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英国紳士の恋の作法
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「ザ・ジャロルズに部屋を押さえている限り、私は毎日そこにいるし、仕事もする。先方が出向くというなら取引先にも会うし、昼休みに部屋に戻れるなら、くだらない会合に足を運んでやってもいい」
と宣った時には、迷うことなくザ・ジャロルズに予約の電話をかけていた。
「社長として当然のことだろうが、恩着せがましく言うんじゃねぇ」
もちろん、毒づくことも忘れなかったが。
手痛い出費ではあるが、投資した分は確実に回収するのが信条の敏腕副社長は、ここぞとばかりに仕事を回してジェイムズを働かせ、十分に元は取っている。この調子でジェイムズが勤勉な社長を続けるのであれば、四〇一号室を永久に借り上げてもいいと思い始めているマイケルだ。
ジェイムズの想い人がザ・ジャロルズに勤めているらしいことには、薄々気づいていた。彼女の影響でジェイムズが社長の勤めを果たすようになったのであれば、その存在の大きさを無視することはできない。彼の恋路を邪魔するのはJ&M商会の未来にとって得策でない以上、多少の出費には目を瞑らなければならない。
と宣った時には、迷うことなくザ・ジャロルズに予約の電話をかけていた。
「社長として当然のことだろうが、恩着せがましく言うんじゃねぇ」
もちろん、毒づくことも忘れなかったが。
手痛い出費ではあるが、投資した分は確実に回収するのが信条の敏腕副社長は、ここぞとばかりに仕事を回してジェイムズを働かせ、十分に元は取っている。この調子でジェイムズが勤勉な社長を続けるのであれば、四〇一号室を永久に借り上げてもいいと思い始めているマイケルだ。
ジェイムズの想い人がザ・ジャロルズに勤めているらしいことには、薄々気づいていた。彼女の影響でジェイムズが社長の勤めを果たすようになったのであれば、その存在の大きさを無視することはできない。彼の恋路を邪魔するのはJ&M商会の未来にとって得策でない以上、多少の出費には目を瞑らなければならない。
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