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第1章
82.幸せな日々①
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◆◆◆
「お帰りなさいませ」
神官府から自邸に戻ると、玄関先にズラリと並んだ使用人たちが一斉に頭を下げる。
「ただいま」
未だ慣れない光景の中を歩いていると、恭しい所作で分厚い紙束が差し出された。
「本日、焔神様がお贈り下さった下賜品の追加分でございます」
その厚みに内心仰け反りそうになりながら、どうにか澄まし顔をキープする。
「ありがとう、後で確認しておくわ」
(もう、フレイムったら! 毎日こんなに贈ってくるなんて。……嬉しいけれど)
と、使用人が少しだけ困った顔で続けた。
「アマーリエ様への贈り物は、仕分けをして収納霊具に入れております。しかし、そろそろ容量が限界です。新しい霊具を発注したく思いますが、よろしいでしょうか?」
アマーリエは驚きで軽く目を見開いた。
「まあ、もう容量オーバーなの? 先日追加分を用意したばかりなのに。繋がっている収納空間も大きい、最新式の霊具だと言われたのだけれど……」
(一般用ではなく貴族用の収納空間を持つ特注品を買ったのに)
だが、それでも足りないのだと返された。
「贈り物の数が多すぎるのです。サイズが大きいものもございますし」
「わ、分かったわ。明日、神官府にある霊具のカタログを確認しておくわね」
引きつりそうになる表情筋を笑顔でキープし、内心で溜め息を吐く。
(フレイムに、もう少し量を考えて欲しいとお願いしなければ)
――聖威師になったことをきっかけに、アマーリエの暮らしは何もかもが一変した。神官としての給金とは別に莫大な財貨が定期的に支払われるばかりか、専用の広大な邸を提供され、大勢の優秀な使用人まで続々と派遣されたのだ。
神官府でも一気に一目置かれる存在になった。目まぐるしく変わっていく生活に順応しようと必死なアマーリエの目下の悩みは、収納である。
『今までの分、俺がお前を甘やかしまくってやるぜ!』
そう宣言したフレイムが、ドレスや宝飾品、日用品に菓子といったあらゆるものをまめまめしく贈って来るのだ。
他の神々からもだ。フレイムの最愛となったアマーリエを、火神の一族を筆頭とする天界の神々は心から歓迎した。毎日のように天界の材料を駆使した品が届き、欲しいものや足りないものはないかと聞いて来る。
改めて挨拶をして親睦を深めたフレイムの従神たちを筆頭に、義母となった火神や義姉ブレイズたちまでが全力で世話を焼いて来るのだ。本物の運命神ルファリオンからは、うっとりするほどに美しい神玉の花が下賜された。
神官と王家、官僚からも、絶え間無く祝いの品や献上品が届いていた。優秀な使用人たちが目録を作って整理し、収納空間を内包した霊具に入れてくれているが、それにも限度がある。
(もう五つ目の収納霊具なのよ。この短期間でどれだけ贈られたの、私)
返礼品の手配は使用人たちが行うが、アマーリエもつど確認をしている。なので、今までに贈られた品の数はある程度把握しているはずだが――余りの膨大さに心が現実逃避し、考えないようにしていた。
「お帰りなさいませ」
神官府から自邸に戻ると、玄関先にズラリと並んだ使用人たちが一斉に頭を下げる。
「ただいま」
未だ慣れない光景の中を歩いていると、恭しい所作で分厚い紙束が差し出された。
「本日、焔神様がお贈り下さった下賜品の追加分でございます」
その厚みに内心仰け反りそうになりながら、どうにか澄まし顔をキープする。
「ありがとう、後で確認しておくわ」
(もう、フレイムったら! 毎日こんなに贈ってくるなんて。……嬉しいけれど)
と、使用人が少しだけ困った顔で続けた。
「アマーリエ様への贈り物は、仕分けをして収納霊具に入れております。しかし、そろそろ容量が限界です。新しい霊具を発注したく思いますが、よろしいでしょうか?」
アマーリエは驚きで軽く目を見開いた。
「まあ、もう容量オーバーなの? 先日追加分を用意したばかりなのに。繋がっている収納空間も大きい、最新式の霊具だと言われたのだけれど……」
(一般用ではなく貴族用の収納空間を持つ特注品を買ったのに)
だが、それでも足りないのだと返された。
「贈り物の数が多すぎるのです。サイズが大きいものもございますし」
「わ、分かったわ。明日、神官府にある霊具のカタログを確認しておくわね」
引きつりそうになる表情筋を笑顔でキープし、内心で溜め息を吐く。
(フレイムに、もう少し量を考えて欲しいとお願いしなければ)
――聖威師になったことをきっかけに、アマーリエの暮らしは何もかもが一変した。神官としての給金とは別に莫大な財貨が定期的に支払われるばかりか、専用の広大な邸を提供され、大勢の優秀な使用人まで続々と派遣されたのだ。
神官府でも一気に一目置かれる存在になった。目まぐるしく変わっていく生活に順応しようと必死なアマーリエの目下の悩みは、収納である。
『今までの分、俺がお前を甘やかしまくってやるぜ!』
そう宣言したフレイムが、ドレスや宝飾品、日用品に菓子といったあらゆるものをまめまめしく贈って来るのだ。
他の神々からもだ。フレイムの最愛となったアマーリエを、火神の一族を筆頭とする天界の神々は心から歓迎した。毎日のように天界の材料を駆使した品が届き、欲しいものや足りないものはないかと聞いて来る。
改めて挨拶をして親睦を深めたフレイムの従神たちを筆頭に、義母となった火神や義姉ブレイズたちまでが全力で世話を焼いて来るのだ。本物の運命神ルファリオンからは、うっとりするほどに美しい神玉の花が下賜された。
神官と王家、官僚からも、絶え間無く祝いの品や献上品が届いていた。優秀な使用人たちが目録を作って整理し、収納空間を内包した霊具に入れてくれているが、それにも限度がある。
(もう五つ目の収納霊具なのよ。この短期間でどれだけ贈られたの、私)
返礼品の手配は使用人たちが行うが、アマーリエもつど確認をしている。なので、今までに贈られた品の数はある程度把握しているはずだが――余りの膨大さに心が現実逃避し、考えないようにしていた。
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