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後朝
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「……エーヴェルト様、怖いのは、……いやです……」
「嫌だと思うことを口にできたのは、よい。これからも躊躇わずにそうしろ。だがこれは、怖いとは言わぬのだ。今のように感じて怖いと思ったら、気持ちいいと声にして教えろ、……よいな」
怖いことへの対処は教えても、嫌なことをやめるとは言わないエーヴェルトに、シェルの顔に哀しげな諦念が広がる。
それでも「はい」と頷く素直さが、その真っ直ぐな献身が、どれほどエーヴェルトの慰めと救いになってきたか。
いつのまにか心の拠り所となり、やがて唯一の伴侶に求めるほどその想いが育ったことを──シェルは知らない。
「これまで仕えさせてばかりだったが、これからはお前の夫が仕えよう。早くこれで、悦を極められるようにな」
「ああっ!」
これと言いながら、中をゆっくりと掻き混ぜると、甘い悲鳴がシェルの口を衝いた。
ぐり、ぐりり、としこりを捏ね回し、しっとりと汗ばんだ太腿を撫で上げれば、びくびくと腰を跳ねさせて「気持ちいい」と囀り始める。
「エーヴェルト様、……あぁ、あ、……アッ!」
「どうだ、こうするのは快いか?」
「よくない、です……気持ちいい、きもちいいですッ」
「ふふ、これが好きなのだな。……っ、そんなに締めるな」
「あう、あ……す、すきでは、……くぅ、うンッ、これ、きもち、いい……きもちいいのは、いや、あっ、……アァン! きもちいい、エーヴェルトさまぁ!」
「可愛いシェル……そのように煽るでない……ッ」
「ああぁぁッ! エ、エーヴェルトさま、おおきく、なさらないでッ、きもちよくて、ヒィッ、……お、おかしく、なりそうです……もう、ァひっ! おゆるしを……!」
悲痛な叫びは、後悔しか呼ばない。
「気持ちいい」と声にしろと、シェルに教えた自分への後悔だ。
決して酷くしてはならない、と自らの獣欲に枷をかけるエーヴェルトの額に汗が浮かぶ。そうして抑えても、男根で花筒をぬくぬくと浅く練られ、しこりを押し上げられてわななくシェルの口から、愛らしい訴えが途切れることはない。
七夜の馴らしもあり、しこりに届くところまではすっかりエーヴェルトに慣れたようだ。夫の形をじっくり感じさせながら、シェルのものを手の中に収める。
昨夜は扱いてやるまでしんなりしていた花芯が、かすかに芯を持ち始めている。無垢だった体が、馴染みつつあるのだ──男に愛される愉悦に。
「早く、俺と同じところまで落ちてこい。俺しか要らぬと思うところまで……」
希う囁きに、花筒がきゅうっと締まる。エーヴェルトの言葉に感じたのか、それとも拒絶か──。
こうして手元に置き、后とした今、どちらでもかまわなかった。
後宮に入れてしまえば、黒猫はもう逃げられず、誰の手も届かない。ただ主人の手と膝、そして日だまりの安寧を覚えさせ、脅かすものは何もないのだと根気よく教えるのみだ。二人、心身を交わらせて愛し合う喜びも、男を受け入れて得る悦楽も。
「嫌だと思うことを口にできたのは、よい。これからも躊躇わずにそうしろ。だがこれは、怖いとは言わぬのだ。今のように感じて怖いと思ったら、気持ちいいと声にして教えろ、……よいな」
怖いことへの対処は教えても、嫌なことをやめるとは言わないエーヴェルトに、シェルの顔に哀しげな諦念が広がる。
それでも「はい」と頷く素直さが、その真っ直ぐな献身が、どれほどエーヴェルトの慰めと救いになってきたか。
いつのまにか心の拠り所となり、やがて唯一の伴侶に求めるほどその想いが育ったことを──シェルは知らない。
「これまで仕えさせてばかりだったが、これからはお前の夫が仕えよう。早くこれで、悦を極められるようにな」
「ああっ!」
これと言いながら、中をゆっくりと掻き混ぜると、甘い悲鳴がシェルの口を衝いた。
ぐり、ぐりり、としこりを捏ね回し、しっとりと汗ばんだ太腿を撫で上げれば、びくびくと腰を跳ねさせて「気持ちいい」と囀り始める。
「エーヴェルト様、……あぁ、あ、……アッ!」
「どうだ、こうするのは快いか?」
「よくない、です……気持ちいい、きもちいいですッ」
「ふふ、これが好きなのだな。……っ、そんなに締めるな」
「あう、あ……す、すきでは、……くぅ、うンッ、これ、きもち、いい……きもちいいのは、いや、あっ、……アァン! きもちいい、エーヴェルトさまぁ!」
「可愛いシェル……そのように煽るでない……ッ」
「ああぁぁッ! エ、エーヴェルトさま、おおきく、なさらないでッ、きもちよくて、ヒィッ、……お、おかしく、なりそうです……もう、ァひっ! おゆるしを……!」
悲痛な叫びは、後悔しか呼ばない。
「気持ちいい」と声にしろと、シェルに教えた自分への後悔だ。
決して酷くしてはならない、と自らの獣欲に枷をかけるエーヴェルトの額に汗が浮かぶ。そうして抑えても、男根で花筒をぬくぬくと浅く練られ、しこりを押し上げられてわななくシェルの口から、愛らしい訴えが途切れることはない。
七夜の馴らしもあり、しこりに届くところまではすっかりエーヴェルトに慣れたようだ。夫の形をじっくり感じさせながら、シェルのものを手の中に収める。
昨夜は扱いてやるまでしんなりしていた花芯が、かすかに芯を持ち始めている。無垢だった体が、馴染みつつあるのだ──男に愛される愉悦に。
「早く、俺と同じところまで落ちてこい。俺しか要らぬと思うところまで……」
希う囁きに、花筒がきゅうっと締まる。エーヴェルトの言葉に感じたのか、それとも拒絶か──。
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