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「俺ってさぁ…だいぶお前に愛されてんな」
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今日も、静かに玄関のドアを開け………ようとしたけど……
「ぉ、わっ」
「おかえりっ」
少し開けたドアが内側から勢いよく開いて、頭をぶつけそうで瞬時に避けた。
自分の反射神経の良さを褒めてやりたい。
慶が思いっきりドアを開けて来て、俺の腕を掴んで玄関へ引っ張り込んで、そのまま飛び付いて来た。
行き成りの事で、慶の体を受け止めたもののちょっとヨロけて、閉まったばかりのドアに凭れかかった。
「お前っ、ビビるわっ、何だよっ」
「えへへ」
「えへへじゃねぇよ」
嬉しそうにフワフワ笑ってる。
何だよ…よく分かんねぇけど、可愛いわ。
「何、どしたの」
とりあえず、中入りたいんですけど。
慶がそれを許してくれず、俺は未だ玄関のドアに押し付けられたままだ。
「侑利くんが帰って来るの待ってた」
「…うん」
「早く会いたかったんだ~」
「…そうか」
「うん、そう」
ニコニコしやがって。
とりあえず、嬉しそうに俺を見上げて来る慶にキスしてやった。
すぐに、俺を押し付ける力が弱まって、代わりに俺に巻き付いて来る腕の力が強くなる。
「…中、入りたい」
「えっ?ここで?」
キスを終わらせて言うと、慶が驚いたように返して来た。
「は?」
「え?あ、間違えた~」
………いやいや……
お前、ほんと、どしたの今日。
「バーカ」
「も~、侑利くんが紛らわしい事言うからだよ~」
恥ずかしそうにしてるのが、何気にツボだったりするけどな。
ようやく、靴を脱いで家の中へ入る。
「そりゃ、中には入りてぇけどさ」
業と意地悪く言ってやると、後ろから俺の肩をバシバシ叩きながら付いて来る。
「まず、家の中に入れてくれ。お前ん中入るのはその後だ」
「も~~~っ!!恥ずかしいから言わないでっ」
手洗いとうがいしてるけど、まだ叩いて来る。
そろそろ肩痛いんですけど…。
変な勘違いして……面白ぇな、お前はマジで。
「疲れたわぁ~…何か金曜だからか、忙しかった」
鞄と上着をソファにドサッと置いて、冷蔵庫へ。
お疲れ~、とか言いながら慶が上着をキレイにしてくれてる。
ペットボトルの水を開けて、一口飲む。
「慶も疲れたんじゃねぇ?連勤してたし」
「あ、うん」
「慣れた?」
「うーん…ちょっとだけ」
「はは、まぁ、ゆっくりで良いんじゃねぇの?」
「工藤さんもそう言ってくれてるけど…」
工藤さん、という名前がよく出る。
慶に近いところでいつも居るんだろうけど……正直、気にならない訳ではない。
何か、「優しい」とか「すごい」とかよく言ってるからさ。
俺だって優しいし色んな意味で「すごい」だろ?
…まぁ、しょうもない嫉妬はしないって決めた。
…とは言え、性格だから気になるのは仕方ない。
「あ、会社の書類に住所書かないといけないんだけど、ここの住所書いても良い?」
「…ここ以外どこの住所書くんだよ」
俺の言葉に少し安心したような表情で笑う。
だって、お前の居場所はここだろ?
「住所、覚えて無くてまだ書けてないんだ」
「あぁ、そっか、住所なぁ」
ここの住所を紙に書いて渡してやった。
「明日と明後日は休みだろ?」
「うん、連休」
「良いじゃん」
……俺は、とりあえずこの1週間は全出勤。
これは、俺に留まらず全員そうだ。
そうなるのは仕方ない。
最初からそう言われてたし。
来週からは今まで通り平日2日は休みにするから、って今日桐ケ谷さんが言ってた。
まぁ…こういう時だし、新しいBIRTHのためにも休み返上しても良いかなって思うけど、スタッフを大事にしてくれる桐ケ谷さんだから、俺らを連勤させたくないんだろう…。
休憩室のカレンダー仕様のホワイトボードに、休みの希望があれば名前を書いて行く決まり。
ずっとそれでやって来てるから、シフトを作る桐ケ谷さんも、それに従う俺らも、分かりやすくて一番やり易い。
ただ、俺らの来週の希望は搬入作業してた頃に既に書いてたから、後から決まった慶の休みと俺の休みが来週は合わない。
「来週はもう無理だけど、再来週からはお前の休みと合わせるわ」
「うんっ」
嬉しそうな顔で慶が立ち上がり、俺に近付いて来た。
「侑利くん、大好きっ」
