えみりちゃんのいぬ

ぬえもと

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じゅう

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「あ……」

 間抜けな声を上げ、頭上を見上げたまま、しばし静止する。
 真っ白なレースの天蓋越しに、ただ部屋の内装が飛び込んでくるだけで、そこに先ほどまで愛を囁いていた男の姿はない。
 男の残滓を求めるようにして伸ばした腕は、虚しく空を切るだけだった。
 耳障りな時計の秒針だけが、咲里の鼓膜を揺らしている。

(そうだ、時間……)

 ひとまずは時間を確かめなければと、肌触りの良いベッドシーツに腕をつき、無理やりに体を起こしていく。
 マットレスの上で手を伸ばし、天蓋を勢いよく開け、咲里はサイドテーブルに置かれていたアンティーク調の置き時計に手を掛けた。
 やはりというべきか、時計は咲里の期待を裏切り朝の9時過ぎを指している。
 前日に目覚ましをかけず、起こしてくれと言わなかった咲里に非があるのは明らかなのだが、そもそも、言っていたとしてもあの男は咲里を起こしてくれていたのだろうか。

 ふと、視線が自然と寝室の扉に向く。
 怒らせてしまったのかと思うが、何かが違う気がする。
 妙な、胸騒ぎがしていた。
 心臓の上に手をあてがい、数度深呼吸を繰り返す。
 あの男は、去り際に「分かった」と言っていた。
 いいことを思いついたとでも言いたげに、心底上機嫌に口角を吊り上げ、無垢に笑う。
 一体、何が「分かった」というのか。あの男は、何をしようとしているのか。
 考えれば考えるほど悲観的になっていき、足元からは血の気が引いていく。

(……とにかく、着替えよう)

 遅刻は確定ではあるが、今からなら頑張れば二限目の始業時間に間に合うかもしれない。
 男の行方は気になる。けれど、咲里如きが探したところで、神出鬼没の男が簡単に見つかるとは思えなかった。嫌な予感がする。けれど、そう感じたところで何ができるというのか。
 そんなことを考えながら腰を上げるのだが、奇妙な鈍痛が咲里の体を襲う。
 不意に襲った違和感は足から力を奪い、そのままベッドからずり落ちるようにして、咲里は尻餅をついた。
 咄嗟についた手のひらから、柔らかなカーペットの感触が直接伝わってくる。
 昨晩の情交が思わぬ形で体を蝕んでいる事実に、咲里は下を向き、耳まで赤く染め上げしばし動くことができなかった。
 今まで使ったことのない種類の筋肉を使ったのだ。あれほど好き勝手に体を弄ばれ、揺さぶられては、非力な咲里には当然の結果と言えた。
 上気した頬、咲里への執着を隠そうともしない執拗な愛撫の数々、惜しむように引き抜いては、えぐるようにして臍の裏を突き上げる屹立の熱。

「――咲里」

 男の上擦った声が不意に蘇り、咲里は羞恥に震えながら下唇を噛みしめる。

(……こんなこと、してる場合じゃない)

 ベッドの支柱に腕をかけ、なんとか立ち上がると、咲里は壁伝いに歩きながら寝室の扉を開けた。そのまま横にある自室に飛び込み、着慣れた紺のブレザーに腕を通す。
 階段を降りる足が、無様に震えていた。
 なだれ込むようにしてリビングの扉を開ければ、当然のように無人の殺風景な景色が咲里の視界を埋めていく。リビングは、しんと静まり返っている。以前までは、毎日がこうだった。誰も咲里のために朝食など用意してくれず、言葉をかけてくれることなどなかった。
 けれど、咲里は一度温もりを知ってしまった。まばたきの間に視界をかすめるのは、おはようと笑いかける咲里にぶっきらぼうな返事を返す、スーツ姿の鉄面皮の姿だった。
 こんな時にもあの男のことを無意識に考えてしまっている自分に、嫌気がする。

