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新社会人たち
鈴木 発見
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「じゃあ、当分はここに就いてください。
勿論、早く慣れればそれだけ他のラインに移動出来ます。頑張って覚えてくださいね」
「お~。任せてよ!
お前リーダーか? オトコマエ~!」
案の定、派遣のリーダーも戸惑ってる様子だ。
エミリーに悪気は無い。しかし、ラフな態度が皆の反感を買わなければいいが。
「あとよろしくお願いします」
「はい琴乃さん。じゃエミリーさんこっちで作業しましょう」
「エミ でいいんだぞ!」
「了解です。あぁ、まぁ。職場の女性ですからね……うちの派遣は小うるさいんで……」
「わかった!」
ふ、不安だ。ストレス溜まんだろうな。
最初に覚えた日本語の修正ってきくのだろうか? 私なんかが修正するより、もう少し大人の同性社員がこの現場にいればなぁ。
「エミリー預けて来た」
「うっす………どっと疲れたっす……」
デスクに戻ってから慎也も口を開けたまま天井を見上げ固まっていた。
「とりあえず、ね。
それにしても、秋沢さんは待遇良さそうだね……虐めにでもあってなければと思ったけど」
「そっすね。急がなくちゃって焦りは無くなったっす。
とにかく監査作戦の計画進めましょう」
「うん……」
いや、焦りはある。
ただ、最悪の事態は存在しなかっただけだ。私たちにとって、秋沢が状況や気力に負けて退社してしまう事が一番の負けなのだ。やり手の秋沢にとって、あまりにもぬるま湯すぎる環境はそれが引き金になることも充分考えられる。
「さぁ仕事仕事……」
prrrrrrr………。
着信。
キョロキョロする慎也に小さく手を上げる。
「私だ」
「春子ちゃん、私用のスマホの着信音は厳禁っす」
「すぐに着るよ………」
ポケットからスマホを出し、マナーモードに切り替えようとしたが、液晶に表示された着信者は海堂だった。
Prrrrr!
私が日勤なのは知っているはずだ。
なにか緊急か……?
「早く止めてくださいよ。一応、私物のスマホ禁止っすよ」
お前、散々使ってた本人だろっ!
「いや。緊急そうだから、ちょっと出る」
「えっ? ……もぉ~」
机の下に潜り込み、応答ボタンをタップする。
私を隠すように慎也が立って隠す。
「あ、私です……」
『すまんな! 仕事中だろ』
なにか車とは違った雑音の中、海堂が声を荒らげて話し出した。
風……? 外にいるのか?
『今日は知り合いの付き添いで沖に出たんだけどな。俺はこれから陸に戻って警察と会わなきゃならなくなってな』
「警察……?」
『つい二十分前に、鈴木が見つかったんだよ。
ここからそう遠くない岩場で。上がったんだよ』
死んでた……?
夜逃げしたんじゃなかったのか?
「なぜ海堂さんが事情聴取を?」
『港の責任者として会うだけよ。
だが、それからじゃ連絡出来ねぇと思ってな。
鈴木の見つかった場所だが…………あんな所から飛び降りる奴なんぞ聞いたこともねぇ。水死体もだ。まず流れつかねぇんだよなぁ』
他殺…………?
「わ、分かりました」
『それなんだが、さっき幸田にも連絡入れたんだが、あいつ……今、あの老夫婦の家で飲んでたらしくてな』
「幸田さんは今日は休みですよ。明日から本格的にフルムーンに行くらしくて……」
『おかしくねぇか? あの老夫婦………麗ちゃんも中に入れないのになぁ?』
そういえば幸田とあの老夫婦は面識がありそうだったもんな。
『なんていうか………あの池田夫妻は……世間話ひとつしてても、なぁ~んか気味悪くてなぁ………』
「分かりました。用心します。
これは麗に伝えても?」
『あぁ。頼む。
何事も起きないといいんだがな……』
何事も……か。
鈴木は既に死んでいる。
誰が関わったかが問題だな。
勿論、早く慣れればそれだけ他のラインに移動出来ます。頑張って覚えてくださいね」
「お~。任せてよ!
