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第1章 出会い
夢
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次に意識を取り戻した時、俺は変わらず桜の真下で横たわっていた。まだ少し朦朧としながらも上半身を起こし、辺りを見回す。
「危ねえ……よく、誰にも気付かれなかったな……」
もし人一人にでも発見されていたら、今頃どうなっていたことか。病院送りからの事情聴取からの大説教に違いない。意識飛ぶ直前は急性アルコール中毒かと思ったけど、起きた今特に頭が痛いわけでもないし、寝ぼけた頭が復活すれば問題なさそうだ。ほっと胸を撫で下ろす。
「とりあえず、帰ろう。今何時だ?」
これが二十三時とかだと、別の方向性で説教が始まりかねない。若干の緊張をしながら右ポケットに手を入れる。
「……あれ?」
スマホが、ない。
……もしかして、盗まれた!?よくよく足元周辺を見渡すと、徳利もお猪口もない。ブランコの椅子に置いていた角缶も見当たらない。持ち物一式を盗まれた?
いや——
何かが違う。この違和感、何かもっと、根本的に変だ。
改めて桜をよく見ると、八分咲きだった筈のそれはほぼ満開。しかも一体何処の光源からか、不自然に桜だけが明るい。おかしい、おかしいぞ?
それに対して、公園の周囲はさっきより暗い。夜が更けたって話じゃない。……街灯が少ないのか?いやいや、違うぞ?違う!確かにそれもあるけど、明らかにそれ以上の何か——。
「……ま、マンションが、ない!?」
仰角の先を照らしていた筈の蛍光灯が一切ない。その代わりに光るのは、星、でもなく……何もない。曇り空でもないのに、星も見えない。
段々心配を通り越して恐怖を感じ始めた俺は、とにかく家に帰ることにした。爺ちゃんの形見もスマホもないままだけど、それよりこの違和感すぎる違和感から逃げ出したくなった。
公園を出ると、一方向に伸びる道路から見える範囲に特段の変化はないように感じる。やはり、極端におかしいのは公園の向かいにある筈のマンションが無いこと。それ以外は……こっち側の住宅街はさほど変化はない。公園から遠ざかっていくにしたがって、何だかどんどん暗くなっている気がするけど。
まず、どの家も灯りが点いていない。これがまずおかしい。そして、現状唯一の光源になっている街灯もぼんやりとした蒼白い光でまるで道を照らす気がない。こうなってくると、公園が舞台の上のように明るく思える。
というか、この、町から人が消えたような雰囲気どうにかならないだろうか。歩数が増えていく毎に俺の不安と恐怖が比例していく。もしかして、誰か独裁スイッチ押した?……いやそんな冗談言ってる場合じゃないんだよ。
我が家を目前とする頃には、頼りの街灯は蛍より役に立たないほど弱々しくなっていた。幸い目がだいぶ慣れてきたのと、遠くで光る公園のお陰で何となく道は認識できる。でも、あくまで認識できる程度だから随所にある筈の変化には気付けていないと思う。
「よかった……あった」
玄関前まで辿り着くと、とりあえず深い溜息を吐いた。もしかして、家無いんじゃないか?っていう可能性が頭を過ったからだ。表札も薄らだけど自分の苗字である『佐野』と読めるから間違いない。
「た、ただいまあ……」
恐る恐るドアを開けると、やはり電気は一切点いていない。玄関のスイッチを入れてみても……点かないな。こうなると、この地域で停電が起こったと考えるのが普通だろう。
辻褄を合わせようとすれば。
でも、残念ながらもう理屈が通じる状況にはない。絶対的に全てがおかしいんだ。おかしいからこそ、冷静に、何でもいいから手がかりを探さなければ。今のこの状況が何なのか。
こうなる原因……確か、酒を飲んだんだっけ……で、気付いたらここ。酒を飲むに至ったのは爺ちゃんの遺言が元だから……あ、もしかしてこれ、夢?