抱き着いて来る。
「お前、今日どしたの、マジで」
「ん~ふふ」
「ご機嫌じゃん」
慶の機嫌が良いのは、俺も悪い気はしない。
「何かあった?」
「…ん~……あった」
あったんだ。
「何」
「え~」
「何だよ」
「別に言うほどの事じゃないし~」
「何それ、言わねぇつもり?」
「…どうしよっか、わっ」
いつまでも勿体ぶってる慶をソファに押し倒してやった。
「も~っ、危ないなぁっ」
「早く言えよ」
押さえつけて動けないようにする。
「んふふ」
「んふふ、じゃなくて」
フワフワしてさ…。
慶の腕が伸びて来て、俺の首にかかる。
そのまま体を起こして来て、くるりと反転……今度は、俺が下になり慶が上から俺を見下ろす。
「何、慶…お前、どしたの?」
「何で?」
俺よりだいぶ軽い慶の重みが、何となく心地良い。
片方の腕を俺の顔の横に突っ張って、俺を見てる。
「可愛いじゃん」
こちらからも腕を伸ばし、慶の斜めに切り揃えられた前髪に指を通す。
「侑利くん…」
名前が呼ばれて………慶からのキスを受ける。
軽い…唇を合わせるだけのキスを何度も。
「今日ね…」
慶が体を起こし、俺の腕を引っ張って俺の上体も起こさせる。
俺の足の間に慶が居て、ソファで向かい合う形。
やっと、ご機嫌な訳を話す気になったらしい。
「工藤さんに、彼女居るんでしょ?って言われた」
……おっと……彼女、って…。
「羽柴くんが彼氏だったら彼女は自慢だね、とか」
へぇ…
「彼女が手料理作ってくれたりするの、とか」
「…それで?」
今のとこ、これのどこでご機嫌になるのかは謎。
「それでね…そんな感じで少し話してたんだけど………何か、彼女って言うのが引っ掛かっちゃって………だってね、…侑利くんは俺の彼女じゃないじゃん」
むしろ、お前が彼女だけどな。
「そのまま、彼女が居る事にして流せば良かったのかも知れないけど……何か……侑利くんと、彼女って言葉が全然しっくり来なくて……このままじゃヤダなって思ってさ」
少し伏し目がちに……照れたように喋る慶を…やっぱり可愛いと思う依存症な俺が居る。
「侑利くんの事、言っちゃった」
「…ん?」
俺の事言ったって?
「一緒に住んでるけど彼女じゃない、って。……女じゃなくて、男だ、って」
えへへ、と緩い笑いを付け足した。
「その人の事がすごく好きだ、って言っちゃった」
何だよそれ……
「彼女とか言うの………侑利くんの事、隠してるみたいで嫌だったから」
…………何なんだよ…。
「へへ……以上、報告終わり」
……え…
「それだけ?」
思わず聞いた。
「え、うん、そうだよ」
「え……終わり?」
「…うん」
「ちょっと待って……要するに纏めると……自分の事聞かれたけど、彼女が居るって事にして話を進めんのは、俺の存在を隠してるような気がして嫌だったから、男と付き合っててソイツの事がすげぇ好きだ、って言ったって事?」
簡潔にかい摘んだ。
慶は「うん」と頷く。
「それを言って、すごくご機嫌になったって事?」
慶が、だんだん心配そうな表情になってる。
「うん……ダメだった?」
不安そうに俺を見る。
さっきまでの上機嫌な様子はもう無い。
いやいや、そんなのさぁ……何か、可愛いって思ってしまうと思うんだ、普通は。
慶の体をグッと押して、後ろへ倒す。
肘掛けで頭を打たないように、そっと。
「ダメな訳ねぇじゃん」
「…ほんとに?」
まだ、不安そう。
「お前ってさぁ………何なの」
「え、」
何か良い事でもあったのかと思ったら……
俺の事を、俺の知らねぇとこですげぇ好きだとか言って、男同士で付き合ってるって事まで暴露して、それで上機嫌になってるとか……
「記念日でも特別な日でも何でもないのに、すんげぇ俺ん中のスイッチ押してくんだね」
「え?…何?……褒めてるの?」
慶が聞いて来る。
「褒めてるよ」
「…ほんと?」
「マジでさぁ………超嬉しいわ」
嬉しい、という言葉に慶の心配が払拭されたようで、安心したような笑顔を見せる。
「嬉しいの?」
「嬉しいよ」
「えー…どれぐらい?」
「今からお前のバイト先行って、工藤って人に『慶と付き合ってんのは俺です』って言いてぇぐらい」
慶の顔が瞬時に赤くなった。
照れてんな…。
赤くなってる耳にキスをする。
「…ん、」
小さな声で慶が少し身を捩る。
「慶」
「…何?」
耳元で名前を呼ぶと、少し擽ったそうに肩を竦めた。
「好きだ」
