〈完〉クリスマスイブに街で女装した弟と出会ってしまったお兄ちゃんの話

アウレオールス

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はしゃぎすぎるな弟よ

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「すげー、カラオケとかもあるよ」

あらかた食べ終わると、片付けは俺に任せてぴょこぴょこと部屋の中を探索して回っていた。

「そんなにはしゃいでいたら、すぐ飽きるぞ」

「~~~~~~♪~~~~~~♪」

「聞いちゃいねぇし無駄にうめぇし」

よくもまぁ、そんな高い声が出る
普通の人が目を瞑って聴いても、本当に女の子が歌っているようにしか聴こえないだろう。

「ほら、盛り上げろっ♪」

ビシッと指を指す
本人はノリノリなのに、これ以上どう盛り上げればいいのやら。

「うぇーい」

適当に余った紙皿を振る。

「それ2時間くらい歌った後の知らない曲歌われてる時のテンションじゃん!」

「いや、実際知らないし」

それでも弟はノリノリで歌う
歌っている笑顔が可愛い
こういう子が彼女だったら、きっと楽しいだろうな、とふと自然に思いかけてかき消すようにコーラを一気飲みする

「ゲホッゲホッ」

「コラコラ~、そこ、応援しろ~?」

「う、うまいぞ~~」

「さんきゅーーー♪」

弟はその後何曲か歌い、その度に俺は色々催促をされた。
そのお陰か、ラブホだという事で感じていた気恥ずかしさはどこかへ行ってしまった。

「ふぅ~、休憩、飲み物とって」

「ほらよ」

「うぇ、ちょっと薄い」

「薄くなったコーラ結構すき」

「えー、それはわからない」

取り留めも無い話をし、ふと疑問に思っている事を聞いた

「お前、その声で歌も歌えるんだな」

「ん?あ゛ーあ゛ー…っ…どっちかというと、歌が先で声が後」

不意に弟の素の声に戻る
俺が最初に弟と気づけなかったのはこの声のせいでもある。

「戻して」

「あ?…ぁー…ぁー…んだよ、可愛い方がお好み?」

「その格好でお前の声がしたら頭がバグる」

「ふーん」

弟は少し口角があがり、またぴょこぴょこと部屋の探索をし始めた。

「おーーーい、お風呂でっかいよ」

どうやら次のターゲットはお風呂らしい。

「家の風呂もこんぐらいあればな」

「掃除とかめんどくさそうじゃない?」

「お前は全然しないだろうが」

「湯はっちゃお」

そして弟は鼻歌を歌いながら上機嫌そうにお風呂を見て回る

「ま、ゆったりできそうで楽しみではあるな」

「………一緒に入る?」

「は?」

「こんな可愛い子と入れるチャンス、今日ぐらいしかないぞ?」

「自分で可愛いとかいうな」

一瞬、入りたいかもしれないと思ってしまった情けない自分を誤魔化すように、弟のおでこに軽くツッコミを入れる。

「へへ、じゃあ…ここはこんなもんか」

おでこを摩りながらクルリと後ろを向き、パタパタと弟は出ていった。
横を通りすぎる時、なんとなく頬が紅かったのは、自分で言っといて恥ずかしかったんだろう。
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