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第四十話 花束(2)
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「……本数は別に良いじゃないですか」
弱々しく彼が答えている。私には、薔薇の数を聞いた理由が分からなかったが、彼女の声が冷たい理由は分かっていた。そして、それが自分のせいだということも。
「お気持ちは本当に嬉しいんです。私なんかには身に余る光栄です。でも、やっぱり私は……」
彼女が言い切る前に、彼は彼女を抱きしめた。花束がゆっくりと落ちて、揺れるように跳ねる薔薇の香りがした。
「ちょっと!困ります!」
「お願いです!もう苦しまないで欲しいんです。僕があなたを幸せにしますから。一緒に彼を探しに行っても良い、あなたがしたいようにして良いから。どうか、僕にチャンスを下さい」
鏡越しに見える彼の顔は酷く辛そうだった。彼女は両手を地面に向けて広げたまま、身をよじらせている。私は、強く目を瞑って椅子から立ち上がった。
「止めて下さい!警察呼びますよ!」
自分の声が頭に反響している。立ち眩みと緊張で目眩が回るなか、驚く彼を睨み続けた。
弱々しく彼が答えている。私には、薔薇の数を聞いた理由が分からなかったが、彼女の声が冷たい理由は分かっていた。そして、それが自分のせいだということも。
「お気持ちは本当に嬉しいんです。私なんかには身に余る光栄です。でも、やっぱり私は……」
彼女が言い切る前に、彼は彼女を抱きしめた。花束がゆっくりと落ちて、揺れるように跳ねる薔薇の香りがした。
「ちょっと!困ります!」
「お願いです!もう苦しまないで欲しいんです。僕があなたを幸せにしますから。一緒に彼を探しに行っても良い、あなたがしたいようにして良いから。どうか、僕にチャンスを下さい」
鏡越しに見える彼の顔は酷く辛そうだった。彼女は両手を地面に向けて広げたまま、身をよじらせている。私は、強く目を瞑って椅子から立ち上がった。
「止めて下さい!警察呼びますよ!」
自分の声が頭に反響している。立ち眩みと緊張で目眩が回るなか、驚く彼を睨み続けた。
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