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第3章 エイレン城への道
田舎町 ケレシー①
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農場のあったインベレイからケレシーという町への移動
***
ガタガタと馬車に揺られながら窓の遮光布をそっとまくり上げると、辺りにはなんの明かりも見えず、道なきくらやみをひたすら進んでいるように思われた。
ウエンさんが御者を務めてくれているようだけれど、こんな先も見えない真っ暗の中で、一体全体、どうやって馬を操縦しているのだろうか。
感心すると同時に、どこかにぶつかったり、川や土手にすべり落ちたりするのではないかとひやひやして身体の緊張がなかなか解けない。
それに、馬車の中も一切明かりがないせいで、向かいに座るサフィラスの顔も全く見えない。もともと気配もないから、本人が馬車の中にいるのかどうかも分からなくなってきて、次第に不安になり始めていた。
もっとも、明かりをつけないのは、狙われないようにするためであるからしかたないのだけれど、はやく目的の場所につけばいいのにと、そのことばかりを考えてしまう。
「…サフィラス。いる?」
なんだか小声になってしまったけれど、ニゲルは存在確認のために真向かいに向かって声を発した。
「…どうした。眠れないのか?」
サフィラスの落ち着いた声が耳に入ってくる。
「…うん。こんな真っ暗なのに、ウエンさんはよく行き先がわかるね」
「まあね。ウエンは狼を従えているから夜道が分かるのさ」
「え?オオカミ??馬じゃないの?」
「いや、馬だよ。ただ、先頭で狼が数頭、馬が道を外れないように先導しているんだ」
「へえぇ…すごいや…そんなことできるなんて信じられないよ。それって野生の狼なの?」
「まあ、一頭以外はそうだな」
普通なら狼なんかそばに居たら馬が暴れてしまいそうだけれど。
そう言えば、ニゲルに預けると言ってくれたサビはどうなったのだろう。すっかり忘れていたけれど、サフィラスかウエンさんが鳥かごにでも入れて連れてきているのだろうか。
「あのさ、ウエンさんのサビは?」
「ああ、ちゃんとついてきていると思うよ」
「え?外を飛んでるの??」
「ああ。この上にほとんど止まってはいるだろうがね」
そうしてサフィラスは、付け足すように【馬車の天井か、ウエンのそばだ】といった。
「そうだ、そのうちニゲルもエサやりなどしてみたらどうだ」
「サビに? やってみたい!…ちょっと怖いけど」
「賢い奴だし、とても美しいから。きっと好きになるよ」
「うん。…ところで、どこまで馬車に乗って移動するの?」
ガタガタと振動する身体のせいでお尻が痛くなりそうだ。あとどれくらい乗っていなきゃいけないのだろうか。そろそろ1時間くらい経つんじゃないだろうか。
「退屈かい? あともうすこしで一度休憩だよ。」
「…これから行くところはなんていう場所なの?」
「ケレシーだ」
「ケレシー…。どんなところだろう」
「ケレシーはなんの変哲もない田舎町だよ。そこは馬の交換に寄るだけだ。明日の昼までにヴァネスまで行く予定だから、何度か途中町によって馬を交換する」
「ウエンさんはどこまで一緒に来てくれるの?」
馬の手綱を持って、寒い夜風にずっと当たっているのだ。休憩したと言っても夜通し一人で御者をするなんて、とても大変な気がする。
「ウエンは夜が明けるまでは一緒に居てくれるようだ。山道は危険も多いから、彼がいるうちに行けるところまで行く」
ニゲルは、今二人きりだからと思い、ここ最近ずっと気になっていたことを聞いてみる。
「あの、なんていうか、修行みたいなのはいつからするの…?」
怒涛のごとく日々が過ぎていき、結局サフィラスと魔法について学びながら過ごせるのは残り40日程度だろうか。ニゲルの中にもやはりあせりがある。このまま何の成果も得られないままサフィラスと離れ離れになってしまえば、後々大変な目に合うんじゃないか、早々に死んでしまいそうな…そんな気がするのだ。
「…修練は最終目的地のエイレーンについてからだ。まあ、到着までまる2日ってところだな」
「そこじゃないと出来ないの?」
「そうだ」
「どうしてそこじゃないと無理なの?」
「エイレーンには私の隠れ家があるのだよ」
「安全ってこと?」
「その通り。そこはちょっとやそっとじゃ、攻撃できない場所だ。それに、なかなか見つけることができないようなつくりでね。そこでなら、下級魔法程度なら使っても目立つこともないし大丈夫だ」
下級魔法とはなんだろうか。初めて聞いた言葉だ。
「あの…下級魔法って、どんなもの?」
「そうだな…子供が最初に習得するためのかなり簡単な魔法で、ろうそくに火を付けたり物を動かしてみたり、浮かせてみたり、飛ばしてみたり…とにかく練習中もアダマが乱れにくい魔法だ」
今は分からないだろうが、すぐにできるようになる。
そう言われて、蛍石が割れてしまった時のことを思い出していた。
「ねえ、アダマって無意識でも集められるものなの?」
「…最初はみんなそうだろう。それである時、勝手に物を浮かせたりして驚く。だから力に目覚めたらコントロール方法を体得しなければ暴走したりして、いつか大変なことになる場合が多い」
「僕、破壊のアダマを集めちゃうなら、きっと物を沢山壊しちゃいそうだね…」
サフィラスが暗闇の中でふっと笑ったけはいがした。
「まあ、そう悲観するな。誰もが持てない力があるのだから、誰にもできないことが出来る可能性もあるんだ。どうせ物なんていつかこわれる。…そしていつか失うのだ。だからニゲルはおそれずに、魔法で自分に何ができるのか何をしたらいいのかを、考えればいいんだよ」
「僕はサフィラスを助けたい」
ニゲルはずっとずっと考えていたことを口に出した。
「…僕にはサフィラスが必要だよ。多分、修練も40日くらいじゃ十分とは言えないと思う。夕方の話では、ゆうへいされるって言ってたけど、本当にそうなの?どうしてそんな…」
「私が死ねば、多様な魔法士を育てる者はこの世に居なくなる。私がこの世界で唯一にして最後の魔導師だからだ」
つまりそれは、サフィラス以外、魔導師がこの世に存在しないという事だ。
「だからって、幽閉されるの??魔法士狩りがそれで終わるの?」
「いや、終わらないだろう。だから幽閉という手段に出たのだろう。ようはあぶり出し作戦さ」
「あぶり、だし…?」
「そう。私は隠れている魔法士をおびき寄せる、エサだよ」
「そんな…!」
「私は魔道師になって10年間、魔法士を何人も育ててきた。教えを乞う者も100人は下らなかった。アオガンたちは大多数を捕らえただろうが、全てではない。やつら国の連中は一人残らずその者たちを捕らえて葬り去らなければならないという、バカげた信念を掲げているからな」
「サフィラスの生徒をみんな、殺すってこと??」
「そのつもりのようだ」
「その人たちがどこにいるか、サフィラスは知っているの?」
「いいや、全員は分からない。ただ、大抵は居場所が明かせないからどうにかして文を送ってきたり、物を届けてくれたり。…私が追われるようになってからは、ウエンのように、隠れ家を提供してくれる者もわずかだがいる」
「…みんなすごく大変な暮らしをしているんだ…」
「そうだな。ただ、年々仲間も減っている。便りも減り、生きているのか死んでしまったのか分からない者が殆どだ」
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ガタガタと馬車に揺られながら窓の遮光布をそっとまくり上げると、辺りにはなんの明かりも見えず、道なきくらやみをひたすら進んでいるように思われた。
ウエンさんが御者を務めてくれているようだけれど、こんな先も見えない真っ暗の中で、一体全体、どうやって馬を操縦しているのだろうか。
感心すると同時に、どこかにぶつかったり、川や土手にすべり落ちたりするのではないかとひやひやして身体の緊張がなかなか解けない。
それに、馬車の中も一切明かりがないせいで、向かいに座るサフィラスの顔も全く見えない。もともと気配もないから、本人が馬車の中にいるのかどうかも分からなくなってきて、次第に不安になり始めていた。
もっとも、明かりをつけないのは、狙われないようにするためであるからしかたないのだけれど、はやく目的の場所につけばいいのにと、そのことばかりを考えてしまう。
「…サフィラス。いる?」
なんだか小声になってしまったけれど、ニゲルは存在確認のために真向かいに向かって声を発した。
「…どうした。眠れないのか?」
サフィラスの落ち着いた声が耳に入ってくる。
「…うん。こんな真っ暗なのに、ウエンさんはよく行き先がわかるね」
「まあね。ウエンは狼を従えているから夜道が分かるのさ」
「え?オオカミ??馬じゃないの?」
「いや、馬だよ。ただ、先頭で狼が数頭、馬が道を外れないように先導しているんだ」
「へえぇ…すごいや…そんなことできるなんて信じられないよ。それって野生の狼なの?」
「まあ、一頭以外はそうだな」
普通なら狼なんかそばに居たら馬が暴れてしまいそうだけれど。
そう言えば、ニゲルに預けると言ってくれたサビはどうなったのだろう。すっかり忘れていたけれど、サフィラスかウエンさんが鳥かごにでも入れて連れてきているのだろうか。
「あのさ、ウエンさんのサビは?」
「ああ、ちゃんとついてきていると思うよ」
「え?外を飛んでるの??」
「ああ。この上にほとんど止まってはいるだろうがね」
そうしてサフィラスは、付け足すように【馬車の天井か、ウエンのそばだ】といった。
「そうだ、そのうちニゲルもエサやりなどしてみたらどうだ」
