上 下
7 / 12
魔術師キューリと弟子になった僕

魔術師キューリと弟子になった僕①

しおりを挟む
「おい!貴様ら、雑魚どもにちょっかいを出すなんて、冒険者はそんなに暇だったのか?暇なら私と戦ってくれないか?最近誰とも何とも戦っていないから腕が鈍っているんだ。ちょうどいいだろう?あぁ?」
「……ハハハ、これはまたビッグネームが出てきたもんだ。〈落ちた天才魔術師キューリ〉さんよぉ。あんたの武勇伝はいくらでも聞いたことあるぜ!でも、俺らとこいつの問題だ。お前は関係ねえだろ?酒でも飲んで帰れよ!」
 最初は驚いていたガラの悪い連中の、リーダー格の男が吐き捨てる。
 このきれいな女性はキューリさんというのだろうか?
「ほぉ、言うなぁ…ザコが……!」
 その瞬間、キューリさんから気のようなものが全身から吹き出し、ギルド内の全員が圧倒される。
 が、すぐに収まり。
「なんてな。私がお前たちをどうしようということはない。お前らに決着をつける場を用意してやろう。ただ、このスライムのガキはまだ弱すぎる。お前らと戦ったら10秒も持つまい。だから2週間待て。2週間で私がこいつを戦えるように鍛えてやる。また連絡するからお前らはどっかに行け!酒がまずくなる!」
 そう言って、キューリさんはどこから出したのか酒瓶を飲む。
「まぁ、いいだろう。クソ雑魚!お前は俺が直々に殺してやる。そうだまだ名乗ってなかったな。俺はリザードテイマーの〈クロス〉。俺たち〈荒野の担い手〉のリーダーをやっている。2週間その飲んだくれに何か教わったとしてもスライムと雑魚でどうこう出来るものだとも思わねぇが、せいぜい俺にパンチの一つでも当てれるよう頑張って鍛えるんだな!おい!行くぞ!お前ら!!」
 そう言って、ガラの悪い連中…〈荒野の担い手〉のパーティーがギルドから出ていく。
 そこで、今までなかなか声を出せなかったんだろう…セレナさんが僕のもとへ駆け寄ってきた。
「センタ君!大丈夫!?ごめんなさい。私ギルドの職員なのに、どうしたらいいかわからなくて何も出来なくて……」
「…いえ、大丈夫です!ありがとうございます!!」
「それにしても、センタ君!すごいですね!あの〈氷水ひすいの魔術師キューリ〉さんに鍛えてもらえるなんて!彼女が!この街唯一の水魔法の使い手の方ですよ!」
 助けてくれたこの人が……。呼び方はいろいろあるみたいだし、いまだに酒を飲み続けてるし、気になることはたくさんあるけれど、そんなことより……。
「あ、あの!キューリさん!ありがとうございます!えっと、ぼ、僕に魔法を教えてください!」
 すると、キューリさんはいきなり僕の肩を抱き寄せてきた!
 僕は顔を赤くしながらうろたえる……。がキューリさんはかまわず話し始めた。
「おお!気にするなセンタ…だったな!お前水魔法の適性があるだろ?おぉ、やっぱりそうかギルドに入っていくお前を見てそうじゃないかなと思ったんだよ!へへ…水魔法を使う奴っていうのは普段は温厚なんだが、怒ると攻撃的になるんだよなぁ。途中から見てたが、お前のスライムがあの踏まれたとき一人称が僕から俺になってたぞ?いいじゃぁねえか。気に入ったから私が鍛えることにした。よし行くぞ!さぁ行くぞ!よし!ついてこい!」
 そう言って半ば強引に僕を連れていく。
 肩を組んだような恰好で連れていかれるので、いろんなところが触れたり離れたりでドギマギして赤くなってしまう。そんな場合じゃないのに……。
 そうして、僕は驚きで「えっ」とか「あっ」しかしゃべれないまま。そしてギルド内の他の人たちはいきなりのことで唖然としたまま。セレナさんは微笑みながら手を振り。グラムはポヨンポヨンとついて来てくれていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジミー凌我
ファンタジー
 日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。  仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。  そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。  そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。  忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。  生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。  ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。 この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。 冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。 なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。

処理中です...