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終幕後02 伯爵夫人ブリトニーの流儀
04. リプセット商会 2
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「これは……?」
「色が薄すぎるが、それ以外は問題無いから仕入れてきたらしい。少し小さいが、透明度が高いし輝きがいいだろう?」
確かに耳飾りにするにしても流行よりは小さい。しかし充分に大きいし、何より美しい。ブリトニーには似合わない可愛らしい色であるが。
「ねえ、これを私に預けない? 二か月後の新年会に合わせた、ティナ用の耳飾りなんてどうかしら?」
妹のティナは姉と違って温厚で春の陽射しを思わせる優しい雰囲気の女性だ。強い赤の石よりも、むしろ薄紅色の方が似合うだろう。
「ああ、ティナには良いな。大きな石は重くて疲れると言っていたし、加工するには良いかもしれない」
「それと同じ色のこの石は首飾りに良さそうよ」
一回り大きな石を選んでニコラスの前に持ってくる。
「確かに合うな」
「だったら、加工賃分、値下げしてくれないかしら? 机に乗っている分、全て一か月の間、抑えさせて頂戴」
「一か月もか! 荷の半分だぞ!?」
「今の流行は翠玉でしょう。一月くらい寝かせても問題ないはずよ。それに荷の半分と言っても、新しい産地で買い付けた分の半分でしょう? 今までの産地のものがあるのではなくて?」
「……」
図星だった。目玉となる商品ではあるし、それなりに高額ではあるが、一月ほど置いておいても問題ないくらいにはリプセット商会は大きく、融通はきかせられる。
「……わかった。でも一か月だけだぞ、一日でも過ぎたら売り飛ばすからな」
ニコラスが折れて商談は次にブリトニーが訪れるまで一時中断になった。
とはいえ今回はブリトニーが勝つ形で取引が終了しそうな雰囲気だ。
一月よりも十日ほど早く、ブリトニーはリプセット商会を再訪した。
「こんな感じでいかがかしら?」
そう言って差し出したのは、見事としか言えないような細工を施された出来立ての宝飾品だった。
ニコラスから預かった大き目の石は全て使い切った贅沢な逸品に仕上がっている。石こそ大振りだが、それ以外は繊細で、重量を抑えながら豪華さを醸し出している。
妹のティナが重いのは疲れて嫌だと言っていたのを、反映させたのだ。
耳飾りには小さな真珠を追加し、上品だが、頭を動かせば小さく揺れ動く可愛らしさも持ち合わせたものにしてある。首飾りは正面もだが、後ろの留め具隠しの飾りを大きめに作り花の意匠にしてある。中央に少し暗すぎる赤を、花弁に金剛石を使った豪華なものだった。
「相変わらず素晴らしいものを作るな。君の所の職人は。ところでこの真珠は?」
「私の手持ちのものを使ったわ。留め具にしては大きいけれど、柔らかな雰囲気が素敵でしょう?」
「トニーの言う通りだ。絶対に似合うな、コレは」
ニコラスの敗北宣言だった。
最終的に一月前に机に乗った全ての紅玉は指二本分ほどの金貨で購入でき、帰る時のブリトニーはホクホク顔だった。
だが真珠だけでなく金剛石も持ち出しだったので、さほど強欲な取引ではなく、当初より少し値引きされた程度の金額ではあった。
「色が薄すぎるが、それ以外は問題無いから仕入れてきたらしい。少し小さいが、透明度が高いし輝きがいいだろう?」
確かに耳飾りにするにしても流行よりは小さい。しかし充分に大きいし、何より美しい。ブリトニーには似合わない可愛らしい色であるが。
「ねえ、これを私に預けない? 二か月後の新年会に合わせた、ティナ用の耳飾りなんてどうかしら?」
妹のティナは姉と違って温厚で春の陽射しを思わせる優しい雰囲気の女性だ。強い赤の石よりも、むしろ薄紅色の方が似合うだろう。
「ああ、ティナには良いな。大きな石は重くて疲れると言っていたし、加工するには良いかもしれない」
「それと同じ色のこの石は首飾りに良さそうよ」
一回り大きな石を選んでニコラスの前に持ってくる。
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「だったら、加工賃分、値下げしてくれないかしら? 机に乗っている分、全て一か月の間、抑えさせて頂戴」
「一か月もか! 荷の半分だぞ!?」
「今の流行は翠玉でしょう。一月くらい寝かせても問題ないはずよ。それに荷の半分と言っても、新しい産地で買い付けた分の半分でしょう? 今までの産地のものがあるのではなくて?」
「……」
図星だった。目玉となる商品ではあるし、それなりに高額ではあるが、一月ほど置いておいても問題ないくらいにはリプセット商会は大きく、融通はきかせられる。
「……わかった。でも一か月だけだぞ、一日でも過ぎたら売り飛ばすからな」
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とはいえ今回はブリトニーが勝つ形で取引が終了しそうな雰囲気だ。
一月よりも十日ほど早く、ブリトニーはリプセット商会を再訪した。
「こんな感じでいかがかしら?」
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耳飾りには小さな真珠を追加し、上品だが、頭を動かせば小さく揺れ動く可愛らしさも持ち合わせたものにしてある。首飾りは正面もだが、後ろの留め具隠しの飾りを大きめに作り花の意匠にしてある。中央に少し暗すぎる赤を、花弁に金剛石を使った豪華なものだった。
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「トニーの言う通りだ。絶対に似合うな、コレは」
ニコラスの敗北宣言だった。
最終的に一月前に机に乗った全ての紅玉は指二本分ほどの金貨で購入でき、帰る時のブリトニーはホクホク顔だった。
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