俺も、って言いかけた慶の唇を塞いだ。
お前が俺を好きなのは、分かってるよ。
入ったばっかのバイト先で、まだ良く知らない先輩に言っちまうくらいだもんな。
「慶」
もう一度呼ぶ。
「何?」
同じ返事。
「やっぱ好きだわ」
「も~、さっきと一緒じゃん」
あはは、と笑って俺の髪を緩々と弄る。
「それしか出て来ねぇ」
何処を切り取っても、好きだという感情しか見当たらねぇんだよ。
「侑利くん……超カッコいい」
「はぁ?何急に」
こんなの、マジで他の奴には聞かせらんねぇな、ってぐらいハマりまくってんだ。
2人だけでやってるんだから、良いか……誰の迷惑にもなってねぇし。
「急じゃないよ、いつも思ってる」
「…そりゃ、どうも」
いつも思ってんだ。
……だいぶ嬉しいわ。
「侑利くん………今日は疲れてる?」
「何で?」
分かってるけど、聞いてみた。
「……したくなったから」
これが聞きたかったから。
「じゃあする」
「え、大丈夫?」
「昼まで寝る」
「ふふ、俺も」
ゆっくり慶の体を起こし、寝室へ移動。
その間も、慶が纏わりついて来て2回くらい躓いたけど……
ベッドに慶を倒し、早急にキスをする。
「…ん、……っ、ふ………んん…」
舌を執拗に追いかけて絡め取ると、慶はいつも可愛い声を出す。
俺はその声にいつも煽られるんだ。
「ぁ、……んっ、……あぁ、……」
慶の、細い首筋に舌を這わせて行くと、ビク、と肩を震わせて身を捩る。
慶の服に手をかけて、トレーナーと肌着代わりのTシャツを重なったまま一気に脱がし、俺も同じ様に上を脱いだ。
いつも思う事だけど……………すげぇ、綺麗な身体。
少し荒い呼吸を繰り返す度に浮き出る細い鎖骨が、妙にいやらしい。
もう一度、噛み付くようにキスをすると、慶もそれに応えようと舌で俺の口内を弄って来る。
「……っふ、…ぅ、んん……っ、ん……」
キスは止めずに、慶が上体を起こして俺をベッドに沈め、俺の腹に跨った。
今日は何か、慶が積極的。
ご機嫌だからか?
キスが解かれたと思った次の瞬間には、首筋に柔らかい感触…。
「…っ、…」
その感触にビクッと体が跳ねた。
慶が俺の首筋に…俺がしたように舌を這わせて行く。
そのまま舌は、俺の鎖骨を通って……胸へと移動した。
舌先で突起を突いたり吸い上げたりして来る。
「ん、ぅ、」
左右交互に攻めて来る。
何にしろ、そんな事をされて俺の興奮が収まる訳もなく……下半身はもう、さっきからすげぇキツい。
慶の手が、その状態を確かめるようにジーンズの上からソレを触る。
「っ、」
触られた瞬間、軽い震えが来た。
慶もそれを感じ取って、俺のベルトをカチャカチャやってる。
「今日はね……俺が色々やってあげる」
そう言いながら、俺の身に着けてるものを全て脱がせた。
「そういう気分なの?」
「うん、そう」
細い体を俺の足の間に滑り込ませると、俺自身を緩々と手で扱き始める。
「ぁ、…っ、」
小さく声が出た。
「気持ちいい?」
当たり前の事を聞いて来る。
自分がリードしてやってる事が、嬉しいんだろうなきっと……
慶は単純だからな……
まぁ、俺もだけどさ…
「気持ちいいよ」
俺が答えると、また嬉しそうな顔をしてソレにキスをする。
柔らかい唇の感触から……突然、熱く滑る感じに切り替わる。
慶の口内へ俺自身が咥え込まれたって分かる。
「…っ、う……ん、……っ、」
声が出る。
慶の口内は、溶けるぐらいに熱くて…絡みついて来る舌が時折裏側を舐め上げたり、吸い付いたり……
チラッと慶を見ると、俺の下腹部で忙しなくその小さな頭が上下してて、一生懸命やってんだって思うと、健気で可愛くて愛しくて仕方ない感情に襲われる。
その愛撫は、素直に気持ち良くて……俺自身が硬さと熱を充分に持った事は、当然感覚で分かる。
「慶……もう、お前ん中入りてぇ」
慶がバッと顔を上げる。
「今日は俺が自分でやる」
「え?」
そう言うと、いつもの所からゴムを1つ取って俺に渡す。
着けとけ、って事だな…。
その間に、慶は自分の服を脱いでる。
丸見えなんだけど、一応後ろ向いて脱いでるとことか、割と好きなポイントだったり。
慶のソコもこの雰囲気でだいぶ熱を持ってる感じ…。
「……恥ずかしいけど…」
とか言いながら、再度、慶が俺に跨り、俺自身の先端を自分の入口へとあてた。
「え、ちょっと、慶…」
「…いくよ」
待てって…
お前……そんな事すんの?