お前リーダーか? オトコマエ~!」
案の定、派遣のリーダーも戸惑ってる様子だ。
エミリーに悪気は無い。しかし、ラフな態度が皆の反感を買わなければいいが。
「あとよろしくお願いします」
「はい琴乃さん。じゃエミリーさんこっちで作業しましょう」
「エミ でいいんだぞ!」
「了解です。あぁ、まぁ。職場の女性ですからね……うちの派遣は小うるさいんで……」
「わかった!」
ふ、不安だ。ストレス溜まんだろうな。
最初に覚えた日本語の修正ってきくのだろうか? 私なんかが修正するより、もう少し大人の同性社員がこの現場にいればなぁ。
「エミリー預けて来た」
「うっす………どっと疲れたっす……」
デスクに戻ってから慎也も口を開けたまま天井を見上げ固まっていた。
「とりあえず、ね。
それにしても、秋沢さんは待遇良さそうだね……虐めにでもあってなければと思ったけど」
「そっすね。急がなくちゃって焦りは無くなったっす。
とにかく監査作戦の計画進めましょう」
「うん……」
いや、焦りはある。
ただ、最悪の事態は存在しなかっただけだ。私たちにとって、秋沢が状況や気力に負けて退社してしまう事が一番の負けなのだ。やり手の秋沢にとって、あまりにもぬるま湯すぎる環境はそれが引き金になることも充分考えられる。
「さぁ仕事仕事……」
prrrrrrr………。
着信。
キョロキョロする慎也に小さく手を上げる。
「私だ」
「春子ちゃん、私用のスマホの着信音は厳禁っす」
「すぐに着るよ………」
ポケットからスマホを出し、マナーモードに切り替えようとしたが、液晶に表示された着信者は海堂だった。
Prrrrr!
私が日勤なのは知っているはずだ。
なにか緊急か……?
「早く止めてくださいよ。一応、私物のスマホ禁止っすよ」
お前、散々使ってた本人だろっ!
「いや。緊急そうだから、ちょっと出る」
「えっ? ……もぉ~」
机の下に潜り込み、応答ボタンをタップする。
私を隠すように慎也が立って隠す。
「あ、私です……」
『すまんな! 仕事中だろ』
なにか車とは違った雑音の中、海堂が声を荒らげて話し出した。
風……? 外にいるのか?
『今日は知り合いの付き添いで沖に出たんだけどな。俺はこれから陸に戻って警察と会わなきゃならなくなってな』
「警察……?」
『つい二十分前に、鈴木が見つかったんだよ。
ここからそう遠くない岩場で。上がったんだよ』
死んでた……?
夜逃げしたんじゃなかったのか?
「なぜ海堂さんが事情聴取を?」
『港の責任者として会うだけよ。
だが、それからじゃ連絡出来ねぇと思ってな。
鈴木の見つかった場所だが…………あんな所から飛び降りる奴なんぞ聞いたこともねぇ。水死体もだ。まず流れつかねぇんだよなぁ』
他殺…………?
「わ、分かりました」
『それなんだが、さっき幸田にも連絡入れたんだが、あいつ……今、あの老夫婦の家で飲んでたらしくてな』
「幸田さんは今日は休みですよ。明日から本格的にフルムーンに行くらしくて……」
『おかしくねぇか? あの老夫婦………麗ちゃんも中に入れないのになぁ?』
そういえば幸田とあの老夫婦は面識がありそうだったもんな。
『なんていうか………あの池田夫妻は……世間話ひとつしてても、なぁ~んか気味悪くてなぁ………』
「分かりました。用心します。
これは麗に伝えても?」
『あぁ。頼む。
何事も起きないといいんだがな……』
何事も……か。
鈴木は既に死んでいる。
誰が関わったかが問題だな。
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