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3 精霊王と話す
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お待たせしました。精霊王さんですね。初めまして。
あ、“さん”は要りませんか。
丁寧語も要らない?なるほど、そうです、いや、そうね、つい癖で取引先相手みたいな対応になっちゃったわ。
やっぱりこの子が気になる?
この子はポメラニアンという犬種でベイビーという名前のうちの子。成犬だよ。
んー、向こうの世界では珍しくはないよ。小型犬って種類なんだよ。
かわいいでしょ。撫でる?この子撫でられるの大好きなの。散歩中に知らない人にも撫でられに行ってたんだよ。
この子だけじゃなくて犬はみんな撫でられるのが好きだけどね。
ああ、そうね、じゃあ後でね。
前のカミサマから何があったか聞いてないの?
え?なんじゃそりゃ。“代替わりすることにしたからー”って。それだけかい。
それじゃあ私に聞きに来るしかなよね。うん、納得したわ。
簡単に言うとね、この子の散歩中にマンホールの蓋を踏んだらここに来たんだよね。マンホールの蓋が魔法陣の役割をしたんじゃないかって、カミサマが言ってたわ。
マンホールの蓋ってこういうやつ。下水道がないなら見た事ないよね。
それで、私より先にベイビーがカミサマに気づいて“撫でれー”って突進して行ったの。飼い主としては飼い犬を制御しなけりゃいけないし、誰かも分からん得体の知れない奴にベイビーを近づけたくなかったから、追いかけてリードを掴んで抱き上げたところでカミサマが“君に決めた!”って。
ウソ。“丁度いいからお前に頼もう”と言ったんだ。
それから、この世界の事とか、カミサマの事とか色々聞いて、私が引き継ぐことになったのね。
その色々を知りたいって言われても……第三者に話していいのか確認してないからダメ。話していいって言われてないもん。
お友達に精霊王がいるって聞いてなかったのよね。
だから、わかるでしょ?
ん~、一番悪いのは召喚術使った人間だと思うからねえ。
ごねたって元の世界に戻れる訳じゃないし。
人間のままだったらその可能性あったかも。
でもその場合、誰がこちらと向こうを繋ぐのかって問題があるでしょ?カミサマは私を後任にする気満々だったし。神官連中は召喚しか出来ないって話だし。
今聖女やってる子を戻してあげたいのよね。元の国では少子化が進んで若い子は貴重だから。
あとね……いや、私、その子のお母さんより年上なんだよ。年長者としては未成年を保護するよ。誘拐されたから救出だね。今の私はそれが出来るから。
うん、怒ってるよ?幸せにやってるというならともかくさ。
精霊王からはカミサマの所に会いに行けないの?
ああそうか、この星から離れられないか。精霊ってそうだよね。カミサマ何処に行ったんだろうね。会いに来てくれたらいいね。
そうだ、私この世界に加護だの守護だの祝福だの特別な事一切しないから。
精霊達も個人や団体向けに特別扱いはしないでくれる?嵐の進路を逸らすとか、河川の氾濫を抑えるとかそういうのさ。
自然災害の対策は人間が自分達で考えればいいんだよ。必要は発明の母って言うからね。
ん?向こうの世界で。
あ、撫でる?ベイビー、撫でてもらっておいで。
顔舐められ、遅かった。ごめん。
ああ、いえ、たいしたお構いもしませんで。
え?また来るの?なんで?あ、ごめんね、つい。
ベイビーね、分かった。なら仕方ないね。ベイビーも懐いちゃったし。
それじゃあ。
ベイビー、お兄ちゃんにバイバイだよ。
あ、“さん”は要りませんか。
丁寧語も要らない?なるほど、そうです、いや、そうね、つい癖で取引先相手みたいな対応になっちゃったわ。
やっぱりこの子が気になる?
この子はポメラニアンという犬種でベイビーという名前のうちの子。成犬だよ。
んー、向こうの世界では珍しくはないよ。小型犬って種類なんだよ。
かわいいでしょ。撫でる?この子撫でられるの大好きなの。散歩中に知らない人にも撫でられに行ってたんだよ。
この子だけじゃなくて犬はみんな撫でられるのが好きだけどね。
ああ、そうね、じゃあ後でね。
前のカミサマから何があったか聞いてないの?
え?なんじゃそりゃ。“代替わりすることにしたからー”って。それだけかい。
それじゃあ私に聞きに来るしかなよね。うん、納得したわ。
簡単に言うとね、この子の散歩中にマンホールの蓋を踏んだらここに来たんだよね。マンホールの蓋が魔法陣の役割をしたんじゃないかって、カミサマが言ってたわ。
マンホールの蓋ってこういうやつ。下水道がないなら見た事ないよね。
それで、私より先にベイビーがカミサマに気づいて“撫でれー”って突進して行ったの。飼い主としては飼い犬を制御しなけりゃいけないし、誰かも分からん得体の知れない奴にベイビーを近づけたくなかったから、追いかけてリードを掴んで抱き上げたところでカミサマが“君に決めた!”って。
ウソ。“丁度いいからお前に頼もう”と言ったんだ。
それから、この世界の事とか、カミサマの事とか色々聞いて、私が引き継ぐことになったのね。
その色々を知りたいって言われても……第三者に話していいのか確認してないからダメ。話していいって言われてないもん。
お友達に精霊王がいるって聞いてなかったのよね。
だから、わかるでしょ?
ん~、一番悪いのは召喚術使った人間だと思うからねえ。
ごねたって元の世界に戻れる訳じゃないし。
人間のままだったらその可能性あったかも。
でもその場合、誰がこちらと向こうを繋ぐのかって問題があるでしょ?カミサマは私を後任にする気満々だったし。神官連中は召喚しか出来ないって話だし。
今聖女やってる子を戻してあげたいのよね。元の国では少子化が進んで若い子は貴重だから。
あとね……いや、私、その子のお母さんより年上なんだよ。年長者としては未成年を保護するよ。誘拐されたから救出だね。今の私はそれが出来るから。
うん、怒ってるよ?幸せにやってるというならともかくさ。
精霊王からはカミサマの所に会いに行けないの?
ああそうか、この星から離れられないか。精霊ってそうだよね。カミサマ何処に行ったんだろうね。会いに来てくれたらいいね。
そうだ、私この世界に加護だの守護だの祝福だの特別な事一切しないから。
精霊達も個人や団体向けに特別扱いはしないでくれる?嵐の進路を逸らすとか、河川の氾濫を抑えるとかそういうのさ。
自然災害の対策は人間が自分達で考えればいいんだよ。必要は発明の母って言うからね。
ん?向こうの世界で。
あ、撫でる?ベイビー、撫でてもらっておいで。
顔舐められ、遅かった。ごめん。
ああ、いえ、たいしたお構いもしませんで。
え?また来るの?なんで?あ、ごめんね、つい。
ベイビーね、分かった。なら仕方ないね。ベイビーも懐いちゃったし。
それじゃあ。
ベイビー、お兄ちゃんにバイバイだよ。
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