慶はゆっくりと俺の質量を確かめながら、腰を落として来る。
「…んんっ、…あ、…あぁ、……っ、ん…あっ、…あ、…」
慶の妖艶極まりない姿を下から見上げた。
さっきの口内よりも格段に熱い慶の中へ誘われる。
「……んっ、……あっ、は、入った?…」
慶がその感覚に見悶えながら聞いて来たから、俺は少しソレを突いて入った事を教えた。
「あっ、ん…ダメ、まだ……ぅ、動かないで…」
自重で最初から奥まで到達してる感覚に、慶の細い腰が痙攣するように震えてる。
慶は、気分を落ち着かせるように一度緩く長い息を吐いてから………少しずつ、体を揺らし始めた。
「慶……お前、……っ、……キレイだな…」
俺だって気持ち良くて変になりそうだ…。
「ああっ、んん……あっ、…あっ……侑利くんっ……き、……気持ちいい…?」
細い体が、荒い呼吸と共に左右に揺れて………それに合わせるように、上下前後に腰を揺らす。
「気持ちいい……マジで……お前…すげぇじゃん…」
そう言うと、喘ぎの合間で嬉しそうな顔を俺に向ける。
「俺も……動いていい?」
「う、……うん、いいよ……っ、あっ、……ぅ、…動いて…」
慶の腰を両手で掴み、逃げられないようにして、俺も動く。
押さえつける手とは反対のタイミングで突き上げた………執拗に何度も。
「あっ、ああぁ、…や、…あっ、…んっ……んん、……ぅ、あっ、あぁっ…」
慶のソレは俺の腹の上で、動きに合わせて打ち付けられている。
腰をホールドしてた手を片方外して、慶自身を掴んで扱く。
「やっ、…やぁ、だめっ…あっ、あぁぁ、んっ、…だ、…だ、めだって……侑利くんっ、あっ、」
途端に慶の喘ぎが……切羽詰まったものに変わる。
「慶、…イケそう?」
「…っ、うん……も、イク……」
正直、俺ももう無理だわ。
この慶のエロい状況が手伝って、限界がすげぇ近い。
「侑利くんが……あっ、ん……イかないと…っ、やだ…っ、んん…」
イクのを堪えてる顔と声。
「俺も…もう限界」
「じゃあ……っ、あ……い、…一緒に……あぁ、っ」
分かってるよ。
「慶……イクぞ」
そう言って、慶の中心部の奥の奥に届くように、思い切り何度も突き上げた。
片方の腰を掴んだ手は、突き上げる動きに合わせてグッと下へ押し下げる。
そして、慶自身を扱く手は、根元から掴んで腰の動き同様、速さを増して絶頂へ向かわせた。
「あっ、あぁぁっ、いいっ、ああぁっ、イ、ク…侑利くんっ、…ぅ…あ、ああぁぁっ!」
慶の声がワントーン高くなる。
「っ、う、…ん」
俺も絞り出すような声が出た。
慶の中で発射した。
ゴムを着けてるとは言え、ドクドクと粘度のある液体が放たれる感覚に、下半身がビクビクと震えた。
と同時に、俺の腹の上に熱い液体が飛び散る感覚…。
慶自身から吐射されたかなり熱い白濁が、俺の腹を流れる。
イッた後、ガクッと力が抜けて俺の方へ倒れ込んで来そうな慶の体を急いで支えた。
はぁはぁ、と大きく肩を揺らして全身で息を吸ってる。
慶はいつも、イッた後、上手く空気が吸えなくて軽い酸欠みたいになる。
「慶…大丈夫か?」
聞いても、いつも返事は無い。
……気絶寸前だからだ。
とりあえず、ティッシュに手を伸ばして数枚重ねて取り、自分の腹に放たれた液体を拭き取る。
キレイには拭けなかったけど、風呂入るからまぁ良いか…。
その後で、慶の体を丁寧にベッドへ寝かせる。
その動きの最中で、挿入していた俺自身が慶の中から抜けた。
「…んっ……あ、」
その感覚はいつも慣れないらしくて、この時はいつも小さく喘ぐ。
まだ、整わない慶の呼吸が部屋に響いてる。
「慶…」
「……ん、」
反応した。
装着していたゴムを外しティッシュで包んでゴミ箱へ捨て、慶の下半身もキレイにタオルで拭いてやる。
でもいつも、その部分だけは自分で拭きたがるから、そうさせている。
やっぱり、隠して拭いてるとこが可愛いわ…。
見えてんだけどね…。
「なぁ、慶」
「…ん?」
気怠そうに答える。
「また今度、上乗ってよ」
「……どうしようかな…」
「何でだよ」
お前が上って初めてだったし、何かいつもより色気があった気がする。
だいぶ、呼吸が緩やかになって来たところで、慶の体を抱き寄せた。
「俺ってさぁ…だいぶお前に愛されてんな」
抱き込んだ耳元で言ってみる。
「今頃何言ってんの~」
さっきまで恍惚の表情を浮かべて俺の上で喘ぎまくってた慶とは、別人みたいにフワフワした口調で言う。
