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初夜
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しかし皇帝は、シェルの秘処から顔を上げることなく、しっとりと汗ばんだ太腿を掴むと無慈悲に押し広げた。高い鼻筋に会陰を擦られ、びくっと跳ねる腰を押さえつけると、露わにされた双丘の狭間に吸いつく。
にゅる、とよく知る感触が――生温かくやわらかい、濡れて軟らかな生き物のように蠢くものが、シェルの尻の穴を開いた。
「ひぁっ?!」
悲鳴とともに、知らず目を見開いていた。
下肢に深く埋まった白金の頭が蠢くだけで、何を起こっているのかは見えない。それでも体内を侵す感触に、されていることは明らかだった。
「あッ、あ、……へい、か、へいかっ、おゆるし、を、どうか、おゆるし、をォ……あっ、あぁ、やァッ!」
にゅぐ、ぬちゅ、と尻の中を厚い舌で犯される。指とも張り形ともまるで異なる、やわらかく濡れた肉と肉が、淫靡な音を立てて交わる。
初めての異質な刺激――それなのに、シェルの体は鳥肌を立て戸惑いながらも、従順に受け入れ味わい始める。
心からの忠誠を捧げた相手だからだろうか。それとも、青い体を精通へと導いた人だからなのか。
シェルの体には、主から与えられる感覚を、それがどのようなことでも素直に享受する性質があった。張り裂けそうな心が拒んでも、舌で中を暴かれ、唇で口づけのように入口を吸われれば、それが初めてのことでも悦びと受けとめ、前が切なく疼いてしまう。
(だめだ、だめ……このような……不浄な場所に、陛下がお口をつけられるなど……!)
至高の主に施される不浄の場所への口淫は、シェルを切り裂く禁忌でしかない。
畏怖に押し潰された良心が血を流し、涙となって溢れ出る。それなのに、脆い体は求められるままに拓かれ、浅ましい喘ぎを零しながら濡れていく。
たっぷりと潤ったそこから皇帝が顔を上げた時、シェルは殆ど自失し、声も出せない有り様だった。あまりにも酷い現実を受けとめきれず、心が逃避していたのだ。
眦からこめかみへと伝う涙を口づけで拭われても、シェルは動けなかった。一年前まで、何度も無造作に求められた奉仕のように、この体を性欲処理の道具として扱ってほしい――ただひたすらそう願っていた。
あれほど恐れていた受け身の性交を、今は待ち望んでいる。
(早く、早く御身の欲を、この身で晴らしていただかなければ……)
寒々しく、息をするにも息を潜めなければならないようなユングリングの家から、日の当たる場所へシェルを引き上げてくれた。侍従として側に置き、広い世界を見せてくれた。「自分の生を生きろ」と、救いの言葉を与えてくれた。
恩人でもある、この国で最も高貴な御方が、男の劣情に仕える姿など見たくない。元侍従に過ぎない者の快楽など捨て置いて、かつてのように、欲望に奉仕せよと命じてほしい。
切なる願いは、男を誘う婀娜な眼差しとなって皇帝を捕らえた。シェルにそのつもりはなくても、快楽に艶かしく上気した肌、救いを求め縋るような眼差しは、等しく男を煽るものだ。無垢な者の無意識の媚態は、邪な思いを抱く者を刺激してやまない。
「そろそろ、よさそうか……」
硬い蕾を見事にほころばせた自身の手際に満足しながら、皇帝は身を起こし、豪奢な夜着を脱ぐ。その下は素肌で、シェル同様、寝間着を身に着けてはいない。
にゅる、とよく知る感触が――生温かくやわらかい、濡れて軟らかな生き物のように蠢くものが、シェルの尻の穴を開いた。
「ひぁっ?!」
悲鳴とともに、知らず目を見開いていた。
下肢に深く埋まった白金の頭が蠢くだけで、何を起こっているのかは見えない。それでも体内を侵す感触に、されていることは明らかだった。
「あッ、あ、……へい、か、へいかっ、おゆるし、を、どうか、おゆるし、をォ……あっ、あぁ、やァッ!」
にゅぐ、ぬちゅ、と尻の中を厚い舌で犯される。指とも張り形ともまるで異なる、やわらかく濡れた肉と肉が、淫靡な音を立てて交わる。
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心からの忠誠を捧げた相手だからだろうか。それとも、青い体を精通へと導いた人だからなのか。
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(だめだ、だめ……このような……不浄な場所に、陛下がお口をつけられるなど……!)
至高の主に施される不浄の場所への口淫は、シェルを切り裂く禁忌でしかない。
畏怖に押し潰された良心が血を流し、涙となって溢れ出る。それなのに、脆い体は求められるままに拓かれ、浅ましい喘ぎを零しながら濡れていく。
たっぷりと潤ったそこから皇帝が顔を上げた時、シェルは殆ど自失し、声も出せない有り様だった。あまりにも酷い現実を受けとめきれず、心が逃避していたのだ。
眦からこめかみへと伝う涙を口づけで拭われても、シェルは動けなかった。一年前まで、何度も無造作に求められた奉仕のように、この体を性欲処理の道具として扱ってほしい――ただひたすらそう願っていた。
あれほど恐れていた受け身の性交を、今は待ち望んでいる。
(早く、早く御身の欲を、この身で晴らしていただかなければ……)
寒々しく、息をするにも息を潜めなければならないようなユングリングの家から、日の当たる場所へシェルを引き上げてくれた。侍従として側に置き、広い世界を見せてくれた。「自分の生を生きろ」と、救いの言葉を与えてくれた。
恩人でもある、この国で最も高貴な御方が、男の劣情に仕える姿など見たくない。元侍従に過ぎない者の快楽など捨て置いて、かつてのように、欲望に奉仕せよと命じてほしい。
切なる願いは、男を誘う婀娜な眼差しとなって皇帝を捕らえた。シェルにそのつもりはなくても、快楽に艶かしく上気した肌、救いを求め縋るような眼差しは、等しく男を煽るものだ。無垢な者の無意識の媚態は、邪な思いを抱く者を刺激してやまない。
「そろそろ、よさそうか……」
硬い蕾を見事にほころばせた自身の手際に満足しながら、皇帝は身を起こし、豪奢な夜着を脱ぐ。その下は素肌で、シェル同様、寝間着を身に着けてはいない。
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