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三年生 バレンタインデー
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今日は、バレンタインデー。
だけど再来週、二次試験。大学受験の、大切な日。楽しみは、来年に持ち越し……。
「先生、こんにちは」
「こんにちは。どうぞ」
いつもの、保健室。放課後。
いつも、冬は暖かくて、加湿器もついていて、快適。なんだけど……。
「な、なんか。今日の保健室、寒くない? もっと、あっためたらいいのに」
先生は、座っていた背もたれ付きの椅子を私に譲ってくれる。やさしい。好き。
椅子には、先生の温もり。大きな膝掛けも、貸してくれる。
先生は、キャスター付きの小さな丸椅子に掛け直す。
「今日もチョコレートをいくつか、貰ってしまって。あんまり暖かい部屋だと、良くないかなって」
低い棚の上を、指差す。
高級チョコやかわいいお菓子、おしゃれな紅茶なんかの紙袋が並んでいる。
チョコに、やさしいじゃん。私はあげてないのに。いつの間にか、私の唇はとんがる。
「何個もらったの。先生」
「去年より、少なくてよ」
ごまかそうとしてる。先生、くるっと向こうを向いちゃって。私は、椅子ごと先生の方に回り込み、顔を覗き込む。
「な、ん、こ?」
先生は、目を逸らしながら答える。
「二十八個……? かしら?」
にじゅっ……。
そ、そんなに、校内にライバルがいるの……? クラッとする。
「皆、私で練習してるのよ。本命さんにあげる時に、緊張しないようにって。きっとね」
そうかなぁ。少なくとも一粒いくらで売ってる高級チョコは、本命だと思うけど。
「私だって、もらったもん。ふたつ」
「まあ。素敵ね。じゃあ、私がもう一つあげるから、みっつね」
まあ、ひとつは、ママだけど……(もうひとつは、ケイ)。
先生は、外国のチョコがいくつか入った、きれいな袋を握らせてくれる。
「かわいい。でもこれ、みんなに配る用のやつでしょ」
嬉しいけど。おしゃれだし、嬉しいけどさ。
「あら、鋭いわね」
先生は、私用のカップに紅茶を淹れてくれる。蒸らしている間に、かちゃんと鍵を掛けてしまう。
「ほんとは、やりたかったわね。バレンタインのチョコレート交換」
キャスター付きの椅子をくっ付ける。先生は私のスカートを少しだけまくって、腿に手を置く。
「手、冷たいね」
「あなたは、暖かいわね」
ちゅ、と唇をくっ付け合う。
「あのね。私もバレンタイン、あげたかったな…」
先生は、首をふりふりする。
今年は受験生だから、ほんとに直前だからって、私たちはバレンタイン、やらない事にしたんだ。
去年はガトーショコラを焼いて、持ってった。先生はとっても喜んでくれて、ホワイトデーに、かわいい缶に入ったクッキーをくれた。缶はもちろん捨てられなくて、先生がくれたハンカチとか、一緒に買ったちっちゃいマスコットとか、リップとか、そういう物を入れている。
「私だって、おいしいの、作れるのに。先生にバレンタイン、おいしいやつ、あげたいのに」
プレゼントをあげた子達が、羨ましい。私も、先生にありがとうって言われたかった……。
「もう。やきもち焼きね。あなたがお菓子作りも上手なの、知ってますよ」
とんがった唇、むにゅっとつままれる。どうせ、やきもち焼きだもん。
「むむ。むむむむ。む」
「ふふ。かわいい」
つままれたまま、今度はほっぺたにキスをもらう。耳のそばで、先生は、やさしくささやく。
「バレンタインじゃなくたって、おいしいの、いつもくれるでしょう。夕陽は、全部美味しいんだから。手の指も、唇も、足も、あそこも、全部」
そうやって、私が喜ぶ事を言う。ほんと、好き。大好き。
「そんな事言われたら…… 食べて欲しくなっちゃうじゃん」
私は、ベッドに座り直す。
「ちょっとだけ。学校だから、ちょっとだけ、ほしい……」
「もう。先生を何だと思ってるの」
先生、隣に来て、スカートの中、探ってくれる。
「えへへ……。私のことが大好きな、私だけの先生。私だけえこひいきする、悪い先生って思ってるよ」
