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「俺の事、支えてよ、ずっと。お前が退いたら、俺倒れるわ」
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朝。
あの後……長いキスを終えて、ケーキを食べた。
奏太情報はほんとに確かで、さすが何度も紹介される人気店ってだけあって、マジで美味かった。
正直、ケーキ食べて「美味いっ」とか思う事そんなに無い俺でさえ、思わずそう言ってしまったほどだった。
慶は最初から最後までずっと「美味しい」を連発で、超ご機嫌だった。
そして、その後は「旅行が控えてるからエッチはしない」と言ってた約束を、俺があっさり破って行為に及んでしまい、すんげぇ怒られて寝た。
で、朝だ。
「………もぉーーーーーーっ」
不機嫌そうに車に乗り込んで来た慶が言う。
「何だよ」
「雨じゃんっ!!」
いや、まぁ、雨だけど……
しかも割と本降り。
「旅行なのにぃーっ」
「車だし関係ないじゃん」
「そうだけどさ、」
「外で遊ぶ訳じゃねぇし」
「そうだけど」
「何、やなの?」
「……晴れて欲しかったな…何となく…」
恨めしそうに空を見上げる慶を、「可愛い」などと思いながらナビ設定を終わらせて早々に車を発進させる。
「拗ねんなぁ~」
頭を小突いてやった。
出発と同時にちょっと不機嫌そうだった慶の表情も、少しずついつもの柔らかい雰囲気に戻る。
「そう言えばさぁ、」
「ん?」
「初めて侑利くんと会った日も、雨降ってたね」
「あー…そうだな」
そうだ。
あの日も雨が降ってて、夜だしちょっと寒かったのを思い出す。
だいぶ昔の事の様に思うけど、まだ3ヶ月くらいしか経ってないんだな……。
「お前、床に這いつくばってたからビビったわ」
「あははっ、確かに侑利くん、顔がびっくりしてた」
可笑しそうに笑って言う。
「変な奴居るわぁ~、って思った」
「あははっ、そうなの~?」
思い出して笑ってる。
「俺ね、」
「ん」
「んー…やっぱいい」
「はぁ?何だよ」
「えー」
「言いかけて止めんなよ」
う~ん。とわざとらしく悩んで見せる。
「俺ね、あの時、初めて侑利くん見た時、わ~~カッコいい人来た~って思ったんだぁ」
「何だそれ」
「え~、だってさぁ、お金落としてそれ取るのに必死で、気付いたら侑利くんが立ってんだもん」
「や、俺は普通に入ってったぞ」
「気付いたら急に男前居たみたいな、あははっ」
俺の左腕をバシバシ叩く。
「付き合うなんてね~」
「はは、そうだな」
「それもさぁ…ハマっちゃって」
叩くのを止めて、今度はツンツンして来る。
「それはお互い様だろ」
「え~まぁ、そうだけどぉ~~」
俺のがハマってるって言いたいんだろ?
良いよ、別に、認めてる。
「雨降ってて良かったじゃん」
「え?」
「雨降って無かったら、俺、コインランドリーに用事ねぇもん」
「あ、そっか。……雨降ってなかったら、出会って無かったんだね」
そう言って慶は、改めて灰色の空を眺めて……少し黙った。
何考えてるかはだいたい分かる。
あの日雨が降ってなかったら、自分はもう死んでたな…とか思ってんだろ、どうせ。
「お前の選んだ答えが今のこの生活だよ。俺と会った事も生きる道を選んだ事も、俺を好きになった事も、全部正しかったんだよ」
空を見てた慶が、俺に視線を戻す。
俺は運転中だからあんまりそっちは見れないけど、雰囲気で分かる。
「お前が選んだ、お前の人生がさ……今の俺の全部を支えてると思う」
こういう話に弱い慶は、きっともう泣きそうになってんだろうな…。
「俺の事、支えてよ、ずっと。お前が退いたら、俺倒れるわ」
返事の代わりに、空いてる俺の左手をギュッと握る。
強く。
俺も、同じ様に握り返すと、「ふふ」と小さく笑う声が聞こえた。
とにかく俺は、お前が笑ってんのが好きなんだよ。
泣き顔は、見たくない。
「俺さぁ……今までの彼女にこんなの言った事ねぇんだぞ。嫉妬や束縛もした事ねぇし」
「そうなの?」
驚いたような顔で聞いて来る。
「むしろ、もっと興味持ってとか言われてた。けっこう放置主義だったから」
「え~~~っ、信じらんな~い」
「だろ?」
「何で興味無いの?何で放置?」
