トゥモロウ・スピーチ

音羽夏生

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10章 ※

15

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(あ、あ、そんな、奥まで……)

 一洋の精液が、志貴の奥で温まり、慄く粘膜の動きにぬちくちと泡立つ。意志あるもののように体内で蠢き、息づいている。志貴という生き物の生が、侵蝕されていくような気がする――一洋という男の、力強い生に。

「……あっ、あぁあ……はぅっ、あぅあぁ……」

 久しぶりの手淫と異常な状況――身代わりにされ、幼馴染の精で体内を濡らされる倒錯的な行為に溺れてゆく。
 嫌なのに拒めない。拒んではいけないという思いが、熱い粘膜の淫靡な動きとなり、男の指を内に留めようと絡みつく。そうすることで感じる場所に指先を導くことになり、あの馴染みのある感覚が押し寄せるのだ。
 前に触れられることのないまま吐精してしまう、男としてあるまじき、はしたない絶頂が。

「あっ、あ、……ひっ、はぁんっ!」
「……お前を、俺の欲に塗れさせるつもりはなかった。穢すつもりは……」

 呟きは苦く掠れていたが、志貴の腰が絶頂に頽れても、一洋の手が止まることはなかった。
 中の刺激だけでさらに何度も絶頂を迎え、一月ぶりに注がれた溢れんばかりの快楽に、志貴の意識は囚われ、溺れていく。ひくひくと悶え、咥え込んだ指を食い締める淫らな穴と尻肉に向けて、強い男の精が二度、三度と、繰り返し浴びせられる。

「ふあっ、はっ、……ぁああぅ――……」

 快楽に堕ち、虚ろな目をした志貴の瞼が耐えかねたように落ちる。脱力しきった体から男の指がようやく抜かれても、後孔は小さく開閉しながら、たっぷりと含まされた白濁をくぷくぷとにじませていた。
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