あ、夢か!夢だ夢!なんだあーこれで納得だ。そうだ酒を飲んで寝落ちしたわけか。
夢の中で『これが夢だ』と認識することはよくある。こうなった時の特徴は二つ。一つは、認識した瞬間からタイマーが作動するように夢のカウントダウンが始まる。モタモタしていると場面がいつの間にか変わって、また夢と認識してない状態で夢を見ることになる。
もう一つは、『落ちる』と目を覚ます。屋上でも崖でも何でもいいから、とにかくちょっと高いところから落ちればバッと飛び起きるように夢から覚めるんだ。起きる瞬間は脚がビクッ!ってなるけど、怖い夢なんて見てる途中であれば俺は迷わず『落ちる』。
さて、じゃあ今回はどうするか……正直だいぶビビったけど、夢と分かれば話は別だ。寧ろよくこんな精巧な町を俺の脳が生成できたなと感心する。夢が崩壊するまでにもう少し探索しよう。
俺の脳は何を生み出しているのか。もし俺の知らないことがここで発見できれば、中々凄い体験だと思う。もしかしたら、爺ちゃんが残した遺言のヒントがあるかもしれない。
室内は完全に真っ暗だけど、流石に自分の家。感覚で今どこに居るのかくらいは把握できる。爺ちゃんの部屋は廊下突き当たり右の部屋だからなんてことはない。
右手で壁をつたいながら、左手が真っ正面の壁を捉えたところで右のドアを開けた。
「お邪魔しまっせ」
開けたところで視界に変化はなく、墨黒の世界がいよいよ俺を盲目にする。電気を消した部屋でアイマスクをするような、黒の圧迫感と幽閉感。だが、恐れる勿れ、所詮は夢だ。現実と同じなら、爺ちゃんの部屋は壁を覆うように本棚が敷き詰められている。適当に一冊外に持ち出してみよう。
「あれ?……ない?」
ドア側の壁に触れると、そこはただの『壁』。そのまま前に進んでも、やはり何もない。奥の壁に当たり、向きを変えてまた足を進める。まあ一周すれば何かあるだろう。
そう思った直後、前に出した脚の膝が鉄板のような何かにぶつかり、「ゴツッ」という音と共に痛みが走った。
「痛ッて!」
当てた左膝をさすりながら手で確認すると、どうやら机らしい。こんなところに机なんて無かったぞ?
「まったく、勝手に模様替えしやがって俺の脳ミソ」
文句を言いながら、遅れてあることに気付く。
「……痛い?」
それは、限りなくリアルな体への『痛み』。嗅覚や味覚を感じることは何度か経験あるものの、痛覚はかつて感じたことがない気がする。何とも不気味な夢だ。もしかしたら今『現実』の方で何らかのアクションがあったのかもしれない。
そうなれば、夢が崩れるのも時間の問題。何でもいいから何か手がかりは——。
「ん、何だこれ?」
机を手当たり次第調べていると、折り畳まれた厚紙のようなものが一部、センター引き出しの奥から出てきた。山折り谷折りの独特な畳み方で、何かは分からないけど見開きの新聞くらいには大きい。
「とりあえず、これ見てみるか」
そのうち場面が変わると分かっている以上悠長にはしていられない。ただ、左手づたいで引き返すのも味気ないと思った俺は、そのまま一周してから部屋を出ることにした。考えてみれば、本来ある筈の窓もないし、そのくせ妙な肌寒さを感じる。この変化は全て現実と繋がっているのだろうか。
と、その時。右手が机の角から離れかけた瞬間、着地する筈の左足が床を捉えることなく、沈んだ。
バランスを崩した体がそのまま抵抗できず、前方へ倒れる。
「うわああああああああ!」
何が起こったのか、一瞬理解できなかった。でも、この感覚は間違いなく『落下』だ。
頭が足よりも下にあり、頭頂部に負荷を感じる。これは、予想より早く場面の変化がきたのかもしれない。ただ、この状況はもう場面云々の話じゃない。次に目覚めた時はもう——。
この中身の正体が分からないままで終わるのが、少し残念だ。
「危ねえ……よく、誰にも気付かれなかったな……」
もし人一人にでも発見されていたら、今頃どうなっていたことか。病院送りからの事情聴取からの大説教に違いない。意識飛ぶ直前は急性アルコール中毒かと思ったけど、起きた今特に頭が痛いわけでもないし、寝ぼけた頭が復活すれば問題なさそうだ。ほっと胸を撫で下ろす。
「とりあえず、帰ろう。今何時だ?」
これが二十三時とかだと、別の方向性で説教が始まりかねない。若干の緊張をしながら右ポケットに手を入れる。
「……あれ?」
スマホが、ない。
……もしかして、盗まれた!?よくよく足元周辺を見渡すと、徳利もお猪口もない。ブランコの椅子に置いていた角缶も見当たらない。持ち物一式を盗まれた?