先生はおでこにキスをして私を押し倒し、パンツの中、人差し指を差し込んでくれた。こわい顔を作って、えこひいきする、悪い先生よ……って言いながら。
だけど再来週、二次試験。大学受験の、大切な日。楽しみは、来年に持ち越し……。
「先生、こんにちは」
「こんにちは。どうぞ」
いつもの、保健室。放課後。
いつも、冬は暖かくて、加湿器もついていて、快適。なんだけど……。
「な、なんか。今日の保健室、寒くない? もっと、あっためたらいいのに」
先生は、座っていた背もたれ付きの椅子を私に譲ってくれる。やさしい。好き。
椅子には、先生の温もり。大きな膝掛けも、貸してくれる。
先生は、キャスター付きの小さな丸椅子に掛け直す。
「今日もチョコレートをいくつか、貰ってしまって。あんまり暖かい部屋だと、良くないかなって」
低い棚の上を、指差す。
高級チョコやかわいいお菓子、おしゃれな紅茶なんかの紙袋が並んでいる。
チョコに、やさしいじゃん。私はあげてないのに。いつの間にか、私の唇はとんがる。
「何個もらったの。先生」
「去年より、少なくてよ」
ごまかそうとしてる。先生、くるっと向こうを向いちゃって。私は、椅子ごと先生の方に回り込み、顔を覗き込む。
「な、ん、こ?」
先生は、目を逸らしながら答える。
「二十八個……? かしら?」
にじゅっ……。
そ、そんなに、校内にライバルがいるの……? クラッとする。
「皆、私で練習してるのよ。本命さんにあげる時に、緊張しないようにって。きっとね」
そうかなぁ。少なくとも一粒いくらで売ってる高級チョコは、本命だと思うけど。
「私だって、もらったもん。ふたつ」
「まあ。素敵ね。じゃあ、私がもう一つあげるから、みっつね」
まあ、ひとつは、ママだけど……(もうひとつは、ケイ)。
先生は、外国のチョコがいくつか入った、きれいな袋を握らせてくれる。
「かわいい。でもこれ、みんなに配る用のやつでしょ」
嬉しいけど。おしゃれだし、嬉しいけどさ。
「あら、鋭いわね」
先生は、私用のカップに紅茶を淹れてくれる。蒸らしている間に、かちゃんと鍵を掛けてしまう。
「ほんとは、やりたかったわね。バレンタインのチョコレート交換」
キャスター付きの椅子をくっ付ける。先生は私のスカートを少しだけまくって、腿に手を置く。
「手、冷たいね」
「あなたは、暖かいわね」
ちゅ、と唇をくっ付け合う。
「あのね。私もバレンタイン、あげたかったな…」
先生は、首をふりふりする。
今年は受験生だから、ほんとに直前だからって、私たちはバレンタイン、やらない事にしたんだ。
去年はガトーショコラを焼いて、持ってった。先生はとっても喜んでくれて、ホワイトデーに、かわいい缶に入ったクッキーをくれた。缶はもちろん捨てられなくて、先生がくれたハンカチとか、一緒に買ったちっちゃいマスコットとか、リップとか、そういう物を入れている。
「私だって、おいしいの、作れるのに。先生にバレンタイン、おいしいやつ、あげたいのに」
プレゼントをあげた子達が、羨ましい。私も、先生にありがとうって言われたかった……。
「もう。やきもち焼きね。あなたがお菓子作りも上手なの、知ってますよ」
とんがった唇、むにゅっとつままれる。どうせ、やきもち焼きだもん。
「むむ。むむむむ。む」
「ふふ。かわいい」
つままれたまま、今度はほっぺたにキスをもらう。耳のそばで、先生は、やさしくささやく。
「バレンタインじゃなくたって、おいしいの、いつもくれるでしょう。夕陽は、全部美味しいんだから。手の指も、唇も、足も、あそこも、全部」
そうやって、私が喜ぶ事を言う。ほんと、好き。大好き。
「そんな事言われたら…… 食べて欲しくなっちゃうじゃん」
私は、ベッドに座り直す。
「ちょっとだけ。学校だから、ちょっとだけ、ほしい……」
「もう。先生を何だと思ってるの」
先生、隣に来て、スカートの中、探ってくれる。
「えへへ……。私のことが大好きな、私だけの先生。私だけえこひいきする、悪い先生って思ってるよ」
先生はおでこにキスをして私を押し倒し、パンツの中、人差し指を差し込んでくれた。こわい顔を作って、えこひいきする、悪い先生よ……って言いながら。
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