手と紙と毒

あかいかかぽ

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『ソヴァ皇太子殿下、本当のことでしょうか。
 殿下に結婚のお話が持ち上がっているというのは。
 情報通の使用人が噂しておりました。噂によるとお相手は隣国の王女様だとか。
 であるならば、政略結婚でございましょうね。
 心中お察しいたします。皇太子というお立場では、お国の都合が優先されてしまうのは致し方ないこと。とはいえ、真実の愛はけして消えないのだということを覚えておいてくださいませ。私の胸には殿下への愛がごうごうと燃えさかっております。
 きっと殿下の胸にも、いえ、他の男に嫁いだ女がこれ以上書いてはいけません。
 燃えるといえば、焼き畑という農法があることを最近知りました。新しく開墾するために森林と草ぼうぼうの草原をウドゥンが燃やしたのです。穀物を植える予定だそうです。
 草が悶えるように燃える様子は、貴方への思慕で身を捩った過去を思い起こしました。
 ところで、先日お送りしたキュウリとトマトの味はいかかでしたか。燃えあがるソーキより』
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