いや——
何かが違う。この違和感、何かもっと、根本的に変だ。
改めて桜をよく見ると、八分咲きだった筈のそれはほぼ満開。しかも一体何処の光源からか、不自然に桜だけが明るい。おかしい、おかしいぞ?
それに対して、公園の周囲はさっきより暗い。夜が更けたって話じゃない。……街灯が少ないのか?いやいや、違うぞ?違う!確かにそれもあるけど、明らかにそれ以上の何か——。
「……ま、マンションが、ない!?」
仰角の先を照らしていた筈の蛍光灯が一切ない。その代わりに光るのは、星、でもなく……何もない。曇り空でもないのに、星も見えない。
段々心配を通り越して恐怖を感じ始めた俺は、とにかく家に帰ることにした。爺ちゃんの形見もスマホもないままだけど、それよりこの違和感すぎる違和感から逃げ出したくなった。
公園を出ると、一方向に伸びる道路から見える範囲に特段の変化はないように感じる。やはり、極端におかしいのは公園の向かいにある筈のマンションが無いこと。それ以外は……こっち側の住宅街はさほど変化はない。公園から遠ざかっていくにしたがって、何だかどんどん暗くなっている気がするけど。
まず、どの家も灯りが点いていない。これがまずおかしい。そして、現状唯一の光源になっている街灯もぼんやりとした蒼白い光でまるで道を照らす気がない。こうなってくると、公園が舞台の上のように明るく思える。
というか、この、町から人が消えたような雰囲気どうにかならないだろうか。歩数が増えていく毎に俺の不安と恐怖が比例していく。もしかして、誰か独裁スイッチ押した?……いやそんな冗談言ってる場合じゃないんだよ。
我が家を目前とする頃には、頼りの街灯は蛍より役に立たないほど弱々しくなっていた。幸い目がだいぶ慣れてきたのと、遠くで光る公園のお陰で何となく道は認識できる。でも、あくまで認識できる程度だから随所にある筈の変化には気付けていないと思う。
「よかった……あった」
玄関前まで辿り着くと、とりあえず深い溜息を吐いた。もしかして、家無いんじゃないか?っていう可能性が頭を過ったからだ。表札も薄らだけど自分の苗字である『佐野』と読めるから間違いない。
「た、ただいまあ……」
恐る恐るドアを開けると、やはり電気は一切点いていない。玄関のスイッチを入れてみても……点かないな。こうなると、この地域で停電が起こったと考えるのが普通だろう。
辻褄を合わせようとすれば。
でも、残念ながらもう理屈が通じる状況にはない。絶対的に全てがおかしいんだ。おかしいからこそ、冷静に、何でもいいから手がかりを探さなければ。今のこの状況が何なのか。
こうなる原因……確か、酒を飲んだんだっけ……で、気付いたらここ。酒を飲むに至ったのは爺ちゃんの遺言が元だから……あ、もしかしてこれ、夢?