お前が俺を好きだって言うたびに、俺は心ん中でガッツポーズするくらいテンション上がってんだ。
……まぁ、いちいち言わねえけどさ。
好きな奴に「好き」とか「カッコいい」とか言われたら、誰だってテンション上がるでしょ。
俺も例に違わず、そのクチだ。
お前が好きで、どうしようもないよ。
「ぉ、わっ」
「おかえりっ」
少し開けたドアが内側から勢いよく開いて、頭をぶつけそうで瞬時に避けた。
自分の反射神経の良さを褒めてやりたい。
慶が思いっきりドアを開けて来て、俺の腕を掴んで玄関へ引っ張り込んで、そのまま飛び付いて来た。
行き成りの事で、慶の体を受け止めたもののちょっとヨロけて、閉まったばかりのドアに凭れかかった。
「お前っ、ビビるわっ、何だよっ」
「えへへ」
「えへへじゃねぇよ」
嬉しそうにフワフワ笑ってる。
何だよ…よく分かんねぇけど、可愛いわ。
「何、どしたの」
とりあえず、中入りたいんですけど。
慶がそれを許してくれず、俺は未だ玄関のドアに押し付けられたままだ。
「侑利くんが帰って来るの待ってた」
「…うん」
「早く会いたかったんだ~」
「…そうか」
「うん、そう」
ニコニコしやがって。
とりあえず、嬉しそうに俺を見上げて来る慶にキスしてやった。
すぐに、俺を押し付ける力が弱まって、代わりに俺に巻き付いて来る腕の力が強くなる。
「…中、入りたい」
「えっ?ここで?」
キスを終わらせて言うと、慶が驚いたように返して来た。
「は?」
「え?あ、間違えた~」
………いやいや……
お前、ほんと、どしたの今日。
「バーカ」
「も~、侑利くんが紛らわしい事言うからだよ~」
恥ずかしそうにしてるのが、何気にツボだったりするけどな。
ようやく、靴を脱いで家の中へ入る。
「そりゃ、中には入りてぇけどさ」
業と意地悪く言ってやると、後ろから俺の肩をバシバシ叩きながら付いて来る。
「まず、家の中に入れてくれ。お前ん中入るのはその後だ」
「も~~~っ!!恥ずかしいから言わないでっ」
手洗いとうがいしてるけど、まだ叩いて来る。
そろそろ肩痛いんですけど…。
変な勘違いして……面白ぇな、お前はマジで。
「疲れたわぁ~…何か金曜だからか、忙しかった」
鞄と上着をソファにドサッと置いて、冷蔵庫へ。
お疲れ~、とか言いながら慶が上着をキレイにしてくれてる。
ペットボトルの水を開けて、一口飲む。
「慶も疲れたんじゃねぇ?連勤してたし」
「あ、うん」
「慣れた?」
「うーん…ちょっとだけ」
「はは、まぁ、ゆっくりで良いんじゃねぇの?」
「工藤さんもそう言ってくれてるけど…」
工藤さん、という名前がよく出る。
慶に近いところでいつも居るんだろうけど……正直、気にならない訳ではない。
何か、「優しい」とか「すごい」とかよく言ってるからさ。
俺だって優しいし色んな意味で「すごい」だろ?
…まぁ、しょうもない嫉妬はしないって決めた。
…とは言え、性格だから気になるのは仕方ない。
「あ、会社の書類に住所書かないといけないんだけど、ここの住所書いても良い?」
「…ここ以外どこの住所書くんだよ」
俺の言葉に少し安心したような表情で笑う。
だって、お前の居場所はここだろ?
「住所、覚えて無くてまだ書けてないんだ」
「あぁ、そっか、住所なぁ」
ここの住所を紙に書いて渡してやった。
「明日と明後日は休みだろ?」
「うん、連休」
「良いじゃん」
……俺は、とりあえずこの1週間は全出勤。
これは、俺に留まらず全員そうだ。
そうなるのは仕方ない。
最初からそう言われてたし。
来週からは今まで通り平日2日は休みにするから、って今日桐ケ谷さんが言ってた。
まぁ…こういう時だし、新しいBIRTHのためにも休み返上しても良いかなって思うけど、スタッフを大事にしてくれる桐ケ谷さんだから、俺らを連勤させたくないんだろう…。
休憩室のカレンダー仕様のホワイトボードに、休みの希望があれば名前を書いて行く決まり。
ずっとそれでやって来てるから、シフトを作る桐ケ谷さんも、それに従う俺らも、分かりやすくて一番やり易い。
ただ、俺らの来週の希望は搬入作業してた頃に既に書いてたから、後から決まった慶の休みと俺の休みが来週は合わない。
「来週はもう無理だけど、再来週からはお前の休みと合わせるわ」
「うんっ」
嬉しそうな顔で慶が立ち上がり、俺に近付いて来た。
