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少年の寵愛

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 色々とあったがOCは楽しかった。新たな発見があったし、大学生のお兄さんやお姉さんはキラキラと輝いていた。あー、2年後には、私もこうなっているのかなぁと想像するのは中々幸せな気分になった。誘ってくれた、立花くんには感謝しかない。





 前世では、色々とあった為、安定と高収入を求めて文系の学科に行ったが、元々理系の学科に興味があったんだよねぇ。今世は、素直に自分の学びたい道に進むのもありかもしれない。…………あー、でも、進路決まる頃には私、普通に刑務所の中じゃん。うむ、刑務所から出た後に進学って出来るのかな。……無理じゃね?仮に入学できたとしても、針の筵、彼奴は犯罪者だと嘲笑われながら4年間を過ごした後、経歴のせいで就活浪人になり、親にも見捨てられそして、孤独に死んで行くんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

 うぅ、やっぱりそんな事になるなら夏休みだけではなく永遠に家の中に引きこもって、ニート生活をしていこう。お家にいれば、問題ないね!やっぱり、だらだら暮らすのが一番だよ。


 クーラーガンガンに聞かせ、ぐるぐるっとタオルケットにくるまり、ひとときの安らぎを味わっていたその時、何処からともなく現れた翔真が、思い切りタオルケットの端を掴んで引っ張った。


「な、何するんだ!翔真。」

「………何すんだ、じゃないだろ?夏休みももう終わると言うのに、いつまでそんな風にダラダラしてるんだ。そんなんじゃ、学校が始まってから大変だぞ」
「別にいいじゃん」

 だいたい、夏休みだろうが、なかろうが私は常にダラダラしている。働いたら、動いたら負けだからね!

「はぁ……お前と言う奴は、世話をする俺の身にもなってくれ」

 あからさまに、そう、ため息をつく翔真。だからさ、毎回思うんだけど、そんな事を思うなら始めから私のことを放っておいて欲しいんだけどなぁ。


「……そんなに嫌なら、別に構わなくてもいいよ」
「はぁ?」
「いや、前から思ってたんだけど、なんで翔真はそんなに私の世話を甲斐甲斐しくしてくれるの?」
「それは……」

 何故かぐっと言葉を詰まらせる翔真。詰まる所、特に理由はないのだろう。強いて言えば、幼馴染だからといったところなんだろうなぁ

「だいたいさ、今まで言わなかったけど、翔真と私って元々住む世界が違うんだよね。それなのに、こんな風な関係なのは幼馴染だからだよね?」
「……何が言いたいんだよ」
「いや、だからさ。このままの関係を続けているのも、翔真の将来のためにどうかと思うんだよねぇ。それに、幼馴染だから嫌々?私の世話をしてるみたいだし?だから、やめていいよ。」

 だいたい、幼馴染だからと言う理由だけで、一生こんな関係が続く訳もない。いつかは終わる。だったら早い所やめてしまった方がいい。と言うか元々そのつもりだったじゃないか。彼が、ゲームの攻略者だと気付いたその日、彼から離れようと決めてたじゃないか。もしかしたらこれが、最後のチャンスなのかもしれない。それにちょっと、寂しい気がするが、さっさとこの関係を終わらせる事こそが、私が助かる道なのかもしれない。



「は……なんだ?それ、俺は必要ないってことか?俺じゃなくて、この前の立花くんに世話してもらう方が良いって言うのか?」
「いや、そんな事を言ってないじゃん。それに、なんでここで立花くんが出てくるの?」
「だってそうだろ?俺の事がいらないから、そんな事を言うんだろ?」

 何故か、怖い顔をしながら、ぐいっと身を乗り出して、私に覆いかぶさろうとする翔真。なんとなく身の危険を感じ、後ずさるが、ドンっと当たる壁に遮られ、逃げ場をなくす。

「なんで。逃げるんだよ。」

 迫られれば逃げたくなるのが人のさが……とか、冗談を言っている場合ではない。
 手首を思い切り掴まれ、気がつけば、四面楚歌な状態。あー、これってもしかして、世に言う壁ドン?……2次元だと萌えるんだが、やっぱり3次元となるとなぁ。やってるのは確かにイケメンだけど、やられてるのは私……と言うところに萌えを感じないのかもしれない。




「だいたい、俺は幼馴染だからって理由で、お前の世話をしてる訳じゃない」
「え?」
「嫌と思ったこともない。だったらこの歳になるまで、こんな事していない。」


 え、まるで世話をしたいからしているように聞こえるんだけど。

「お前がどんなに嫌がろうと、逃げようと、俺は辞めないからな。何をしようとも、俺はずっと、奏と一緒だ。」

 何それ、怖い。

 ずっと一緒……思えば昔離れようとした時も、そんな事を言われて出来なかった気がする。だとしたら、今回も無理なのだろう。


「……えっと、なんかごめん。これからもよろしくお願いします」
「あぁ、世話してやるよ。奏、俺がずっとな。」

 でもさぁ、ずっとは無理だと思うよ。


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