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第二章「ダオロスの光」
第二章「ダオロスの光」6
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確保した女子生徒と三人で公園のベンチに座って朝まで過ごした。ほとんど無言で、優斗と芹菜の質問にも曖昧にしか答えなかった。答えを拒否しているというよりは、本当にここ数日間の記憶が不確かで、自分でも何をしていたのかわからない、という感触の方が強かった。
始発の電車で二人に依頼をしてきた女子生徒がやってきた。あとは彼女が親元に連れていってくれるのだという。二人はいなくなっていた女子生徒とは面識がないことになっているから、その方が都合がいいだろう。
その場を解散して、優斗はいったん家に帰った。
シャワーを浴びて、学校に行く準備をした。
かなりの眠気があるが、一日ぼうっとしていればそれで済むだろうと思っていた。
学校に早めに着いて、始業のチャイムを待つ。
教室に入ってくるクラスメイトに挨拶をする。
朝のホームルームが始まって、優斗はようやく気がつく。
芹菜が来ていない。
ただ、朝まで起きていたから、疲れて眠ってしまったのかもしれない。芹菜も優斗と同じく一人で暮らしているようなものだから、誰も起こしてくれなかったというのはあり得る。
メールを送ってみたが、返信はなかった。
昼休みになっても来なかったので、優斗は電話をかけてみたが、反応はなかった。さすがにこの時間まで眠ったままというのはないだろう。
ここで異変を感じた。
午後の授業が始まる前に担任が教室にやってきて、芹菜が来ていないことに対して何か知っていることはないかと聞かれた。
担任が優斗達が何かをしているのは知らないはずだが、芹菜と仲が良いということはわかっている。
結局芹菜はその日はやってこなかった。
次の日の朝、またメールを送り、電話をかけたが折り返しの着信もなかった。
学校に来てみたが、やはり芹菜は欠席している。担任にまた聞かれる。さすがに二日連続無断欠席となると問題になってくる。他校で最近まで失踪していた生徒がいたことくらいは教員の中でも共有されているだろうからその辺も込みで気にしているのかもしれない。そうなると担任は親にも連絡をしてみたが、そちらも繋がらなかったみたいだった。
これで帰ってきた生徒が一人、いなくなった生徒が二人、ということになった。
放課後まで授業を受けて、教室で一人校庭をぼんやり見ていた。
制服のパンツに入れていたケータイが震える。芹菜かと思っていたが、相手は最近登録したばかりの賀茂だった。
ケータイを耳に当てると、やけに明るい声で賀茂がしゃべった。
「やあやあ、大変なことになったね」
「どうして」
知っているのか、という言葉を優斗は飲み込む。
「うん、まあ、大体のことはね」
当然芹菜がいなくなったことについてだろう。
「何か知っているのか?」
「何か? 何かってたとえば?」
「居場所に決まっているだろ」
「ああ、うん、まあ、今のところ思い当たることはないね」
「本当か?」
「疑い深いね、疑い深いのはまあ悪くないよ」
賀茂は何も知らない、というわけでもなさそうだった。
「まあ、今君に言えることはないよ。さしあたり、僕が言えることはそれくらいかな」
「そうか」
何かをはぐらかされているのはわかるが、それを問い詰めても返すつもりはない、というのもわかった。
「そうだな、今日はここまでかな。もしかしたら今日芹菜ちゃんが帰ってくるかもしれないし、そうすれば問題の大体は解決したことになる。明日もし状況が変わっていないようだったらどこかで落ち合おう。それじゃあね」
優斗が返答する前に、一方的に言って賀茂は電話を切った。
一呼吸して、教室の黒板をなんとなく見る。
今自分にできることはなんだろうか。
考える、以外に何もない、と優斗は思った。
芹菜がいなくなる理由、それはこの一連の何かの影響だろう、というのは明らかだ。だが行方不明になっていた生徒は戻ってきた。色々と調べることはあるだろうが、それは大人たちの仕事になる。警察や親の管理下にあるだろうし、自分が今どうにかして彼女に会うことも難しいだろう。
新たに行方不明になった生徒は、どうやら心配されていないらしい。こういうことがたびたびあるのかはわからないが、そんな雰囲気ではあった。
考えても仕方のない、それだけが自分の手元にある。
とにかく、今日一日は動かず、明日になるのを待つしかない。
もし芹菜が家に帰ってくればそれでよい。
だが、もし帰ってこなかったら?