「侑利くん、大好きっ」
抱き着いて来る。
「お前、今日どしたの、マジで」
「ん~ふふ」
「ご機嫌じゃん」
慶の機嫌が良いのは、俺も悪い気はしない。
「何かあった?」
「…ん~……あった」
あったんだ。
「何」
「え~」
「何だよ」
「別に言うほどの事じゃないし~」
「何それ、言わねぇつもり?」
「…どうしよっか、わっ」
いつまでも勿体ぶってる慶をソファに押し倒してやった。
「も~っ、危ないなぁっ」
「早く言えよ」
押さえつけて動けないようにする。
「んふふ」
「んふふ、じゃなくて」
フワフワしてさ…。
慶の腕が伸びて来て、俺の首にかかる。
そのまま体を起こして来て、くるりと反転……今度は、俺が下になり慶が上から俺を見下ろす。
「何、慶…お前、どしたの?」
「何で?」
俺よりだいぶ軽い慶の重みが、何となく心地良い。
片方の腕を俺の顔の横に突っ張って、俺を見てる。
「可愛いじゃん」
こちらからも腕を伸ばし、慶の斜めに切り揃えられた前髪に指を通す。
「侑利くん…」
名前が呼ばれて………慶からのキスを受ける。
軽い…唇を合わせるだけのキスを何度も。
「今日ね…」
慶が体を起こし、俺の腕を引っ張って俺の上体も起こさせる。
俺の足の間に慶が居て、ソファで向かい合う形。
やっと、ご機嫌な訳を話す気になったらしい。
「工藤さんに、彼女居るんでしょ?って言われた」
……おっと……彼女、って…。
「羽柴くんが彼氏だったら彼女は自慢だね、とか」
へぇ…
「彼女が手料理作ってくれたりするの、とか」
「…それで?」
今のとこ、これのどこでご機嫌になるのかは謎。
「それでね…そんな感じで少し話してたんだけど………何か、彼女って言うのが引っ掛かっちゃって………だってね、…侑利くんは俺の彼女じゃないじゃん」
むしろ、お前が彼女だけどな。
「そのまま、彼女が居る事にして流せば良かったのかも知れないけど……何か……侑利くんと、彼女って言葉が全然しっくり来なくて……このままじゃヤダなって思ってさ」
少し伏し目がちに……照れたように喋る慶を…やっぱり可愛いと思う依存症な俺が居る。
「侑利くんの事、言っちゃった」
「…ん?」
俺の事言ったって?
「一緒に住んでるけど彼女じゃない、って。……女じゃなくて、男だ、って」
えへへ、と緩い笑いを付け足した。
「その人の事がすごく好きだ、って言っちゃった」
何だよそれ……
「彼女とか言うの………侑利くんの事、隠してるみたいで嫌だったから」
…………何なんだよ…。
「へへ……以上、報告終わり」
……え…
「それだけ?」
思わず聞いた。
「え、うん、そうだよ」
「え……終わり?」
「…うん」
「ちょっと待って……要するに纏めると……自分の事聞かれたけど、彼女が居るって事にして話を進めんのは、俺の存在を隠してるような気がして嫌だったから、男と付き合っててソイツの事がすげぇ好きだ、って言ったって事?」
簡潔にかい摘んだ。
慶は「うん」と頷く。
「それを言って、すごくご機嫌になったって事?」
慶が、だんだん心配そうな表情になってる。
「うん……ダメだった?」
不安そうに俺を見る。
さっきまでの上機嫌な様子はもう無い。
いやいや、そんなのさぁ……何か、可愛いって思ってしまうと思うんだ、普通は。
慶の体をグッと押して、後ろへ倒す。
肘掛けで頭を打たないように、そっと。
「ダメな訳ねぇじゃん」
「…ほんとに?」
まだ、不安そう。
「お前ってさぁ………何なの」
「え、」
何か良い事でもあったのかと思ったら……
俺の事を、俺の知らねぇとこですげぇ好きだとか言って、男同士で付き合ってるって事まで暴露して、それで上機嫌になってるとか……
「記念日でも特別な日でも何でもないのに、すんげぇ俺ん中のスイッチ押してくんだね」
「え?…何?……褒めてるの?」
慶が聞いて来る。
「褒めてるよ」
「…ほんと?」
「マジでさぁ………超嬉しいわ」
嬉しい、という言葉に慶の心配が払拭されたようで、安心したような笑顔を見せる。
「嬉しいの?」
「嬉しいよ」
「えー…どれぐらい?」
「今からお前のバイト先行って、工藤って人に『慶と付き合ってんのは俺です』って言いてぇぐらい」
慶の顔が瞬時に赤くなった。
照れてんな…。
赤くなってる耳にキスをする。
「…ん、」
小さな声で慶が少し身を捩る。
「慶」
「…何?」
耳元で名前を呼ぶと、少し擽ったそうに肩を竦めた。
