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J&M商会
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それでも過去とまったく同じわけではない。それにジェイムズに常識は通用しない。彼がロンドンに留まってでも口説き落としたいと思う相手など、長い付き合いのマイケルが知る限り今まで一人もいなかった。彼の恋が見事成就した暁には、階級の差など鼻にも掛けないジェイムズが、彼女の出身を云々することなく身を固める可能性は高い。というか、固めて落ち着いてもらわなければ困る。
J&M商会全社員の生活がかかっている以上、マイケルとしてはジェイムズの恋を応援しないわけにはいかない。
「まあ、その面と金があれば相手が落ちるのも時間の問題だろうよ。焦らずいけよ」
盛り立てるように肩を叩いて、マイケルはすかさず続ける。
「あのフラットも引き払って、どーんと屋敷の一軒でも買ったらどうだ。不動産探しは早く始めた方がいいんだぜ、何なら俺が探してやろうか。俺は有能な上に小回りも利くからな、条件通りの物件を見つけてやるよ。場所はどこがいい?チェルシーか?ケンジントンか?それとも郊外の広い城館か?」
「そんなものは実家で間に合っている」
J&M商会全社員の生活がかかっている以上、マイケルとしてはジェイムズの恋を応援しないわけにはいかない。
「まあ、その面と金があれば相手が落ちるのも時間の問題だろうよ。焦らずいけよ」
盛り立てるように肩を叩いて、マイケルはすかさず続ける。
「あのフラットも引き払って、どーんと屋敷の一軒でも買ったらどうだ。不動産探しは早く始めた方がいいんだぜ、何なら俺が探してやろうか。俺は有能な上に小回りも利くからな、条件通りの物件を見つけてやるよ。場所はどこがいい?チェルシーか?ケンジントンか?それとも郊外の広い城館か?」
「そんなものは実家で間に合っている」
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