30 / 40
30 噂話はシルフィードに乗って
しおりを挟む
風の噂で異世界から聖女を呼べなくなって困ってるんだって聞いた。なんで?
わざわざ異世界から呼ばなくたっていいじゃない。そんな考えだからカミサマに見捨てられて、私に激怒されるんだよ。
この世界に居る魔力量多い者から探せばいいじゃん?分業制でもいいじゃん。聖女なんて肩書廃止して神官が担ったっていいじゃん。
なんで女の子にだけそんな役目やらせてるの?聖人はどうした。男の子だって癒しの技とか結界の技とか光の魔法とか使えるのがいるでしょうが。知ってるよ、私。
まさか“聖女”ってこの世界の王家の嫁配給システムか?余所から若い女の子攫って嫁にするなんて野蛮もいいところだ。滅ぼすぞ。
そんな事をぶつくさ言ってたら、どこからか漏れたらしい。
記憶を辿ったら《人間からの訴えが聞こえる部屋》だった。確かに、この部屋でぶつくさ言ってた。下界と関係が近いのはここだから。
それにしてもここ、受信専用じゃなかったのか。送受信スイッチみたいなのを探したら半球に近い形の石がその役目をしていた。そういえばこの石に向かって言ってたわ。丁度いい相手だったし。
なんで漬物石がこんな所に?と思っていたんだよね。懐かしいとも思った。今の漬物石って持ち手がついてる形で売ってるけど、昔は河原から丁度いい大きさと形の石を拾ってきてた。祖父母の家にも実家にもあった。
そんな昔話は置いといて。
ひょっとしたらこの石はご神体かもしれないと思って触らないでいたんだ。そんな訳ないと今なら思う。カミサマ本体がちゃんといるんだし。なので遠慮なく送信機能は潰した。
各部屋に防音機能をつけてるからベイビーのおねだりわんわんは聞こえなかったはず。私がベイビーに話しかけてる妙に高い声も聞こえなかったはず。あれはあまり赤の他人に聞かれたくない。
私の独り言を聞いてしまった世界中の神殿は焦ったらしい。正式な神託ではなくてぶつぶつ言ってる声だったので、対外的には平静を装ってたそうだけど。
聖女の役割は男女関係なく分担制になったそうだ。最初からそうしてろ。
そして各神殿では魔術書から異世界召喚の記述を黒塗りで消したそうだ。民間所有の魔術書には載ってないからそこまでの騒ぎにはならなかったようだ。
これも風の噂で知った後日談だ。
黒塗りってインクが違うと透けて見えるよね。なんて意地の悪い事を思った。文房具が色々あった向こうの世界と違うから大丈夫なんだろう。
私に噂話を教えてくれたのは風の精霊達。彼女達は自力で神域までこれるんだね。神域でぼけら~と暮らしている私を心配した精霊王の命令だって。
のんびり暮らしているのを心配されるとは思わなかっ……ん?働けってことか?
わざわざ異世界から呼ばなくたっていいじゃない。そんな考えだからカミサマに見捨てられて、私に激怒されるんだよ。
この世界に居る魔力量多い者から探せばいいじゃん?分業制でもいいじゃん。聖女なんて肩書廃止して神官が担ったっていいじゃん。
なんで女の子にだけそんな役目やらせてるの?聖人はどうした。男の子だって癒しの技とか結界の技とか光の魔法とか使えるのがいるでしょうが。知ってるよ、私。
まさか“聖女”ってこの世界の王家の嫁配給システムか?余所から若い女の子攫って嫁にするなんて野蛮もいいところだ。滅ぼすぞ。
そんな事をぶつくさ言ってたら、どこからか漏れたらしい。
記憶を辿ったら《人間からの訴えが聞こえる部屋》だった。確かに、この部屋でぶつくさ言ってた。下界と関係が近いのはここだから。
それにしてもここ、受信専用じゃなかったのか。送受信スイッチみたいなのを探したら半球に近い形の石がその役目をしていた。そういえばこの石に向かって言ってたわ。丁度いい相手だったし。
なんで漬物石がこんな所に?と思っていたんだよね。懐かしいとも思った。今の漬物石って持ち手がついてる形で売ってるけど、昔は河原から丁度いい大きさと形の石を拾ってきてた。祖父母の家にも実家にもあった。
そんな昔話は置いといて。
ひょっとしたらこの石はご神体かもしれないと思って触らないでいたんだ。そんな訳ないと今なら思う。カミサマ本体がちゃんといるんだし。なので遠慮なく送信機能は潰した。
各部屋に防音機能をつけてるからベイビーのおねだりわんわんは聞こえなかったはず。私がベイビーに話しかけてる妙に高い声も聞こえなかったはず。あれはあまり赤の他人に聞かれたくない。
私の独り言を聞いてしまった世界中の神殿は焦ったらしい。正式な神託ではなくてぶつぶつ言ってる声だったので、対外的には平静を装ってたそうだけど。
聖女の役割は男女関係なく分担制になったそうだ。最初からそうしてろ。
そして各神殿では魔術書から異世界召喚の記述を黒塗りで消したそうだ。民間所有の魔術書には載ってないからそこまでの騒ぎにはならなかったようだ。
これも風の噂で知った後日談だ。
黒塗りってインクが違うと透けて見えるよね。なんて意地の悪い事を思った。文房具が色々あった向こうの世界と違うから大丈夫なんだろう。
私に噂話を教えてくれたのは風の精霊達。彼女達は自力で神域までこれるんだね。神域でぼけら~と暮らしている私を心配した精霊王の命令だって。
のんびり暮らしているのを心配されるとは思わなかっ……ん?働けってことか?
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています


勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる