ちゃぼ茶のショートショート 「金髪男とイヤホンBBA」

ちゃぼ茶のショートショート 「金髪男とイヤホンBBA」

俺は好きな音楽を聴きながら電車に揺られていた

大学生生活最後の夏休みを使って田舎に一人旅をしている

好きな音楽はJ-POP全般

イヤホンにはお金をかける派で

ヘッドホンよりワイヤレスイヤホン派だ

話を戻すが、

ダーツの旅のように、自由気ままに目の前の電車に乗っては降りてを繰り返していた

今回の電車も勢いで乗ってしまった

ICカードが使えなく、やはり地域によって常識は変わる物だと痛感した

いい景色を見ながら電車に揺られているが…気になるのは

右前の金髪の不良だ

見た目で判断するのも悪いが、健康そのものだった

他とは違い、黄色の席で座り

絡まったイヤホンを気にせず使い爆音で音楽を聴いている

席もまばらに空いているのに

目が合う距離で座っている

席を移動しようと思ったが一度座ってしまってから移動するのも…と考え我慢している

（キィィィッッ）

駅に着いたらしい

ドアが開き、乗客が乗ってくる

杖をついたワイヤレスイヤホンを付けたおばあさん

音楽にのっているのか、体が震えているのか分からない

ヨチヨチしながらドアすぐ横の席

金髪の座っている席に座るのだろう

しかし

金髪は席を譲ることなく音楽を聴き続けた

おばあさんはヨチヨチフラつきながら

金髪の横の席、つまり俺の目の前に座った

距離にしてはほとんど変わらなかったが

金髪の自分勝手な行動に腹が立った

その席には座るべき人がいる際は譲るべきなのだ

つい、カッとなった俺は

金髪に向かって

「おい！そこの席を譲るべきだろ！」

「それともなんだ、どこか悪いのか？？」

大きな声で怒鳴っていた

すると、金髪男はゆっくりイヤホンを外すと

「はぁ…なんすか？」

とぼけた顔と声でこっちを見てくる

「そこは優先席だろ！」

俺はすかさず突っ込むと

金髪男は一言

「有線席ですよ…ここ」

俺の目の前にいる

ワイヤレスイヤホンを付けたおばあさんは

歌を口ずさんでいた