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16章※
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欲しがって欲しがって懇願して初めて、絶頂は与えられる。泣き言は快楽で罰され、酷い形で終わりを引き延ばされるだけだ。
「み、ず……」
酷い渇きに、訴える声も掠れた。
ずっと喘がされているせいで、喉は嗄れ、唇は乾き切っている。潤いを求めて薄く口を開き、唇を舐めようとした時、遠くで鐘の音が鳴り始めた。
十二の鐘――新年の訪れを祝う鐘だ。
「喉が渇いたのか、ちょうどいい」
「は、アゥンッ!」
ぬるぅっ、といきなり男の指が引き抜かれた。
排泄とは異なる、節高な指が体内を滑り出る独特の感触に、ざっと肌が泡立つ。ごつごつとした関節に中の襞を刮げられるのが、たまらなく悦いのだ。
もう何も出ないと思っていた欲望の先端から、わずかな白濁がとろりと漏れ出た。
「あ、あ……ぁ……」
軽い絶頂に、びく、びくっ、と不規則に体が痙攣する。
その様子を、脚を開かせたまま熱い眼差しで見守っていた一洋は、新たな白濁を掬って志貴の尻の狭間に塗り付けると、寝室を出て行った。しばらくして戻ってきたが、水のグラスと葡萄の入った鉢を手にしている。
「ほら、飲め」
「ん……」
抱き起こされ、病人のように口元にグラスを宛てがわれる。流れ込む水の冷たさが火照った体に心地よく、志貴は与えられるままに飲み干した。
しかし、長時間に亘る濃密な行為で心身が飽和しており、葡萄一粒すらも口にする気になれない。一洋が葡萄をつまむ前に、志貴は小さく断った。
「僕はいいよ……今は、何も入らない」
「縁起物はやることに意味があるんだ。食わせてやるから楽にしていろ」
再びベッドに寝かされ、戸惑いながらも快楽の残滓と疲労が心地好く四肢に広がるのに任せる。手足が重く、いまだに快楽に侵された頭もぼんやりして、昼寝をしたのにこのまま眠りに落ちてしまいそうだ。
その前に湯を浴びなければ、と意識を掻き集めようとしていた志貴は、うつ伏せにされたことに気づくのにも時間が掛かり、反応が遅れた。
「……やっ、何ッ?!」
突然冷たい何かが、二人の白濁に濡れた穴に押し当てられたのだ。そのまま圧力が加えられ、その何かはすっかりやわらかくなった穴を丸く拡げると、くぷりと中に吸い込まれていく。
「あぁ、……あっ、……あっ! やめて、兄さんやめてッ!!」
志貴の中を侵しているのは、新年の幸福を願うはずの葡萄だった。それが、二つ、三つと次々に押し込まれる。
丸く冷たい異物に体内を嬲られる異様な感覚に、しっとりと汗に濡れた肌が総毛立つ。逃れたくても、投げ出した脚を、乗り上げた一洋が押さえ込んでいる。志貴は悶えながら、シーツを掻きむしることしかできない。
「五つ……、六つ……、七つ……」
「ひっ、ひぅ……ッ!」
無理に暴れると、奥に入ってしまいそうで怖い。嫌だと叫んだら、はしたなく出してしまいそうで恐ろしい。
生理的な嫌悪感に鳥肌を立てながら、異物に怯え噛み合わない歯を無理矢理噛み締める。突然の暴虐が早く通り過ぎることだけを願い、ただ耐えるしかなかった。
「み、ず……」
酷い渇きに、訴える声も掠れた。
ずっと喘がされているせいで、喉は嗄れ、唇は乾き切っている。潤いを求めて薄く口を開き、唇を舐めようとした時、遠くで鐘の音が鳴り始めた。
十二の鐘――新年の訪れを祝う鐘だ。
「喉が渇いたのか、ちょうどいい」
「は、アゥンッ!」
ぬるぅっ、といきなり男の指が引き抜かれた。
排泄とは異なる、節高な指が体内を滑り出る独特の感触に、ざっと肌が泡立つ。ごつごつとした関節に中の襞を刮げられるのが、たまらなく悦いのだ。
もう何も出ないと思っていた欲望の先端から、わずかな白濁がとろりと漏れ出た。
「あ、あ……ぁ……」
軽い絶頂に、びく、びくっ、と不規則に体が痙攣する。
その様子を、脚を開かせたまま熱い眼差しで見守っていた一洋は、新たな白濁を掬って志貴の尻の狭間に塗り付けると、寝室を出て行った。しばらくして戻ってきたが、水のグラスと葡萄の入った鉢を手にしている。
「ほら、飲め」
「ん……」
抱き起こされ、病人のように口元にグラスを宛てがわれる。流れ込む水の冷たさが火照った体に心地よく、志貴は与えられるままに飲み干した。
しかし、長時間に亘る濃密な行為で心身が飽和しており、葡萄一粒すらも口にする気になれない。一洋が葡萄をつまむ前に、志貴は小さく断った。
「僕はいいよ……今は、何も入らない」
「縁起物はやることに意味があるんだ。食わせてやるから楽にしていろ」
再びベッドに寝かされ、戸惑いながらも快楽の残滓と疲労が心地好く四肢に広がるのに任せる。手足が重く、いまだに快楽に侵された頭もぼんやりして、昼寝をしたのにこのまま眠りに落ちてしまいそうだ。
その前に湯を浴びなければ、と意識を掻き集めようとしていた志貴は、うつ伏せにされたことに気づくのにも時間が掛かり、反応が遅れた。
「……やっ、何ッ?!」
突然冷たい何かが、二人の白濁に濡れた穴に押し当てられたのだ。そのまま圧力が加えられ、その何かはすっかりやわらかくなった穴を丸く拡げると、くぷりと中に吸い込まれていく。
「あぁ、……あっ、……あっ! やめて、兄さんやめてッ!!」
志貴の中を侵しているのは、新年の幸福を願うはずの葡萄だった。それが、二つ、三つと次々に押し込まれる。
丸く冷たい異物に体内を嬲られる異様な感覚に、しっとりと汗に濡れた肌が総毛立つ。逃れたくても、投げ出した脚を、乗り上げた一洋が押さえ込んでいる。志貴は悶えながら、シーツを掻きむしることしかできない。
「五つ……、六つ……、七つ……」
「ひっ、ひぅ……ッ!」
無理に暴れると、奥に入ってしまいそうで怖い。嫌だと叫んだら、はしたなく出してしまいそうで恐ろしい。
生理的な嫌悪感に鳥肌を立てながら、異物に怯え噛み合わない歯を無理矢理噛み締める。突然の暴虐が早く通り過ぎることだけを願い、ただ耐えるしかなかった。
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