えみりちゃんのいぬ

ぬえもと

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後日談

えみりちゃんといぬ(そのさん)

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 きょとんと、くろは、最初呆気に取られたのか微かに目を見開いていたが、しばらくすると内容が呑み込めたのか。

「……あぁ」

 特に恥じらうこともなく、そういえば脱ぐのを忘れていたとでも言いたげな、なんとも間抜けな声を上げ、淡々と服を床に投げ捨て始めた。
 そうこうするうちに、あっという間に上半身が日差しの中に晒される。
 適度に鍛えられ、健康的に引き締まった作り物のような肉体美を惜しげなく晒され、軽い仕返しのつもりが咲里の方が目のやり場に困ってしまった。
 くろが平然としているからこそ、余計にどうすればいいのか分からなくなる。
 右往左往忙しなく視線を彷徨わせていると、丁度外されようとしているベルトのバックルに目が留まってしまった。
 咄嗟に逸らさなければと思うのだが、咲里が行動に移すより、くろが下着ごとジーンズを下ろす方が早かった。

「っ~~~~~!!!!」

 そうして、直視してしまった。男性の、あれを。
 声なき悲鳴を上げ、たまらず咲里は固まってしまう。
 くろと最初に関係を持った時に確認し、触れたことがあるので、初めて目にするというわけではないのだが。

(あれって、あんなに、大きかったっけ……)

 飛び込んできたのは、記憶にあったよりも何倍も凶悪なものだった。
 そそり勃つ肉棒は限界まで張り詰めており、今にも臍につきそうなほど反り返っている。びくびくと血管の浮き出た剛直は意志があるかのように脈動を繰り返し、先端からは絶えず先走りが溢れ出していた。

「……ぁ、咲里。あんたの、言う通りにした」

 体重を掛け、くろは咲里の蜜口に肉棒を押し当てた。
 ぬちぬちと煽るように割れ目を鈴口で刺激し、それでも決して奥深くまで挿入することはしない。

「挿れても、いいか」

 あくまで咲里の意思で求められたいとでも言うように、くろは執拗なまでに咲里を尊重した。答えを待つ間にも、くろはゆっくりと蜜口への刺激を繰り返す。その度ぐずぐずに溶けた秘所からは、体液が混ざり合う粘着質な音が響き続けていた。
 互いの熱に当てられたたまま、咲里は躊躇いがちに首を縦に振る。それが、合図だった。

「ふ、っ……! んあぁっ!」

 狭い隘路を、灼熱がぎちぎちに割り開いていく。
 咲里の腰を掴むくろの腕に、跡が残るのではないかと心配になるほどに力が込められた。ぐっと掴まれたかと思えば、ゆっくりと、しかし力強く怒張が埋め込まれていく。
 やがて最後まで埋め込まれた瞬間、欠けていたものを埋めてもらえたという悦びに、全身がわななきを覚えた。
 腹の中で自分では無い熱が脈打つのを痛感し、咲里は目を閉じ、動悸を抑えようと必死に深呼吸を繰り返す。
 それでも体はびくびくと、絶えず細やかな痙攣を繰り返し続けていた。
 中に埋め込まれたものから精を搾り取ろうと激しく膣壁がうねり、ぬめりを強めていく。

「っ……、は」

 堪えるような声と共に体に滴り落ちてきた汗の感触に、咲里はゆっくりと閉ざされていた瞼を押し上げていく。
 視線の先に映り込んできたくろは、奥に怒張を埋め込み静止したまま瞳を閉ざし、きつく歯を食いしばっていた。

 その姿が、あまりに必死だったからだろうか。
 なぜだか無性に、頭を撫でてやりたい衝動に駆られた。

「くろ」

 初めて体を繋げた時に、呼びたいと思って呼べなかった男の名前。
 今ではきちんと、呼んでやることが出来る。
 咲里を守るために死に、そうしてまた主人を守護するために蘇ってきた、愚かで愛しい咲里の忠犬。ただ一匹、咲里に無償の愛を注いでくれた存在。
 億劫な体を動かし、腕を持ち上げると、名を呼ぶと同時に熱を孕んだ目でこちらを見下ろしてきた男の短髪に、恐る恐る指を通していく。
 愛を囁くでもなく、行為の続きを催促するでもなく、ただ色気もへったくれもなくぐしゃぐしゃと髪を撫で、咲里は破顔した。
 されるがままになっているくろに、――拒まれないことに、途方もなく安堵する。

