10 / 56
日本刀 を 手に入れた !
しおりを挟む
「よーおっちゃん! 例のものができたって聞いたんだが」
次の日、これは朝一番……とまではいかないが、比較的早めに武器屋を訪れる。
「おぅ兄ちゃん! 待ってたぜ」
俺の声を聞いて、おっちゃんが店の奥から出て来る。おっちゃんの手には俺の頼んだ物が握られていた。
「それが例の物か?」
「そうだぞ」
「それで、たしか5万だっけか?」
「あぁ、前払いで5万貰った。残り5万だ」
金銭確認を終えると、学生服のポケットから5万アルト取り出し、おっちゃんに渡す。
「……はいよ、確かに5万アルト頂いたぜ! ほら、約束の物だ」
「よっしゃ! 無理言って悪かったな、ありがとう!」
そう嬉しがる俺におっちゃんが左手に握られた物を俺に差し出す。
「それにしても、随分と変わった刀身だな。兄ちゃんオリジナルのアイデアか?」
「そんなんじゃねぇよ。俺の知り合いが教えてくれたんだ。どっかの国の武器かもしれねぇけど、俺は知らねぇよ」
そう言いながら、俺は刀を鞘から抜いて刀身を見つめる。うん、よく分かんねぇけど良さそうだ。
そう、俺はおっちゃんに日本刀の製作を依頼した。日本刀なら軽く、扱いやすいだろうし、日本人と出会えばなにかアクションを貰えるかもしれない。
決してカッコイイからとかそういうのではない。決して。絶対。
「知り合い? 兄ちゃん知り合いなんていたのか?」
「お前俺をなんだと思ってるんだ……。俺の言葉の訛りから分かるだろうけど、俺は他の国出身だ。そこに沢山いるよ」
自分で言うのもなんだが、こうもスラスラと嘘が口から出ると、ある種の才能なのではないだろうかと思ってしまう。。日本にいる時もよく嘘ついてたし……。
「刀、だっけか? それ、確かに戦闘には向いているが、劣化が激しいな。ちょくちょく手入れしないとあっという間にポッキリいくぞ」
「あぁ、分かった。気を付けるよ」
刀身を再び鞘へ収める。早速今日のゴブリン狩りで切れ味を確かめさせて貰おう。
「よし、なら早速ゴブリン狩りに行ってくるぜ!」
「全く……油断するなよ」
「安心しろ、俺は慎重さだけには定評があるんだ」
嘘だけど。
「ならいいけどな」
「よっしゃ行ってく――」
瞬間、街に警報が鳴り響いた。
――ブウゥウウウウウウウウン!!
「なんだ!? 一体なにが……!?」
この妙に不安になる音。この世界の知識に乏しい俺でも、緊急事態だと一発で分かる。
「これは警報だ! 兄ちゃん冒険者だろ!? この警報は冒険者はギルドに集合の合図だ!」
「まじか! 勘弁してくれよ……」
そう悪態つきながら、武器屋を飛び出してギルドへと向かう。頼むから命の危機に晒されないような事だといいな……。
神様にでも祈っとくか。言語能力も無しに俺を異世界に飛ばした神なんざ信じたくねぇけど。
次の日、これは朝一番……とまではいかないが、比較的早めに武器屋を訪れる。
「おぅ兄ちゃん! 待ってたぜ」
俺の声を聞いて、おっちゃんが店の奥から出て来る。おっちゃんの手には俺の頼んだ物が握られていた。
「それが例の物か?」
「そうだぞ」
「それで、たしか5万だっけか?」
「あぁ、前払いで5万貰った。残り5万だ」
金銭確認を終えると、学生服のポケットから5万アルト取り出し、おっちゃんに渡す。
「……はいよ、確かに5万アルト頂いたぜ! ほら、約束の物だ」
「よっしゃ! 無理言って悪かったな、ありがとう!」
そう嬉しがる俺におっちゃんが左手に握られた物を俺に差し出す。
