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釈放
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「全く……どうしたら一時間もかからぬ内に、城内への不法侵入、王女誘拐未遂の冤罪がかけられるんですか……」
「申し訳ございません……」
再び地下牢にぶち込まれて数十分後。ようやく気付いてくれた騎士団長が鉄格子の扉を開けてくれた。
やっぱり無理して脱獄する必要なんて無かったな。馬鹿なことをした。
「大変申し訳ございませんでした……!」
地下牢からようやく出られると、俺を連行した騎士たち数人が頭を下げてくる。
「あ、いえ。元はと言えば、僕が怪しい動きをしていたのが原因ですし……。こちらこそ、ご迷惑おかけしてすみません」
何度も言うが、俺が騎士の立場でも城壁の上に乗っている黒ローブの男を見かけたら間違いなく確保しようとするだろう。誰がどう見ても自分が100%悪いので素直に頭を下げる。
「早速で悪いのですが、着替えをして頂けないでしょうか……? 時間が少々押していまして……」
「分かりました。……あの、別の日に予定変更するみたいな対処はしなくて大丈夫なんですか?」
「本来ならば緊急で予定日を変更したのでしょうが……。ここ最近、魔王軍の動きが活発になっていましてね」
たしかに、序盤の街に四天王、それも序列二位が攻め込んで来るくらいだしな。俺のせいだけど。
「つまり、魔王軍に備えなるべく早めに済ませておきたい、とちうことですか?」
「簡単に言えばそういうことですね」
あくまで素人目線なんだが……一日二日程度で魔王軍への対策が進むのだろうか……。その辺の知識は皆無なので言わないでおくが。
「それではこちらへ」
どうも納得の出来ないが、とりあえず騎士団長さんの後に続くと、しばらく歩いたところで一室の部屋に案内される。
「では、これを……」
「え、あぁ、どうも」
騎士団長さんが先程奪われた刀とローブを渡してくる。
ポケットに入れて置いた勲章とか時計もそのままだ。ちょっと安心した。
「何か無くなっているものはありませんか? 」
「特には無いですね。ちゃんと全部あります」
「なら良かったです。デルト王国で貰った勲章を無くしたりなんかしたら大変ですしね」
デルト王国……あぁ、俺がこの世界に来た時にいた国か。忘れてた。
「まぁ、確かにその通りですね」
それにしても、よく俺が勲章貰ってるなんて知っていたな。
この世界にも遠距離で連絡が出来る道具があるということなのだろうか?何かの役に立つかもしれないし、機会があれば買っても良いかもしれない。
……いや、連絡する相手いないか……。
「どうした? そんな暗い顔して」
「いや、なんでもないです!」
「そうか、では着替えが終わったら出てきてくれ」
騎士団長さんが部屋を出て行ったのを確認し、着替えを始める。
まぁ着替えといってもローブを羽織るだけなのだが。
「こんなもんか?」
鏡が無いからよく分からないけど、一応着替えを終える。王様の前だし、なるべくきちんとした服装でいたいんだけど……。
……いや、学生服にローブって、どうなんだこの格好。あとで服でも買っておきたい。
「騎士団長さん、この服装大丈夫ですかね?」
扉を開け、部屋外で待っていた騎士団長さんに質問する。
「少しネクタイが曲がっているな。……これで大丈夫だ」
どうやら曲がっていたらしいネクタイを直してくれる。良かった、聞いておいて。
てかこのネクタイもいらないかな。
「では早速謁見の間に向かおうか。国王様がお待ちです」
「分かりました」
「申し訳ございません……」
再び地下牢にぶち込まれて数十分後。ようやく気付いてくれた騎士団長が鉄格子の扉を開けてくれた。
やっぱり無理して脱獄する必要なんて無かったな。馬鹿なことをした。
「大変申し訳ございませんでした……!」
地下牢からようやく出られると、俺を連行した騎士たち数人が頭を下げてくる。
「あ、いえ。元はと言えば、僕が怪しい動きをしていたのが原因ですし……。こちらこそ、ご迷惑おかけしてすみません」
何度も言うが、俺が騎士の立場でも城壁の上に乗っている黒ローブの男を見かけたら間違いなく確保しようとするだろう。誰がどう見ても自分が100%悪いので素直に頭を下げる。
「早速で悪いのですが、着替えをして頂けないでしょうか……? 時間が少々押していまして……」
「分かりました。……あの、別の日に予定変更するみたいな対処はしなくて大丈夫なんですか?」
「本来ならば緊急で予定日を変更したのでしょうが……。ここ最近、魔王軍の動きが活発になっていましてね」
たしかに、序盤の街に四天王、それも序列二位が攻め込んで来るくらいだしな。俺のせいだけど。
「つまり、魔王軍に備えなるべく早めに済ませておきたい、とちうことですか?」
「簡単に言えばそういうことですね」
あくまで素人目線なんだが……一日二日程度で魔王軍への対策が進むのだろうか……。その辺の知識は皆無なので言わないでおくが。
「それではこちらへ」
どうも納得の出来ないが、とりあえず騎士団長さんの後に続くと、しばらく歩いたところで一室の部屋に案内される。
「では、これを……」
「え、あぁ、どうも」
騎士団長さんが先程奪われた刀とローブを渡してくる。
ポケットに入れて置いた勲章とか時計もそのままだ。ちょっと安心した。
「何か無くなっているものはありませんか? 」
「特には無いですね。ちゃんと全部あります」
「なら良かったです。デルト王国で貰った勲章を無くしたりなんかしたら大変ですしね」
デルト王国……あぁ、俺がこの世界に来た時にいた国か。忘れてた。
「まぁ、確かにその通りですね」
それにしても、よく俺が勲章貰ってるなんて知っていたな。
この世界にも遠距離で連絡が出来る道具があるということなのだろうか?何かの役に立つかもしれないし、機会があれば買っても良いかもしれない。
……いや、連絡する相手いないか……。
「どうした? そんな暗い顔して」
「いや、なんでもないです!」
「そうか、では着替えが終わったら出てきてくれ」
騎士団長さんが部屋を出て行ったのを確認し、着替えを始める。
まぁ着替えといってもローブを羽織るだけなのだが。
「こんなもんか?」
鏡が無いからよく分からないけど、一応着替えを終える。王様の前だし、なるべくきちんとした服装でいたいんだけど……。
……いや、学生服にローブって、どうなんだこの格好。あとで服でも買っておきたい。
「騎士団長さん、この服装大丈夫ですかね?」
扉を開け、部屋外で待っていた騎士団長さんに質問する。
「少しネクタイが曲がっているな。……これで大丈夫だ」
どうやら曲がっていたらしいネクタイを直してくれる。良かった、聞いておいて。
てかこのネクタイもいらないかな。
「では早速謁見の間に向かおうか。国王様がお待ちです」
「分かりました」
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