234 / 237
19章 ※
17
しおりを挟む
昼間、林の中で見せたのと同じ顔──スパイでも犬でもない、生と死の境に身を置いた、冷徹でありながらも猛々しい闘牛士の顔をして、テオバルドは美しく微笑んだ。──危険なほどに。
「闘牛は、剣で牡牛の大動脈を切断して、一息に殺す。でないと長く苦しませることになるし、そんな下手を打つ残酷な闘牛士は、満場の野次を浴びることになる。俺は失敗したことなどなかったがな」
言いながら膝立ちになり、テオバルドは自身の陰茎を掴むと矛先を志貴に向けた。二度の射精を経て、男としての欲は落ち着いたままの志貴とは異なり、いまだ萎える様子を見せないそれは十分に猛々しい。
絶倫と呼ぶに相応しい恐ろしい眺めに、自身が淡白なせいもあり息を呑む志貴と目を合わせたまま、テオバルドは剣を研磨するように、手にしたものを扱き始めた。
「良い牡牛には高貴さがある。そんな奴は稀にしかいない。だから惚れ込む。これから命のやり取りをすることに、喜びと畏れを感じるような相手だ」
白濁にまみれた幹から、ジュッ、ジュッ、と音が立つほど力強い自慰だ。
勢いづいた手の動きに煽られ、テオバルドの赤黒い雄はさらに充実していく。みるみる硬度と角度を増す様子は雄々しいが、これまで以上に凶悪でもあり、志貴は小さく喉を鳴らした。
テオバルドは、これで獲物を刺し貫くつもりなのだ。
「あんたにもそれがある。初めて会った時から、俺はあんたの高貴さに魅かれた。強く孤高で高貴なところに。──さあ志貴、真実の瞬間だ。あんたの奥も、一息で仕留めてやるよ」
真実の瞬間──闘牛の最後、闘牛士が剣を突き立て、牡牛に止めを刺す瞬間だ。
天を衝くほどに聳り立った欲望を見せつけながら、テオバルドが志貴の脚を掴む。腰から下をひねるように横向きにされ、脚の間に男の体が入り込んだ。二対の松の葉を絡ませるように、互いに下肢を割って交差させる形だ。
制止する間もなくそのまま志貴の左脚を持ち上げて肩に掛け、テオバルドは蕾に当てがった肉の剣をずぶずぶと肉の鞘に収めていく。
「うあ、うぅっ、……ま、待って……っ」
慣れたと思っていたのに、入り込んでくるものの並外れた逞しさに、志貴は喘いだ。
今し方の荒々しい抽挿とは異なり、挿入はなめらかだ。散々擦り上げられた中は十分に開拓され、二度の射精でよく濡れ、痛みは感じない。しかしテオバルドが充実した分、圧迫感が喉まで迫り上がるようだ。
最初で最後の逢瀬だからなのか。これほど昂る肉体も、三度挑もうとする旺盛な情欲にも、正直なところ畏怖を感じる。志貴には覚えのない衝動だ。
しかし、もう何も我慢しなくていいと言った手前、こんな熱烈な求められ方をされて、拒むことはできない。残された時間も限られている。あと一度好きに貪れば、飢えた犬もさすがに腹一杯になるだろう。
「闘牛は、剣で牡牛の大動脈を切断して、一息に殺す。でないと長く苦しませることになるし、そんな下手を打つ残酷な闘牛士は、満場の野次を浴びることになる。俺は失敗したことなどなかったがな」
言いながら膝立ちになり、テオバルドは自身の陰茎を掴むと矛先を志貴に向けた。二度の射精を経て、男としての欲は落ち着いたままの志貴とは異なり、いまだ萎える様子を見せないそれは十分に猛々しい。
絶倫と呼ぶに相応しい恐ろしい眺めに、自身が淡白なせいもあり息を呑む志貴と目を合わせたまま、テオバルドは剣を研磨するように、手にしたものを扱き始めた。
「良い牡牛には高貴さがある。そんな奴は稀にしかいない。だから惚れ込む。これから命のやり取りをすることに、喜びと畏れを感じるような相手だ」
白濁にまみれた幹から、ジュッ、ジュッ、と音が立つほど力強い自慰だ。
勢いづいた手の動きに煽られ、テオバルドの赤黒い雄はさらに充実していく。みるみる硬度と角度を増す様子は雄々しいが、これまで以上に凶悪でもあり、志貴は小さく喉を鳴らした。
テオバルドは、これで獲物を刺し貫くつもりなのだ。
「あんたにもそれがある。初めて会った時から、俺はあんたの高貴さに魅かれた。強く孤高で高貴なところに。──さあ志貴、真実の瞬間だ。あんたの奥も、一息で仕留めてやるよ」
真実の瞬間──闘牛の最後、闘牛士が剣を突き立て、牡牛に止めを刺す瞬間だ。
天を衝くほどに聳り立った欲望を見せつけながら、テオバルドが志貴の脚を掴む。腰から下をひねるように横向きにされ、脚の間に男の体が入り込んだ。二対の松の葉を絡ませるように、互いに下肢を割って交差させる形だ。
制止する間もなくそのまま志貴の左脚を持ち上げて肩に掛け、テオバルドは蕾に当てがった肉の剣をずぶずぶと肉の鞘に収めていく。
「うあ、うぅっ、……ま、待って……っ」
慣れたと思っていたのに、入り込んでくるものの並外れた逞しさに、志貴は喘いだ。
今し方の荒々しい抽挿とは異なり、挿入はなめらかだ。散々擦り上げられた中は十分に開拓され、二度の射精でよく濡れ、痛みは感じない。しかしテオバルドが充実した分、圧迫感が喉まで迫り上がるようだ。
最初で最後の逢瀬だからなのか。これほど昂る肉体も、三度挑もうとする旺盛な情欲にも、正直なところ畏怖を感じる。志貴には覚えのない衝動だ。
しかし、もう何も我慢しなくていいと言った手前、こんな熱烈な求められ方をされて、拒むことはできない。残された時間も限られている。あと一度好きに貪れば、飢えた犬もさすがに腹一杯になるだろう。
21
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。



別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…



【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる