115 / 237
10章 ※
11
しおりを挟む「離して!」
「出したかったら、早く俺を達かせてくれ」
志貴の欲望を封じながら、残った手で一洋が志貴の手の動きを導く。解放されたい一心で、一洋が強く握らなくても、志貴の手は強く速く、二人を絶頂へ追い立てようとする。
「イチ兄さん、お願いだから、早く達って……!」
「……ふっ、堪え性がないな、志貴は」
からかうように、時折男の指の輪が緩まり、とぷ、とぷと透明な雫が溢れる。この状況で一人先に達してしまっては、奉仕を言い出した立場がない。そう思い懸命に射精を堪えるが、追い詰められ衝動に身を任せそうになると、再びきつく欲望を縛められる。何度もその甘い辛苦を繰り返される。
一洋よりも先走りを零し、二人をしとどに濡らしながら、志貴は懸命に手を動かす。それだけではなく、感じる裏側を擦り合わせるように、自然と腰を動かしていた。それに気づいた一洋も、擦れ合う面積が増えるようにタイミングをずらして腰を突き上げる。
初めて味わう快感に耐えきれず、志貴は悲鳴のように懇願した。
「兄さん、もう、達かせて……っ!」
「――達けっ」
低く呻くように一洋が命じ、くびれを締め上げていた指の輪が解かれる。もう一秒も堪えられず、白濁を吐き出した志貴の欲望は、数瞬ののちに噴き上がった一洋の精に塗れ、白く濡れそぼった。
一洋とほぼ同時、しかも見せ合いながらという異常な射精は、一月ぶりということもあり、凄まじい快感をもたらした。そして散々焦らされた分、いつになく体力も削られていた。全力疾走した後のように、呼吸が激しく乱れておさまらない。
(兄さんの奥さんになる人、大変かもしれない……)
あまり呆気ないのも物足りないだろうが、これほど大きなものと、頂を堪えて愉悦を引き伸ばす強さは、受け入れる側には、悦びとともに負担になりかねない。
いつか妻になる人に密かに同情しつつ、目を伏せながらベッドを出ようとした志貴を、一洋が引きとめた。
「もう一度、いいか」
「……いい、けど」
見なかったことにしてやり過ごそうとしたのに、引き戻される。一洋の欲望は、一度の放出では少しも治まらず、硬いままだったのだ。
それでは眠れるはずもないだろうが、まったく萎えていないそれに、志貴はいささか畏れを感じていた。いつもはもう出なくなるまで、何度も無理矢理搾り取られるが、志貴はそもそも淡白な方で、自身のそれはすっかり落ち着いている。それなのに、同じ刺激を受けて達した一洋は、まるで足りないと主張しているのだ。
雄としての強さを見せつけられているようで、何となく、自分が下の――食物連鎖で言えば食われる側の生き物に思えてしまう。
「また、扱いたらいいの……?」
「今度は手じゃなくて、ここを貸してくれ」
そう言いながら、一洋は脱いだ寝間着をシーツに敷いて志貴をうつ伏せに寝かせる。そして自身を握ると、尻の狭間に押し付けた。
21
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる