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三年生のお友達 デパート
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「ね、これ、雑誌で見たやつ」
「本当だ。 えー、実物、めちゃかわいい。 英梨ちゃん、絶対似合うよ」
今日は二人で、デパート。 一階の、化粧品売り場。
女の子同士って、いいな。 男の子とデートするより、ずっと楽しい(あたしはね)。
お化粧品見て、お洋服見て、雑貨見て。 お昼も、ガッツリ食べなくていい。 急いで、食べなくていい。 カフェでお茶して、手、繋いで。
新作のアイシャドウ、きれいだな。 英梨ちゃんの目は切れ長だから、きっと、赤っぽい茶色、似合うと思う。 マスカラも、すっと付けて。
ちらっと、英梨ちゃんを見る。 すぐ気付かれて、目が合う。 あたしは、それだけで、どきっとする。
「ケイは瞳の色が明るいから、この色、いいんじゃない。 付けてもらってみようよ、一緒に」
あたし、目の色が緑っぽい茶色で、目立って、嫌だった。
うちは地元では昔からの歯医者で、ママは目立つし、あたしも、完全にママ似。
顔、めちゃめちゃ濃い。 ママのお母さん、おばあちゃんは、外国人だから。
別に、おばあちゃんがどこの国の人でも、みんなには関係ないと思うけど。 嫌な事言うやつ、いっぱいいたな。 外国で知らない人にお酌して、踊ってお金稼いだの、すごいじゃん。 あたしはおばあちゃん、ほんと、えらいと思うけど。
「すごい、似合ってる。 一番かわいい」
「ちょっと、やめてよ。 言い過ぎ」
「お客様、お似合いですよ。 一番かわいい。 リップも何か、合わせてみましょうか。 気になるお色、ありますか?」
美容部員さんも、上手だから。 どんどん楽しくなっちゃうな。 デパートの化粧品売り場、大好き。
結局、アイシャドウ、買ってしまった。 英梨ちゃんも、違う色を。
また、カウンターに、お客さんが座る。
「あ」
先生じゃん。 保健室の、先生。
「英梨ちゃん、見て。 保健室の先生。 夕陽の……」
「あっ、あの人? えーっ……先生ぽくない。 おしゃれだね。 でっかい美人だね」
「何買ってるんだろ。 英梨ちゃん、ちょっと、待って。 見たい」
「悪趣味……」
「同じリップ、五本買ってたね。 大人の買い方だ」
「多分、あれ、夕陽に。 いつも、使ってるから」
英梨ちゃんは、ひょえ~、お金持ち、って。
「ケイ、私、ホテル代ぐらいしか奢れないけど! 卒業したら、何でも買ってあげるから」
「なにそれ……ウケる。 別に、買ってくんなくていいよ」
多分、先生は、夕陽のこと、ちょっとかわいそうだと思ってる……のかな。
悪いけど、あたしもそう思う事はある。 お昼、自分で作ったおにぎり。 飲み物は絶対買わないし、おやつもめったに買わない。 お父さん、いないし。 「親が夜勤の時は、先生の家にガンガン泊まっちゃうんだ」なんて、照れてたけど。
ほんとはおしゃれカフェ、夕陽とも行きたい。 何度か断られたから、もう誘えない。
「英梨ちゃん。 あたしって……なんていうか……めぐまれてる?」
「どしたの。 恵まれてるでしょ! 私と付き合ってるんだから」
英梨ちゃん! そういうとこ、好き。
夕陽のこと、全然、見下してるとかじゃない…と思いたい。 だって、家のこと、これはもう、自分の力じゃどうしようもないよ。 あたしもそうだから。
でもね、だからかな、あたしと夕陽、同じ。
いや、探せば、他にもいるかも知れないけど。
女の子同士で、大好きな人がいる。 そんな友達、すぐにはできない。
仲良くしたいな。 これからも。 デートの話、えっちな話、また、学校で、したい。
「本当だ。 えー、実物、めちゃかわいい。 英梨ちゃん、絶対似合うよ」
今日は二人で、デパート。 一階の、化粧品売り場。
女の子同士って、いいな。 男の子とデートするより、ずっと楽しい(あたしはね)。
お化粧品見て、お洋服見て、雑貨見て。 お昼も、ガッツリ食べなくていい。 急いで、食べなくていい。 カフェでお茶して、手、繋いで。
新作のアイシャドウ、きれいだな。 英梨ちゃんの目は切れ長だから、きっと、赤っぽい茶色、似合うと思う。 マスカラも、すっと付けて。
ちらっと、英梨ちゃんを見る。 すぐ気付かれて、目が合う。 あたしは、それだけで、どきっとする。
「ケイは瞳の色が明るいから、この色、いいんじゃない。 付けてもらってみようよ、一緒に」
あたし、目の色が緑っぽい茶色で、目立って、嫌だった。
うちは地元では昔からの歯医者で、ママは目立つし、あたしも、完全にママ似。
顔、めちゃめちゃ濃い。 ママのお母さん、おばあちゃんは、外国人だから。
別に、おばあちゃんがどこの国の人でも、みんなには関係ないと思うけど。 嫌な事言うやつ、いっぱいいたな。 外国で知らない人にお酌して、踊ってお金稼いだの、すごいじゃん。 あたしはおばあちゃん、ほんと、えらいと思うけど。
「すごい、似合ってる。 一番かわいい」
「ちょっと、やめてよ。 言い過ぎ」
「お客様、お似合いですよ。 一番かわいい。 リップも何か、合わせてみましょうか。 気になるお色、ありますか?」
美容部員さんも、上手だから。 どんどん楽しくなっちゃうな。 デパートの化粧品売り場、大好き。
結局、アイシャドウ、買ってしまった。 英梨ちゃんも、違う色を。
また、カウンターに、お客さんが座る。
「あ」
先生じゃん。 保健室の、先生。
「英梨ちゃん、見て。 保健室の先生。 夕陽の……」
「あっ、あの人? えーっ……先生ぽくない。 おしゃれだね。 でっかい美人だね」
「何買ってるんだろ。 英梨ちゃん、ちょっと、待って。 見たい」
「悪趣味……」
「同じリップ、五本買ってたね。 大人の買い方だ」
「多分、あれ、夕陽に。 いつも、使ってるから」
英梨ちゃんは、ひょえ~、お金持ち、って。
「ケイ、私、ホテル代ぐらいしか奢れないけど! 卒業したら、何でも買ってあげるから」
「なにそれ……ウケる。 別に、買ってくんなくていいよ」
多分、先生は、夕陽のこと、ちょっとかわいそうだと思ってる……のかな。
悪いけど、あたしもそう思う事はある。 お昼、自分で作ったおにぎり。 飲み物は絶対買わないし、おやつもめったに買わない。 お父さん、いないし。 「親が夜勤の時は、先生の家にガンガン泊まっちゃうんだ」なんて、照れてたけど。
ほんとはおしゃれカフェ、夕陽とも行きたい。 何度か断られたから、もう誘えない。
「英梨ちゃん。 あたしって……なんていうか……めぐまれてる?」
「どしたの。 恵まれてるでしょ! 私と付き合ってるんだから」
英梨ちゃん! そういうとこ、好き。
夕陽のこと、全然、見下してるとかじゃない…と思いたい。 だって、家のこと、これはもう、自分の力じゃどうしようもないよ。 あたしもそうだから。
でもね、だからかな、あたしと夕陽、同じ。
いや、探せば、他にもいるかも知れないけど。
女の子同士で、大好きな人がいる。 そんな友達、すぐにはできない。
仲良くしたいな。 これからも。 デートの話、えっちな話、また、学校で、したい。
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