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9章 ※
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抗議の声を無視した一洋は、浴室の椅子に志貴を座らせるとシャワーの水栓を捻った。水が湯に変わり、浴槽へ移された志貴はなすがままだ。一洋が指摘した通り、立ち上がろうとする腰がふらついてしまい、助けがなければちょっとした移動すらも覚束ない。
それをいいことに、男は念入りな意趣返しを行った。新たに手に入れた「助平」の称号に相応しい行為を、その授与者に与えたのだ。
一洋の手で隅々まで体を洗われた志貴は、節高な男の指が再び後孔に潜り込み、あの恐ろしい場所を刺激しても、逃れる術を持たなかった。そして男は、昨夜より執拗に、さらに堕ちることを強いたのだ。
「やだっ、いやだ、そんなところ、――いやぁあ!」
「嫌がってばかりいないで、ちゃんと覚えろ」
叱咤の声とともに一洋に手首を掴まれ、また少し押し込まれる――自分の指を、自分の後孔に。
文官である志貴のほっそりと滑らかな指に、武官の硬く太い指が寄り添い、淫らな穴を貫いている。抜こうとしても手首を握られていて動かせず、また逆らった罰として指先で快楽の源泉を強く押され、志貴は悲鳴を上げてのけぞった。昨夜意識を失うまで嬲られ続けたそこは、そのせいで感度を上げてしまっているらしく、指が掠めただけでじわりと前が実っていく。
「ここが前立腺、お前のいいところだ。こうして指先で押してみろ」
「――ひいっ、やっ、そこ、さわらないでっ」
「嫌がっても、お前が触って覚えるまで、俺が可愛がるだけだぞ」
「やだぁ、さわりたくないっ、……ぬいて、ゆび、ぬいてっ……あうぁ、――アッ!」
「そんなに俺の指を気に入ってくれたのはうれしいが、自分でできるようになるまで続けるからな」
「……――ひぁあ、ぁあっ、くぅ……あ、あぁうっ、……はっ、ぁあん……」
白い湯気がもうもうと立ち上る中、掠れた悲鳴が浴室に絶え間なく響き、浴びせられる甘い責め苦と熱い湯に、志貴の意識も朦朧としてくる。浴槽に膝をつき、左手でその縁に縋り、右手で自身を暴く姿がどれほど卑猥なのか、認識する余裕もない。
「そうだ、ここがお前をよくしてくれる場所だ」
「あ、あ、アッ、……やだっ、そんなに、おしちゃやだぁ!」
「俺は動かしてない。――いい子だな、もう気持ちよくなるやり方を見つけたか」
自身の体内の熱さを、志貴は知った。絡み付く粘膜が、侵入した物に媚びるように懐き、押し包んでくる感触を知った。そして自身の指の硬さと、快楽の源泉が潜む場所も。
「――は、あぁあっ」
怯える指先を許さず、男の太い指は志貴を唆す。脆い場所を二本の指に強く刺激された体は堪えきれずに、水っぽい体液をたらりとわずかに吐き出した。それが薄い精液だったのか、噴き出すには足りない潮だったのか、志貴にはもうわからない。欲望の残滓も、溢れる涙も、開きっぱなしの口元から滴る唾液も、頭上のシャワーがすべて洗い流していく。
「くう、ぅうっ」
後孔から手首ごと指を引き抜かれ、その刺激に甘えた呻き声が洩れた。脱力し浴槽にうずくまりそうになった体を後ろから一洋が支え、耳元で囁いてくる。
それをいいことに、男は念入りな意趣返しを行った。新たに手に入れた「助平」の称号に相応しい行為を、その授与者に与えたのだ。
一洋の手で隅々まで体を洗われた志貴は、節高な男の指が再び後孔に潜り込み、あの恐ろしい場所を刺激しても、逃れる術を持たなかった。そして男は、昨夜より執拗に、さらに堕ちることを強いたのだ。
「やだっ、いやだ、そんなところ、――いやぁあ!」
「嫌がってばかりいないで、ちゃんと覚えろ」
叱咤の声とともに一洋に手首を掴まれ、また少し押し込まれる――自分の指を、自分の後孔に。
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「ここが前立腺、お前のいいところだ。こうして指先で押してみろ」
「――ひいっ、やっ、そこ、さわらないでっ」
「嫌がっても、お前が触って覚えるまで、俺が可愛がるだけだぞ」
「やだぁ、さわりたくないっ、……ぬいて、ゆび、ぬいてっ……あうぁ、――アッ!」
「そんなに俺の指を気に入ってくれたのはうれしいが、自分でできるようになるまで続けるからな」
「……――ひぁあ、ぁあっ、くぅ……あ、あぁうっ、……はっ、ぁあん……」
白い湯気がもうもうと立ち上る中、掠れた悲鳴が浴室に絶え間なく響き、浴びせられる甘い責め苦と熱い湯に、志貴の意識も朦朧としてくる。浴槽に膝をつき、左手でその縁に縋り、右手で自身を暴く姿がどれほど卑猥なのか、認識する余裕もない。
「そうだ、ここがお前をよくしてくれる場所だ」
「あ、あ、アッ、……やだっ、そんなに、おしちゃやだぁ!」
「俺は動かしてない。――いい子だな、もう気持ちよくなるやり方を見つけたか」
自身の体内の熱さを、志貴は知った。絡み付く粘膜が、侵入した物に媚びるように懐き、押し包んでくる感触を知った。そして自身の指の硬さと、快楽の源泉が潜む場所も。
「――は、あぁあっ」
怯える指先を許さず、男の太い指は志貴を唆す。脆い場所を二本の指に強く刺激された体は堪えきれずに、水っぽい体液をたらりとわずかに吐き出した。それが薄い精液だったのか、噴き出すには足りない潮だったのか、志貴にはもうわからない。欲望の残滓も、溢れる涙も、開きっぱなしの口元から滴る唾液も、頭上のシャワーがすべて洗い流していく。
「くう、ぅうっ」
後孔から手首ごと指を引き抜かれ、その刺激に甘えた呻き声が洩れた。脱力し浴槽にうずくまりそうになった体を後ろから一洋が支え、耳元で囁いてくる。
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