「それにしても、随分と変わった刀身だな。兄ちゃんオリジナルのアイデアか?」
「そんなんじゃねぇよ。俺の知り合いが教えてくれたんだ。どっかの国の武器かもしれねぇけど、俺は知らねぇよ」
そう言いながら、俺は刀を鞘から抜いて刀身を見つめる。うん、よく分かんねぇけど良さそうだ。
そう、俺はおっちゃんに日本刀の製作を依頼した。日本刀なら軽く、扱いやすいだろうし、日本人と出会えばなにかアクションを貰えるかもしれない。
決してカッコイイからとかそういうのではない。決して。絶対。
「知り合い? 兄ちゃん知り合いなんていたのか?」
「お前俺をなんだと思ってるんだ……。俺の言葉の訛りから分かるだろうけど、俺は他の国出身だ。そこに沢山いるよ」
自分で言うのもなんだが、こうもスラスラと嘘が口から出ると、ある種の才能なのではないだろうかと思ってしまう。。日本にいる時もよく嘘ついてたし……。
「刀、だっけか? それ、確かに戦闘には向いているが、劣化が激しいな。ちょくちょく手入れしないとあっという間にポッキリいくぞ」
「あぁ、分かった。気を付けるよ」
刀身を再び鞘へ収める。早速今日のゴブリン狩りで切れ味を確かめさせて貰おう。
「よし、なら早速ゴブリン狩りに行ってくるぜ!」
「全く……油断するなよ」
「安心しろ、俺は慎重さだけには定評があるんだ」
嘘だけど。
「ならいいけどな」
「よっしゃ行ってく――」
瞬間、街に警報が鳴り響いた。
――ブウゥウウウウウウウウン!!
「なんだ!? 一体なにが……!?」
この妙に不安になる音。この世界の知識に乏しい俺でも、緊急事態だと一発で分かる。
「これは警報だ! 兄ちゃん冒険者だろ!? この警報は冒険者はギルドに集合の合図だ!」
「まじか! 勘弁してくれよ……」
そう悪態つきながら、武器屋を飛び出してギルドへと向かう。頼むから命の危機に晒されないような事だといいな……。
神様にでも祈っとくか。言語能力も無しに俺を異世界に飛ばした神なんざ信じたくねぇけど。
0
お気に入りに追加
1,973
あなたにおすすめの小説
辺境に住む元Cランク冒険者である俺の義理の娘達は、剣聖、大魔導師、聖女という特別な称号を持っているのに何歳になっても甘えてくる
マーラッシュ
ファンタジー
俺はユクト29歳元Cランクの冒険者だ。
魔物によって滅ぼされた村から拾い育てた娘達は15歳になり女神様から剣聖、大魔導師、聖女という特別な称号を頂いたが⋯⋯しかしどこを間違えたのか皆父親の俺を溺愛するようになり好きあらばスキンシップを取ってくる。
どうしてこうなった?
朝食時三女トアの場合
「今日もパパの為に愛情を込めてご飯を作ったから⋯⋯ダメダメ自分で食べないで。トアが食べさせてあげるね⋯⋯あ~ん」
浴室にて次女ミリアの場合
「今日もお仕事お疲れ様。 別に娘なんだから一緒にお風呂に入るのおかしくないよね? ボクがパパの背中を流してあげるよ」
就寝時ベットにて長女セレナの場合
「パパ⋯⋯今日一緒に寝てもいい? 嫌だなんて言わないですよね⋯⋯パパと寝るのは娘の特権ですから。これからもよろしくお願いします」
何故こうなってしまったのか!?
これは15歳のユクトが3人の乳幼児を拾い育て、大きくなっても娘達から甘えられ、戸惑いながらも暮らしていく物語です。
☆第15回ファンタジー小説大賞に参加しています!【投票する】から応援いただけると更新の励みになります。
*他サイトにも掲載しています。
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる