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猛獣使い
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昨日は代役、今日は問題児二人に呼び出されただけで、本来マネージャーであるレジナルドがフロントに立つことはない。他のクラークの邪魔にならないようカウンターの隅に移動したところで、控え目に声を掛けてきたのはエリオットだった。
微笑んで頷くと、周囲に聞かれないよう配慮した声音で、しかし愉快そうに言う。
「卿も大それたことを考えついたものですね。ザ・ジャロルズのフロントマネージャー殿を、御自分の従僕になさろうなど」
ジェイムズから昨日の顛末を聞いたのだろう。可笑しさを堪えきれないといった風情だが、エリオットは従僕時代のレジナルドをよく知る数少ない人物でもある。ふいに表情を改めると、
「あなたが従僕としても完璧であり、執事として大城館を切り盛りできる技量をもお持ちであることは確かですが」
「ああ、エリィ。褒めてくれるのはありがたいけれど、ジェイムズの前でそんなことを言うのはやめてくれよ」
「心得ていますよ」
こうと決めたジェイムズは、岩よりも驢馬よりも頑固だ。
微笑んで頷くと、周囲に聞かれないよう配慮した声音で、しかし愉快そうに言う。
「卿も大それたことを考えついたものですね。ザ・ジャロルズのフロントマネージャー殿を、御自分の従僕になさろうなど」
ジェイムズから昨日の顛末を聞いたのだろう。可笑しさを堪えきれないといった風情だが、エリオットは従僕時代のレジナルドをよく知る数少ない人物でもある。ふいに表情を改めると、
「あなたが従僕としても完璧であり、執事として大城館を切り盛りできる技量をもお持ちであることは確かですが」
「ああ、エリィ。褒めてくれるのはありがたいけれど、ジェイムズの前でそんなことを言うのはやめてくれよ」
「心得ていますよ」
こうと決めたジェイムズは、岩よりも驢馬よりも頑固だ。
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