「好きだ」
俺も、って言いかけた慶の唇を塞いだ。
お前が俺を好きなのは、分かってるよ。
入ったばっかのバイト先で、まだ良く知らない先輩に言っちまうくらいだもんな。
「慶」
もう一度呼ぶ。
「何?」
同じ返事。
「やっぱ好きだわ」
「も~、さっきと一緒じゃん」
あはは、と笑って俺の髪を緩々と弄る。
「それしか出て来ねぇ」
何処を切り取っても、好きだという感情しか見当たらねぇんだよ。
「侑利くん……超カッコいい」
「はぁ?何急に」
こんなの、マジで他の奴には聞かせらんねぇな、ってぐらいハマりまくってんだ。
2人だけでやってるんだから、良いか……誰の迷惑にもなってねぇし。
「急じゃないよ、いつも思ってる」
「…そりゃ、どうも」
いつも思ってんだ。
……だいぶ嬉しいわ。
「侑利くん………今日は疲れてる?」
「何で?」
分かってるけど、聞いてみた。
「……したくなったから」
これが聞きたかったから。
「じゃあする」
「え、大丈夫?」
「昼まで寝る」
「ふふ、俺も」
ゆっくり慶の体を起こし、寝室へ移動。
その間も、慶が纏わりついて来て2回くらい躓いたけど……
ベッドに慶を倒し、早急にキスをする。
「…ん、……っ、ふ………んん…」
舌を執拗に追いかけて絡め取ると、慶はいつも可愛い声を出す。
俺はその声にいつも煽られるんだ。
「ぁ、……んっ、……あぁ、……」
慶の、細い首筋に舌を這わせて行くと、ビク、と肩を震わせて身を捩る。
慶の服に手をかけて、トレーナーと肌着代わりのTシャツを重なったまま一気に脱がし、俺も同じ様に上を脱いだ。
いつも思う事だけど……………すげぇ、綺麗な身体。
少し荒い呼吸を繰り返す度に浮き出る細い鎖骨が、妙にいやらしい。
もう一度、噛み付くようにキスをすると、慶もそれに応えようと舌で俺の口内を弄って来る。
「……っふ、…ぅ、んん……っ、ん……」
キスは止めずに、慶が上体を起こして俺をベッドに沈め、俺の腹に跨った。
今日は何か、慶が積極的。
ご機嫌だからか?
キスが解かれたと思った次の瞬間には、首筋に柔らかい感触…。
「…っ、…」
その感触にビクッと体が跳ねた。
慶が俺の首筋に…俺がしたように舌を這わせて行く。
そのまま舌は、俺の鎖骨を通って……胸へと移動した。
舌先で突起を突いたり吸い上げたりして来る。
「ん、ぅ、」
左右交互に攻めて来る。
何にしろ、そんな事をされて俺の興奮が収まる訳もなく……下半身はもう、さっきからすげぇキツい。
慶の手が、その状態を確かめるようにジーンズの上からソレを触る。
「っ、」
触られた瞬間、軽い震えが来た。
慶もそれを感じ取って、俺のベルトをカチャカチャやってる。
「今日はね……俺が色々やってあげる」
そう言いながら、俺の身に着けてるものを全て脱がせた。
「そういう気分なの?」
「うん、そう」
細い体を俺の足の間に滑り込ませると、俺自身を緩々と手で扱き始める。
「ぁ、…っ、」
小さく声が出た。
「気持ちいい?」
当たり前の事を聞いて来る。
自分がリードしてやってる事が、嬉しいんだろうなきっと……
慶は単純だからな……
まぁ、俺もだけどさ…
「気持ちいいよ」
俺が答えると、また嬉しそうな顔をしてソレにキスをする。
柔らかい唇の感触から……突然、熱く滑る感じに切り替わる。
慶の口内へ俺自身が咥え込まれたって分かる。
「…っ、う……ん、……っ、」
声が出る。
慶の口内は、溶けるぐらいに熱くて…絡みついて来る舌が時折裏側を舐め上げたり、吸い付いたり……
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その愛撫は、素直に気持ち良くて……俺自身が硬さと熱を充分に持った事は、当然感覚で分かる。
「慶……もう、お前ん中入りてぇ」
慶がバッと顔を上げる。
「今日は俺が自分でやる」
「え?」
そう言うと、いつもの所からゴムを1つ取って俺に渡す。
着けとけ、って事だな…。
その間に、慶は自分の服を脱いでる。
丸見えなんだけど、一応後ろ向いて脱いでるとことか、割と好きなポイントだったり。
慶のソコもこの雰囲気でだいぶ熱を持ってる感じ…。
「……恥ずかしいけど…」
とか言いながら、再度、慶が俺に跨り、俺自身の先端を自分の入口へとあてた。
「え、ちょっと、慶…」
「…いくよ」
待てって…
お前……そんな事すんの?
