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第一章〜幼年期編〜
プロローグ〜ある未来の一幕〜
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ステンドグラス越しに差し込む稲光が教会を包む中、二人の少女が剣を交えていた。
「はッ!」
一人は緋色の髪を腰まで伸ばし、両刃の大剣を細腕で軽々と振るう物憂げな印象を与える少女。
「はぁッ!!」
一人は射干玉の髪を肩まで伸ばし片刃の刃で大剣をいなし踏み込んだだけで本来破壊する事すら叶わぬアストラル体である床を踏み砕き緋色の髪の少女の得物を弾き飛ばす。
「っ……お見事です、アンナ様…」
首元に鋒を突き付けられた少女、エステル・スカーレットは乱れた息を整えながら敬愛する少女、アンナ・ノワールに微笑みを浮かべお互いのデバイスである精密機器から機械的な電子音声が勝者であるアンナの名を挙げる前にエステルは二人の戦いを結界の外から高みの見物をしていた初老の老人の手により無理矢理引き寄せられる。
「悪魔に負けるとは情けない…」
「…何の真似でしょうか?」
アンナはというと予想は出来ていたのだろう、問い掛ける言葉遣いそのものは淑女のそれではあるが己が魔力を武具として顕現させる腕輪型のデバイスである 顕章に先程よりも魔力を喰わせ、辺りは彼女の怒気がそのまま現象として形作るが如く、幾つもの火花が散る。
「現代に蘇った悪魔を倒せない聖女等不要の長物…かくなる上は次代の為に生命を捧げて貰お「──はッ!想像通りのゲス野郎じゃねェか…ふざけんじゃねェぞ…!」…何だと?」
自身を悪魔と呼ぶ声には特に何の感情も湧く事は無いが、聖女…エステルの生命を奪う発言にアンナは吼えた…!
「生命をなんだと思っていやがるッて言ってんだッ!その腐りきった根性を叩き直してやるぜハゲオヤジ!!」
「…舐めるなよ、小娘が……行け、御前達!」
初老の男の命により数十人もの黒いスーツに身を包んだ男が各々の得物を顕現させる間、自身の為に啖呵をきった悪魔令嬢アンナを見つめるエステルの眼には荒々しくも力強く燃え盛る焔と紫電を纏う三叉槍を振るい一振で十数人もの 星騎士を戦闘不能にして行く至高の騎士の姿であった。
◆❖◇◇❖◆
数分後、数の暴力に打って出た黒服達はたった一人の黒髪の少女に破れ死屍累々となっていた。
約一名、辛うじて意識を保っていた男は焔と雷を纏い舞うように軽々と長物を繰るアンナに畏怖の視線を送る。
「ば、化け物め…」
「おう、俺ァバケモンだからよ、吐くもん吐かねェとマジで沈めんぞ 手前等…命取られる前に吐いた方が良いぜ…?」
そんな男の皮肉にも否定ではなく肯定で返す処かヤクザか暴力団の様な言葉遣いで…否、見た目は絶世の美女ではあるが言葉遣いは疎か気配もがカタギのものでは無い異常なものを発し槍の鋒を向けながら見下ろすアンナに男は畏れと憧憬を抱き上半身を起す。
「…せ、聖女なら転生の間だろう…此処から差程離れていない研究所の地下だ…」
「転生の間、ね…あんたの車借りるぜ」
素直に話した御褒美とばかりに身体をまさぐり車のキーを取り出すとそのまま足早に教会を後にし、外に停められていた黒塗りのリムジンに乗り込むアンナを見送る男は呆気に取られるばかりだ。
「め、めちゃくちゃだあのガキ…」
無論、本人はそんな言葉や想い等知った事ではない、仮に届いたところで彼女は意にも介さないだろう。
「…今度は間に合ってくれよ…!」
───これは、彼女かれが最強の星騎士せいきしとして哀しくも気高い運命を破壊し、遠い未来に神話となる物語。
何れ語られる物語の一幕である。
「はッ!」
一人は緋色の髪を腰まで伸ばし、両刃の大剣を細腕で軽々と振るう物憂げな印象を与える少女。
「はぁッ!!」
一人は射干玉の髪を肩まで伸ばし片刃の刃で大剣をいなし踏み込んだだけで本来破壊する事すら叶わぬアストラル体である床を踏み砕き緋色の髪の少女の得物を弾き飛ばす。
「っ……お見事です、アンナ様…」
首元に鋒を突き付けられた少女、エステル・スカーレットは乱れた息を整えながら敬愛する少女、アンナ・ノワールに微笑みを浮かべお互いのデバイスである精密機器から機械的な電子音声が勝者であるアンナの名を挙げる前にエステルは二人の戦いを結界の外から高みの見物をしていた初老の老人の手により無理矢理引き寄せられる。
「悪魔に負けるとは情けない…」
「…何の真似でしょうか?」
アンナはというと予想は出来ていたのだろう、問い掛ける言葉遣いそのものは淑女のそれではあるが己が魔力を武具として顕現させる腕輪型のデバイスである 顕章に先程よりも魔力を喰わせ、辺りは彼女の怒気がそのまま現象として形作るが如く、幾つもの火花が散る。
「現代に蘇った悪魔を倒せない聖女等不要の長物…かくなる上は次代の為に生命を捧げて貰お「──はッ!想像通りのゲス野郎じゃねェか…ふざけんじゃねェぞ…!」…何だと?」
自身を悪魔と呼ぶ声には特に何の感情も湧く事は無いが、聖女…エステルの生命を奪う発言にアンナは吼えた…!
「生命をなんだと思っていやがるッて言ってんだッ!その腐りきった根性を叩き直してやるぜハゲオヤジ!!」
「…舐めるなよ、小娘が……行け、御前達!」
初老の男の命により数十人もの黒いスーツに身を包んだ男が各々の得物を顕現させる間、自身の為に啖呵をきった悪魔令嬢アンナを見つめるエステルの眼には荒々しくも力強く燃え盛る焔と紫電を纏う三叉槍を振るい一振で十数人もの 星騎士を戦闘不能にして行く至高の騎士の姿であった。
◆❖◇◇❖◆
数分後、数の暴力に打って出た黒服達はたった一人の黒髪の少女に破れ死屍累々となっていた。
約一名、辛うじて意識を保っていた男は焔と雷を纏い舞うように軽々と長物を繰るアンナに畏怖の視線を送る。
「ば、化け物め…」
「おう、俺ァバケモンだからよ、吐くもん吐かねェとマジで沈めんぞ 手前等…命取られる前に吐いた方が良いぜ…?」
そんな男の皮肉にも否定ではなく肯定で返す処かヤクザか暴力団の様な言葉遣いで…否、見た目は絶世の美女ではあるが言葉遣いは疎か気配もがカタギのものでは無い異常なものを発し槍の鋒を向けながら見下ろすアンナに男は畏れと憧憬を抱き上半身を起す。
「…せ、聖女なら転生の間だろう…此処から差程離れていない研究所の地下だ…」
「転生の間、ね…あんたの車借りるぜ」
素直に話した御褒美とばかりに身体をまさぐり車のキーを取り出すとそのまま足早に教会を後にし、外に停められていた黒塗りのリムジンに乗り込むアンナを見送る男は呆気に取られるばかりだ。
「め、めちゃくちゃだあのガキ…」
無論、本人はそんな言葉や想い等知った事ではない、仮に届いたところで彼女は意にも介さないだろう。
「…今度は間に合ってくれよ…!」
───これは、彼女かれが最強の星騎士せいきしとして哀しくも気高い運命を破壊し、遠い未来に神話となる物語。
何れ語られる物語の一幕である。
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