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何をしているんだ弟よ
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今日は憎きクリスマスイブだ
大学生になった俺は、当然彼女ができるものだと思い込んでいた。
俺は運が悪かった
突然大学が講義をオンライン形式に変え、出会いなんてものはここ1年全然無かったのだ。
たまに大学に出ては何故かできているカップルに出くわすが、あんなものは例外。
そう思い込んで今日まで来てしまった。
家にいてもやる事がなく、とてつもなく暇だ。
俺はあたかも何か予定がありますよ、という様に支度をし、逃げるように家を出た。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
街に出て、何か暇を潰そうと思ったが
ゲーセン、喫茶店といった定番の場所はやはりカップルで賑わっていた。
「はぁ…こんなとこに出てくるんじゃなかったか…」
少し繁華街から離れた漫画喫茶にでも行って、夜は適当なビジネスホテルで過ごそう。
雑な行き当たりばったりのプランを考えながら、電車に向かおうとしたところ、何やら揉めている男女がいた。
「やめろって…言ってるだろ!しつこいって!」
「いーじゃん…今日ぐらいさぁ」
明らかにおっさんが女の子に言い寄っているというような図だった。
普段なら絶対にこんな面倒な事に首は突っ込まないが、今日の俺は調子に乗ってしまった。
あわよくば女の子と、などという下心3割。どうせ暇だしという暇つぶし3割。
残り正義感。
そんな事を考えつつ、二人の間に割って入った。
「あのー…彼女嫌がってますけど」
「あぁ?なんだお前!」
おっさんに凄まれてしまった
俺はビビりだという自覚はあったが、おっさんに凄まれても頭一つ下だと案外平気なんだなと、冷静に二人に語りかけた。
「ほら、話し合いましょうよ、お互いに落ち着いて、ね?」
おじさんの肩を優しく叩くと、舌打ちをして小走りで走っていってしまった
「あ、行ってしまわれた」
「あ、あの!」
女の子がコートをちょいちょいと引っ張る
「ありがとう…」
振り返って見てみると
全体的に細く、ちっちゃくて可愛いらしい女の子が目に入った。
マスクをしているが、顔も美形だ。
「いやぁ、災難だったね、こんな日に」
「本当にね」
そして顔を見上げて俺の顔を見ると、目を丸くして少し後ろに飛び退いた
「あ、兄貴……っ!?」
「え?」
女の子から放たれる突然の兄宣言
人違いなんじゃないか?と思ったが、女の子の動揺の仕方は異常だ。
ゆっくりと彼女に近づき、顔をじっと見る。
「あ、あは、あはは…」
女の子は目を逸らす、そして居た堪れないように話し始めた
「母さんとかには内緒で!!な?」
一体なんの事だかよくわからないが、この状況と目の前の女の子がとある人間に似ている事を照らし合わせて俺は訊ねた。
「お前、俺の弟だったりする?」
「………ん?もしかして気がついてなかったのかよ!?」
「あぁ…しくった…」
どうやら、目の前の可愛らしい服を着て頭を抱えているこの子は俺の弟らしい。
大学生になった俺は、当然彼女ができるものだと思い込んでいた。
俺は運が悪かった
突然大学が講義をオンライン形式に変え、出会いなんてものはここ1年全然無かったのだ。
たまに大学に出ては何故かできているカップルに出くわすが、あんなものは例外。
そう思い込んで今日まで来てしまった。
家にいてもやる事がなく、とてつもなく暇だ。
俺はあたかも何か予定がありますよ、という様に支度をし、逃げるように家を出た。
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街に出て、何か暇を潰そうと思ったが
ゲーセン、喫茶店といった定番の場所はやはりカップルで賑わっていた。
「はぁ…こんなとこに出てくるんじゃなかったか…」
少し繁華街から離れた漫画喫茶にでも行って、夜は適当なビジネスホテルで過ごそう。
雑な行き当たりばったりのプランを考えながら、電車に向かおうとしたところ、何やら揉めている男女がいた。
「やめろって…言ってるだろ!しつこいって!」
「いーじゃん…今日ぐらいさぁ」
明らかにおっさんが女の子に言い寄っているというような図だった。
普段なら絶対にこんな面倒な事に首は突っ込まないが、今日の俺は調子に乗ってしまった。
あわよくば女の子と、などという下心3割。どうせ暇だしという暇つぶし3割。
残り正義感。
そんな事を考えつつ、二人の間に割って入った。
「あのー…彼女嫌がってますけど」
「あぁ?なんだお前!」
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俺はビビりだという自覚はあったが、おっさんに凄まれても頭一つ下だと案外平気なんだなと、冷静に二人に語りかけた。
「ほら、話し合いましょうよ、お互いに落ち着いて、ね?」
おじさんの肩を優しく叩くと、舌打ちをして小走りで走っていってしまった
「あ、行ってしまわれた」
「あ、あの!」
女の子がコートをちょいちょいと引っ張る
「ありがとう…」
振り返って見てみると
全体的に細く、ちっちゃくて可愛いらしい女の子が目に入った。
マスクをしているが、顔も美形だ。
「いやぁ、災難だったね、こんな日に」
「本当にね」
そして顔を見上げて俺の顔を見ると、目を丸くして少し後ろに飛び退いた
「あ、兄貴……っ!?」
「え?」
女の子から放たれる突然の兄宣言
人違いなんじゃないか?と思ったが、女の子の動揺の仕方は異常だ。
ゆっくりと彼女に近づき、顔をじっと見る。
「あ、あは、あはは…」
女の子は目を逸らす、そして居た堪れないように話し始めた
「母さんとかには内緒で!!な?」
一体なんの事だかよくわからないが、この状況と目の前の女の子がとある人間に似ている事を照らし合わせて俺は訊ねた。
「お前、俺の弟だったりする?」
「………ん?もしかして気がついてなかったのかよ!?」
「あぁ…しくった…」
どうやら、目の前の可愛らしい服を着て頭を抱えているこの子は俺の弟らしい。
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