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10章 ※
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しおりを挟む「離して!」
「出したかったら、早く俺を達かせてくれ」
志貴の欲望を封じながら、残った手で一洋が志貴の手の動きを導く。解放されたい一心で、一洋が強く握らなくても、志貴の手は強く速く、二人を絶頂へ追い立てようとする。
「イチ兄さん、お願いだから、早く達って……!」
「……ふっ、堪え性がないな、志貴は」
からかうように、時折男の指の輪が緩まり、とぷ、とぷと透明な雫が溢れる。この状況で一人先に達してしまっては、奉仕を言い出した立場がない。そう思い懸命に射精を堪えるが、追い詰められ衝動に身を任せそうになると、再びきつく欲望を縛められる。何度もその甘い辛苦を繰り返される。
一洋よりも先走りを零し、二人をしとどに濡らしながら、志貴は懸命に手を動かす。それだけではなく、感じる裏側を擦り合わせるように、自然と腰を動かしていた。それに気づいた一洋も、擦れ合う面積が増えるようにタイミングをずらして腰を突き上げる。
初めて味わう快感に耐えきれず、志貴は悲鳴のように懇願した。
「兄さん、もう、達かせて……っ!」
「――達けっ」
低く呻くように一洋が命じ、くびれを締め上げていた指の輪が解かれる。もう一秒も堪えられず、白濁を吐き出した志貴の欲望は、数瞬ののちに噴き上がった一洋の精に塗れ、白く濡れそぼった。
一洋とほぼ同時、しかも見せ合いながらという異常な射精は、一月ぶりということもあり、凄まじい快感をもたらした。そして散々焦らされた分、いつになく体力も削られていた。全力疾走した後のように、呼吸が激しく乱れておさまらない。
(兄さんの奥さんになる人、大変かもしれない……)
あまり呆気ないのも物足りないだろうが、これほど大きなものと、頂を堪えて愉悦を引き伸ばす強さは、受け入れる側には、悦びとともに負担になりかねない。
いつか妻になる人に密かに同情しつつ、目を伏せながらベッドを出ようとした志貴を、一洋が引きとめた。
「もう一度、いいか」
「……いい、けど」
見なかったことにしてやり過ごそうとしたのに、引き戻される。一洋の欲望は、一度の放出では少しも治まらず、硬いままだったのだ。
それでは眠れるはずもないだろうが、まったく萎えていないそれに、志貴はいささか畏れを感じていた。いつもはもう出なくなるまで、何度も無理矢理搾り取られるが、志貴はそもそも淡白な方で、自身のそれはすっかり落ち着いている。それなのに、同じ刺激を受けて達した一洋は、まるで足りないと主張しているのだ。
雄としての強さを見せつけられているようで、何となく、自分が下の――食物連鎖で言えば食われる側の生き物に思えてしまう。
「また、扱いたらいいの……?」
「今度は手じゃなくて、ここを貸してくれ」
そう言いながら、一洋は脱いだ寝間着をシーツに敷いて志貴をうつ伏せに寝かせる。そして自身を握ると、尻の狭間に押し付けた。
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