「っ――!! あんた、は……っ!!」

「えっ……? んあっ、ぁ、まっ、て、そん、ぁっ、急に、ぃ、っ!?」

 一際大きくくろの目が見開かれたかと思えば、勢い良く膣から肉棒が引き抜かれていく。それまでの静寂が嘘のように、くろは思いの丈をそのまま叩きつけるようにして、激しく怒張を突き立て始めた。
 唐突に動かれた衝撃に、くろの髪を撫でていた腕がずり落ちてしまう。
 けれど、完全に落下する前に咲里の腰を掴んでいた腕の片方を離し、くろは咲里の手に自身の指を絡めた。
 腕をつないだまま律動を続け、くろは咲里を絶頂へと向け追い込んでいく。

「っあ、あぁ、咲里、えみり、かわいい、好きだ、咲里、咲里……っ、俺の、ぁ、俺のものだ。咲里、かわいい、咲里、えみり……っ!!」

 暴力的なまでの愛の囁きに比例するようにして、ぬぽっ、ぐち、ずぼっという互いの体液が混ざり合う水音が激しさを増していく。
 限界まで下がった子宮口に、肉棒の先端が突き当たる感触がした。
 膣壁を抉るようにして繰り返される律動は、咲里の体を内側から男のものに作り変えていく。
 それは決して不快なものではなく、だからこそ恐ろしい。

「まっ、んぁっ、は、……げしっ、ぁっ、あっ、あっ」

「あんたが……っ! 咲里が、っ、ぁ、かわいい、から……っ! っ、はぁ、本当は、っ、少しは、加減しようと思ってたんだ……っ、あんたは、っ、ぁ、弱いから、でも……っ、ぐっ、あぁ、クソ……ッ!」

 深く差し込んでは引き抜き、くろは更に奥深くへ押し入ろうとする。

「えみり、えみり、ぁ、えみ、り、えみり」

 身を乗り出し、口付けを深め、馬鹿みたいに腰を振る。
 とろけきった顔をして執拗に咲里の名を口にする男は、もはや狂気の沙汰と言えた。
 ガツガツと中を抉られるたび、次第に何も考えられなくなっていく。
 男のものが一際深く膣内を犯した瞬間、咲里は頭の中が真っ白になった。

「っ……ぁ、っ!」

 食いちぎらんばかりに屹立を締め上げ、咲里は声にならない喘ぎ声を上げる。
 だが、咲里が絶頂を迎えようが、くろを律動を止めなかった。
 暴走しきった頭の中では、完全に理性という枷が焼き切れてしまっているらしい。弛緩した体は組み敷いている男を止める術を持たず、咲里はただされるがままにくろの情欲を受け止め続けていた。
 一度絶頂を極めた体は簡単に快楽を蓄積させ、これまで以上に敏感に反応を示してしまう。抽送を繰り返されるたびに、何度も軽い絶頂を繰り返しているようだった。

「はぁ、っ、ぁっ、ん……ぁ、っ」

 なさけない喘ぎ声を上げ続ける口の端から、唾液が無防備に滴り落ちていく。
 その一滴すらも逃すまいと咲里の口元を舐め上げ、くろはしつこく咲里の体を貪り続けていた。

「咲里、えみり、えみりっ、ぁ、えみりっ」

 ぐりぐりと子宮口をすり潰すようにして穿たれた瞬間、咲里は再度強い絶頂を迎えた。無意識に浮かび上がった咲里の腰を、くろが力強く抑え込む。

「ぐっ……、ぁ」

 決して逃すものかとばかりに深く埋め込まれたものが、堪えるような呻き声とともに咲里の中で激しく蠕動を始める。びゅくびゅくと、肉棒の先端から吐き出された温かなものが、咲里の子宮を白濁に染め上げていく。
 主人の中に吐精した男は怒張を中に埋め込んだまま満足気に、呆然とする咲里の口をまさぐり、口付けを深めていった。舌と舌が絡み合い、互いの唾液を嚥下し合う。
 精を馴染ませ、塗り広げていくかのような穏やかな律動を繰り返されているうちに、くろの怒張は再び暴力的な硬さを帯び始めていた。
 一週間分溜め込まれた男の欲望は、そう簡単に治ってはくれないらしい。
 咲里が止める暇も与えず、くろは再び律動を再開した。
 瞬間、こぽりと。結合部から泡立った精液が溢れ出し、咲里の肌を伝い落ちていく。

「っ、あ、だめ、っ、ソファー、汚れ、っ、ぁ、て」

「そう、……っ、か」

 頷きとともに、くろが唐突に咲里の腕から手を離す。両方の腕でしっかりと腰を押さえ込み、くろはそのまま勢い良く背後へと倒れこんだ。
 次に目を開いた瞬間、咲里は貫かれたまま寝転がるくろの上に跨る形になっていた。体を支えるため、咄嗟に腕をくろの胸板の上につく。
 手のひら越しに伝わる熱を帯びた肌の感触に、咲里は今すぐに逃げ出してしまいたくなった。耳まで赤く染め上げ、わなわな小さく震えてしまう。
 確かに、これならソファーは汚れないのかもしれないが。

