。
独眼はすぐに鎖を掴み、ぐいと引っ張った。蓮至も加わって、独眼が宙に舞うのを止めようとした。怪鳥はくるりとむきを変えて戻ってきた。
と思ったら、真上で羽と胴体が分離した。胴体が落ちてきたのだ。
「物の怪か!?」
独眼と蓮至に動揺が走る。
李高と照勇は顔を見合わせた。独眼の腕を絡めとる金属の輪に見覚えがあったからだ。
もがけばもがくほど締まるからくりになっているあれを見るだけで思わず首をさすってしまうほど、李高には嫌な記憶になっているようだ。
だが嫌な記憶など吹き飛ぶ勢いで二人は叫んだ。
「「帰ってきた!」」
三娘が帰ってきた。
独眼が頭上に人間の姿を認めたときには、すでに彼の短刀は弾けとんでいた。三娘はそばにいた蓮至の肩を下敷きにして着地するや、後方に軽々と回転跳びをする。距離を取ったかと思うや、身をかがめて独眼に迫る。
「殺さないで、三娘!」
まさに独眼の喉を掻き切ろうとする寸前で三娘の動きが止まる。
「なぜだ」
三娘は振り向かずに照勇に問う。
「なぜだか自分でもわかんないけど、殺さないで!」
照勇の頭の中には答えがない。
「おまえ、あのときの仮面の男か。いや、仮面の女……か」
独眼が三娘を見つめて目を瞠る。
「ち、右目だけだったか。もっと深く、脳みそまで刺してやればよかったな」
三娘は独眼の手足に剣を閃かせた。
独眼はどうっとその場に転がる。蓮至が独眼をかき抱く。
「弟よ、ああ……っ!」
「三娘!?」
「殺してない。だが右手右足の腱を切った。その身体ではもう戦えまい。そして、こっちの男は……おまえだな、おまえが石栄!」
三娘は蓮至の襟首を掴んで強引に振り向かせた。蓮至は完全に怯えきっている。さっき仲間の首をへし折った男が、まるで悪鬼を見るように三娘におののいていた。
「わ、わたしは……」
「なぜわたしの姉は死んだ!? 皇帝に殺されたのか!?」
「……三娘?」
「真相を話せ。すべてを、余すところなく!」
あまりの迫力に、そこにいた男全員が息を飲んだ。
来襲に備え、独眼が短刀をかまえた。李高と照勇は一カ所に固まらないよう数歩後退りした。
ひゅんと空気を裂く音がして、独眼の腕になにかがからまる。
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金属の輪だ。その輪に鎖が結びついている。鎖の元を目で辿ると鳥につながる。
「う……っ!」
鳥が遠のき、独眼が引きずられた。鳥はからかうように上空で円を描いている。
独眼はすぐに鎖を掴み、ぐいと引っ張った。蓮至も加わって、独眼が宙に舞うのを止めようとした。怪鳥はくるりとむきを変えて戻ってきた。
と思ったら、真上で羽と胴体が分離した。胴体が落ちてきたのだ。
「物の怪か!?」
独眼と蓮至に動揺が走る。
李高と照勇は顔を見合わせた。独眼の腕を絡めとる金属の輪に見覚えがあったからだ。
もがけばもがくほど締まるからくりになっているあれを見るだけで思わず首をさすってしまうほど、李高には嫌な記憶になっているようだ。
だが嫌な記憶など吹き飛ぶ勢いで二人は叫んだ。
「「帰ってきた!」」
三娘が帰ってきた。
独眼が頭上に人間の姿を認めたときには、すでに彼の短刀は弾けとんでいた。三娘はそばにいた蓮至の肩を下敷きにして着地するや、後方に軽々と回転跳びをする。距離を取ったかと思うや、身をかがめて独眼に迫る。
「殺さないで、三娘!」
まさに独眼の喉を掻き切ろうとする寸前で三娘の動きが止まる。
「なぜだ」
三娘は振り向かずに照勇に問う。
「なぜだか自分でもわかんないけど、殺さないで!」
照勇の頭の中には答えがない。
「おまえ、あのときの仮面の男か。いや、仮面の女……か」
独眼が三娘を見つめて目を瞠る。
「ち、右目だけだったか。もっと深く、脳みそまで刺してやればよかったな」
三娘は独眼の手足に剣を閃かせた。
独眼はどうっとその場に転がる。蓮至が独眼をかき抱く。
「弟よ、ああ……っ!」
「三娘!?」
「殺してない。だが右手右足の腱を切った。その身体ではもう戦えまい。そして、こっちの男は……おまえだな、おまえが石栄!」
三娘は蓮至の襟首を掴んで強引に振り向かせた。蓮至は完全に怯えきっている。さっき仲間の首をへし折った男が、まるで悪鬼を見るように三娘におののいていた。
「わ、わたしは……」
「なぜわたしの姉は死んだ!? 皇帝に殺されたのか!?」
「……三娘?」
「真相を話せ。すべてを、余すところなく!」
あまりの迫力に、そこにいた男全員が息を飲んだ。
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