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出会い編

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飛鳥馬との暮らしが始まった。

…。

と言いつつ、おわかりかと思うが飛鳥馬はものすごく大人しい。基本部屋の端のほうで突っ立ってるか床にぺたんと座っているかだ。

恐らく不慣れな環境と今までの経験からくる「怯え」のせいだろう。
買い物等に俺が連れて行ったり、トイレや風呂、食事以外は基本そうやって過ごしていた。

…。

まあ…まだ2日目だし。

1週間くらいは付かず離れずの距離で、でも「突き放している感」がないように過ごそうとは思っている。

 なんて考えていると午後6時。

(そろそろ夕飯にするか。)

朝と昼は出来合いのもので済ませていたし、材料も揃っていたので夕飯は自分で作ることにした。

キッチンがちょうど見える位置に座っていた飛鳥馬を横目に俺は包丁を取り出した。
材料を取り出すついでに喉が乾いたためコーラ缶を1本取り出してプルタブを引く。

プシュッ

それと同時に飛鳥馬がビクッと揺れた気がした…が

(?気のせいだろ)

と、特に気にも留めずコーラを1口煽り料理を再開した。

で、こっからが問題だった。

材料を切り終えたので鍋にぶっこんで火にかけようとコンロに火を付けたその瞬間─

ドン!

─とナニかが壁に当たる音と荒い呼吸音が聞こえてきた。

「はぁはぁはぁ…ぃで…めなさ…ぃで…」

「?あすm─!?おま、え!?どーした!?!」

飛鳥馬がひどく青い顔で自分の髪の毛を鷲掴みながら荒い呼吸をしていた。

慌てて火を止め近づく。

「ッ!!ヤッ!ィヤッ!!!こないで!!!」

俺の存在に気づいて飛鳥馬は腕を振り回して大いに暴れた。呼吸は未だ荒く、過呼吸をおそらく起こしてそうだ。

「ッ!落ち着け…!」

暴れる飛鳥馬を無理やり腕に抱きしめた。
それでも震え続ける飛鳥馬。

「大丈夫。ほら、すって…ー吐いて…~…」

聞いてくれてるのかは定かではないが、しばらくして1応呼吸は落ち着いてきたようだ。

「よーしよし…だいぶ落ち着いたな…。頑張ったな。」

そう言って頭を俺の肩に押し付けて頭を軽くポンポンとなでてやると

「ふぅ゛ぅ゛うう゛」

と改めて泣き出してしまった。



******************

泣き疲れたのか飛鳥馬は俺の腕の中ですーすー…と気持ちよさそうに寝息を立てている。

…。

にしてもさっきのパニックの契機はなんだ?
火…か??え、火傷の跡みたいなのあったけど…

そういうこと…なのか…???

………………………は???

まさかとは思うが、焼きごての要領でを炙って皮膚に、しかもあまり目立たないように足の付根とか足首、脇腹辺りに押し付けてたというのか???

こんな小さい子どもに対して???

ふつふつと怒りとやるせなさが湧いてくる。

自分の考察がではあり得ないと頭では思いながらも、飛鳥馬が着ている昨日買ったズボンを捲ると見えるちょうど箸くらいの細さのがそれを否定している。


「…。なんでこんなもん背負わなきゃなんなかったんだろな……。」

そう呟きながら俺は未だ穏やかに眠る飛鳥馬の頭をそっと撫で続けた。
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