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三年生 新学期!
しおりを挟む「おはようございます」
「おはよー」
「おはようございまぁす」
今日から、二学期。 夏休みは終わって、でもまだ毎日、暑い。 駅から学校までの十五分、遠い。
やっとの思いで、着く。
先生! 校門で、立ってる。 ボウタイ付きのブラウスに、紺のパンツで。 顔、ちっちゃい。 脚、長い。 すてき。
私に気付いて、腰のあたりで、小さく手を振ってくれる。 嬉しい。 私、にこにこしてしまう。
先生のいる方に寄って、「おはようございます」って、挨拶する。 声、小さくなっちゃった。 なんか、恥ずかしくて。
「ねぇ、待って」
びっくりして、ぴょん!と浮く。 な、なに? 先生。
「リボン、曲がってるわ。 いらっしゃい」
「あ……はぁ」
先生。 私だから、呼んでくれた? そうじゃなくても、呼び止めてたかな……。
先生のところへ戻って、リボンを真っ直ぐにしてもらう。 いや、どう考えても、自分で真っ直ぐにしとけって感じだよね。 先生……。
ちらっと先生の顔を見ると、先生はいたずらっぽく、ふふっと笑った。
「あなただけよ」
私にだけ聞こえるような小さい声で、言ってくれた。 意地悪。 先生。 大好き。
夏休みの間、週末はいつも一緒に過ごした。 えっちなことも、たくさんして。
なのに、学校で会うと、すごく、すごくどきどきする。 学校で見る先生は、お家の姿よりも緊張感があって、近寄り難そうで、だけど変わらず、きれいなの。
そういうわけで、始業式も、先生ばっかり目で追ってしまった。 先生もきっと私を何度も見てくれて、目が合うと、にこっとしてくれた。
「ねぇ。 見過ぎだったよ」
「だ……だって。 学校で会うの、久し振りだったから」
今日は、ケイと一緒に帰る。 保健室へは、寄らずに。
「あっ、あのね。 聞いてくれた? エリさんに」
「聞いたわ! あんたの、すごい質問。 エリちゃん、めちゃめちゃウケてたよ」
「ウケ……? なんで」
「普通、聞く? 大人って、みんなふるえるおもちゃ持ってるんですか?って」
「だって。 先生は、持ってたし。 みんな、そうなのかなぁって」
「あのね。 付き合って、すぐして。 平日して、土日して、旅行でして、夏休みも、して。 気付けよ! しすぎなの。 先生、エロすぎ。 そういう人はきっと、色々持ってるよ」
「薄々……そんな気はしてた」
「でしょ。 まったくもう。 夏休みの中頃は、最近してくんないよ~って言ってたのに。 直後に、おもちゃ!とか言うから。 ビックリだよ」
「言われてみれば。 たしかに」
「おっ、噂をすれば、エリちゃんからメール」
画面を確認して、ケイは膝から崩れ落ちる。
「ど、どしたの」
「夕陽……あんたと先生のせいだよ、どうすんの、これ」
「これかな? 今日届いた! 楽しみだね!」というメッセージと一緒に。
画面には、休みの日にケイがしてるのと同じ指輪をしてるきれいな手が、先生が持ってるのと同じような、おしゃれなパッケージの…… でも一回見たら「あれだな」ってわかる、きもちくなるやつを、持っていた。
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