(いつかは、あの人だっていなくなっちゃうんだ)

 ずっと一緒にはいられない。
 いつかは自立しなければいけない。
 どれほどの甘い言葉を掛けられようとも、咲里の心は頑なだった。
 無意識に、愛するものを失う恐怖に備えようとしてしまう。
 男が自分に向ける感情が、嘘だなんて本気で思っていやしない。
 けれど、それとこれとは話が別だ。
 それほどまでに、くろの死は咲里に暗い影を落とした。
 人は、たかが一ヶ月と笑うかもしれない。けれど、咲里にとってはかけがえのない時間だった。だから、咲里は学校に通うのをやめられない。いつか必ず訪れる、「その時」に備えるために。

 見慣れていたはずの無人のリビングを横切り、咲里は久方ぶりに自分の手で冷蔵庫の扉を開けた。やはり、何もない。微かな飲み物と、漬物の入ったタッパーが入っているだけ。
 その中から麦茶の入ったボトルを取り出しながら、いつも食パンが入っていた場所を見上げる。

(やっぱり、ない)

 買い出しに行っていないのだ。当然だろう。
 では、あの男はどこから食材を出していた。
 金銭だってそうだ。部屋の模様替えだって。あの男はあまりにも、咲里に対して都合が良すぎる。咲里の犬だと名乗り、甲斐甲斐しく咲里に尽くし、咲里の前で膝を折る。愛を囁き、あんたの望みを叶えに来たと、心底幸福な顔をして笑う。
 何かがおかしくはないかと、一人きりの空間で、咲里は男がやってきてから初めて明確な恐怖を感じた。
 舞い上がっていた。ああ、そうだ。現実が見えていなかった。
 あの男は、一体なんなんだ。突然消えたと思えば、咲里が求めれば姿を表す不思議な存在。
 名前も知らない。年齢も知らない。職業も知らない。咲里とどういう関係にあるのかも、ここに来る前どこで暮らしていたのかも、何も、何も知らない。知らなくてもいいと思っていた。男が咲里に危害を加えないという事実さえあれば、それで構わなかった。けれどと、今になって初めて、咲里は言い知れぬ違和感に気付いた。これまで、あえて考えないようにしていたのかもしれない。けれど、おかしい。
 ばくばくと、心臓が鼓動を早めていく。冷蔵庫の中から漂う冷気が、ゆっくりと咲里の頬を撫であげていった。そもそも。
 ――あの男は、本当に人間なのか?

 こみ上げてきた突拍子もない考えに、咲里は手にしていたお茶の入ったピッチャーを落としていた。ばちゃんと、そそぎ口の隙間から漏れ出たお茶が咲里の足を侵食し、濡らしていく。溢れた茶を大急ぎで雑巾で拭きながらも、やはり咲里の中には不気味な違和感が残っていた。

(……人間に、決まってる)

「では、次のニュースです」

 咲里が最後の一滴を吹き上げると同時に、リモコンに触っていないのにも関わらず、勝手にテレビの電源がついた。嫌な夢を、見ている気分だった。
 びくりと、盛大に肩を震わせ、手にしていた濡れ雑巾を取り落とし、咲里はその場にしゃがみ込んだまま動けなくなってしまう。
 電気のつけられていない真っ暗な部屋の中、ちらちらと不気味な光が咲里の視界をかすめる。

「本日、午前9時1分、県立――――校で、爆発事故がありました」

(は……?)

