犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ

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30 噂話はシルフィードに乗って

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 風の噂で異世界から聖女を呼べなくなって困ってるんだって聞いた。なんで?

 わざわざ異世界から呼ばなくたっていいじゃない。そんな考えだからカミサマに見捨てられて、私に激怒されるんだよ。


 この世界に居る魔力量多い者から探せばいいじゃん?分業制でもいいじゃん。聖女なんて肩書廃止して神官が担ったっていいじゃん。
 なんで女の子にだけそんな役目やらせてるの?聖人はどうした。男の子だって癒しの技とか結界の技とか光の魔法とか使えるのがいるでしょうが。知ってるよ、私。
 まさか“聖女”ってこの世界の王家の嫁配給システムか?余所から若い女の子攫って嫁にするなんて野蛮もいいところだ。滅ぼすぞ。

 そんな事をぶつくさ言ってたら、どこからか漏れたらしい。

 記憶を辿ったら《人間からの訴えが聞こえる部屋》だった。確かに、この部屋でぶつくさ言ってた。下界と関係が近いのはここだから。
 それにしてもここ、受信専用じゃなかったのか。送受信スイッチみたいなのを探したら半球に近い形の石がその役目をしていた。そういえばこの石に向かって言ってたわ。丁度いい相手だったし。

 なんで漬物石がこんな所に?と思っていたんだよね。懐かしいとも思った。今の漬物石って持ち手がついてる形で売ってるけど、昔は河原から丁度いい大きさと形の石を拾ってきてた。祖父母の家にも実家にもあった。
 そんな昔話は置いといて。

 ひょっとしたらこの石はご神体かもしれないと思って触らないでいたんだ。そんな訳ないと今なら思う。カミサマ本体がちゃんといるんだし。なので遠慮なく送信機能は潰した。

 各部屋に防音機能をつけてるからベイビーのおねだりわんわんは聞こえなかったはず。私がベイビーに話しかけてる妙に高い声も聞こえなかったはず。あれはあまり赤の他人に聞かれたくない。


 私の独り言を聞いてしまった世界中の神殿は焦ったらしい。正式な神託ではなくてぶつぶつ言ってる声だったので、対外的には平静を装ってたそうだけど。
 聖女の役割は男女関係なく分担制になったそうだ。最初からそうしてろ。
 そして各神殿では魔術書から異世界召喚の記述を黒塗りで消したそうだ。民間所有の魔術書には載ってないからそこまでの騒ぎにはならなかったようだ。
 これも風の噂で知った後日談だ。

 黒塗りってインクが違うと透けて見えるよね。なんて意地の悪い事を思った。文房具が色々あった向こうの世界と違うから大丈夫なんだろう。


 私に噂話を教えてくれたのは風の精霊達。彼女達は自力で神域までこれるんだね。神域でぼけら~と暮らしている私を心配した精霊王の命令だって。
 のんびり暮らしているのを心配されるとは思わなかっ……ん?働けってことか?
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