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後朝
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今はまだ中では極められない生硬な体を、ともに頂を得られるように高めていく。凝った乳首から花芯に手を移し、扱きながら、もう一方の手で先端を剥いてなめらかに撫で回す。
過剰な刺激に、シェルの声が急激に艶を帯び、切羽詰まった拒絶になった。
「あッ、だめですっ」
「何が駄目なのだ」
「おてを、……あ、あっ、よごしてしまいます」
「シェルの手は男を搾る名器だが、俺も悪くはあるまい」
「アッ! わ、わたくしにも、おゆるしくださいっ」
しこりを捏ねられるのがよほど切ないのだろう。涙を振りこぼしながらの懇願に、何を望んでいるのか察しながら、エーヴェルトは知らぬふりで聞き返す。
「何を許せと言うのだ」
「わたくしにも、てでエーヴェルトさまに、アッ、おつかえすることを、どうか……っ」
「俺はシェルに仕えるのに忙しい。またにしろ」
「アァ、ン……は、ぁあ……」
吐息が甘くなっている。
夜通し雄を咥え、その味を覚え始めた花筒が、うずうずと蠢いてエーヴェルトにまとわりついてくる。口を開けば折り目正しい侍従そのものだが、その中は随分な甘えん坊のようだ。
つれなくもあり甘え上手でもある黒猫に褒美を与えようと、「もう終わりたいか」と声を掛けると、濡れた瞳で見上げてきた。
「……なにとぞ……」
身悶えながらも、こくこくと頷く様がいじらしい。その瞼に口づけを落とし、エーヴェルトは首に手を回してしっかりと抱きつくようにシェルに命じた。
「……少し激しくするぞ」
「はい……アッ、んんっ」
手の中のシェルを扱きながら、律動を速める。ともに悦びを得るために、二人の快楽の頃合いを重ねていく。
待ち侘びた初夜の、後朝である。女官に朝寝を咎められても痛くも痒くもないが、褥で新妻をあまり追い詰めるのもよくない。
これまで誰とも後朝など過ごしたことはなかったから、この朝のことは後宮に、そして宮廷に広まるだろう。後宮を統括する女官長は、母の女官を務めていた古参の腹心で信頼が置けるが、それでも雀の口に戸は立てられない。
そもそもこの八夜、どの妃も寝殿に呼ばれていないのだ。数代ぶりの后狩りで入宮し、寵愛を独り占めする皇后の噂は、すでに宮廷にも届いているはずだった。──エーヴェルトの企み通りに。
「……くっ」
「ああぁんっ」
男の手の悪戯でぬるぬるに濡れた花芯を、一際鋭く扱き上げながら、しこりを狙って精を放つ。
呆気なくシェルは果て、その瞬間きつくしがみついた腕はゆるやかに解け、ぱたりと敷布に落ちた。
絶頂に軋む花筒を、自らの精で潤す感覚に陶然としながら、エーヴェルトは中を掻き混ぜる──ただし、奥深くまでは暴かぬように。
雄の妙味を味わいながらも、シェルはまだ、それだけでは悦を極められなかった。徐々に開花する様を愛でる愉しみはあるが、青い体には気遣いが必要である。
ただ欲望の捌け口とするために攫ったのではない。
過去を悔い、餓えを満たし、復讐を果たすために、后狩りは行われた。すべての企みの中心に、その身の保護を母から懇願された『ユングリングの御子』がいる。
「誰にも邪魔はさせぬ、今は眠れ」
鋭い快楽に気を失ってしまった后の額に口づけながら、エーヴェルトは自身が治まるまで、狭い花筒の心地好いうねりに酔った。
過剰な刺激に、シェルの声が急激に艶を帯び、切羽詰まった拒絶になった。
「あッ、だめですっ」
「何が駄目なのだ」
「おてを、……あ、あっ、よごしてしまいます」
「シェルの手は男を搾る名器だが、俺も悪くはあるまい」
「アッ! わ、わたくしにも、おゆるしくださいっ」
しこりを捏ねられるのがよほど切ないのだろう。涙を振りこぼしながらの懇願に、何を望んでいるのか察しながら、エーヴェルトは知らぬふりで聞き返す。
「何を許せと言うのだ」
「わたくしにも、てでエーヴェルトさまに、アッ、おつかえすることを、どうか……っ」
「俺はシェルに仕えるのに忙しい。またにしろ」
「アァ、ン……は、ぁあ……」
吐息が甘くなっている。
夜通し雄を咥え、その味を覚え始めた花筒が、うずうずと蠢いてエーヴェルトにまとわりついてくる。口を開けば折り目正しい侍従そのものだが、その中は随分な甘えん坊のようだ。
つれなくもあり甘え上手でもある黒猫に褒美を与えようと、「もう終わりたいか」と声を掛けると、濡れた瞳で見上げてきた。
「……なにとぞ……」
身悶えながらも、こくこくと頷く様がいじらしい。その瞼に口づけを落とし、エーヴェルトは首に手を回してしっかりと抱きつくようにシェルに命じた。
「……少し激しくするぞ」
「はい……アッ、んんっ」
手の中のシェルを扱きながら、律動を速める。ともに悦びを得るために、二人の快楽の頃合いを重ねていく。
待ち侘びた初夜の、後朝である。女官に朝寝を咎められても痛くも痒くもないが、褥で新妻をあまり追い詰めるのもよくない。
これまで誰とも後朝など過ごしたことはなかったから、この朝のことは後宮に、そして宮廷に広まるだろう。後宮を統括する女官長は、母の女官を務めていた古参の腹心で信頼が置けるが、それでも雀の口に戸は立てられない。
そもそもこの八夜、どの妃も寝殿に呼ばれていないのだ。数代ぶりの后狩りで入宮し、寵愛を独り占めする皇后の噂は、すでに宮廷にも届いているはずだった。──エーヴェルトの企み通りに。
「……くっ」
「ああぁんっ」
男の手の悪戯でぬるぬるに濡れた花芯を、一際鋭く扱き上げながら、しこりを狙って精を放つ。
呆気なくシェルは果て、その瞬間きつくしがみついた腕はゆるやかに解け、ぱたりと敷布に落ちた。
絶頂に軋む花筒を、自らの精で潤す感覚に陶然としながら、エーヴェルトは中を掻き混ぜる──ただし、奥深くまでは暴かぬように。
雄の妙味を味わいながらも、シェルはまだ、それだけでは悦を極められなかった。徐々に開花する様を愛でる愉しみはあるが、青い体には気遣いが必要である。
ただ欲望の捌け口とするために攫ったのではない。
過去を悔い、餓えを満たし、復讐を果たすために、后狩りは行われた。すべての企みの中心に、その身の保護を母から懇願された『ユングリングの御子』がいる。
「誰にも邪魔はさせぬ、今は眠れ」
鋭い快楽に気を失ってしまった后の額に口づけながら、エーヴェルトは自身が治まるまで、狭い花筒の心地好いうねりに酔った。
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