 時間が、止まったかのように思えた。
 思いもよらぬところから飛び出した自分の通う学校の名前、その後続いた不穏な単語に、テレビの画面を凝視したまま、一ミリたりとも体を動かすことが出来なかった。
 壮年の男性アナウンサーが淡々と話し続ける言葉の全てが、意味を理解するより早く頭の中をすり抜けていく。

「ガス管の劣化によるガス漏れが原因とみられており――、また、……タバコ……火が――、空き教室――、吸い殻――、――など、現在警察が捜査を進めている最中です。それでは、現場から中継です」

「こちらが、事故現場です。当時、教室ではいつも通り授業が行われていました。学校にいた全校生徒職員は、ともに即死と見られており」

 悲痛な声で訴えかける女性アナウンサーの後ろで、焦土と化した校舎があったであろう土地が映し出されていた。真っ黒に焦げ上がった瓦礫の山が築かれ、その周りを消防車や警察車両、大勢の見物人が囲んでいる。ぶすぶすと黒い煙が吹き上がり、未だ鎮火が完全ではないのか時折ボンと、小さな爆発音が画面越しに聞こえてきた。

「危ないので下がってください! ここは危険です! 下がって!!」

 野次馬の声に混じり、警察官の必死の叫びが耳を刺す。
 あまりの事態に、なんと反応を返せばいいのか分からなかった。
 それどころか、現実の出来事として事態を認識できずにいる。
 もし自分があの場にいたら。今日、いつも通りに学校に通っていたら。
 考えるだけでぞっとする。けれど、どうして今日なのだろう。どうして、咲里がいない今日に限って、本心では学校に行くことを拒んでいた、今日に限って。
 見たくないと思う意思に反し、体は微塵もその場を動いてはくれなかった。
 
「――校は、県内随一の進学校として知られており、たくさんの優秀な生徒職員が犠牲となりました」
 
 痛々しい事故現場を見ていると、体の奥底から恐怖がこみ上げてくる。
 けれど、何故だろう。恐ろしいと思うと同時に、よかったと、安堵する自分がいる事実に気が付いた。もう行かなくていい。虐められなくていい。通うべき檻は、固執していた場所は、この世に存在しない。咲里を縛るものなど、もう何もないのだ。

「っ……ひ……っ!!」

 こみ上げてきた悪鬼羅刹のような発想に、咲里は頭を抱えその場にうずくまった。
 何を考えているのだろう。

(違う、違う違う……!!)

 よかった、だなんて思っていない。
 全校生徒が死んだということは、咲里を虐めていた人間も死んだのだろう。
 虐めに見て見ぬ振りを貫き通していたクラスメイトも、教員も死んだ。
 けれど、無関係な生徒も巻き込まれて死んでいる。
 外道にはなりたくない。これでは、咲里を虐げていた人間と何も変わらない。
 そんな不謹慎なこと、考えてはいけない。人間としておしまいだ。違う。
 暗い悦びなど覚えていない。全部悪い夢だ。
 醒めろ。醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ!!
 
 ぷつん。

 そんな微かな音を立てて、テレビの音が止んだ。
 電源が入った時と同様に、終わりも唐突に。
 下げていた頭を、ゆっくりと上げようとして。

「っ……!!」

 悠然とした、獣の足音だった。
 ひたり、ひたりと、フローリングの上をしっかりと踏みしめ、それはまっすぐに咲里に向かって歩みを進めているようだった。四つ足の、獣の音だ。亡霊のように物静かなこの足音を、咲里はよく知っていた。

(く、ろ……)

