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30古代王国ロマン5
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その日からアドラスは父に日本語教育を受けることになった。
古書室にある本をアドラスが調べた結果、童話に始まり日本の歴史書から、現代文学・ファンタジー小説や経済の本に、中高生向き生物化学の本に漫画本までそろっていた。まさしく種々雑多の本が書庫室にはあったのである。どうやらご先祖様たちは手当たりしだいに日本の本を集めたようだ。その中にはかの有名な源氏物語の現代意訳本までありアドラスを驚かせた。祖父はこれらの本を苦労してバリアス後に翻訳するのを趣味としてたらしい。一応帝国語に翻訳された漢字辞書や国語辞典があったから、翻訳は何とかできたらしいが・・・・・
<バリアス国は帝国語が公用語で、一般的に会話されている言葉のため、習得するのは何も難しくはなかったか>
それらの翻訳本は表の図書室に手書きで置かれていると父が話してくれた。それは知らなかったアドラスは「へー」となった。
まあ、アドラスにかかればどれもスラスラのペラペラなのだが、問題なのはこれを父に話すべきかどうかということだ。元日本人であるということは黙ってるべきかアドラスは父を見上げた。
「ん?どうしたアドラス?」
「なんでもありません」
「アドラス、おまえ私になにかいいたいことがあるだろう?お前は父親の私もびっくりするくらい頭のいい子だ、エルマのことか?」
<おっ、自分から愛人のことを切り出したぞ父上>
「お前はまだ子供だ、言ってもよくわからないだろう、だがこれだけははっきり言える。私がこの世で最も愛してるのはお前の母エリザベスとアドラスお前だ。何があってもそれは変わらない。」
<父上、それは本当ですか?愛人には夢中になっていないということ?>
「父上、愛人と愛人の連れ子をこの屋敷に引き取って、母様や僕たちと一緒に暮らさせたりはしないですか?」
「アドラス、そんなことを心配してたのか?そんなことはしない、愛人をこの屋敷に引き込むようなことは私はしない。身分が違いすぎる、一緒に暮らせば不幸のもとだ。それに私は同じ屋敷に正妻と愛人を同じに住まわせて、気苦労に身をすりつぶさせるつもりはない、考えただけで気疲れでため息が出てくる、ふー、今のこの家の平和を捨てるつもりはないからな。」
「それを聞いて安心しました」
「エルマはしょせん平民の飯屋の女だ。それ以上でもそれ以下でもない。」
<シビアですね父上、でもそういう感覚前世と違って必要だと思います、父上>
「父上、もし僕が前世日本人だったと言ったら驚きますか?」
」
「日本人、お前が?確かにドルーガ教では人は死んだら転生すると教えられてるが、お前が日本人?んーそれは本当か?」
「あくまでもしもそうだったらという話です。」
「アーやはり例えばなしか、そうだな驚くな、しかしそのことは決して他言してはならぬと私はいうだろう。
ほかの人に知られれば決してお前の幸せにはならぬ。どうしてかといえばこの世界にはかつて日本人の生まれ変わりと評する集団が中心となって、民主主義とか言って王政を倒せとクーデターを各国で起こし、実際に王家が倒れ国が大混乱に陥ったという隣国の話があってな、以来民主主義と日本人の生まれ変わりという人間を、どの国の王も危険視するようになったのだ。」
「そんなことが本当にあったのですか?」
「ああ、これは事実だ。何しろその倒れた国とは、バリアス王国の隣国サンザー帝国の前の国だからな。今から350年前だ」
「ええー!!」
「この国ではそのこともあって、元日本人の前世持ちは王家からはあまりよくみられてはおらぬのだ。」
「わかりました父上。冗談でも言わないようにします」
「うん、それがいいだろう」
<父上に聞いててよかった>と心から思うアドラスだった。
古書室にある本をアドラスが調べた結果、童話に始まり日本の歴史書から、現代文学・ファンタジー小説や経済の本に、中高生向き生物化学の本に漫画本までそろっていた。まさしく種々雑多の本が書庫室にはあったのである。どうやらご先祖様たちは手当たりしだいに日本の本を集めたようだ。その中にはかの有名な源氏物語の現代意訳本までありアドラスを驚かせた。祖父はこれらの本を苦労してバリアス後に翻訳するのを趣味としてたらしい。一応帝国語に翻訳された漢字辞書や国語辞典があったから、翻訳は何とかできたらしいが・・・・・
<バリアス国は帝国語が公用語で、一般的に会話されている言葉のため、習得するのは何も難しくはなかったか>
それらの翻訳本は表の図書室に手書きで置かれていると父が話してくれた。それは知らなかったアドラスは「へー」となった。
まあ、アドラスにかかればどれもスラスラのペラペラなのだが、問題なのはこれを父に話すべきかどうかということだ。元日本人であるということは黙ってるべきかアドラスは父を見上げた。
「ん?どうしたアドラス?」
「なんでもありません」
「アドラス、おまえ私になにかいいたいことがあるだろう?お前は父親の私もびっくりするくらい頭のいい子だ、エルマのことか?」
<おっ、自分から愛人のことを切り出したぞ父上>
「お前はまだ子供だ、言ってもよくわからないだろう、だがこれだけははっきり言える。私がこの世で最も愛してるのはお前の母エリザベスとアドラスお前だ。何があってもそれは変わらない。」
<父上、それは本当ですか?愛人には夢中になっていないということ?>
「父上、愛人と愛人の連れ子をこの屋敷に引き取って、母様や僕たちと一緒に暮らさせたりはしないですか?」
「アドラス、そんなことを心配してたのか?そんなことはしない、愛人をこの屋敷に引き込むようなことは私はしない。身分が違いすぎる、一緒に暮らせば不幸のもとだ。それに私は同じ屋敷に正妻と愛人を同じに住まわせて、気苦労に身をすりつぶさせるつもりはない、考えただけで気疲れでため息が出てくる、ふー、今のこの家の平和を捨てるつもりはないからな。」
「それを聞いて安心しました」
「エルマはしょせん平民の飯屋の女だ。それ以上でもそれ以下でもない。」
<シビアですね父上、でもそういう感覚前世と違って必要だと思います、父上>
「父上、もし僕が前世日本人だったと言ったら驚きますか?」
」
「日本人、お前が?確かにドルーガ教では人は死んだら転生すると教えられてるが、お前が日本人?んーそれは本当か?」
「あくまでもしもそうだったらという話です。」
「アーやはり例えばなしか、そうだな驚くな、しかしそのことは決して他言してはならぬと私はいうだろう。
ほかの人に知られれば決してお前の幸せにはならぬ。どうしてかといえばこの世界にはかつて日本人の生まれ変わりと評する集団が中心となって、民主主義とか言って王政を倒せとクーデターを各国で起こし、実際に王家が倒れ国が大混乱に陥ったという隣国の話があってな、以来民主主義と日本人の生まれ変わりという人間を、どの国の王も危険視するようになったのだ。」
「そんなことが本当にあったのですか?」
「ああ、これは事実だ。何しろその倒れた国とは、バリアス王国の隣国サンザー帝国の前の国だからな。今から350年前だ」
「ええー!!」
「この国ではそのこともあって、元日本人の前世持ちは王家からはあまりよくみられてはおらぬのだ。」
「わかりました父上。冗談でも言わないようにします」
「うん、それがいいだろう」
<父上に聞いててよかった>と心から思うアドラスだった。
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