「んー……分かんねぇ。自分から好きになって付き合ったんじゃ無かったからかも」
「相手が侑利くんを好きになったって事?」
「付き合い出したら、それなりに好きではあったけどな…」
「皆そんな感じだったの?」
「1人以外は」
そう言えばこんな話、今までした事ねぇな。
慶のそういう話だって知らねぇし。
「え、1人って?」
「あー、1人だけ、俺も好きになって付き合った子が居た」
「え~、どんな子?」
慶が興味津々な顔で聞いて来る。
「BIRTHで働く前に1年くらい付き合ってた年上の子」
「へぇ~~。どんな人?」
すげぇ前のめり。
「2こ上の、何か清楚な感じの」
「どこで知り合ったの?」
「飲み会。何かお互い気に入って、何回か会って」
「好きになったの?」
「あー、まぁ。何か年上なのに、ちょっとほっとけない感じの子でさ、俺も気に入ってた」
「それで付き合ったの?」
「そう」
「好きだった?」
「え?」
「どれくらい好きだったの?」
「はぁ?何だよ、お前」
「良いじゃん、知りたいの。すごく好きだったの?」
「えー……まぁ、けっこう」
「一緒に住んだりしてたの?」
何だよ、めっちゃ聞いてくんじゃんっ!!
「住んでねぇよ、俺は住んでも良いなって思ってたけど別れたから」
「何で別れたのっ?」
グイグイ来すぎだろ、お前。
過去の話だぞ。
「振られたし」
「えーっ!!侑利くんが振られたのっ!!?」
声でけぇ。
車内でそのボリュームはデカいって。
「会社の先輩に乗り換えた」
「えーーーっ何それーーーっ!」
「いやいや、昔の話だからっ」
「でも、でもさぁ、そんなの酷いよ~。だって侑利くん、好きだったんでしょ?その人の事」
何だよ、そんなの詳しく今話す必要あるか?
「好きだったけど、まぁ、仕方ねぇじゃん」
「諦めちゃったの?」
「だってさ、もう、付き合ってるって言うからさ」
「えーーっ……侑利くん、可哀そう」
しみじみ言うなよ、何か虚しくなって来るわ。
「俺は自分より年下でさ、そん時は仕事もバイトで何か長続きしねぇし、会社の先輩と比べたらすげぇガキに見えたんじゃねぇ?」
「……そうかも知れないけど…」
「今更お前がしょんぼりする必要ねぇだろ」
何年も前に終わった事だし、その時の俺の事を思って同情する必要ねぇだろ。
確かに、同棲考えてた相手を、相手の会社の先輩に持ってかれるって……けっこうダセぇけど。
「……落ち込んだ?」
遠慮がちに聞いて来る。
別に普通に聞いてくれて良いって……何度も言うけど、すんげぇ前に終わってる事だしっ。
「そん時は」
「…ショックだったんだ」
「そりゃショックだわ。知らねぇとこで新しい彼氏作ってんだし」
慶に何故か頭をよしよしされてるし。
いやいや、それは昔の事であって、今はすんげぇ幸せですけどね。
「立ち直るの時間かかった?」
「あー…まぁ、そうだな。何か、まぁ、その子の事好きだったから、その後は本気で好きになんの止めた」
「え?」
「遊んでた」
沈黙。
「黙んなよ」
「え、うん…」
「遊びまくってた、ほんとに。俺を好きだって言ってくる子と適当に付き合ってた」
「………」
慶は、俺に対してそんなイメージが無かったんだろうな…。
急に黙っちゃってさ…。
「でも、止めた」
「え?」
「遊ぶの」
「……何で?」
慶の不安そうな表情。
「天馬にめっちゃ怒られた」
ちょっと驚いてる。
「すんげぇ勢いで怒られてさ、殴られる寸前。……でも、それで、俺何やってんだって思ってさ、その日からもう遊ぶのも適当なのも止めた。……次は絶対、自分も好きになれる相手じゃないと付き合わねぇって決めた」
慶が俺の左手に緩く自分の手を重ねた。
「そしたら3年経っても誰も好きになんなくてさ」
重ねた慶の指先は少し冷たくて…。
「なのに、そこに行き成り……お前が現れてさ、もう大変だわ」
慶の手を握り返すと、同じ様に握りながら「ふふ」と笑う。
「侑利くんと一緒に居ると……今まで嫌いだった自分の人生が……間違いじゃ無かったんだって思えるからスゴイ」
車はもう高速に乗ってるから、そんなによそ見は出来ねぇけど……
「俺、ほんとに…すごく幸せだよ」
なんて、嬉しそうな顔して言われるとさ……俺が我慢出来る訳もなく……ちょうど見えて来たサービスエリアの看板に吸い寄せられるように車線を変更する。