始発の電車で二人に依頼をしてきた女子生徒がやってきた。あとは彼女が親元に連れていってくれるのだという。二人はいなくなっていた女子生徒とは面識がないことになっているから、その方が都合がいいだろう。
その場を解散して、優斗はいったん家に帰った。
シャワーを浴びて、学校に行く準備をした。
かなりの眠気があるが、一日ぼうっとしていればそれで済むだろうと思っていた。
学校に早めに着いて、始業のチャイムを待つ。
教室に入ってくるクラスメイトに挨拶をする。
朝のホームルームが始まって、優斗はようやく気がつく。
芹菜が来ていない。
ただ、朝まで起きていたから、疲れて眠ってしまったのかもしれない。芹菜も優斗と同じく一人で暮らしているようなものだから、誰も起こしてくれなかったというのはあり得る。
メールを送ってみたが、返信はなかった。
昼休みになっても来なかったので、優斗は電話をかけてみたが、反応はなかった。さすがにこの時間まで眠ったままというのはないだろう。
ここで異変を感じた。
午後の授業が始まる前に担任が教室にやってきて、芹菜が来ていないことに対して何か知っていることはないかと聞かれた。
担任が優斗達が何かをしているのは知らないはずだが、芹菜と仲が良いということはわかっている。
結局芹菜はその日はやってこなかった。
次の日の朝、またメールを送り、電話をかけたが折り返しの着信もなかった。
学校に来てみたが、やはり芹菜は欠席している。担任にまた聞かれる。さすがに二日連続無断欠席となると問題になってくる。他校で最近まで失踪していた生徒がいたことくらいは教員の中でも共有されているだろうからその辺も込みで気にしているのかもしれない。そうなると担任は親にも連絡をしてみたが、そちらも繋がらなかったみたいだった。
これで帰ってきた生徒が一人、いなくなった生徒が二人、ということになった。
放課後まで授業を受けて、教室で一人校庭をぼんやり見ていた。
制服のパンツに入れていたケータイが震える。芹菜かと思っていたが、相手は最近登録したばかりの賀茂だった。
ケータイを耳に当てると、やけに明るい声で賀茂がしゃべった。
「やあやあ、大変なことになったね」
「どうして」
知っているのか、という言葉を優斗は飲み込む。
「うん、まあ、大体のことはね」
当然芹菜がいなくなったことについてだろう。
「何か知っているのか?」
「何か? 何かってたとえば?」
「居場所に決まっているだろ」
「ああ、うん、まあ、今のところ思い当たることはないね」
「本当か?」
「疑い深いね、疑い深いのはまあ悪くないよ」
賀茂は何も知らない、というわけでもなさそうだった。
「まあ、今君に言えることはないよ。さしあたり、僕が言えることはそれくらいかな」
「そうか」
何かをはぐらかされているのはわかるが、それを問い詰めても返すつもりはない、というのもわかった。
「そうだな、今日はここまでかな。もしかしたら今日芹菜ちゃんが帰ってくるかもしれないし、そうすれば問題の大体は解決したことになる。明日もし状況が変わっていないようだったらどこかで落ち合おう。それじゃあね」
優斗が返答する前に、一方的に言って賀茂は電話を切った。
一呼吸して、教室の黒板をなんとなく見る。
今自分にできることはなんだろうか。
考える、以外に何もない、と優斗は思った。
芹菜がいなくなる理由、それはこの一連の何かの影響だろう、というのは明らかだ。だが行方不明になっていた生徒は戻ってきた。色々と調べることはあるだろうが、それは大人たちの仕事になる。警察や親の管理下にあるだろうし、自分が今どうにかして彼女に会うことも難しいだろう。
新たに行方不明になった生徒は、どうやら心配されていないらしい。こういうことがたびたびあるのかはわからないが、そんな雰囲気ではあった。
考えても仕方のない、それだけが自分の手元にある。
とにかく、今日一日は動かず、明日になるのを待つしかない。
もし芹菜が家に帰ってくればそれでよい。
だが、もし帰ってこなかったら?
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