あ、夢か!夢だ夢!なんだあーこれで納得だ。そうだ酒を飲んで寝落ちしたわけか。
夢の中で『これが夢だ』と認識することはよくある。こうなった時の特徴は二つ。一つは、認識した瞬間からタイマーが作動するように夢のカウントダウンが始まる。モタモタしていると場面がいつの間にか変わって、また夢と認識してない状態で夢を見ることになる。
もう一つは、『落ちる』と目を覚ます。屋上でも崖でも何でもいいから、とにかくちょっと高いところから落ちればバッと飛び起きるように夢から覚めるんだ。起きる瞬間は脚がビクッ!ってなるけど、怖い夢なんて見てる途中であれば俺は迷わず『落ちる』。
さて、じゃあ今回はどうするか……正直だいぶビビったけど、夢と分かれば話は別だ。寧ろよくこんな精巧な町を俺の脳が生成できたなと感心する。夢が崩壊するまでにもう少し探索しよう。
俺の脳は何を生み出しているのか。もし俺の知らないことがここで発見できれば、中々凄い体験だと思う。もしかしたら、爺ちゃんが残した遺言のヒントがあるかもしれない。
室内は完全に真っ暗だけど、流石に自分の家。感覚で今どこに居るのかくらいは把握できる。爺ちゃんの部屋は廊下突き当たり右の部屋だからなんてことはない。
右手で壁をつたいながら、左手が真っ正面の壁を捉えたところで右のドアを開けた。
「お邪魔しまっせ」
開けたところで視界に変化はなく、墨黒の世界がいよいよ俺を盲目にする。電気を消した部屋でアイマスクをするような、黒の圧迫感と幽閉感。だが、恐れる勿れ、所詮は夢だ。現実と同じなら、爺ちゃんの部屋は壁を覆うように本棚が敷き詰められている。適当に一冊外に持ち出してみよう。
「あれ?……ない?」
ドア側の壁に触れると、そこはただの『壁』。そのまま前に進んでも、やはり何もない。奥の壁に当たり、向きを変えてまた足を進める。まあ一周すれば何かあるだろう。
そう思った直後、前に出した脚の膝が鉄板のような何かにぶつかり、「ゴツッ」という音と共に痛みが走った。
「痛ッて!」
当てた左膝をさすりながら手で確認すると、どうやら机らしい。こんなところに机なんて無かったぞ?
「まったく、勝手に模様替えしやがって俺の脳ミソ」
文句を言いながら、遅れてあることに気付く。
「……痛い?」
それは、限りなくリアルな体への『痛み』。嗅覚や味覚を感じることは何度か経験あるものの、痛覚はかつて感じたことがない気がする。何とも不気味な夢だ。もしかしたら今『現実』の方で何らかのアクションがあったのかもしれない。
そうなれば、夢が崩れるのも時間の問題。何でもいいから何か手がかりは——。
「ん、何だこれ?」
机を手当たり次第調べていると、折り畳まれた厚紙のようなものが一部、センター引き出しの奥から出てきた。山折り谷折りの独特な畳み方で、何かは分からないけど見開きの新聞くらいには大きい。
「とりあえず、これ見てみるか」
そのうち場面が変わると分かっている以上悠長にはしていられない。ただ、左手づたいで引き返すのも味気ないと思った俺は、そのまま一周してから部屋を出ることにした。考えてみれば、本来ある筈の窓もないし、そのくせ妙な肌寒さを感じる。この変化は全て現実と繋がっているのだろうか。
と、その時。右手が机の角から離れかけた瞬間、着地する筈の左足が床を捉えることなく、沈んだ。
バランスを崩した体がそのまま抵抗できず、前方へ倒れる。
「うわああああああああ!」
何が起こったのか、一瞬理解できなかった。でも、この感覚は間違いなく『落下』だ。
頭が足よりも下にあり、頭頂部に負荷を感じる。これは、予想より早く場面の変化がきたのかもしれない。ただ、この状況はもう場面云々の話じゃない。次に目覚めた時はもう——。
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