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「お前には…笑ってて欲しいんだ、ずっと」
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慶の体をベッドに倒す。
早く繋がりたくて焦ってるけど、そこは落ち着いて優しく…。
「侑利くん…」
見下ろす俺に腕を伸ばして首元に絡ませ、力を込めて自分の方へ引っ張り寄せる。
「…っ、」
ドサッと、倒れ込んだ。
慶にぶつからない様に咄嗟に避けたけど…
「お前、あぶね、」
俺の文句には全く動じず、慶はくるりと俺と体勢を入れ替えて……俺の上に被さって来た。
今度は慶に見下ろされる。
「…侑利くんが……真由さんを引っ張って抱きしめたの見た時………心臓止まるかと思った…」
……そこな。
一番気になってるとこだろうな…。
それが原因で、随分泣かせてしまった。
「……キス…してって言われた」
「…え…?」
「真由に」
慶の顔が一瞬で曇る。
「でも……それは出来ねぇって言った」
揺らぐ視線を俺に向ける。
「俺には大事な奴がいて、そいつを悲しませたくないって」
結局……悲しませたんだけど……
「もう来ないって。だから最後に…抱きしめて欲しいって言われた」
「…最後…?」
「…真由も、揺らいでたんだろうけど……やっぱり…真由には旦那が必要でさ、進まなきゃいけねぇって思ったんだと思う」
慶は困った様な顔をして俺を見る。
「俺は……サヨナラのつもりで、真由が言う通りにした…」
「………うん…」
どんな気持ちで俺の言葉を聞いてるのか……
複雑だよな…きっと……
「だけど……それを見たら……嫌だよな」
「………ん、」
「…ごめんな……ほんとに、悪かった」
慶は、ううん、と首を振ってくれる。
色々言いたい事はあるだろう……
「……傷付けるつもりは無かった……俺は…お前しか考えらんねぇし……真由とは、もう会う事も無ぇなって思ったし。………………お前が帰って来なくて……頭が真っ白になった」
慶の体を隣へ倒し、もう一度、俺が上になる。
「侑利くんが……また…真由さんの事好きになったのかも、って思った……真由さん…すごくキレイだし…小さくて可愛くて……侑利くんと似合ってたから………2人から急いで逃げたら………侑利くんからのLINEとか電話とか……全部に自信が無くなっちゃって………今頃、2人でどっか行ってるかも、とか…思って……」
慶はネガティブだから……そういうの一気に悪い方向へ考えそうだもんな…
「…偶然…奏太さん達に会って………甘えちゃった……」
奏太はお前の事大好きだからな…そんなとこで1人泣いてるお前見付けたら、放っとける訳ねぇよ。
「侑利くんの事……信じたいって思ったけど………侑利くんから…真由さんを抱きしめたから……動揺しちゃって………やっぱり……すごく好きだった元カノには勝てないな…って思っちゃった…」
ネガティブなお前の気分が落ちるには、充分すぎる事件だよな、それは。
「お前が…帰って来ねぇなんて思って無かった」
「…うん…」
「だからすげぇ……お前の事、傷付けたんだって思って……反省した」
反省する以外にする事無かったしな、マジで。
「俺…お前が居ねぇとマジでダメだった。…仕事はミスるし、ボーッとしてばっかだし、全く寝れねぇし…」
「……侑利くん…」
慶が俺を抱きしめる。
「…侑利くんが…すごく……大事に思ってくれてるんだって伝わるよ」
それは俺にも……伝わってる。
「相手が元カノだからどうとか、女だからとか、可愛いとかキレイとか……そんなんじゃねぇんだ…」
「…侑利くん…」
慶が俺の肩口に顔を埋める。
きっとまた泣いてる……近距離過ぎて見えないけど、そう思う。
「そんなんで…俺は揺らいだりしねぇ……そうじゃなくて…俺は…どうしても、お前じゃねぇとダメなんだ……お前が良い……お前しかダメだ」
こんな恥ずかしいセリフ、言った事ねぇわ……
だけど、お前にはこんなのいくらでもサラッと言えるんだ…。
「お前の事が好きすぎて、どうしようもねぇ。……離れんな…もう、絶対」
うん、と言おうとしてた慶の唇を、それより先に塞ぐ。
もう言う事は言った。
俺の強すぎる愛も伝わっただろう…。
後は……とにかく、慶に触りたい…。
慶の唇をやんわりと噛むと、少し遠慮がちに口を開く。
その少しの隙間から、舌を進入させ慶の口内を確かめるように深いキスをした。
「……ん、……っ……ぅ…」