「あ、あの……っ、この、体制……っ」

 さっき組み敷かれていたときだって、痛いほどに視線を注がれている感覚はあった。けれど、なぜだろう。――より、じろじろと見られている感じがした。
 全身を舐めるようにして、執拗に。
 何より埋め込まれた屹立が、自重で一層奥深くまで入り込んでくる。
 弄ぶようにして軽く腰を揺すられる度、ぞくぞくとした得体の知れぬ感覚が背を駆け抜けていった。

「心配しなくても、あんたは何もしなくていい」

「そ、いうことじゃ――!?」

 軽く体が持ち上がったかと思えば、一気に下まで突き落とされる。
 衝撃に力なく体の上に倒れこめば、背をくろの腕が這った。
 隙間なく密着する形となり、触れ合う体越しに早まった男の鼓動が伝わってくる。
 咲里の体を抱きしめ、眼下の男はがむしゃらに律動を繰り返していた。
 貧相な胸の先端が抽送の度擦れ、もどかしい熱を蓄積させていく。
 
「んっ、は、ぁっ、あ、これ、ぅっ、ふかっ……!?」

「今、すご、く、っ、締まって……っ、咲里、ぁ、嬉しい。あんたも、俺を、っ、ぁ、欲しがって、……っ」

「まっ、ぁ、て、……ぁっ!? んぁっ、あっ、だめ、ぁっ、ぁ、へん、に――!? 変、ぃあっ――!?」

「変じゃな、い、あんたは、ぁ、いつも……っ、ぁ、かわいっ、ぁ、ぅっ、はぁっ」

 一度吐精したことで、少し余裕を取り戻したのだろうか。
 額に汗を浮かべながらも、咲里を穿つ男の表情は比較的穏やかなものだった。
 表情筋を緩め、くろは動物の求愛のように何度も咲里の肌に軽い口付けを繰り返していく。
 それでも決して律動を止めようとしない男からは、性的に興奮しているのだという事実をまざまざと痛感させられてしまう。

「咲里、っ、えみ、り、気持ち、ぁ、いい、咲里、えみり、っ、好きだ、好き、……ぁ、なんだ、咲里、えみ、り」

 がくがくと上下に激しく揺さぶられながら、咲里はただ喘ぎ声をあげることしかできなかった。
 抽送の度、一度目の情交で注ぎ込まれた白濁液と膣分泌液が、泡を立てて混ざり合う。再び抽送が激しさを増し始めると、もはや汚れるだなんて些細なことを気にする余裕は、咲里の中から完全に消えてしまっていた。
 それ以上の快楽でもって、執拗に頭の中を掻き回されていく。
 頭が、変になる。

「咲里っ、えみり、ぁ、咲里、えみ、りっ、……っ、ぐっ、ぁ」

 咲里の体に回す腕に力を込め、絞め殺さんばかりに抱きながら、くろは二度目の限界を迎えた。ドクドクと脈動を繰り返しながら再び最奥へと吐き出されるとともに、咲里も数度目の絶頂を迎えた。
 収まりきらなかった白濁が、結合部から滴り落ちていく。そんな些細な感覚にすら、敏感になった体は反応を示した。ビクビクと顫動を繰り返す怒張を、勝手に物足りないとばかりに締め上げていく。

 心も体も、何もかもがぐちゃぐちゃだった。息の荒くなった体を無理やり落ち着かせようと、咲里はくろに抱きしめられたまま、何度も深呼吸を繰り返す。

 これで終わってくれればいいのにと思いはすれど、そう簡単に満足してくれるような男ではないことは、咲里自身、身をもって実感していた。
 肯定を示すように、咲里の中に埋め込まれたものは簡単に硬度を取り戻していく。

 もう辛抱ならないといった体で身を起こしたかと思えば、くろは咲里をソファーの上に押し倒す。
 息を荒げ、再び主人の上に覆いかぶさり、くろは抽送を再開した。
 
「ぁ、すま、ない……っ、俺も、ぁ、っ、あんたには、悪いと思って……っ、あんたが辛いのは、わかって、……っ、ぐっ、はぁ、ぁ、かわいい、咲里、ぁ、えみり、えみりっ、はぁ、えみ、り……っ」

 一度は蘇りかけた理性も、すぐさま本能の中に呑み込まれていく。
 されるがままに揺さぶられながら、咲里は叩きつけるような愛情を受け止めることしかできなかった。
 穿ち、引き抜き、そうしてまた奥深くへと埋め込まれていく。

「一週間分、ぁ、抱かせてくれ。そうすれば、っ、また、っ、はぁ、我慢、っ、出来る……、ぁ、っ、から」
 
 何度目かの吐精の後、そんな気の遠くなるような宣言を聞きながら、咲里は意識を手放した。
  

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