ちょっと、キスがしたくてさ。
~~~~~~~~
「いらっしゃいませ、運転お疲れ様でした」
旅館の入口でスタッフが出迎えてくれた。
慶は初めての旅館の雰囲気にやっぱりキョロキョロしてる。
チェックインの手続きをしてる間も、ずっとあちこち見てる。
雑誌で見てたより凄く広く感じて、やはり旅雑誌に掲載されるだけあって隅々まで清潔で内装にもこだわってるのが分かる。
「慶、行くぞ」
「あ、うん」
大きなガラス張りの壁から外を眺めてた慶が、急いでこちらへやって来る。
みんな、男2人で温泉旅館宿泊ってどんな関係って思ってんだろうな。
それも慶みたいな一般人離れしてるビジュアルの奴連れて来たってなったらさ。
「まだ少し雨降ってるね~」
呑気に天気の話なんかしながら近付いて来る。
気付いてないみたいだから言っとくけど、ここでもお前すげぇ見られてるからな。
やっぱりどこへ行っても慶は目立つ。
部屋を案内してくれるスタッフに付いて、エレベーターに乗る。
部屋は3階。
せっかくだから、いつでも風呂に入れる方が良いだろうし、何より慶が好きそうだと思って露天風呂付きの和室にした。
案内された部屋は、和と洋のテイストが良い感じに配分されてて、一言で言うなら「オシャレ」だな。
「わぁ~すご~~~い」
フワフワした声で慶がひたすらそう言ってる。
スタッフさんが色々と説明してくれてるのを、隣で真剣に聞いてるのもちょっと笑いそうになるけど…。
「分からない事がありましたらいつでもフロントまでご連絡下さいね」
そう言って、スタッフが部屋を出て行く。
「ちょっとちょっと侑利くんっ、これ見て見てっ」
とりあえず座ろうとしてた腕を掴まれてテラスに引っ張って行かれる。
「お風呂あるんですけど~っ」
「や、あるのを選んだんだよ」
「すごいね~~っ、これって、いつでも入れるの?」
「そうだよ」
「すご~~~い」
出た出た。
何連発すんだよ。
とは言え、テラスもすごくセンスの良い造りで、プライバシーは守られつつも空が見える解放感もあって落ち着けそう。
テラスと言っても、屋根…と言うか、一応そのテラスの先までが部屋って感じ。
部屋とテラスはガラス戸で仕切られてる。
「大きなお風呂もあるんでしょ?」
「あるよ」
「えぇ~迷う~」
「何を」
「どっち先入る?」
すんげぇテンション上がってんな。
とりあえず、ちょっと座らせてくれ。
和室にして良かったかも。
座ってそのまま後ろに寝転ぶと、畳みの匂いが新鮮で何か落ち着く。
「運転お疲れ、肩揉んであげよっか?」
隣に来て座ったばかりの慶の腕を引っ張り寄せる。
「わっ、ちょっと、」
バランスを崩して俺の上に被さる感じに倒れ込んで来た。
「も~、びっくりするじゃんっ」
って、言ってる割にはそこを動かない。
俺の胸の上に頭を置いて静かになった。
「ありがとう、連れて来てくれて」
「まだ、来たばっかじゃん」
「侑利くんには、何回でもありがとうって言いたいのっ」
そう言って頭を上げると、少し体を上にずらして来て俺にキスをした。
「…大好きだよ…侑利くん」
「知ってるよ」
俺からもキスを返す。
もう、慶の誕生日だからか何だか分かんねぇけど……今、俺達はお互いの好き度がマックスで、何やってても慶の事しか考えらんなくて、好きな人しか目に入らないってこういう事なんだなって思う。
ほんとは、外だろうが何処だろうがイチャイチャしてデレデレしてたいってのが本音だけどさ……まぁ、一応、分別ある大人だしそこはだいぶ我慢してんだ、俺は。
こんな事考えてんの、BIRTHのみんなにバレたら一生笑いもんにされるんだろうな、俺…。
「…ん、」
「あ、」
キスの途中で目が合って、2人とも体を起こす。
「やべぇ、本気になりかけた」
「んふふ、俺も~」
とりあえず着いたばっかだし、館内も見て回りたいし、大浴場も行きたいし、雨が上がったら散歩に出たって良い。
「続きは夜だな」
「りょうか~い」
了解って…。
「わっ、ちょっと侑利くんっ、これこれっ、浴衣っ」
布団の上にそっと置かれてる、落ち着いた掠れた感じの茶色の浴衣。
「あー、浴衣、お前似合いそうだな」
などと、男の欲望を抑えつつ平静を装って言う。
温泉旅館で浴衣を慶が着るなんてさ………この俺が黙ってる訳無い。