少し苦しそうに……でも、熱を持った声が時々漏れるけど、それに構わず、冒すように口内を貪る。
俺の首に回った腕の力が時折強くなるのが分かる。
舌先で唇をなぞる様に上下共に舐め上げ、そのままキスを耳へと移すと…慶が軽く身を捩る。
耳は弱いって分かってる。
「あ、…っ、んん……や…」
何か……すげぇ長い事、そういう声聞いて無かったような気になる。
お前と離れてるのって……やっぱ俺にはダメだ。
耳の形に添って舌を這わせ、柔らかい耳朶に吸い付く様にキスをする。
俺の首元に掛かってた慶の手はいつの間にか俺の髪を緩く掴んでる。
好きで仕方ない。
もう、依存症って言葉でも追い付かねぇ…。
瞼、鼻先、頬、顎、首筋、全てにキスを落としながら少しずつ下へずれる俺に、抵抗する事なく甘い声を出してくれる慶は、ほんとに色気があって……俺は、またハマる。
慶の着てる服を脱がせると、少し恥ずかしそうに引っ張り寄せた毛布を、俺ごと包み込むようにフワッと掛ける。
「…寒い?」
「…ううん…」
首を振った後、小さな声で「恥ずかしい」と言った。
今更じゃん、って思うけど……あんな事があって…元に戻って……慶の性格上、少し、そういう風に思うんだろう…って理解出来る。
そんな様子が俺には当たり前の様に可愛い。
舌先で、胸を愛撫する。
軽く吸い上げると、慶がじれったそうに声を漏らす。
「あ、…あっ、んん……侑利くん……あ、」
強く舌先で押し付けたり、唇で挟んだりしながら執拗に舐め上げると、慶は俺の髪を乱しながら喘ぐ。
キレイでしなやかな慶の体が、喘ぎに合わせて小さく揺れて、次第に熱を帯びて来るのが分かる。
慶自身ももうだいぶ硬さを持ってて、押さえつける衣服から解放してやるべく慶のスウェットのズボンと下着を一気に脱がす。
細くて長い足を捩ってモジモジしてるけど、それ可愛いだけだからな…。
俺ももう、とにかく限界スレスレのとこだ。
慶が恥ずかしいと言ってかけた毛布を取っ払って、俺も衣服を全部脱いだ。
「……カッコ良すぎ…」
毛布が無くなって開けた視界で、マジマジと下から見上げられてうっとりした感じでそう言われると……何か俺もちょっと恥ずいけど……
「そうか、なら良かった」
お前にカッコ良いって言われたら、シチュエーションはどうあれ嫌な気は皆無だしさ…。
「あっ、ん、」
前触れも無く慶の中心に触ると、慶が少し高いトーンの声を上げる。
「やだ…ぁ、あ…んっ、…あっ、」
やんわりと根元まで握り込む。
「…気持ち良い?」
こんな事、あんまり聞いてみた事無いけど……
「……やだ…」
ふるふると首を振る慶が可愛くて、言わせたくなった。
「やなの?」
「…やぁ…だ…」
やな感じには見えねぇけどな、お前のその表情。
「じゃ、止める」
「やだ、やだ…」
どっちだよ。
「止めないで……」
恥ずかしそうな目で俺を見てんのがたまんねぇ。
「…何で?」
「え……」
握った手をゆっくりと上下させる。
「あっ、…やっ、…あぁ、んっ、……んんっ、…」
少しずつ勢いを増して行く。
先端から零れ出して来た液体を慶自身に塗り付ける様に扱く。
喘ぐ事しかしなくなった慶の唇にキスをすると、喘ぎを塞がれて苦しくなったのか、俺の体を押し返そうとする。
「はっ、…あ、…んん、…や、……あっ、…あぁ、…」
「何で止めたらやなの?」
構わず聞く。
言って欲しい。
「だって……あっ、…あぁ、だ、め…」
慶の体が、びく、と大きく脈打ったのが分かる。
「言えよ」
「……だ、…って……」
「何」
「……き、……気持ちいいから……っ、」
…………くそ。
破壊力すげぇな。
自分で言わせておいて何だけど、可愛さに悶絶しそうだわ。
「…可愛いな、お前」
耳元で一言囁いた後、下へ移動し……慶の硬く熱くなったソレを一気に口内へ含む。
「ああっ、あっ、ぅあっ、んっ、だ、ダメ…ゆ、…ああ、んっ、侑利くんっ、…」
絡み付く様に硬さを持ったソレに舌を這わせ、吸い上げながら上下に愛撫する。
先端を押し広げる様に舌先で突き、唇で強く挟んで扱く。
こんなの、マジでお前にしかやらねぇし。
一段と硬さを増した慶自身が何度か脈打って……
「だめっ、…いっ、…イ、く……あっ、…ああっ、…あ」
俺から逃れようとしたけど、俺がそれを許さず……俺の口内に慶が吐射した。
それを全て、飲み下す。
無意識に、すごい力で俺の腕を掴んでた慶からガクッと力が抜けた。
「……の、…飲んだの…?」
大きく繰り返す呼吸の合間で慶が色気も何も無い事を聞いて来る。
「飲んだ」
「…バカァ…」
緩く叩いてそう言われたけど…
別に良いじゃん、飲んだって。
そんな事より、今度は俺だ。
慶の足を抱え上げて肩に引っ掛け、ベッドサイドから取り出したローションを慶の入口へと垂らす。
少し温かみのあるローションで、慶が試してみたいって言って前に買ったものだ。
慶は気に入ってるみたいだけど……俺は正直よく分からねぇ。
慶の中はいつも、溶けるぐらい熱くて……ローションだか何だか直ぐに分からなくなる。
ゴムも着けたし、後はその中へ入るだけ。
先端部分をその入口に宛がう。
「あ、…」
その感触に慶が小さく声を上げるのが、いちいち可愛い。
少し慣らす意味で、先端だけ出し入れを繰り返す。
慶は、この感覚がいつも好きみたいで、自分の中に押し入ろうとする俺自身の圧に慣れようと、俺のタイミングに合わせて呼吸を整えようとする。
結局、気持ち良さに負けて呼吸は整わないんだけど……それでも、手に触れるものがシーツであろうが毛布であろうが、時には俺の手であろうが、力の限り握りしめてこの後やって来る快感を待つ。
何度目かで、一気に挿入を深くする。
「あっ、あああぁぁっ…い、良い……あっ、…侑利くん……」
俺を拒む事無く受け入れてくれる其処に、すんなりと奥まで進む。
「……っ、…ぅ…」
慶の中はやっぱり熱くて、俺も思わず唸った。
「侑利くん……侑利くん……」
繰り返す俺の名前。
行為の最中に呼ばれるのは好きだ。
俺の事しか考える余裕が無くなってんだって、実感出来る。
俺だって、お前の事しか考えらんねぇんだから、お互い様か…。
少し離れてた所為もあって、久しぶりのように感じる其処は、やっぱりすげぇ気持ち良くて……
俺が動く度に、何言ってるのか聞き取れない声を上げて善がる慶に、だいぶ煽られる。
結合部は、ローションなのか何なのか分からない液体でグズグズで……細い腰を掴んで、奥まで突き入れると毎回甲高い声で慶が鳴く。
女みたいに高くて、女よりエロい声…………そそる。
「あっ、ああぁぁっ、んん、ぅあっ、あっ、だ、…ダメ…ダメ……や…っ、」
「…っ、は、ぁ、……っ、く…」
慶の腰が俺の動きに合わせて揺れる。
その揺れが、俺をバカにする。
お互いに、気持ち良くなってんだ。
慶自身はまた…硬さを取り戻してて…今やってるこの行為が、気持ち良いんだなって思ったら異常に嬉しくなる。
其処へ手を伸ばして、包み込む様に握る。
「やっ、だめっ、侑利くん、…だめ…」
だめ、と言われると……やりたくなるもんだ。
だいたいダメだなんて本気で思ってる訳が無い。
慶自身を掴んだ手を、自分の律動に合わせて上下させる。
「ああぁぁっ、ダメだって……イキそ、っ、あっ、ダメダメ、やだっ、ああぁ、っん、」
「良いよ、イキな」
そう言って、中は奥まで突き挿して…慶自身はスピードを上げて扱く。
「あああぁぁぁっ!」
慶の体が小刻みに何度も震えて、その先端からドロリとした白濁を飛ばした。
俺の手を伝って落ちて行くソレを、業とらしく一舐めして見せると、羞恥に泣きそうな顔でイヤイヤと首を振る。
きっと俺は今、ケダモノの顔をしてるに違いない。
「次は俺」
「え、あっ、んん、あっ、あっ、待っ、て…ダメ……やあぁ、…あっ、あああぁぁっ、」
慶の体がビクビクと痙攣してるけど、構わずに動く。
「やだやだっ、今、だめっ、あっ、ぁう、っ、ああぁぁ、んっ、あっ、あぁぁ、ん」
何かもう、何言ってんのか分かんねぇ。
慶の一番奥を突きまくる。
手加減は、無し。
俺も、イく。
肩に担いでる慶の長い足は、俺の背中に絡まってて、渾身の力で締め付けて来るけど……だからって動きを止める事は今の俺には不可能だ…。
俺だってもう、イく寸前で……目の前はチカチカしてるし、頭は何も考えられなくて、部屋だって回ってんだ……
それぐらい、今、切羽詰まってる。
「っ、ぅ、あ……っ、く……慶……、」
慶の体が折れるんじゃないかと思うくらいに押さえ付けて、深く何度も奥を刺激する。
「ああぁーーっ、侑利くんっ、もう、…あっ、い、やっ、ああ、」
慶の体の痙攣が止まらない。
「慶っ、…も、イくぞ…」
悲鳴に似た声を上げながら、慶が何度も頷いて見せる。
最後に、出せる限りの力で激しく挿し込むと……慶の中がギュウギュウに締め付けて来て、何度も大きく腰を震わせる。
慶が、またイッて……ほぼ同時に俺も…。
完全に出し切って……俺も慶も…気絶寸前だ。
慶は、それでも、俺が少しでも動こうもんなら、ビクビクと体を振るわせて聞き取れない言葉を発する。
泣いてるような……善がってるような……そんな声。
2人とも……呼吸をするのに必死で…しばらく喋れない。
慶の足は完全に脱力して、俺の肩からずり落ちてる。
俺は、慶の胸に頭ごと沈めて、その余韻に浸る事しか出来ない。
……しばらく、2人の呼吸だけが部屋に響いてた。
まだ繋がったままだし…。
「…慶……大丈夫か…?」
何も言わないのが心配になって、沈んでた頭を持ち上げて慶を見る。
寝てんのか起きてんのか、意識があんのか無いのか分かんねぇ…
緩く目を閉じて、半開きの口と……汗で貼り付いた前髪……
「慶」
慶の乱れた髪を払いながら呼ぶ。
「………侑利…く、…ん…」
ふわふわと夢ん中みたいな声で、俺の名前を呟く。
「…だいす…き……」
…可愛いじゃねぇか…
何だよ……
もう……このまま寝落ちすんのかも知れねぇな……
それならそれで良い。
とりあえず、どっちにしろ……可愛いから、キスだけはしとく。
唇を塞いでも、慶の意識が戻る事は無くて……それを良い事にしつこいくらいキスしてやったけど……
それ以上やると、寝込みを襲ってしまいそうだったから……そこそこで止めといた。
~~~~~~~~
「ちょっと、侑利くん、もうっ、ちょっ、邪魔っ!!」
で、次の日、俺は今慶にすんげぇウザがられて怒られてる。
会えなかった間に出てた禁断症状の後遺症がすげぇ。
とにかく離れて居たくなくて、起きてからずっと俺がベタベタしてる。
出かけようとしてるけど、俺がいちいち纏わり付くから、軽くウザがられたところだ。
邪魔とかさ……ひでぇじゃん。
「着替えに時間かかって仕方ないっ!!」
……そりゃそうだろう。
纏わり付いてるからな。
「ちょっとだけ離れて」
「えー…」
「2分」
「やだし」
「1分」
「………」
「とにかく、着替えるっ」
無理矢理押し退けられて、逃げられる。
いそいそとパンツを履いてベルトをしてる後ろ姿を眺めながら、改めて好きだなって思ったりしてるけど、またウザがられそうだから言わないでおいた。
そんな俺の視線を感じたのか、チラッと慶が俺を振り返る。
「何」
「…何でもない」
また前に向き直って、今度はタートルのニットを着る。
その服、すげぇ体の線が出て…スタイル良いの際立ってるよな…とか考えながら、変態さながら舐め回す様に見る。
アウターを羽織って着替えが終了すると、また俺を振り返った。
「何だよ」
「ううん…何でもない~」
ニヤけてんじゃねぇよ。
「行くよっ」
さっきまでウザったそうにしてたのに、もう機嫌良さげな口調でそう言うと、俺の手を取って玄関まで引っ張って行く。
鼻歌なんか歌ってるし。
どんだけ機嫌良いんだよ、お前…。
「ご機嫌じゃん」
「そう?」
「違うの?」
「う~ん、そうかもね」
「何で?」
先に靴を履いた慶に続いて、俺もスニーカーを突っかけながらドアを開ける。
「…カッコいいんだもん、侑利くん」
…だもん、とか言ってんじゃねぇよ……襲っちまうぞ。
「それで機嫌良いの?」
「うんっ」
にっこりと笑って答える。
…可愛い顔しやがって…。
何処に行くかは決めてねぇんだけど、どっか行きたいって慶が言って、俺も其れに乗った。
慶と行くなら、別に何処だって良いんだけどな……
行先は、慶が決めれば良い。
どこでも、連れてってやる。
エレベーターに乗り込んで、扉が閉まるなりどちらからともなくキスを始める。
約束した訳でも無いけど……そんな気分になる。
「慶……好きだ」
「…うん。…俺も」
「俺の傍で居てくれ、ずっと」
「………どしたの…?」
真面目な顔でそう言ったら……直ぐに、感動して泣きそうに揺らぐ視線を俺に向ける。
チン…と控えめな音でエレベーターが1階に到着した。
扉が開いても、繋いだ手を離さずにそのまま駐車場に向かって引っ張って歩く。
「侑利くん…」
困ったように慶が言う。
「俺が、幸せにしてやる、お前の事」
「……うん…」
嬉しそうに……照れたように少し俯く。
「俺も……」
「ん?」
「俺も…幸せにしたい、侑利くんの事」
繋いだ手が、強く握られる。
「あぁ…まぁ、俺は単純だからな、お前なら直ぐに出来るんじゃねぇ?」
少しだけ後ろを歩く慶を振り返ると、俺の言葉に「?」を浮かべた顔でこっちを見てる。
「前にも言った事あるけど…特別な事は何も無くて良いんだ、お前が居れば良い。俺の隣で。そんで、笑っててくれたら良い」
ほんとにそれだけで……俺はバカみてぇに幸せな気分になるんだからさ…。
こんな単純で簡単な奴居ねぇってぐらいのレベルだろ?
「お前には…笑ってて欲しいんだ、ずっと」
だけど、慶は泣く一歩手前の顔。
「……それで、侑利くんは幸せになるの?」
「なる」
「ほんとに…それだけで?」
「なるよ。だから、笑ってて欲しい」
うん、と答えた慶は、言った傍から既に泣きそうな顔してるんだけど……
俺にはお前がどうしても必要でさ…。
今までの人生をずっと泣いて来た分……もう、後は笑って欲しい。
俺が……ちょこちょこ泣かせる事があるかも知れねぇけど、それでもまた俺の隣に戻って笑ってくれたらそれで良い。
それを幸せだって感じるんだから、簡単じゃん。
最後まで俺が、笑わせてやる。
だから、最後まで、ずっと幸せで居ような、って……
言ったらきっと……泣くんだろうな。
~END~
早く繋がりたくて焦ってるけど、そこは落ち着いて優しく…。
「侑利くん…」
見下ろす俺に腕を伸ばして首元に絡ませ、力を込めて自分の方へ引っ張り寄せる。
「…っ、」
ドサッと、倒れ込んだ。
慶にぶつからない様に咄嗟に避けたけど…
「お前、あぶね、」
俺の文句には全く動じず、慶はくるりと俺と体勢を入れ替えて……俺の上に被さって来た。
今度は慶に見下ろされる。
「…侑利くんが……真由さんを引っ張って抱きしめたの見た時………心臓止まるかと思った…」
……そこな。
一番気になってるとこだろうな…。
それが原因で、随分泣かせてしまった。
「……キス…してって言われた」
「…え…?」
「真由に」
慶の顔が一瞬で曇る。
「でも……それは出来ねぇって言った」
揺らぐ視線を俺に向ける。
「俺には大事な奴がいて、そいつを悲しませたくないって」
結局……悲しませたんだけど……
「もう来ないって。だから最後に…抱きしめて欲しいって言われた」
「…最後…?」
「…真由も、揺らいでたんだろうけど……やっぱり…真由には旦那が必要でさ、進まなきゃいけねぇって思ったんだと思う」
慶は困った様な顔をして俺を見る。
「俺は……サヨナラのつもりで、真由が言う通りにした…」
「………うん…」
どんな気持ちで俺の言葉を聞いてるのか……
複雑だよな…きっと……
「だけど……それを見たら……嫌だよな」
「………ん、」
「…ごめんな……ほんとに、悪かった」
慶は、ううん、と首を振ってくれる。
色々言いたい事はあるだろう……
「……傷付けるつもりは無かった……俺は…お前しか考えらんねぇし……真由とは、もう会う事も無ぇなって思ったし。………………お前が帰って来なくて……頭が真っ白になった」
慶の体を隣へ倒し、もう一度、俺が上になる。
「侑利くんが……また…真由さんの事好きになったのかも、って思った……真由さん…すごくキレイだし…小さくて可愛くて……侑利くんと似合ってたから………2人から急いで逃げたら………侑利くんからのLINEとか電話とか……全部に自信が無くなっちゃって………今頃、2人でどっか行ってるかも、とか…思って……」
慶はネガティブだから……そういうの一気に悪い方向へ考えそうだもんな…
「…偶然…奏太さん達に会って………甘えちゃった……」
奏太はお前の事大好きだからな…そんなとこで1人泣いてるお前見付けたら、放っとける訳ねぇよ。
「侑利くんの事……信じたいって思ったけど………侑利くんから…真由さんを抱きしめたから……動揺しちゃって………やっぱり……すごく好きだった元カノには勝てないな…って思っちゃった…」
ネガティブなお前の気分が落ちるには、充分すぎる事件だよな、それは。
「お前が…帰って来ねぇなんて思って無かった」
「…うん…」
「だからすげぇ……お前の事、傷付けたんだって思って……反省した」
反省する以外にする事無かったしな、マジで。
「俺…お前が居ねぇとマジでダメだった。…仕事はミスるし、ボーッとしてばっかだし、全く寝れねぇし…」
「……侑利くん…」
慶が俺を抱きしめる。
「…侑利くんが…すごく……大事に思ってくれてるんだって伝わるよ」
それは俺にも……伝わってる。
「相手が元カノだからどうとか、女だからとか、可愛いとかキレイとか……そんなんじゃねぇんだ…」
「…侑利くん…」
慶が俺の肩口に顔を埋める。
きっとまた泣いてる……近距離過ぎて見えないけど、そう思う。
「そんなんで…俺は揺らいだりしねぇ……そうじゃなくて…俺は…どうしても、お前じゃねぇとダメなんだ……お前が良い……お前しかダメだ」
こんな恥ずかしいセリフ、言った事ねぇわ……
だけど、お前にはこんなのいくらでもサラッと言えるんだ…。
「お前の事が好きすぎて、どうしようもねぇ。……離れんな…もう、絶対」
うん、と言おうとしてた慶の唇を、それより先に塞ぐ。
もう言う事は言った。
俺の強すぎる愛も伝わっただろう…。
後は……とにかく、慶に触りたい…。
慶の唇をやんわりと噛むと、少し遠慮がちに口を開く。
その少しの隙間から、舌を進入させ慶の口内を確かめるように深いキスをした。
「……ん、……っ……ぅ…」
少し苦しそうに……でも、熱を持った声が時々漏れるけど、それに構わず、冒すように口内を貪る。
俺の首に回った腕の力が時折強くなるのが分かる。
舌先で唇をなぞる様に上下共に舐め上げ、そのままキスを耳へと移すと…慶が軽く身を捩る。
耳は弱いって分かってる。
「あ、…っ、んん……や…」
何か……すげぇ長い事、そういう声聞いて無かったような気になる。
お前と離れてるのって……やっぱ俺にはダメだ。
耳の形に添って舌を這わせ、柔らかい耳朶に吸い付く様にキスをする。
俺の首元に掛かってた慶の手はいつの間にか俺の髪を緩く掴んでる。
好きで仕方ない。
もう、依存症って言葉でも追い付かねぇ…。
瞼、鼻先、頬、顎、首筋、全てにキスを落としながら少しずつ下へずれる俺に、抵抗する事なく甘い声を出してくれる慶は、ほんとに色気があって……俺は、またハマる。
慶の着てる服を脱がせると、少し恥ずかしそうに引っ張り寄せた毛布を、俺ごと包み込むようにフワッと掛ける。
「…寒い?」
「…ううん…」
首を振った後、小さな声で「恥ずかしい」と言った。
今更じゃん、って思うけど……あんな事があって…元に戻って……慶の性格上、少し、そういう風に思うんだろう…って理解出来る。
そんな様子が俺には当たり前の様に可愛い。
舌先で、胸を愛撫する。
軽く吸い上げると、慶がじれったそうに声を漏らす。
「あ、…あっ、んん……侑利くん……あ、」
強く舌先で押し付けたり、唇で挟んだりしながら執拗に舐め上げると、慶は俺の髪を乱しながら喘ぐ。
キレイでしなやかな慶の体が、喘ぎに合わせて小さく揺れて、次第に熱を帯びて来るのが分かる。
慶自身ももうだいぶ硬さを持ってて、押さえつける衣服から解放してやるべく慶のスウェットのズボンと下着を一気に脱がす。
細くて長い足を捩ってモジモジしてるけど、それ可愛いだけだからな…。
俺ももう、とにかく限界スレスレのとこだ。
慶が恥ずかしいと言ってかけた毛布を取っ払って、俺も衣服を全部脱いだ。
「……カッコ良すぎ…」
毛布が無くなって開けた視界で、マジマジと下から見上げられてうっとりした感じでそう言われると……何か俺もちょっと恥ずいけど……
「そうか、なら良かった」
お前にカッコ良いって言われたら、シチュエーションはどうあれ嫌な気は皆無だしさ…。
「あっ、ん、」
前触れも無く慶の中心に触ると、慶が少し高いトーンの声を上げる。
「やだ…ぁ、あ…んっ、…あっ、」
やんわりと根元まで握り込む。
「…気持ち良い?」
こんな事、あんまり聞いてみた事無いけど……
「……やだ…」
ふるふると首を振る慶が可愛くて、言わせたくなった。
「やなの?」
「…やぁ…だ…」
やな感じには見えねぇけどな、お前のその表情。
「じゃ、止める」
「やだ、やだ…」
どっちだよ。
「止めないで……」
恥ずかしそうな目で俺を見てんのがたまんねぇ。
「…何で?」
「え……」
握った手をゆっくりと上下させる。
「あっ、…やっ、…あぁ、んっ、……んんっ、…」
少しずつ勢いを増して行く。
先端から零れ出して来た液体を慶自身に塗り付ける様に扱く。
喘ぐ事しかしなくなった慶の唇にキスをすると、喘ぎを塞がれて苦しくなったのか、俺の体を押し返そうとする。
「はっ、…あ、…んん、…や、……あっ、…あぁ、…」
「何で止めたらやなの?」
構わず聞く。
言って欲しい。
「だって……あっ、…あぁ、だ、め…」
慶の体が、びく、と大きく脈打ったのが分かる。
「言えよ」
「……だ、…って……」
「何」
「……き、……気持ちいいから……っ、」
…………くそ。
破壊力すげぇな。
自分で言わせておいて何だけど、可愛さに悶絶しそうだわ。
「…可愛いな、お前」
耳元で一言囁いた後、下へ移動し……慶の硬く熱くなったソレを一気に口内へ含む。
「ああっ、あっ、ぅあっ、んっ、だ、ダメ…ゆ、…ああ、んっ、侑利くんっ、…」
絡み付く様に硬さを持ったソレに舌を這わせ、吸い上げながら上下に愛撫する。
先端を押し広げる様に舌先で突き、唇で強く挟んで扱く。
こんなの、マジでお前にしかやらねぇし。
一段と硬さを増した慶自身が何度か脈打って……
「だめっ、…いっ、…イ、く……あっ、…ああっ、…あ」
俺から逃れようとしたけど、俺がそれを許さず……俺の口内に慶が吐射した。
それを全て、飲み下す。
無意識に、すごい力で俺の腕を掴んでた慶からガクッと力が抜けた。
「……の、…飲んだの…?」
大きく繰り返す呼吸の合間で慶が色気も何も無い事を聞いて来る。
「飲んだ」
「…バカァ…」
緩く叩いてそう言われたけど…
別に良いじゃん、飲んだって。
そんな事より、今度は俺だ。
慶の足を抱え上げて肩に引っ掛け、ベッドサイドから取り出したローションを慶の入口へと垂らす。
少し温かみのあるローションで、慶が試してみたいって言って前に買ったものだ。
慶は気に入ってるみたいだけど……俺は正直よく分からねぇ。
慶の中はいつも、溶けるぐらい熱くて……ローションだか何だか直ぐに分からなくなる。
ゴムも着けたし、後はその中へ入るだけ。
先端部分をその入口に宛がう。
「あ、…」
その感触に慶が小さく声を上げるのが、いちいち可愛い。
少し慣らす意味で、先端だけ出し入れを繰り返す。
慶は、この感覚がいつも好きみたいで、自分の中に押し入ろうとする俺自身の圧に慣れようと、俺のタイミングに合わせて呼吸を整えようとする。
結局、気持ち良さに負けて呼吸は整わないんだけど……それでも、手に触れるものがシーツであろうが毛布であろうが、時には俺の手であろうが、力の限り握りしめてこの後やって来る快感を待つ。
何度目かで、一気に挿入を深くする。
「あっ、あああぁぁっ…い、良い……あっ、…侑利くん……」
俺を拒む事無く受け入れてくれる其処に、すんなりと奥まで進む。
「……っ、…ぅ…」
慶の中はやっぱり熱くて、俺も思わず唸った。
「侑利くん……侑利くん……」
繰り返す俺の名前。
行為の最中に呼ばれるのは好きだ。
俺の事しか考える余裕が無くなってんだって、実感出来る。
俺だって、お前の事しか考えらんねぇんだから、お互い様か…。
少し離れてた所為もあって、久しぶりのように感じる其処は、やっぱりすげぇ気持ち良くて……
俺が動く度に、何言ってるのか聞き取れない声を上げて善がる慶に、だいぶ煽られる。
結合部は、ローションなのか何なのか分からない液体でグズグズで……細い腰を掴んで、奥まで突き入れると毎回甲高い声で慶が鳴く。
女みたいに高くて、女よりエロい声…………そそる。
「あっ、ああぁぁっ、んん、ぅあっ、あっ、だ、…ダメ…ダメ……や…っ、」
「…っ、は、ぁ、……っ、く…」
慶の腰が俺の動きに合わせて揺れる。
その揺れが、俺をバカにする。
お互いに、気持ち良くなってんだ。
慶自身はまた…硬さを取り戻してて…今やってるこの行為が、気持ち良いんだなって思ったら異常に嬉しくなる。
其処へ手を伸ばして、包み込む様に握る。
「やっ、だめっ、侑利くん、…だめ…」
だめ、と言われると……やりたくなるもんだ。
だいたいダメだなんて本気で思ってる訳が無い。
慶自身を掴んだ手を、自分の律動に合わせて上下させる。
「ああぁぁっ、ダメだって……イキそ、っ、あっ、ダメダメ、やだっ、ああぁ、っん、」
「良いよ、イキな」
そう言って、中は奥まで突き挿して…慶自身はスピードを上げて扱く。
「あああぁぁぁっ!」
慶の体が小刻みに何度も震えて、その先端からドロリとした白濁を飛ばした。
俺の手を伝って落ちて行くソレを、業とらしく一舐めして見せると、羞恥に泣きそうな顔でイヤイヤと首を振る。
きっと俺は今、ケダモノの顔をしてるに違いない。
「次は俺」
「え、あっ、んん、あっ、あっ、待っ、て…ダメ……やあぁ、…あっ、あああぁぁっ、」
慶の体がビクビクと痙攣してるけど、構わずに動く。
「やだやだっ、今、だめっ、あっ、ぁう、っ、ああぁぁ、んっ、あっ、あぁぁ、ん」
何かもう、何言ってんのか分かんねぇ。
慶の一番奥を突きまくる。
手加減は、無し。
俺も、イく。
肩に担いでる慶の長い足は、俺の背中に絡まってて、渾身の力で締め付けて来るけど……だからって動きを止める事は今の俺には不可能だ…。
俺だってもう、イく寸前で……目の前はチカチカしてるし、頭は何も考えられなくて、部屋だって回ってんだ……
それぐらい、今、切羽詰まってる。
「っ、ぅ、あ……っ、く……慶……、」
慶の体が折れるんじゃないかと思うくらいに押さえ付けて、深く何度も奥を刺激する。
「ああぁーーっ、侑利くんっ、もう、…あっ、い、やっ、ああ、」
慶の体の痙攣が止まらない。
「慶っ、…も、イくぞ…」
悲鳴に似た声を上げながら、慶が何度も頷いて見せる。
最後に、出せる限りの力で激しく挿し込むと……慶の中がギュウギュウに締め付けて来て、何度も大きく腰を震わせる。
慶が、またイッて……ほぼ同時に俺も…。
完全に出し切って……俺も慶も…気絶寸前だ。
慶は、それでも、俺が少しでも動こうもんなら、ビクビクと体を振るわせて聞き取れない言葉を発する。
泣いてるような……善がってるような……そんな声。
2人とも……呼吸をするのに必死で…しばらく喋れない。
慶の足は完全に脱力して、俺の肩からずり落ちてる。
俺は、慶の胸に頭ごと沈めて、その余韻に浸る事しか出来ない。
……しばらく、2人の呼吸だけが部屋に響いてた。
まだ繋がったままだし…。
「…慶……大丈夫か…?」
何も言わないのが心配になって、沈んでた頭を持ち上げて慶を見る。
寝てんのか起きてんのか、意識があんのか無いのか分かんねぇ…
緩く目を閉じて、半開きの口と……汗で貼り付いた前髪……
「慶」
慶の乱れた髪を払いながら呼ぶ。
「………侑利…く、…ん…」
ふわふわと夢ん中みたいな声で、俺の名前を呟く。
「…だいす…き……」
…可愛いじゃねぇか…
何だよ……
もう……このまま寝落ちすんのかも知れねぇな……
それならそれで良い。
とりあえず、どっちにしろ……可愛いから、キスだけはしとく。
唇を塞いでも、慶の意識が戻る事は無くて……それを良い事にしつこいくらいキスしてやったけど……
それ以上やると、寝込みを襲ってしまいそうだったから……そこそこで止めといた。
~~~~~~~~
「ちょっと、侑利くん、もうっ、ちょっ、邪魔っ!!」
で、次の日、俺は今慶にすんげぇウザがられて怒られてる。
会えなかった間に出てた禁断症状の後遺症がすげぇ。
とにかく離れて居たくなくて、起きてからずっと俺がベタベタしてる。
出かけようとしてるけど、俺がいちいち纏わり付くから、軽くウザがられたところだ。
邪魔とかさ……ひでぇじゃん。
「着替えに時間かかって仕方ないっ!!」
……そりゃそうだろう。
纏わり付いてるからな。
「ちょっとだけ離れて」
「えー…」
「2分」
「やだし」
「1分」
「………」
「とにかく、着替えるっ」
無理矢理押し退けられて、逃げられる。
いそいそとパンツを履いてベルトをしてる後ろ姿を眺めながら、改めて好きだなって思ったりしてるけど、またウザがられそうだから言わないでおいた。
そんな俺の視線を感じたのか、チラッと慶が俺を振り返る。
「何」
「…何でもない」
また前に向き直って、今度はタートルのニットを着る。
その服、すげぇ体の線が出て…スタイル良いの際立ってるよな…とか考えながら、変態さながら舐め回す様に見る。
アウターを羽織って着替えが終了すると、また俺を振り返った。
「何だよ」
「ううん…何でもない~」
ニヤけてんじゃねぇよ。
「行くよっ」
さっきまでウザったそうにしてたのに、もう機嫌良さげな口調でそう言うと、俺の手を取って玄関まで引っ張って行く。
鼻歌なんか歌ってるし。
どんだけ機嫌良いんだよ、お前…。
「ご機嫌じゃん」
「そう?」
「違うの?」
「う~ん、そうかもね」
「何で?」
先に靴を履いた慶に続いて、俺もスニーカーを突っかけながらドアを開ける。
「…カッコいいんだもん、侑利くん」
…だもん、とか言ってんじゃねぇよ……襲っちまうぞ。
「それで機嫌良いの?」
「うんっ」
にっこりと笑って答える。
…可愛い顔しやがって…。
何処に行くかは決めてねぇんだけど、どっか行きたいって慶が言って、俺も其れに乗った。
慶と行くなら、別に何処だって良いんだけどな……
行先は、慶が決めれば良い。
どこでも、連れてってやる。
エレベーターに乗り込んで、扉が閉まるなりどちらからともなくキスを始める。
約束した訳でも無いけど……そんな気分になる。
「慶……好きだ」
「…うん。…俺も」
「俺の傍で居てくれ、ずっと」
「………どしたの…?」
真面目な顔でそう言ったら……直ぐに、感動して泣きそうに揺らぐ視線を俺に向ける。
チン…と控えめな音でエレベーターが1階に到着した。
扉が開いても、繋いだ手を離さずにそのまま駐車場に向かって引っ張って歩く。
「侑利くん…」
困ったように慶が言う。
「俺が、幸せにしてやる、お前の事」
「……うん…」
嬉しそうに……照れたように少し俯く。
「俺も……」
「ん?」
「俺も…幸せにしたい、侑利くんの事」
繋いだ手が、強く握られる。
「あぁ…まぁ、俺は単純だからな、お前なら直ぐに出来るんじゃねぇ?」
少しだけ後ろを歩く慶を振り返ると、俺の言葉に「?」を浮かべた顔でこっちを見てる。
「前にも言った事あるけど…特別な事は何も無くて良いんだ、お前が居れば良い。俺の隣で。そんで、笑っててくれたら良い」
ほんとにそれだけで……俺はバカみてぇに幸せな気分になるんだからさ…。
こんな単純で簡単な奴居ねぇってぐらいのレベルだろ?
「お前には…笑ってて欲しいんだ、ずっと」
だけど、慶は泣く一歩手前の顔。
「……それで、侑利くんは幸せになるの?」
「なる」
「ほんとに…それだけで?」
「なるよ。だから、笑ってて欲しい」
うん、と答えた慶は、言った傍から既に泣きそうな顔してるんだけど……
俺にはお前がどうしても必要でさ…。
今までの人生をずっと泣いて来た分……もう、後は笑って欲しい。
俺が……ちょこちょこ泣かせる事があるかも知れねぇけど、それでもまた俺の隣に戻って笑ってくれたらそれで良い。
それを幸せだって感じるんだから、簡単じゃん。
最後まで俺が、笑わせてやる。
だから、最後まで、ずっと幸せで居ような、って……
言ったらきっと……泣くんだろうな。
~END~
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語彙力がないのが感想をうまく伝えられなくて辛いんですけど...
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ほんとはもっと感じたことを伝えたいんですけど言葉にできなくって、伝えられないのがすっごくもどかしいです、、、
素敵な物語に出会えて良かったです!
ありがとうございます!
退会済ユーザのコメントです
……ほんとですね!!(汗)
本気で間違ってました(笑)……自然体、の方のラフになってましたね(・・;)
アホさが前面に出てしまいました……早速直します(笑)
ご指摘ありがとうございます!!