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47.理解しても心は痛む②
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またしても意味不明な台詞を投げかけられ、訳が分からなくなる。
(僕の言ったこと? 実行しなかった? ……何のこと?)
「あの……何のお話でしょうか。あの後とは何のことでしょう。本祭の後ということでしょうか?」
『違う。これは全然分かっていないな。9年前の話だよ。勧請された時は、君の気が余りにもきっっっっったなすぎて、もうドン引きしてさっさと還ってしまったけれど』
(き、きっっっっったない……)
既に事情を理解しているとはいえ、反射的に胸を抑えるアマーリエ。
「ラミルファ! ……お前、本当にいい加減にしろよ」
フレイムが鋭い目で抗議した。声がいつもより低い。これは本気で怒っている。
成り行きを見守っていた佳良が、慰めるように言い添えた。
「アマーリエ、あなたの気持ちはよく分かります。けれど、悪神のお言葉は反対に捉えねばなりません。穢れと濁りを好む高位の悪神にここまで仰っていただけるのは、あなたの気がそれほど澄み切っている証。最高の褒め言葉と同義なのですよ」
「わ、分かっております。ラミルファ様、お見苦しい姿をお見せし、失礼いたしました」
だが、フレイムは収まらない。
「いーや、俺は抗議するぜ! 聖威師と違ってこいつに遠慮する立場じゃねえからな!」
一歩も退かず、ビシィとラミルファを指差して言い募る。
「おいラミルファ、悪神には悪神の基準があるにしてもだ、9年前の時点でそれを説明しておくべきだっただろうが! 降臨した時の反応で、ホントは悪神を勧請するつもりじゃなかったんじゃないかってのは勘付けたはずだ。その時にちゃんと説明してりゃ、アマーリエは霊威が低かろうとここまでの虐待を受けることはなかったんだ!」
「……失礼ながら、何と仰いましたか?」
「虐待とは?」
聞き咎めたフルードとアシュトンが眉を顰めた。戦々恐々と様子を窺っていたダライとネイーシャが、音を立てる勢いで体を硬直させている。アマーリエも固まった。
(こ、ここで告発しちゃうの!? 今この場所で!?)
これは勘だが、フレイムに深い考えはないだろう。おそらく勢いで言っているだけだ。
「ああそうだ。こいつと一つ屋根の下で、同じ部屋で暮らした時間にしっかり見させてもらったぜ! こいつが自邸でどんな陰湿な虐めを受けているかをな!」
「一つ屋根の下?」
「同じ部屋?」
今度は佳良とオーネリアが聞き返した。
(ちょっとフレイム、その言い方はまずいわ、まずすぎる!)
アマーリエはうろたえながら口を開こうとしたが、聖威師の方が先だった。恵奈と当真が真面目な顔でこちらを見る。
「もしやこちらの神使様と関係を深めたのかしら?」
「同じ寝具を使ったのですか?」
(ほ、ほら突っ込まれたじゃない!)
直接的な表現は避けているが、同衾したのかと聞かれているのだ。だが、先んじて答えたのはフレイムだった。キョトンとした顔で一瞬だけ考え込み、頷く。
「ああ、アマーリエと同じ毛布なら使っていたが」
アマーリエの不在中に、膝掛け用のブランケットを貸していただけである。
(きゃあああ! どどどうしてそんな、誤解を招くような表現を!)
アマーリエが内心で百面相をしながら、上手い返答を高速で探していると、意外なところから助け船が来た。ラミルファである。
『あのさ、何だか立て込んでいるようだが、後にしてくれないか。先に話していたのは僕だから話を戻すよ。……そもそもの話、説明というのを僕はしたはずだ』
(僕の言ったこと? 実行しなかった? ……何のこと?)
「あの……何のお話でしょうか。あの後とは何のことでしょう。本祭の後ということでしょうか?」
『違う。これは全然分かっていないな。9年前の話だよ。勧請された時は、君の気が余りにもきっっっっったなすぎて、もうドン引きしてさっさと還ってしまったけれど』
(き、きっっっっったない……)
既に事情を理解しているとはいえ、反射的に胸を抑えるアマーリエ。
「ラミルファ! ……お前、本当にいい加減にしろよ」
フレイムが鋭い目で抗議した。声がいつもより低い。これは本気で怒っている。
成り行きを見守っていた佳良が、慰めるように言い添えた。
「アマーリエ、あなたの気持ちはよく分かります。けれど、悪神のお言葉は反対に捉えねばなりません。穢れと濁りを好む高位の悪神にここまで仰っていただけるのは、あなたの気がそれほど澄み切っている証。最高の褒め言葉と同義なのですよ」
「わ、分かっております。ラミルファ様、お見苦しい姿をお見せし、失礼いたしました」
だが、フレイムは収まらない。
「いーや、俺は抗議するぜ! 聖威師と違ってこいつに遠慮する立場じゃねえからな!」
一歩も退かず、ビシィとラミルファを指差して言い募る。
「おいラミルファ、悪神には悪神の基準があるにしてもだ、9年前の時点でそれを説明しておくべきだっただろうが! 降臨した時の反応で、ホントは悪神を勧請するつもりじゃなかったんじゃないかってのは勘付けたはずだ。その時にちゃんと説明してりゃ、アマーリエは霊威が低かろうとここまでの虐待を受けることはなかったんだ!」
「……失礼ながら、何と仰いましたか?」
「虐待とは?」
聞き咎めたフルードとアシュトンが眉を顰めた。戦々恐々と様子を窺っていたダライとネイーシャが、音を立てる勢いで体を硬直させている。アマーリエも固まった。
(こ、ここで告発しちゃうの!? 今この場所で!?)
これは勘だが、フレイムに深い考えはないだろう。おそらく勢いで言っているだけだ。
「ああそうだ。こいつと一つ屋根の下で、同じ部屋で暮らした時間にしっかり見させてもらったぜ! こいつが自邸でどんな陰湿な虐めを受けているかをな!」
「一つ屋根の下?」
「同じ部屋?」
今度は佳良とオーネリアが聞き返した。
(ちょっとフレイム、その言い方はまずいわ、まずすぎる!)
アマーリエはうろたえながら口を開こうとしたが、聖威師の方が先だった。恵奈と当真が真面目な顔でこちらを見る。
「もしやこちらの神使様と関係を深めたのかしら?」
「同じ寝具を使ったのですか?」
(ほ、ほら突っ込まれたじゃない!)
直接的な表現は避けているが、同衾したのかと聞かれているのだ。だが、先んじて答えたのはフレイムだった。キョトンとした顔で一瞬だけ考え込み、頷く。
「ああ、アマーリエと同じ毛布なら使っていたが」
アマーリエの不在中に、膝掛け用のブランケットを貸していただけである。
(きゃあああ! どどどうしてそんな、誤解を招くような表現を!)
アマーリエが内心で百面相をしながら、上手い返答を高速で探していると、意外なところから助け船が来た。ラミルファである。
『あのさ、何だか立て込んでいるようだが、後にしてくれないか。先に話していたのは僕だから話を戻すよ。……そもそもの話、説明というのを僕はしたはずだ』
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