「サビに? やってみたい!…ちょっと怖いけど」
「賢い奴だし、とても美しいから。きっと好きになるよ」
「うん。…ところで、どこまで馬車に乗って移動するの?」
ガタガタと振動する身体のせいでお尻が痛くなりそうだ。あとどれくらい乗っていなきゃいけないのだろうか。そろそろ1時間くらい経つんじゃないだろうか。
「退屈かい? あともうすこしで一度休憩だよ。」
「…これから行くところはなんていう場所なの?」
「ケレシーだ」
「ケレシー…。どんなところだろう」
「ケレシーはなんの変哲もない田舎町だよ。そこは馬の交換に寄るだけだ。明日の昼までにヴァネスまで行く予定だから、何度か途中町によって馬を交換する」
「ウエンさんはどこまで一緒に来てくれるの?」
馬の手綱を持って、寒い夜風にずっと当たっているのだ。休憩したと言っても夜通し一人で御者をするなんて、とても大変な気がする。
「ウエンは夜が明けるまでは一緒に居てくれるようだ。山道は危険も多いから、彼がいるうちに行けるところまで行く」
ニゲルは、今二人きりだからと思い、ここ最近ずっと気になっていたことを聞いてみる。
「あの、なんていうか、修行みたいなのはいつからするの…?」
怒涛のごとく日々が過ぎていき、結局サフィラスと魔法について学びながら過ごせるのは残り40日程度だろうか。ニゲルの中にもやはりあせりがある。このまま何の成果も得られないままサフィラスと離れ離れになってしまえば、後々大変な目に合うんじゃないか、早々に死んでしまいそうな…そんな気がするのだ。
「…修練は最終目的地のエイレーンについてからだ。まあ、到着までまる2日ってところだな」
「そこじゃないと出来ないの?」
「そうだ」
「どうしてそこじゃないと無理なの?」
「エイレーンには私の隠れ家があるのだよ」
「安全ってこと?」
「その通り。そこはちょっとやそっとじゃ、攻撃できない場所だ。それに、なかなか見つけることができないようなつくりでね。そこでなら、下級魔法程度なら使っても目立つこともないし大丈夫だ」
下級魔法とはなんだろうか。初めて聞いた言葉だ。
「あの…下級魔法って、どんなもの?」
「そうだな…子供が最初に習得するためのかなり簡単な魔法で、ろうそくに火を付けたり物を動かしてみたり、浮かせてみたり、飛ばしてみたり…とにかく練習中もアダマが乱れにくい魔法だ」
今は分からないだろうが、すぐにできるようになる。
そう言われて、蛍石が割れてしまった時のことを思い出していた。
「ねえ、アダマって無意識でも集められるものなの?」
「…最初はみんなそうだろう。それである時、勝手に物を浮かせたりして驚く。だから力に目覚めたらコントロール方法を体得しなければ暴走したりして、いつか大変なことになる場合が多い」
「僕、破壊のアダマを集めちゃうなら、きっと物を沢山壊しちゃいそうだね…」
サフィラスが暗闇の中でふっと笑ったけはいがした。
「まあ、そう悲観するな。誰もが持てない力があるのだから、誰にもできないことが出来る可能性もあるんだ。どうせ物なんていつかこわれる。…そしていつか失うのだ。だからニゲルはおそれずに、魔法で自分に何ができるのか何をしたらいいのかを、考えればいいんだよ」
「僕はサフィラスを助けたい」
ニゲルはずっとずっと考えていたことを口に出した。
「…僕にはサフィラスが必要だよ。多分、修練も40日くらいじゃ十分とは言えないと思う。夕方の話では、ゆうへいされるって言ってたけど、本当にそうなの?どうしてそんな…」
「私が死ねば、多様な魔法士を育てる者はこの世に居なくなる。私がこの世界で唯一にして最後の魔導師だからだ」
つまりそれは、サフィラス以外、魔導師がこの世に存在しないという事だ。
「だからって、幽閉されるの??魔法士狩りがそれで終わるの?」
「いや、終わらないだろう。だから幽閉という手段に出たのだろう。ようはあぶり出し作戦さ」
「あぶり、だし…?」
「そう。私は隠れている魔法士をおびき寄せる、エサだよ」
「そんな…!」
「私は魔道師になって10年間、魔法士を何人も育ててきた。教えを乞う者も100人は下らなかった。アオガンたちは大多数を捕らえただろうが、全てではない。やつら国の連中は一人残らずその者たちを捕らえて葬り去らなければならないという、バカげた信念を掲げているからな」
「サフィラスの生徒をみんな、殺すってこと??」
「そのつもりのようだ」
「その人たちがどこにいるか、サフィラスは知っているの?」
「いいや、全員は分からない。ただ、大抵は居場所が明かせないからどうにかして文を送ってきたり、物を届けてくれたり。…私が追われるようになってからは、ウエンのように、隠れ家を提供してくれる者もわずかだがいる」
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