「ほんと?…でも着方分かんないけど…侑利くん、分かる?」
「あー、何となく。夏にBIRTHで2週間くらい制服が浴衣になってさ、そん時に着付けしてくれる人が来て教えて貰ったから、その着方だったら分かる」
へぇ~、と感心したように慶が言う。
慶が浴衣なんて…もう、煽り以外の何もんでもないだろう。
そんですぐ煽られるんだろうな、俺。
慶の事になると単純バカだからな…。
とりあえずは風呂に入りたい、って事で、風呂セットと浴衣などを持って部屋を出た。
「も~、めっちゃ気持ち良いじゃ~ん」
隣で肩まで湯に浸かった慶が機嫌良さげに俺に言う。
「侑利くん、運転で疲れてんだからしっかり浸かりなよっ」
「あぁ、まぁ、あれぐらいの運転じゃそんなに疲れねぇけどな」
「ダメダメ、疲れてないって思ってても夜になってドッと疲れ出ちゃうんだから」
「あー、夜は起きとかねぇとな」
ニヤリと笑って慶を見ると、バシャッと湯をかけられる。
「わ、お前、何だよ」
「エロい事ばっか考えてるなっ」
「それはしょうがない」
健全な男子だし。
正直、こんな大浴場で慶が裸を晒してんのも嫌だけどさ…。
色んな奴に見られる訳だし。
変な奴が、欲望丸出しの目線で見て来ててもおかしくない。
でも、まぁ、温泉に来たら入らない訳には行かねぇし、相手が女で混浴とかだとちょっと咎めるけど、男同士で男風呂入るのは普通だし……
慶の裸を見せたくない、って言ったって……じゃあ何で温泉来たんだって話だし……知ってる奴が居る訳じゃないし………
あ~、もう、考えてたらイライラして来たわ。
ただ、何となく、局部は隠しておいてくれ、って思ってしまう。
そこは俺だけが見るとこであって、他の奴に見て欲しくねぇわ、正直。
変な事考えてたら、すんげぇ熱くなって来た。
「ね~、雨降ってんのかな?露天も行ってみたいね」
露天風呂の方へ行ってる人が何人か居たから、きっと雨は上がったか小雨になってるかだろうな…。
熱いからちょうどいい。
「行ってみるか」
「うんっ」
慶も熱そうな顔してる。
だいぶ浸かってたしな。
「ふぅ~~、気持ち良かったね、温泉めっちゃ良い」
嬉しそうな顔で体を拭き終わった慶が、着方の分からない浴衣を前をはだけて肩から引っ掛けて、俺が先に着るのを待ってる。
そのまま椅子に座って髪をガシガシと拭く。
俺は、夏に2週間ほどほぼ毎日着てた浴衣を思い出しながらやってみる。
要は帯だ……帯さえ解けないように結べてたら何とかなりそうだしさ。
久々だったけど覚えてるもんで、意外とすんなり着れた。
「似合う~カッコいい~~」
周りを見ながら少し小声で慶が言って来る。
いちいち、カッコいいとか言ってくれるお前がマジで好きだわ、俺。
やっぱ、好きな奴にはカッコいいって言って欲しいしさ。
「次、慶な。立ってみ」
言われた通りイスから立ち上がる。
俺より厚みの少ない体に帯を巻き付け、はだけない様にキュッと閉めるとグラつく体を踏ん張って堪えてる。
何とか、良い感じに着れたと思う。
もう分かんねぇけど…一応、前に着付けの先生に教えて貰った通りにやった。
帯もしっかり結べてるし、そう着崩れる事も無いだろう。
「どう?似合う?」
嬉しそうな顔して聞いて来る。
「似合ってる」
一言そう返す。
慶は、それを聞くと嬉しそうに鏡のとこに行って自分を見てる………
これは、ヤバいな。
浴衣マジックだわ。
あの後……長いキスを終えて、ケーキを食べた。
奏太情報はほんとに確かで、さすが何度も紹介される人気店ってだけあって、マジで美味かった。
正直、ケーキ食べて「美味いっ」とか思う事そんなに無い俺でさえ、思わずそう言ってしまったほどだった。
慶は最初から最後までずっと「美味しい」を連発で、超ご機嫌だった。
そして、その後は「旅行が控えてるからエッチはしない」と言ってた約束を、俺があっさり破って行為に及んでしまい、すんげぇ怒られて寝た。
で、朝だ。
「………もぉーーーーーーっ」
不機嫌そうに車に乗り込んで来た慶が言う。
「何だよ」
「雨じゃんっ!!」
いや、まぁ、雨だけど……
しかも割と本降り。
「旅行なのにぃーっ」
「車だし関係ないじゃん」
「そうだけどさ、」
「外で遊ぶ訳じゃねぇし」
「そうだけど」
「何、やなの?」