慶はゆっくりと俺の質量を確かめながら、腰を落として来る。
「…んんっ、…あ、…あぁ、……っ、ん…あっ、…あ、…」
慶の妖艶極まりない姿を下から見上げた。
さっきの口内よりも格段に熱い慶の中へ誘われる。
「……んっ、……あっ、は、入った?…」
慶がその感覚に見悶えながら聞いて来たから、俺は少しソレを突いて入った事を教えた。
「あっ、ん…ダメ、まだ……ぅ、動かないで…」
自重で最初から奥まで到達してる感覚に、慶の細い腰が痙攣するように震えてる。
慶は、気分を落ち着かせるように一度緩く長い息を吐いてから………少しずつ、体を揺らし始めた。
「慶……お前、……っ、……キレイだな…」
俺だって気持ち良くて変になりそうだ…。
「ああっ、んん……あっ、…あっ……侑利くんっ……き、……気持ちいい…?」
細い体が、荒い呼吸と共に左右に揺れて………それに合わせるように、上下前後に腰を揺らす。
「気持ちいい……マジで……お前…すげぇじゃん…」
そう言うと、喘ぎの合間で嬉しそうな顔を俺に向ける。
「俺も……動いていい?」
「う、……うん、いいよ……っ、あっ、……ぅ、…動いて…」
慶の腰を両手で掴み、逃げられないようにして、俺も動く。
押さえつける手とは反対のタイミングで突き上げた………執拗に何度も。
「あっ、ああぁ、…や、…あっ、…んっ……んん、……ぅ、あっ、あぁっ…」
慶のソレは俺の腹の上で、動きに合わせて打ち付けられている。
腰をホールドしてた手を片方外して、慶自身を掴んで扱く。
「やっ、…やぁ、だめっ…あっ、あぁぁ、んっ、…だ、…だ、めだって……侑利くんっ、あっ、」
途端に慶の喘ぎが……切羽詰まったものに変わる。
「慶、…イケそう?」
「…っ、うん……も、イク……」
正直、俺ももう無理だわ。
この慶のエロい状況が手伝って、限界がすげぇ近い。
「侑利くんが……あっ、ん……イかないと…っ、やだ…っ、んん…」
イクのを堪えてる顔と声。
「俺も…もう限界」
「じゃあ……っ、あ……い、…一緒に……あぁ、っ」
分かってるよ。
「慶……イクぞ」
そう言って、慶の中心部の奥の奥に届くように、思い切り何度も突き上げた。
片方の腰を掴んだ手は、突き上げる動きに合わせてグッと下へ押し下げる。
そして、慶自身を扱く手は、根元から掴んで腰の動き同様、速さを増して絶頂へ向かわせた。
「あっ、あぁぁっ、いいっ、ああぁっ、イ、ク…侑利くんっ、…ぅ…あ、ああぁぁっ!」
慶の声がワントーン高くなる。
「っ、う、…ん」
俺も絞り出すような声が出た。
慶の中で発射した。
ゴムを着けてるとは言え、ドクドクと粘度のある液体が放たれる感覚に、下半身がビクビクと震えた。
と同時に、俺の腹の上に熱い液体が飛び散る感覚…。
慶自身から吐射されたかなり熱い白濁が、俺の腹を流れる。
イッた後、ガクッと力が抜けて俺の方へ倒れ込んで来そうな慶の体を急いで支えた。
はぁはぁ、と大きく肩を揺らして全身で息を吸ってる。
慶はいつも、イッた後、上手く空気が吸えなくて軽い酸欠みたいになる。
「慶…大丈夫か?」
聞いても、いつも返事は無い。
……気絶寸前だからだ。
とりあえず、ティッシュに手を伸ばして数枚重ねて取り、自分の腹に放たれた液体を拭き取る。
キレイには拭けなかったけど、風呂入るからまぁ良いか…。
その後で、慶の体を丁寧にベッドへ寝かせる。
その動きの最中で、挿入していた俺自身が慶の中から抜けた。
「…んっ……あ、」
その感覚はいつも慣れないらしくて、この時はいつも小さく喘ぐ。
まだ、整わない慶の呼吸が部屋に響いてる。
「慶…」
「……ん、」
反応した。
装着していたゴムを外しティッシュで包んでゴミ箱へ捨て、慶の下半身もキレイにタオルで拭いてやる。
でもいつも、その部分だけは自分で拭きたがるから、そうさせている。
やっぱり、隠して拭いてるとこが可愛いわ…。
見えてんだけどね…。
「なぁ、慶」
「…ん?」
気怠そうに答える。
「また今度、上乗ってよ」
「……どうしようかな…」
「何でだよ」
お前が上って初めてだったし、何かいつもより色気があった気がする。
だいぶ、呼吸が緩やかになって来たところで、慶の体を抱き寄せた。
「俺ってさぁ…だいぶお前に愛されてんな」
抱き込んだ耳元で言ってみる。
「今頃何言ってんの~」
さっきまで恍惚の表情を浮かべて俺の上で喘ぎまくってた慶とは、別人みたいにフワフワした口調で言う。
お前が俺を好きだって言うたびに、俺は心ん中でガッツポーズするくらいテンション上がってんだ。
……まぁ、いちいち言わねえけどさ。
好きな奴に「好き」とか「カッコいい」とか言われたら、誰だってテンション上がるでしょ。
俺も例に違わず、そのクチだ。
お前が好きで、どうしようもないよ。
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