 恐る恐る、顔を上げる。
 視線の先にいたのは、左耳のない、黒い犬だった。
 柴犬ともシェパードとも言えない、奇妙な三角耳の黒い犬。
 数日前に死んでしまって、この手で埋めたはずの愛犬が、咲里の目の前に姿を現していた。生前と寸分違わぬ姿。ただ一つ違うのは、くろの全身を禍々しい黒い瘴気のようなものが覆い尽くしていた。それはさながら、地獄の使者を思わせる。
 迎えが来たのだと、本気でそう思った。
 くろが死んだ時、咲里は本気で母親とその恋人の死を願った。
 その願いは叶えられた。今だってそうだ。
 どれほど言い訳を並べ立てたところで、本音を言えば学校になんて行きたくなかった。全部壊れてしまえばいいと、そんなことを一瞬でも考えた。だからこそ、こんなにも胸が痛い。
 これは当然の報いなのだ。無償で叶えられる願いなんて、そんな都合がいいものこの世には存在しない。
 地獄の悪魔は、咲里の願いを聞き届けた。
 だから、今ここにいる。咲里の最愛の犬の姿をして、咲里の命を受け取りに来た。
 なんと優しい悪魔なのだろうと、定まらない瞳孔で禍々しいくろの姿を映しながら、咲里は静かに息を吐く。
 くろに殺されるのならば、連れて行ってもらえるのなら、それは本望だ。
 自分を虐げていた全てのものを道連れにして、咲里は地獄に堕ちる。
 ならば、迷うことなど何もない。思い残すことなんて、何もない。
 くろの顔が、目と鼻の先に迫っていた。きつく、目を閉ざす。
 後悔なんて、何もない。けれど、何故だろう。
 最後に脳裏をよぎったのは、咲里に懐いていた黒い犬ではなく、咲里に愛を囁いた、たった一人の奇妙な男の姿だった。
 だが、いくら待ったところで、黒犬の牙が咲里の首を切り裂くことはなかった。
 代わりとばかりに咲里にもたらされたのは、温かな抱擁だった。

「消してきた」

 場違いなほど、柔らかな声だった。
 恐る恐る目を開ければ、見慣れた黒のスーツが咲里の視界を覆い尽くす。
 咲里の首筋に顔を埋め、頬の傷を指の腹でなぞりながら、今朝咲里の前から姿を消したはずの男は、うっとりと情愛に満ちた眼差しを咲里に対し向けている。
 ぴたりと、頭の中で、愛犬の姿に男の姿が重なった。
 咲里の犬という言葉に、嘘はなかった。
 この男は人間でないどころか、生者ですらなかったのだ。咲里への執念だけでこの世に顕現している、犬の亡霊。咲里の望みを叶えるためだけに舞い戻ってきた、真っ黒な怨讐。それが、この男の正体だった。
 そう考えれば不可解な現象も全て納得がいく。ごくりと、咲里は無意識に息を呑んでいた。

「消して、きた」

 呆然とする咲里に何を思ったのか、幼い子供を諭すようにして、くろはゆっくりと同じ言葉を繰り返す。
 一言一句を正確に発音し、聖人君子のような顔をして、男は艶然と咲里の顎を持ち上げる。至近距離に迫った黒い目から、1秒たりとも目を離すことができなかった。
 やはり、今朝感じた胸騒ぎは気のせいなどではなかったのだと、咲里は震える体をなだめようと深く息を吸い込んでいく。咲里の髪を梳き、男は終始穏やかだ。

「……あ、なたが……、くろが、やった、の……?」

「ああ」

 否定を乞う咲里の意思に反し、男は上機嫌に口角を吊り上げた。
 あくまで優美に笑んでみせる男に、背を震えが駆け抜けていった。
 おかしい。どうしてそんな風に笑える。大勢の人が死んだ。いや、殺したのだ。この男が。それなのに、どうしてそんなにも無垢に笑えるのか。

「嬉しく、ないのか」

 頭上を見上げたまま黙り込んだ咲里に、男はぼそりと不機嫌な囁きを漏らす。
 この男は、咲里が本気で喜んでくれると思っていたのか。
 しょげた様子を見せる男の瞳には一片の曇りすらなく、だからこそ余計に恐ろしい。
 ああ、けれどそうだと、咲里は一人納得する。人間じゃない。この男は、ただの怨霊だ。咲里に尽くすというただ一つの願いに縋り付くだけの、哀れな狗の成れの果て。

「母親を殺した時は、喜んでくれただろう」

 再び大きく咲里の肩が揺れる。

「ぜんぶ、あなた、が」

「ああ」

 溶けそうなほどの微笑を惜しみなく咲里に注ぎ、くろは咲里の体に回す腕を強めた。

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