「……晴れて欲しかったな…何となく…」
恨めしそうに空を見上げる慶を、「可愛い」などと思いながらナビ設定を終わらせて早々に車を発進させる。
「拗ねんなぁ~」
頭を小突いてやった。
出発と同時にちょっと不機嫌そうだった慶の表情も、少しずついつもの柔らかい雰囲気に戻る。
「そう言えばさぁ、」
「ん?」
「初めて侑利くんと会った日も、雨降ってたね」
「あー…そうだな」
そうだ。
あの日も雨が降ってて、夜だしちょっと寒かったのを思い出す。
だいぶ昔の事の様に思うけど、まだ3ヶ月くらいしか経ってないんだな……。
「お前、床に這いつくばってたからビビったわ」
「あははっ、確かに侑利くん、顔がびっくりしてた」
可笑しそうに笑って言う。
「変な奴居るわぁ~、って思った」
「あははっ、そうなの~?」
思い出して笑ってる。
「俺ね、」
「ん」
「んー…やっぱいい」
「はぁ?何だよ」
「えー」
「言いかけて止めんなよ」
う~ん。とわざとらしく悩んで見せる。
「俺ね、あの時、初めて侑利くん見た時、わ~~カッコいい人来た~って思ったんだぁ」
「何だそれ」
「え~、だってさぁ、お金落としてそれ取るのに必死で、気付いたら侑利くんが立ってんだもん」
「や、俺は普通に入ってったぞ」
「気付いたら急に男前居たみたいな、あははっ」
俺の左腕をバシバシ叩く。
「付き合うなんてね~」
「はは、そうだな」
「それもさぁ…ハマっちゃって」
叩くのを止めて、今度はツンツンして来る。
「それはお互い様だろ」
「え~まぁ、そうだけどぉ~~」
俺のがハマってるって言いたいんだろ?
良いよ、別に、認めてる。
「雨降ってて良かったじゃん」
「え?」
「雨降って無かったら、俺、コインランドリーに用事ねぇもん」
「あ、そっか。……雨降ってなかったら、出会って無かったんだね」
そう言って慶は、改めて灰色の空を眺めて……少し黙った。
何考えてるかはだいたい分かる。
あの日雨が降ってなかったら、自分はもう死んでたな…とか思ってんだろ、どうせ。
「お前の選んだ答えが今のこの生活だよ。俺と会った事も生きる道を選んだ事も、俺を好きになった事も、全部正しかったんだよ」
空を見てた慶が、俺に視線を戻す。
俺は運転中だからあんまりそっちは見れないけど、雰囲気で分かる。
「お前が選んだ、お前の人生がさ……今の俺の全部を支えてると思う」
こういう話に弱い慶は、きっともう泣きそうになってんだろうな…。
「俺の事、支えてよ、ずっと。お前が退いたら、俺倒れるわ」
返事の代わりに、空いてる俺の左手をギュッと握る。
強く。
俺も、同じ様に握り返すと、「ふふ」と小さく笑う声が聞こえた。
とにかく俺は、お前が笑ってんのが好きなんだよ。
泣き顔は、見たくない。
「俺さぁ……今までの彼女にこんなの言った事ねぇんだぞ。嫉妬や束縛もした事ねぇし」
「そうなの?」
驚いたような顔で聞いて来る。
「むしろ、もっと興味持ってとか言われてた。けっこう放置主義だったから」
「え~~~っ、信じらんな~い」
「だろ?」
「何で興味無いの?何で放置?」
「んー……分かんねぇ。自分から好きになって付き合ったんじゃ無かったからかも」
「相手が侑利くんを好きになったって事?」
「付き合い出したら、それなりに好きではあったけどな…」
「皆そんな感じだったの?」
「1人以外は」
そう言えばこんな話、今までした事ねぇな。
慶のそういう話だって知らねぇし。
「え、1人って?」
「あー、1人だけ、俺も好きになって付き合った子が居た」
「え~、どんな子?」
慶が興味津々な顔で聞いて来る。
「BIRTHで働く前に1年くらい付き合ってた年上の子」
「へぇ~~。どんな人?」
すげぇ前のめり。
「2こ上の、何か清楚な感じの」
「どこで知り合ったの?」
「飲み会。何かお互い気に入って、何回か会って」
「好きになったの?」
「あー、まぁ。何か年上なのに、ちょっとほっとけない感じの子でさ、俺も気に入ってた」
「それで付き合ったの?」
「そう」
「好きだった?」
「え?」
「どれくらい好きだったの?」
「はぁ?何だよ、お前」
「良いじゃん、知りたいの。すごく好きだったの?」
「えー……まぁ、けっこう」
「一緒に住んだりしてたの?」
何だよ、めっちゃ聞いてくんじゃんっ!!
「住んでねぇよ、俺は住んでも良いなって思ってたけど別れたから」
「何で別れたのっ?」
グイグイ来すぎだろ、お前。
過去の話だぞ。
「振られたし」
「えーっ!!侑利くんが振られたのっ!!?」
声でけぇ。
車内でそのボリュームはデカいって。
「会社の先輩に乗り換えた」
「えーーーっ何それーーーっ!」
「いやいや、昔の話だからっ」
「でも、でもさぁ、そんなの酷いよ~。だって侑利くん、好きだったんでしょ?その人の事」
何だよ、そんなの詳しく今話す必要あるか?
「好きだったけど、まぁ、仕方ねぇじゃん」
「諦めちゃったの?」
「だってさ、もう、付き合ってるって言うからさ」
「えーーっ……侑利くん、可哀そう」
しみじみ言うなよ、何か虚しくなって来るわ。
「俺は自分より年下でさ、そん時は仕事もバイトで何か長続きしねぇし、会社の先輩と比べたらすげぇガキに見えたんじゃねぇ?」
「……そうかも知れないけど…」
「今更お前がしょんぼりする必要ねぇだろ」
何年も前に終わった事だし、その時の俺の事を思って同情する必要ねぇだろ。
確かに、同棲考えてた相手を、相手の会社の先輩に持ってかれるって……けっこうダセぇけど。
「……落ち込んだ?」
遠慮がちに聞いて来る。
別に普通に聞いてくれて良いって……何度も言うけど、すんげぇ前に終わってる事だしっ。
「そん時は」
「…ショックだったんだ」
「そりゃショックだわ。知らねぇとこで新しい彼氏作ってんだし」
慶に何故か頭をよしよしされてるし。
いやいや、それは昔の事であって、今はすんげぇ幸せですけどね。
「立ち直るの時間かかった?」
「あー…まぁ、そうだな。何か、まぁ、その子の事好きだったから、その後は本気で好きになんの止めた」
「え?」
「遊んでた」
沈黙。
「黙んなよ」
「え、うん…」
「遊びまくってた、ほんとに。俺を好きだって言ってくる子と適当に付き合ってた」
「………」
慶は、俺に対してそんなイメージが無かったんだろうな…。
急に黙っちゃってさ…。
「でも、止めた」
「え?」
「遊ぶの」
「……何で?」
慶の不安そうな表情。
「天馬にめっちゃ怒られた」
ちょっと驚いてる。
「すんげぇ勢いで怒られてさ、殴られる寸前。……でも、それで、俺何やってんだって思ってさ、その日からもう遊ぶのも適当なのも止めた。……次は絶対、自分も好きになれる相手じゃないと付き合わねぇって決めた」
慶が俺の左手に緩く自分の手を重ねた。
「そしたら3年経っても誰も好きになんなくてさ」
重ねた慶の指先は少し冷たくて…。
「なのに、そこに行き成り……お前が現れてさ、もう大変だわ」
慶の手を握り返すと、同じ様に握りながら「ふふ」と笑う。
「侑利くんと一緒に居ると……今まで嫌いだった自分の人生が……間違いじゃ無かったんだって思えるからスゴイ」
車はもう高速に乗ってるから、そんなによそ見は出来ねぇけど……
「俺、ほんとに…すごく幸せだよ」
なんて、嬉しそうな顔して言われるとさ……俺が我慢出来る訳もなく……ちょうど見えて来たサービスエリアの看板に吸い寄せられるように車線を変更する。
ちょっと、キスがしたくてさ。
~~~~~~~~
「いらっしゃいませ、運転お疲れ様でした」
旅館の入口でスタッフが出迎えてくれた。
慶は初めての旅館の雰囲気にやっぱりキョロキョロしてる。
チェックインの手続きをしてる間も、ずっとあちこち見てる。
雑誌で見てたより凄く広く感じて、やはり旅雑誌に掲載されるだけあって隅々まで清潔で内装にもこだわってるのが分かる。
「慶、行くぞ」
「あ、うん」
大きなガラス張りの壁から外を眺めてた慶が、急いでこちらへやって来る。
みんな、男2人で温泉旅館宿泊ってどんな関係って思ってんだろうな。
それも慶みたいな一般人離れしてるビジュアルの奴連れて来たってなったらさ。
「まだ少し雨降ってるね~」
呑気に天気の話なんかしながら近付いて来る。
気付いてないみたいだから言っとくけど、ここでもお前すげぇ見られてるからな。
やっぱりどこへ行っても慶は目立つ。
部屋を案内してくれるスタッフに付いて、エレベーターに乗る。
部屋は3階。
せっかくだから、いつでも風呂に入れる方が良いだろうし、何より慶が好きそうだと思って露天風呂付きの和室にした。
案内された部屋は、和と洋のテイストが良い感じに配分されてて、一言で言うなら「オシャレ」だな。
「わぁ~すご~~~い」
フワフワした声で慶がひたすらそう言ってる。
スタッフさんが色々と説明してくれてるのを、隣で真剣に聞いてるのもちょっと笑いそうになるけど…。
「分からない事がありましたらいつでもフロントまでご連絡下さいね」
そう言って、スタッフが部屋を出て行く。
「ちょっとちょっと侑利くんっ、これ見て見てっ」
とりあえず座ろうとしてた腕を掴まれてテラスに引っ張って行かれる。
「お風呂あるんですけど~っ」
「や、あるのを選んだんだよ」
「すごいね~~っ、これって、いつでも入れるの?」
「そうだよ」
「すご~~~い」
出た出た。
何連発すんだよ。
とは言え、テラスもすごくセンスの良い造りで、プライバシーは守られつつも空が見える解放感もあって落ち着けそう。
テラスと言っても、屋根…と言うか、一応そのテラスの先までが部屋って感じ。
部屋とテラスはガラス戸で仕切られてる。
「大きなお風呂もあるんでしょ?」
「あるよ」
「えぇ~迷う~」
「何を」
「どっち先入る?」
すんげぇテンション上がってんな。
とりあえず、ちょっと座らせてくれ。
和室にして良かったかも。
座ってそのまま後ろに寝転ぶと、畳みの匂いが新鮮で何か落ち着く。
「運転お疲れ、肩揉んであげよっか?」
隣に来て座ったばかりの慶の腕を引っ張り寄せる。
「わっ、ちょっと、」
バランスを崩して俺の上に被さる感じに倒れ込んで来た。
「も~、びっくりするじゃんっ」
って、言ってる割にはそこを動かない。
俺の胸の上に頭を置いて静かになった。
「ありがとう、連れて来てくれて」
「まだ、来たばっかじゃん」
「侑利くんには、何回でもありがとうって言いたいのっ」
そう言って頭を上げると、少し体を上にずらして来て俺にキスをした。
「…大好きだよ…侑利くん」
「知ってるよ」
俺からもキスを返す。
もう、慶の誕生日だからか何だか分かんねぇけど……今、俺達はお互いの好き度がマックスで、何やってても慶の事しか考えらんなくて、好きな人しか目に入らないってこういう事なんだなって思う。
ほんとは、外だろうが何処だろうがイチャイチャしてデレデレしてたいってのが本音だけどさ……まぁ、一応、分別ある大人だしそこはだいぶ我慢してんだ、俺は。
こんな事考えてんの、BIRTHのみんなにバレたら一生笑いもんにされるんだろうな、俺…。
「…ん、」
「あ、」
キスの途中で目が合って、2人とも体を起こす。
「やべぇ、本気になりかけた」
「んふふ、俺も~」
とりあえず着いたばっかだし、館内も見て回りたいし、大浴場も行きたいし、雨が上がったら散歩に出たって良い。
「続きは夜だな」
「りょうか~い」
了解って…。
「わっ、ちょっと侑利くんっ、これこれっ、浴衣っ」
布団の上にそっと置かれてる、落ち着いた掠れた感じの茶色の浴衣。
「あー、浴衣、お前似合いそうだな」
などと、男の欲望を抑えつつ平静を装って言う。
温泉旅館で浴衣を慶が着るなんてさ………この俺が黙ってる訳無い。
「ほんと?…でも着方分かんないけど…侑利くん、分かる?」
「あー、何となく。夏にBIRTHで2週間くらい制服が浴衣になってさ、そん時に着付けしてくれる人が来て教えて貰ったから、その着方だったら分かる」
へぇ~、と感心したように慶が言う。
慶が浴衣なんて…もう、煽り以外の何もんでもないだろう。
そんですぐ煽られるんだろうな、俺。
慶の事になると単純バカだからな…。
とりあえずは風呂に入りたい、って事で、風呂セットと浴衣などを持って部屋を出た。
「も~、めっちゃ気持ち良いじゃ~ん」
隣で肩まで湯に浸かった慶が機嫌良さげに俺に言う。
「侑利くん、運転で疲れてんだからしっかり浸かりなよっ」
「あぁ、まぁ、あれぐらいの運転じゃそんなに疲れねぇけどな」
「ダメダメ、疲れてないって思ってても夜になってドッと疲れ出ちゃうんだから」
「あー、夜は起きとかねぇとな」
ニヤリと笑って慶を見ると、バシャッと湯をかけられる。
「わ、お前、何だよ」
「エロい事ばっか考えてるなっ」
「それはしょうがない」
健全な男子だし。
正直、こんな大浴場で慶が裸を晒してんのも嫌だけどさ…。
色んな奴に見られる訳だし。
変な奴が、欲望丸出しの目線で見て来ててもおかしくない。
でも、まぁ、温泉に来たら入らない訳には行かねぇし、相手が女で混浴とかだとちょっと咎めるけど、男同士で男風呂入るのは普通だし……
慶の裸を見せたくない、って言ったって……じゃあ何で温泉来たんだって話だし……知ってる奴が居る訳じゃないし………
あ~、もう、考えてたらイライラして来たわ。
ただ、何となく、局部は隠しておいてくれ、って思ってしまう。
そこは俺だけが見るとこであって、他の奴に見て欲しくねぇわ、正直。
変な事考えてたら、すんげぇ熱くなって来た。
「ね~、雨降ってんのかな?露天も行ってみたいね」
露天風呂の方へ行ってる人が何人か居たから、きっと雨は上がったか小雨になってるかだろうな…。
熱いからちょうどいい。
「行ってみるか」
「うんっ」
慶も熱そうな顔してる。
だいぶ浸かってたしな。
「ふぅ~~、気持ち良かったね、温泉めっちゃ良い」
嬉しそうな顔で体を拭き終わった慶が、着方の分からない浴衣を前をはだけて肩から引っ掛けて、俺が先に着るのを待ってる。
そのまま椅子に座って髪をガシガシと拭く。
俺は、夏に2週間ほどほぼ毎日着てた浴衣を思い出しながらやってみる。
要は帯だ……帯さえ解けないように結べてたら何とかなりそうだしさ。
久々だったけど覚えてるもんで、意外とすんなり着れた。
「似合う~カッコいい~~」
周りを見ながら少し小声で慶が言って来る。
いちいち、カッコいいとか言ってくれるお前がマジで好きだわ、俺。
やっぱ、好きな奴にはカッコいいって言って欲しいしさ。
「次、慶な。立ってみ」
言われた通りイスから立ち上がる。
俺より厚みの少ない体に帯を巻き付け、はだけない様にキュッと閉めるとグラつく体を踏ん張って堪えてる。
何とか、良い感じに着れたと思う。
もう分かんねぇけど…一応、前に着付けの先生に教えて貰った通りにやった。
帯もしっかり結べてるし、そう着崩れる事も無いだろう。
「どう?似合う?」
嬉しそうな顔して聞いて来る。
「似合ってる」
一言そう返す。
慶は、それを聞くと嬉しそうに鏡のとこに行って自分を見てる………
これは、ヤバいな。
浴衣マジックだわ。
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