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人型の災厄
(2)
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まだ何か言いたそうなアンソニーを事務室に残し、通用階段を下りて地下階の自室へ向かう。廊下の突き当たり、パーク・レーンに面した南端の小部屋を住居に定めて以来、毎日通っている短い通勤路だ。目を閉じても歩けるほど慣れた廊下が、今日に限って大変な難路に感じられる。
理由はわかっている。
(ジェイムズ…一体どうしてしまったんだ?)
もともと型破りな男ではあった。他人の思惑などまったく意に介さず我が道を行く型(タイプ)の人間であることも知っていた。学生時代、その突拍子もない言動に振り回されたことは何度もある。
だが今回は、彼の奇矯な言動に慣れたレジナルドにとっても青天の霹靂だった。
敏腕フロントマネージャーとして、時に非常識な客の要求も誘いも動じることなく捌いてきた実績、それに支えられた自負がまるで役に立たない。どこから手をつけてこの問題に対処すればいいのか、それさえも思い浮かばない。
正直、心底途方に暮れていた。
自室へ辿り着き着替えを済ませると、崩れるようにベッドに倒れ込む。
(…今日は、本当に、疲れた…)
理由はわかっている。
(ジェイムズ…一体どうしてしまったんだ?)
もともと型破りな男ではあった。他人の思惑などまったく意に介さず我が道を行く型(タイプ)の人間であることも知っていた。学生時代、その突拍子もない言動に振り回されたことは何度もある。
だが今回は、彼の奇矯な言動に慣れたレジナルドにとっても青天の霹靂だった。
敏腕フロントマネージャーとして、時に非常識な客の要求も誘いも動じることなく捌いてきた実績、それに支えられた自負がまるで役に立たない。どこから手をつけてこの問題に対処すればいいのか、それさえも思い浮かばない。
正直、心底途方に暮れていた。
自室へ辿り着き着替えを済ませると、崩れるようにベッドに倒れ込む。
(…今日は、本当に、疲れた…)
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