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34 他所ではやらない
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「あ、“ロデちゃんあそぼー”だって」
ベイビーが黒ヒョウちゃんの方を向いてプレイバウってやつをしていたのでつい実況してしまった。
「その声色はアテレコですか?」
黒ヒョウちゃん、変な所にツッコミ入れるね。
「そうだよ。そういえば身内の前でしかやったことなかったか……」
実家に行った時に母に向かって突進する姿を見ながら“ばあちゃんおはよう”とか声色を使って言っていた。自分も普通に挨拶をしたうえで。
この声、ベイビーに話しかける時の声とはまた違う高さなのだ。
会社とか他所では「うちの子が“~~~”って言ってたの」と話しはしても声色は使わなかったなあ。
この世界でもベイビーと遊ぶために来る精霊王と魔王の前ではやっていない。
人形遊びみたいだけどついついやっちゃうんだよね。
そんな事を考えてるうちに黒ヒョウちゃんはベイビーを遊ばせる為に庭のドッグランへ連れて行ってくれた。
そういえば黒ヒョウちゃんはヒト語を話すけど、ベイビーとの意思疎通は何語なんだろう。創った私が知らないってどうよ。
黒ヒョウちゃんと私が直接同じ言語を使って話すのを見てベイビーは疎外感を持ってるかもしれない。
ふたりが戻って来たら黒ヒョウちゃんの機能、じゃない、能力を確認しよう。
三十分程してドッグランからふたりが戻ってきた。ベイビーは結構息を切らしている。いっぱい走ったんだね。
「おかえり、ちゃんとお水飲んだ?」
出迎えて声をかける。ドッグランには水飲み場を置いてある。室内にも何か所か水を置いている。
「“のんだよー、たのちかったよー”だそうです」
ん?
ベイビーのおねだり吠え声に近い声が聞こえた気がする。黒ヒョウちゃんかな。
「今のは、キミが発したベイビーの声かな?」
「はい、ご主人の真似をしてみました」
「真似?ベイビーの言っている事ではないの?」
「ベイビー姉さんがそう言いました」
「という事はキミはベイビーとか他の動物と会話ができるんだね?」
「はい」
やったよ自分!意識してなくても必要な能力をつけてたよ!
思わずガッツポーズしてた。あー、よかったぁ。
「よかったよ。私とキミは会話が成立するのにベイビーは誰とも会話できないんじゃかわいそうかもって思っていたから」
「そうですか。あ、“ママおやつたべたい”だそうです」
「OKOK」
やっぱりベイビーの気持ちを代弁する時は声色使ってる。そこは真似しなくてもいいんだけどな。と思いながらもおやつを出してベイビーに食べさせる。
そうだ、注意しておかないと。
「ベイビーのお喋りを全部同時通訳しなくていいからね。
それやってたらキミが大変だし、多分ベイビーの我儘が加速する」
「承知しました」
「それから、声色は他人に聞かせない事」
「何故ですか?」
「キミがやってるなら当然私もやってると思われるし、恥ずかしいし」
「恥ずかしいんですか」
「そうだよ」
「なのに何故やるんですか?」
「何故だろうねえ。ついやっちゃうんだよね」
不思議だねえ。
ベイビーが黒ヒョウちゃんの方を向いてプレイバウってやつをしていたのでつい実況してしまった。
「その声色はアテレコですか?」
黒ヒョウちゃん、変な所にツッコミ入れるね。
「そうだよ。そういえば身内の前でしかやったことなかったか……」
実家に行った時に母に向かって突進する姿を見ながら“ばあちゃんおはよう”とか声色を使って言っていた。自分も普通に挨拶をしたうえで。
この声、ベイビーに話しかける時の声とはまた違う高さなのだ。
会社とか他所では「うちの子が“~~~”って言ってたの」と話しはしても声色は使わなかったなあ。
この世界でもベイビーと遊ぶために来る精霊王と魔王の前ではやっていない。
人形遊びみたいだけどついついやっちゃうんだよね。
そんな事を考えてるうちに黒ヒョウちゃんはベイビーを遊ばせる為に庭のドッグランへ連れて行ってくれた。
そういえば黒ヒョウちゃんはヒト語を話すけど、ベイビーとの意思疎通は何語なんだろう。創った私が知らないってどうよ。
黒ヒョウちゃんと私が直接同じ言語を使って話すのを見てベイビーは疎外感を持ってるかもしれない。
ふたりが戻って来たら黒ヒョウちゃんの機能、じゃない、能力を確認しよう。
三十分程してドッグランからふたりが戻ってきた。ベイビーは結構息を切らしている。いっぱい走ったんだね。
「おかえり、ちゃんとお水飲んだ?」
出迎えて声をかける。ドッグランには水飲み場を置いてある。室内にも何か所か水を置いている。
「“のんだよー、たのちかったよー”だそうです」
ん?
ベイビーのおねだり吠え声に近い声が聞こえた気がする。黒ヒョウちゃんかな。
「今のは、キミが発したベイビーの声かな?」
「はい、ご主人の真似をしてみました」
「真似?ベイビーの言っている事ではないの?」
「ベイビー姉さんがそう言いました」
「という事はキミはベイビーとか他の動物と会話ができるんだね?」
「はい」
やったよ自分!意識してなくても必要な能力をつけてたよ!
思わずガッツポーズしてた。あー、よかったぁ。
「よかったよ。私とキミは会話が成立するのにベイビーは誰とも会話できないんじゃかわいそうかもって思っていたから」
「そうですか。あ、“ママおやつたべたい”だそうです」
「OKOK」
やっぱりベイビーの気持ちを代弁する時は声色使ってる。そこは真似しなくてもいいんだけどな。と思いながらもおやつを出してベイビーに食べさせる。
そうだ、注意しておかないと。
「ベイビーのお喋りを全部同時通訳しなくていいからね。
それやってたらキミが大変だし、多分ベイビーの我儘が加速する」
「承知しました」
「それから、声色は他人に聞かせない事」
「何故ですか?」
「キミがやってるなら当然私もやってると思われるし、恥ずかしいし」
「恥ずかしいんですか」
「そうだよ」
「なのに何故やるんですか?」
「何故だろうねえ。ついやっちゃうんだよね」
不思議だねえ。
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