犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ

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29 ここに来れる誰か

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「いつ来ても誰も居らぬのだな、ここは」
 久しぶりに来て挨拶がこれ。安定の精霊王。
 ベイビーがいらっしゃいのわんわんでうるさい。久しぶりだから嬉しそうだ。

『いつ来てもって、今日が三回目でしょ。三回しか来てないのよ?』
「そこじゃない。神の世話をする者が居らぬと言っている」
 ああ、それね。

『自分の世話は自分でできるから要らない』
 自分の機嫌も自分で取れるぞ。

 酌をさせるために美少年を攫ったところで飲み会しないしなと思っていたら。
「そういう問題ではない。威厳の問題だ」
 ん~、それは分かるよ、分かるんだけどぉ。

『その威厳、ここに居て誰に見せるの?』
「訪ねてくるものがいるだろう」
『精霊王と魔王しかいないよ?しかもごくたまにだし』
 え?目をむいている。なんかびっくりしてない?変だった?
『あ、以前カミサマが来たわ。一回だけ。少しだけ話して帰って行った』
『精霊王に威厳見せるのも今更だし』
「私をなんだと思っている」
『ベイビーの友達で精霊の王様』
「…………」
 精霊だから動物と人間の垣根が低いと思ってたけど違ったかな。
『娘の友達だから母がおもてなしするんだけど』
「そうか」
 声色がちょっと機嫌よくなった感じだ。彼のご機嫌ポイントがよく分からない。


 ベイビーはひとしきり嬉しがって興奮してべろべろ攻撃した後、落ち着いて精霊王の膝の上で撫でてもらってご満悦だ。
『そうだ、新しい子が出来たのよ』
「! 誰とだ!」
『??私が自分一人で創ったの』
「オスがいなくてもできるのか」
『ああ、やだ、違うよ。こう、手から出したの』
 もう妊娠なんてしないから自分ではそのつもりで言っても、相手には紛らわしい言い方になったね。ましてや外見では分からないようにしてるもんね。反省。

 そして黒ヒョウちゃんを呼ぶ。
 ヒト語を話す黒ヒョウちゃんが自己紹介をして下がっていった。

「彼の役目は?」
『私の手がいっぱいの時のベイビーの世話と遊び相手、あと見回り』
 戦う相手がいないしね。今のところオーバースペックだわ。
「それが何故巨大黒猫なのだ」
 ふっふ~ん♪詳しく話したらすごーく長くなるから一言で。
『子供の頃からの憧れよ』


 あと、身長五十七メートルで体重五百五十トンの何かも作りたいのだ。でもデザインを何にするか決まらない。身長が五十七メートルで体重が五百五十トンであれば巨体が唸らなくても空飛ばなくても何でもいいのだけど。
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