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1章 出会いです?
1 . 今の状況は
しおりを挟む周囲を見回して確信した。ここは異世界だと。それは何故か。見たこともない形と色をした植物の数々、そして遠くから見てもわかる巨大な動物らしき影。そして極め付けは周囲を飛び回っている精霊らしき存在。
さすが異世界系が大好きな現代っ子は状況把握が早い。さらに桜は気づきたくない事にまで気づいてしまった。それは視線が低いこと。手足を見ても小さい。どう見ても幼児の手足になっている。どうなっているのかと自分の手を眺めていたら文字が現れた。
ーーロゼリア(旧:神影 桜)
ジョブ:慧眼師
スキル:神眼 ∞
料理
家事
錬金
幸運
これはいわゆるステータスというものだろうと桜は思った。しかし現れたのは名前とジョブとスキルだけ。ジョブの慧眼師というのは鑑定系だろう。まぁ、それはいいとする。神眼も無視する。ついでに∞も。全然よくないが無視する。それよりもスキルがおかしい。日本での生活が反映されてると考えれば家事関連はまだわかる。だが【幸運】とはスキルに入るのだろうか。自分のステータスを見てスキルというものがわからなくなった。
そして最大の問題点。それは何と言っても名前が変わっていることだろう。名前と身長の衝撃が強すぎてジョブもスキルも若干流してしまった桜だった。
突然ぐぅ~とお腹がなった。当然桜のお腹の虫だ。
「お腹減った」
人間どんな状況でもお腹は空くらしい。頭の中は混乱中だが桜はとりあえず水源と食べ物を探すことにした。生きていくのに食事は大事である。とりあえず周囲を確認しながら歩き出した。
「水源ってどこにあるんだろう?木の実とかはあったんだけど。」
何か食べるものはないかとキョロキョロしながら歩いていたら神眼が働いた。視界の端に入るだけで食べれるかを教えてくれた。
ーーアポの実
赤い実。甘くて美味しい。手に入れやす
く世界中で食べられている。
地球でいう林檎と同じ。
という風に味まで教えてくれる。さすがである。そんな事を繰り返しているうちに桜はハッとした。気付いてしまったのだ。この森自体を鑑定できないのかと。そして森をじっと見つめた。
ーーガーディナルの森
ガーディナル侯爵領にある森。侯爵家の
隣にあり家屋と隣接している。
下の図が地図。
「できた。なんでもっと早く気づかなかったんだろう。しかも地図まで出てきた……」
よく見てみると現在地が点滅で表示されているというサービスぶりだ。そして現在地はガーディナル家の家屋に近いところにいる。つまり、もう少し歩けば人に会えるという事だ。希望が見えてきたと思っていたかった。
「ワフッ」
人間不信気味の桜だが、取り敢えず現地人と会えないことには何も出来ないと思っていた。そのためやっと人に会えると鑑定に夢中になり過ぎて巨大動物が接近している事に気付けなかった。
ーージャピュータ 特異種
ジャピュータの特異種で本来の黒い毛皮
ではなく白銀色の毛皮が特徴
サイズも意思によって変えることができる
現在は最も普通とされているサイズ
人化も出来る
敵意なし
いくら敵意がないと分かっていても桜は逃げたかった。全力で。だって見た目はネコ科の獰猛なサバンナとかにいるあれなのだ。一歩下がれば一歩近づいてくる、また一歩下がれば一歩近づいてくる。それの繰り返しだ。襲われはしない。たが、怖いものは怖い。
恐る恐る桜は話しかけてみることにした。
「どうしたの?」
《どうしたのはこちらのセリフだ。何故こんなところにいるんだ。》
声が帰ってきたことに驚いた顔をした。
「えっと、会話できるのって普通じゃないよね?」
《普通な訳ないだろう。で、どうしたんだ?》
「えーっとよくわかんないんだけど、気付いたらここにいたの。多分異世界からきたと思うんだけど……」
《異世界か……。取り敢えず名は何と言うんだ?それからもう少しお前のことを教えてくれ。》
難しそうな顔をしながらそう言ってきた。
「名前はロゼリアって言うの。前世?って言うのかなその時は桜って名前だった。あと、歳も19歳だったの。そうだ!今何歳ぐらいに見える?それからあなたの名前も教えて。」
《我の名はローランドという。外見だけならそうだな10歳くらいだろうか。こうやって話をするとお前の言った19歳くらいでもおかしくはないと思えるがな。》
人間不信はどうしたんだと言いたくなるくらいずっと話していた一人と一匹?だった。
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