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57修繕魔法による人体への応用 (改)
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アドラスは祖父母や両親、医師サミエルと相談しどこで治療するかと話し合った。
この屋敷で治療する話をしたが、それはまずかろうとなり、町の一角に診療所を開こうかと話し合ったが、いっそ教会が良いのではという意見も上がり、みんなの頭を悩ませた。それに診療日だが教会となると当然ミサの後ということになる。ミサに最も人が集まるからだ。
「人が集まりすぎることも心配した方がいいぞ」
「父上、眼病や中耳炎の人が来たらどうしますか?ヒールでも病気の人は直せません、この場合は医師です。病気の人は直せないと追い返すわけにもいきません、眼医者耳鼻医者も必要では?」
「確かにそうだが、彼らが協力してくれるかな、それに無料でやれとは言えないな、彼らもそれで生活してるのだから。」
「むつかしいですね、」
「一応この町の眼医者耳鼻医者に聞いてみるか、」
「そうですね、それしかないでしょう」
父はまず町の眼医者を訪れて協力を要請した。
「アドラス様がヒールでは治せない目の病に対して、この私が教会で治療してほしいということですか、それで金持ちからはたくさん謝礼をもらい、貧乏人に対してはできる範囲払いをと…お断りいたします!私の医療には高価な薬を使います。もとがとれずこれでは私の持ち出しになって、私がやっていけません。」
「そこをなんとか」
「私の医療は慈善事業をやっているのではないですよ、あ、そうですね、これからもし町の耳鼻医者に行かれるのなら、彼が教会で診療行為を行うというのなら考えてもよろしいですよ」
次にヘンリーが町の耳鼻医者を訪れて聞いてみると耳鼻医者はにべもなく断った。
そのうえ眼科医がやるというのなら診療行為をしてもいいと言ったのだ。
「で、町の眼科医は何と?」
「町の耳鼻医者である君がやるなら教会で診療するといった。」
「そうですか、では私は謹んで辞退させていただきます。」
耳鼻医者の診療所のドアがバタンと後ろで閉まると、ヘンリーは腹の中で業突く張りどもめと罵った。
結局、眼医者も耳鼻医者もオーケーしてくれなかった。
そして場所だが教会には治療所が併設されているため、日曜の午後だけ借りる話がついた。
神父は近眼老眼うまれつきの弱視が眼鏡なしで治ると聞いて驚いていた。
「どなたがそれをやるのですか、ぜひ教えてください、山師ではないですよね」
「山師などではない!神父君は疑り深くないか?領主に対して失礼だぞ」
「申し訳ありません。この町でもそのような詐欺事件で大枚取られた被害者が何人かおりましたので」
「何そんな事件があったのか?私のところまでその事件の報告は上がってないぞ」
「さようでございますか?変ですね、騙された人間の数が少なかったからでしょうか?それに騙されたことにきづいた被害者が詐欺師から金を奪い返し、詐欺師をぼこぼこにして官憲につきだしたと聞いておりますから、それで領主様のところまで上がらなかったのでしょうか?」
「そうかもしれぬな、一応後で報告を上げさせよう。あ、それとな、治療するのは怪しい人間ではない。私の息子アドラスだからな」
「アドラス様がですか!?」
「そうだ、だから山師でもなければ詐欺師でもない。ただな、アドラスは医療ギルド員でヒール治療はできるが医師ではない。病に関しては専門知識を持ってないのだ。」
「わかりました。病に関しては医師か薬師のもとにということですね、」
「そうだ、私は眼医者と耳鼻医者に声をかけたのだが、慈善治療はできないと断わられてな、」
「それなら教会の治療院でも治療いたしておりますので大丈夫でございますよ」
「おお、そうだったな、うっかり忘れていた。じゃ、アドラスは本当に、近眼と老眼、生まれつきの弱視と難聴を癒せばいいか。」
「はい、それでも十分すぎるほど信者にとっては福音となるでしょう」
神父はこれで教会の信者が増えると、にっこりと慈悲深く微笑んだのだった。
この屋敷で治療する話をしたが、それはまずかろうとなり、町の一角に診療所を開こうかと話し合ったが、いっそ教会が良いのではという意見も上がり、みんなの頭を悩ませた。それに診療日だが教会となると当然ミサの後ということになる。ミサに最も人が集まるからだ。
「人が集まりすぎることも心配した方がいいぞ」
「父上、眼病や中耳炎の人が来たらどうしますか?ヒールでも病気の人は直せません、この場合は医師です。病気の人は直せないと追い返すわけにもいきません、眼医者耳鼻医者も必要では?」
「確かにそうだが、彼らが協力してくれるかな、それに無料でやれとは言えないな、彼らもそれで生活してるのだから。」
「むつかしいですね、」
「一応この町の眼医者耳鼻医者に聞いてみるか、」
「そうですね、それしかないでしょう」
父はまず町の眼医者を訪れて協力を要請した。
「アドラス様がヒールでは治せない目の病に対して、この私が教会で治療してほしいということですか、それで金持ちからはたくさん謝礼をもらい、貧乏人に対してはできる範囲払いをと…お断りいたします!私の医療には高価な薬を使います。もとがとれずこれでは私の持ち出しになって、私がやっていけません。」
「そこをなんとか」
「私の医療は慈善事業をやっているのではないですよ、あ、そうですね、これからもし町の耳鼻医者に行かれるのなら、彼が教会で診療行為を行うというのなら考えてもよろしいですよ」
次にヘンリーが町の耳鼻医者を訪れて聞いてみると耳鼻医者はにべもなく断った。
そのうえ眼科医がやるというのなら診療行為をしてもいいと言ったのだ。
「で、町の眼科医は何と?」
「町の耳鼻医者である君がやるなら教会で診療するといった。」
「そうですか、では私は謹んで辞退させていただきます。」
耳鼻医者の診療所のドアがバタンと後ろで閉まると、ヘンリーは腹の中で業突く張りどもめと罵った。
結局、眼医者も耳鼻医者もオーケーしてくれなかった。
そして場所だが教会には治療所が併設されているため、日曜の午後だけ借りる話がついた。
神父は近眼老眼うまれつきの弱視が眼鏡なしで治ると聞いて驚いていた。
「どなたがそれをやるのですか、ぜひ教えてください、山師ではないですよね」
「山師などではない!神父君は疑り深くないか?領主に対して失礼だぞ」
「申し訳ありません。この町でもそのような詐欺事件で大枚取られた被害者が何人かおりましたので」
「何そんな事件があったのか?私のところまでその事件の報告は上がってないぞ」
「さようでございますか?変ですね、騙された人間の数が少なかったからでしょうか?それに騙されたことにきづいた被害者が詐欺師から金を奪い返し、詐欺師をぼこぼこにして官憲につきだしたと聞いておりますから、それで領主様のところまで上がらなかったのでしょうか?」
「そうかもしれぬな、一応後で報告を上げさせよう。あ、それとな、治療するのは怪しい人間ではない。私の息子アドラスだからな」
「アドラス様がですか!?」
「そうだ、だから山師でもなければ詐欺師でもない。ただな、アドラスは医療ギルド員でヒール治療はできるが医師ではない。病に関しては専門知識を持ってないのだ。」
「わかりました。病に関しては医師か薬師のもとにということですね、」
「そうだ、私は眼医者と耳鼻医者に声をかけたのだが、慈善治療はできないと断わられてな、」
「それなら教会の治療院でも治療いたしておりますので大丈夫でございますよ」
「おお、そうだったな、うっかり忘れていた。じゃ、アドラスは本当に、近眼と老眼、生まれつきの弱視と難聴を癒せばいいか。」
「はい、それでも十分すぎるほど信者にとっては福音となるでしょう」
神父はこれで教会の信者が増えると、にっこりと慈悲深く微笑んだのだった。
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